問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 13
問題 13

問題013|整数と最大値

難易度 C 目安 45

前半戦

正の整数 a,b に対して,(2021a+b)(a+2021b) は,正の整数 n を用いて 2n と表すことができないことを示せ.

c を正の定数とする.実数 x1,x2,y1,y2 が

x12+x22=y12+y22=c2

を満たすとき,

S=(1−x1)(1−y1)+(1−x2)(1−y2)

の最大値を求めよ.

後半戦

正の整数 a,b,n に対して,次の等式を示せ.ただし,gcd(0,0)=0 と定める.

gcd(na−1,nb−1)=ngcd(a,b)−1

k を非負整数とする.次の和の値を求めよ.

∑j=0k2k−j(k+jj)
ヒント 設問 1

ヒント 1

2021 を 3 で割った余りは 2,5 で割った余りは 1 である.

ヒント 2

与えられた積をそれぞれの法で平方数と関連付け,2n と表せると仮定したときの n の偶奇を調べる.

ヒント 設問 2

ヒント 1

(x1,x2)=(ccos⁡ϕ,csin⁡ϕ),(y1,y2)=(ccos⁡ψ,csin⁡ψ) とおく.

ヒント 2

三角関数の合成と加法定理で S を整理し,各項が同時に最大となる角を探す.

ヒント 設問 3

ヒント 1

a=qb+r と割り算を行うと,na−1 を nb−1 で割った余りは nr−1 となる.

ヒント 2

指数の組 (a,b) にユークリッドの互除法を適用する.

ヒント 設問 4

ヒント 1

和を Sk とおき,パスカルの公式を用いて Sk−1 と関連付ける.

ヒント 2

別の方法として,(k+jj)=(k+jk) より,与えられた和を多項式の xk の係数として考える.

解答 設問 1

正の整数 a,b,n に対して,

(2021a+b)(a+2021b)=2n

が成り立つと仮定する.まず,2021≡−1 (mod 3) より,

2n≡(b−a)(a−b)=−(a−b)2 (mod 3)

である.平方数を 3 で割った余りは 0 または 1 なので,右辺の余りは 0 または 2 となる.2n は 3 の倍数ではないから,2n≡2 (mod 3) である.2≡−1 (mod 3) より,n は奇数でなければならない.

一方,2021≡1 (mod 5) より,

2n≡(a+b)2 (mod 5)

である.平方数を 5 で割った余りは 0,1,4 のいずれかであり,2n は 5 の倍数ではないので,その余りは 1 または 4 である.ところが,n=2k+1 が奇数ならば,

2n=2⋅4k≡2(−1)k (mod 5)

となり,余りは 2 または 3 である.これは矛盾する.したがって,与えられた積を 2n と表すことはできない.

解答 設問 2

点 (x1,x2),(y1,y2) は,いずれも原点を中心とする半径 c の円上にある.したがって,実数 ϕ,ψ を用いて,

(x1,x2)=(ccos⁡ϕ,csin⁡ϕ),(y1,y2)=(ccos⁡ψ,csin⁡ψ)

と表せる.これを S に代入して展開すると,

S=2−c(cos⁡ϕ+sin⁡ϕ+cos⁡ψ+sin⁡ψ)+c2(cos⁡ϕcos⁡ψ+sin⁡ϕsin⁡ψ)=2−c2sin⁡(ϕ+π4)−c2sin⁡(ψ+π4)+c2cos⁡(ϕ−ψ)

となる.正弦と余弦の値は −1 以上 1 以下であり,c>0 なので,

S≤2+2c2+c2=(c+2)2

を得る.ここで ϕ=ψ=5π/4 とすれば,二つの正弦の値はともに −1,余弦の値は 1 となり,等号が成立する.これは,

x1=x2=y1=y2=−c2

とすることに対応し,確かに与えられた条件を満たす.よって,求める最大値は

(c+2)2

である.

