問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 12
問題 12

問題012|数式と整数

難易度 D 目安 45

前半戦

正の整数 n に対して,2n−1 が素数ならば n も素数であることを示せ.

a,b,c を相異なる実数とする.このとき,

x2+2(a+b+c)x+3(ab+bc+ca)

が負となる実数 x が存在することを示せ.

a を実数の定数とし,

f(x,y)=ax2−2xy+ay2−2x

とおく.点 (x,y) が座標平面全体を動くとき,f(x,y) が最小値を持つような a の値の範囲を求めよ.

後半戦

次の式を満たす正の整数の組 (x,y,z) は存在しないことを示せ.

z4=x4+y4
ヒント 設問 1

ヒント 1

n=1 の場合を確認したうえで,n=ab(a,b≥2)と表せるときに 2n−1 を因数分解する.

ヒント 2

2ab−1=(2a−1){1+2a+⋯+2a(b−1)} で,両因子が1より大きいことを確かめよ.

ヒント 設問 2

ヒント 1

与えられた2次式の判別式を計算し,(a−b)2+(b−c)2+(c−a)2 を用いて表す.

ヒント 2

最高次係数が正の2次式が負の値をとる条件は,判別式が正であることである.三つの実数が相異なるという仮定を最後に使え.

ヒント 設問 3

ヒント 1

まず y=0 として a の必要条件を調べる.

ヒント 2

次に y について平方完成し,y=x/a に沿った値を考える.得られた条件のもとで,平方の和に変形して最小値が実際に達成されることを確かめる.

ヒント 設問 4

ヒント 1

より強い主張として,x4+y4=w2 を満たす正の整数解が存在しないことを示す.

ヒント 2

w が最小の解を仮定し,互いに素なピタゴラス数の表示を2回使って,さらに小さな解を作る.

解答 設問 1

n=1 のとき 2n−1=1 は素数ではない.したがって,2n−1 が素数ならば n≥2 である.

ここで n が合成数であると仮定すると,整数 a,b≥2 を用いて n=ab と表せる.このとき,

2n−1=(2a)b−1=(2a−1)((2a)b−1+(2a)b−2+⋯+1)

となる.右辺の二つの因数はいずれも 1 より大きい整数なので,2n−1 は合成数である.よって,2n−1 が素数ならば n も素数である.

解答 設問 2

f(x)=x2+2(a+b+c)x+3(ab+bc+ca) とおく.2次方程式 f(x)=0 の判別式を D とすると,

D={2(a+b+c)}2−12(ab+bc+ca)=4(a2+b2+c2−ab−bc−ca)=2{(a−b)2+(b−c)2+(c−a)2}

である.a,b,c は相異なる実数なので D>0 となり,f(x)=0 は相異なる二つの実数解 α<β を持つ.したがって,

f(x)=(x−α)(x−β)<0(α<x<β)

である.よって,与えられた2次式が負となる実数 x が存在する.

別解(頂点に代入する)

存在を示すだけなら,負になる値を一つ示せばよい.x=−(a+b+c) とすると,与式の値は

3(ab+bc+ca)−(a+b+c)2=−12{(a−b)2+(b−c)2+(c−a)2}<0

となる.最後の不等号は a,b,c が相異なることによる.

解答 設問 3

まず,f(x,0)=ax2−2x である.a≤0 ならば,x を正の方向に限りなく大きくすると f(x,0) は限りなく小さくなる.したがって,最小値が存在するためには a>0 が必要である.

a>0 のもとで y について平方完成すると,

f(x,y)=a(y−xa)2+a2−1ax2−2x

となる.ここで y=x/a とすると,

f(x,xa)=a2−1ax2−2x

である.0<a≤1 ならば (a2−1)/a≤0 なので,x を正の方向に限りなく大きくすると,この値は限りなく小さくなる.よって,最小値が存在するためには a>1 が必要である.

逆に a>1 のとき,さらに x について平方完成すると,

f(x,y)=a(y−xa)2+a2−1a(x−aa2−1)2−aa2−1

となる.二つの平方の係数はともに正であり,

x=aa2−1,y=1a2−1

のとき両方の平方が同時に 0 となる.したがって,f(x,y) は最小値 −a/(a2−1) を持つ.以上より,求める範囲は

a>1

である.

