二項係数の積を整理する
𝐴𝑛=𝑛∏𝑟=0(𝑛𝑟)
とおく.幾何平均は 𝑛 +1 個の数について取るので,𝐺𝑛 =𝐴1/(𝑛+1)𝑛 である.二項係数を階乗で表すと,
𝐴𝑛=𝑛∏𝑟=0𝑛!𝑟!(𝑛−𝑟)!=(𝑛!)𝑛+1(∏𝑛𝑟=0𝑟!)(∏𝑛𝑟=0(𝑛−𝑟)!)=(𝑛!)𝑛+1(1!2!⋯𝑛!)2
となる.最後の等式では,𝑛 −𝑟 も 0,1,…,𝑛 を一度ずつ取り,0! =1 であることを用いた.
ここで,1! 2!⋯𝑛! に含まれる各整数の個数を数える.整数 𝑗 は,𝑗!,(𝑗 +1)!,…,𝑛! のそれぞれに一度ずつ現れるので,全部で 𝑛 +1 −𝑗 回現れる.したがって,
1!2!⋯𝑛!=𝑛∏𝑗=1𝑗𝑛+1−𝑗
である.一方,分子 (𝑛!)𝑛+1 では各 𝑗 が 𝑛 +1 回現れる.よって,分子と分母の指数の差を取ると,
𝐴𝑛=𝑛∏𝑗=1𝑗(𝑛+1)−2(𝑛+1−𝑗)=𝑛∏𝑗=1𝑗2𝑗−𝑛−1
を得る.指数が負となる因子は,分母に残ることを意味する.
さらに,これらの指数の和は,
𝑛∑𝑗=1(2𝑗−𝑛−1)=2𝑛(𝑛+1)2−𝑛(𝑛+1)=0
である.したがって,各因子の底を 𝑛 +1 で割っても,積全体には (𝑛 +1)0 =1 しか掛からず,
𝐴𝑛=𝑛∏𝑗=1(𝑗𝑛+1)2𝑗−𝑛−1
と表せる.両辺の 1/(𝑛 +1) 乗を取ると,
𝐺𝑛=𝑛∏𝑗=1(𝑗𝑛+1)2𝑗/(𝑛+1)−1
となる.対数を取り,極限を求める
以下,log は自然対数とする.𝑁 =𝑛 +1 とおくと,
log𝑛√𝐺𝑛=1𝑛log𝐺𝑛=𝑁𝑛{2𝑁𝑁−1∑𝑗=1𝑗𝑁log𝑗𝑁−1𝑁𝑁−1∑𝑗=1log𝑗𝑁}
となる.中括弧内の二つの和をそれぞれ調べる.
まず,𝑡log𝑡 は 𝑡 →0 + のとき 0 に収束するので,𝑡 =0 での値を 0 と定めれば [0,1] 上で連続となる.したがって,区分求積法により,
lim𝑁→∞1𝑁𝑁−1∑𝑗=1𝑗𝑁log𝑗𝑁=∫10𝑡log𝑡𝑑𝑡=−14
である.積分値は,部分積分で得られる原始関数 𝑡22log𝑡 −𝑡24 と,lim𝑡→0+𝑡2log𝑡 =0 から求まる.
次に,log𝑡 は 𝑡 =0 で発散するため,通常の連続関数の区分求積法をそのまま適用することはできない.そこで,log𝑡 が単調増加することを用いる.各区間で積分と長方形の面積を比較すると,
∫(𝑁−1)/𝑁0log𝑡𝑑𝑡≤1𝑁𝑁−1∑𝑗=1log𝑗𝑁≤∫11/𝑁log𝑡𝑑𝑡
となる.∫log𝑡 𝑑𝑡 =𝑡log𝑡 −𝑡 と lim𝑡→0+𝑡log𝑡 =0 より,左右の積分はいずれも ∫10log𝑡 𝑑𝑡 = −1 に収束する.したがって,はさみうちの原理から,
lim𝑁→∞1𝑁𝑁−1∑𝑗=1log𝑗𝑁=−1
を得る.
以上と 𝑁/𝑛 =(𝑛 +1)/𝑛 →1 より,
lim𝑛→∞log𝑛√𝐺𝑛=2(−14)−(−1)=12
となる.指数関数の連続性を用いれば,
lim𝑛→∞𝑛√𝐺𝑛=𝑒1/2=√𝑒
が従う.