別解(内積と三角不等式)

ベクトル u=(1,1),x=(x1,x2),y=(y1,y2) を用いると,コーシー・シュワルツの不等式と三角不等式より

S=(u−x)⋅(u−y)≤|u−x||u−y|≤(2+c)2

である.x=y=−(c/2)u とすれば条件を満たし,両方の不等式で等号が成立するので,最大値は (c+2)2 である.

解答 設問 3

n=1 のときは,約束 gcd(0,0)=0 により両辺とも 0 となる.以下,n≥2 とする.

必要ならば a,b を入れ替え,a≥b としてよい.a=qb+r(q≥1, 0≤r<b)と表すと,

na−1=nr(nqb−1)+(nr−1)=(nb−1)nr(1+nb+⋯+n(q−1)b)+(nr−1)

となる.0≤nr−1<nb−1 なので,na−1 を nb−1 で割った余りは nr−1 である.したがって,

gcd(na−1,nb−1)=gcd(nb−1,nr−1)

が成り立つ.

この操作は,指数の組を (a,b) から (b,r) へ移すユークリッドの互除法に対応している.d=gcd(a,b) とおくと,指数の互除法は有限回で (d,0) に至るので,上の等式を繰り返すことにより,

gcd(na−1,nb−1)=gcd(nd−1,n0−1)=gcd(nd−1,0)=nd−1

を得る.よって,題意の等式が成り立つ.

解答 設問 4

解法1:漸化式を用いる方法

Sk=∑j=0k2k−j(k+jj)

とおく.S0=1 である.以下,k≥1 とし,(m−1)=0(m≥0)と定める.パスカルの公式より,

Sk=∑j=0k2k−j{(k−1+jj)+(k−1+jj−1)}=2Sk−1+(2k−1k)+∑j=1k2k−j(k−1+jj−1)=2Sk−1+(2k−1k)+∑j=0k−12k−1−j(k+jj)

となる.最後の和は,Sk の j=k の項を除いて半分にしたものなので,

∑j=0k−12k−1−j(k+jj)=12{Sk−(2kk)}

である.また,(2kk)=2(2k−1k) より,

Sk=2Sk−1+12Sk

を得る.したがって Sk=4Sk−1 であり,S0=1 と合わせると,求める値は

Sk=4k

である.

解法2:係数を比較する方法

(k+jj)=(k+jk) は (1+x)k+j の xk の係数である.したがって,求める和は多項式

Pk(x)=∑j=0k2k−j(1+x)k+j

の xk の係数に等しい.等比数列の和の公式を用いると,

Pk(x)=2k(1+x)k∑j=0k(1+x2)j=2k(1+x)k1−((1+x)/2)k+11−(1+x)/2=2k+1(1+x)k−(1+x)2k+11−x

となる.ここで,形式的べき級数として 1/(1−x)=1+x+x2+⋯ と展開する.多項式にこの級数を掛けたときの xk の係数は,その多項式の定数項から xk の項までの係数の和である.よって,求める係数は,

2k+1∑j=0k(kj)−∑j=0k(2k+1j)

となる.二項定理より ∑j=0k(kj)=2k である.また,(2k+1j)=(2k+12k+1−j) であり,添字 0,…,k と k+1,…,2k+1 は一対一に対応するので,

∑j=0k(2k+1j)=12∑j=02k+1(2k+1j)=22k

である.したがって,求める値は

2k+1⋅2k−22k=22k=4k

となる.

別解(多数派が決まる瞬間で数える)

長さ 2k+1 の,0,1 からなる列を考える.0 と 1 の交換で対応が付くので,1 が多数派となる列は全体の半分,すなわち 22k 個である.

一方,k+1 個目の 1 が現れるまでに 0 が j 個現れたとすると,0≤j≤k である.その 1 より前の k+j 個の中で 0 の位置を選ぶ方法は (k+jj) 通りであり,残りの k−j 個は自由に選べる.したがって同じ列を数え直すと

∑j=0k2k−j(k+jj)=22k=4k

となる.k=0 の場合もこの数え方がそのまま成り立つ.

DISCUSSION

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