別解 x=X+Y, y=X−Y とおく.逆に X=(x+y)/2, Y=(x−y)/2 と表せるので,(x,y) が座標平面全体を動くことは,X,Y がそれぞれ独立にすべての実数を動くことと同じである.このとき,

f(x,y)=2(a−1)X2−2X+2(a+1)Y2−2Y

となる.a≤1 ならば,Y=0 として X を正の方向に限りなく大きくすると,この値は限りなく小さくなる.一方,a>1 ならば,X,Y それぞれについての2次式は2次の係数が正であり,それぞれの最小値を同時に達成できる.よって,この場合に限り f(x,y) は最小値を持つ.

解答 設問 4

まず,互いに素なピタゴラス数について,次の補題を示す.

補題 正の整数 a,b,c が a2+b2=c2,gcd(a,b)=1 を満たし,b が偶数であるとする.このとき,互いに素で偶奇の異なる正の整数 m>n を用いて,

a=m2−n2,b=2mn,c=m2+n2

と表せる.

補題の証明 gcd(a,b)=1 より,a,b がともに偶数となることはない.また,平方数を 4 で割った余りは 0 または 1 なので,a,b がともに奇数となることもない.したがって,b が偶数ならば a,c は奇数である.さらに,a,c の共通の素因数は b2=c2−a2,したがって b も割り切るため,gcd(a,c)=1 である.

ここで,

(b2)2=c+a2⋅c−a2

と表す.右辺の二つの正の整数の公約数は,それらの和 c と差 a も割り切るので,両者は互いに素である.互いに素な正の整数の積が平方数ならば,素因数分解の指数を比較することにより,各整数も平方数である.よって,

c+a2=m2,c−a2=n2

と表せる.これから補題の表示を得る.また,m,n は互いに素であり,c=m2+n2 が奇数なので偶奇が異なる.

本題の証明 より強い主張として,

x4+y4=w2

を満たす正の整数の組 (x,y,w) が存在しないことを示す.そのような解が存在すると仮定し,w が最小となるものを取る.

まず,gcd(x,y)=1 である.実際,d=gcd(x,y)>1 ならば d4∣w2 より d2∣w であり,

(xd)4+(yd)4=(wd2)2

は,より小さい正の整数 w/d2 を持つ解となって矛盾する.

x,y がともに奇数ならば x4+y4 を 4 で割った余りは 2 となり,平方数にはならない.必要ならば x,y を入れ替え,x を奇数,y を偶数としてよい.x4+y4=w2 に補題を用いると,互いに素で偶奇の異なる正の整数 p>q によって,

x2=p2−q2,y2=2pq,w=p2+q2

と表せる.もし p が偶数,q が奇数ならば x2=p2−q2 を 4 で割った余りが 3 となって不可能なので,p は奇数,q は偶数である.

次に,x2+q2=p2 に注目する.x,q の共通の素因数は p2=x2+q2,したがって p も割り切るので,gcd(x,q)=1 である.再び補題を用いると,互いに素な正の整数 s>t によって,

x=s2−t2,q=2st,p=s2+t2

と表せる.これを y2=2pq に代入すると,

(y2)2=pst

となる.gcd(s,t)=1 であり,p=s2+t2 より gcd(p,s)=gcd(p,t)=1 なので,p,s,t はどの二つも互いに素である.その積が平方数であることから,それぞれも平方数であり,正の整数 α,β,γ を用いて,

p=α2,s=β2,t=γ2

と表せる.したがって,p=s2+t2 より,

β4+γ4=α2

を得る.これは新たな正の整数解であり,α≤α2=p<p2+q2=w となるので,w の最小性に矛盾する.よって,x4+y4=w2 を満たす正の整数解は存在しない.

もし本題の式 z4=x4+y4 を満たす正の整数解が存在すれば,w=z2 とおくことで x4+y4=w2 の正の整数解が得られてしまう.したがって,本題の式を満たす正の整数の組も存在しない.

DISCUSSION

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