問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 15
問題 15

問題015|整数・二項係数

難易度 D 目安 60

前半戦

整数 a,b,c,d が c+d≠0 を満たすとする.このとき,分数 a+bc+d が既約分数であるための十分条件は ad−bc=1 であることを示せ.

n を正の整数,x を実数とする.次の和を求めよ.

(n1)cos⁡x+(n2)cos⁡2x+⋯+(nn)cos⁡nx

後半戦

a,b を正の整数とする.このとき,次の関係を示せ.ただし,u∣v は整数 u が整数 v を割り切ることを表す.

gcd(2a+1,2b+1)∣2gcd(a,b)+1

正の数 b1,b2,…,bm の幾何平均とは,それらの積の正の m 乗根 (b1b2⋯bm)1/m のことである.正の整数 n に対して,二項係数 (n0),(n1),…,(nn) の幾何平均を

Gn=(∏r=0n(nr))1/(n+1)

とする.このとき,

limn→∞Gnn=e

を証明せよ.

ヒント 設問 1

ヒント 1

a+b と c+d の公約数は,それらの整数倍の差も割り切る.

ヒント 2

d(a+b)−b(c+d) を計算する.

ヒント 設問 2

ヒント 1

正弦を用いた和も合わせて考え,オイラーの公式と二項定理を使う.

ヒント 2

1+eix=2cos⁡(x/2)eix/2 と変形した後,実部を比較する.

ヒント 設問 3

ヒント 1

d=gcd(a,b),D=gcd(2a+1,2b+1) とおく.

ヒント 2

13日目の結果から D∣22d−1 を示す.次に D と 2d−1 が互いに素であることを確認する.

ヒント 設問 4

ヒント 1

二項係数の積を階乗で表し,1!2!⋯n! の中に各整数 j が何回現れるかを数える.

ヒント 2

積の各因子の指数の和が 0 であることを使って底を j/(n+1) に直し,対数を取る.端点で発散する対数の項は,積分との大小比較で扱う.

解答 設問 1

ad−bc=1 と仮定する.a+b と c+d の正の公約数を g とすると,g はそれらの整数倍の差

d(a+b)−b(c+d)=ad−bc=1

も割り切る.したがって g=1 であり,分子と分母は互いに素である.c+d≠0 なので分数は定義され,a+bc+d は既約分数となる.よって,ad−bc=1 は十分条件である.

解答 設問 2

求める和を S とし,

T=∑k=1n(nk)sin⁡kx

とおく.i を虚数単位とすると,オイラーの公式 eiθ=cos⁡θ+isin⁡θ より,

1+S+iT=∑k=0n(nk)(cos⁡kx+isin⁡kx)=∑k=0n(nk)(eix)k=(1+eix)n

となる.ここで,左辺に加えた 1 は k=0 の項に対応し,最後の等式には二項定理を用いた.

さらに,

1+eix=eix/2(e−ix/2+eix/2)=2cos⁡x2eix/2

と変形できるので,

1+S+iT=(2cos⁡x2)neinx/2=2ncosn⁡x2(cos⁡nx2+isin⁡nx2)

を得る.両辺の実部を比較して 1 を引くと,求める和は

S=2ncosn⁡x2cos⁡nx2−1

である.

解答 設問 3
d=gcd(a,b),D=gcd(2a+1,2b+1)

とおく.D は 2a+1 と 2b+1 を割り切るので,

22a−1=(2a−1)(2a+1),22b−1=(2b−1)(2b+1)

も割り切る.13日目に示した等式 gcd(nr−1,ns−1)=ngcd(r,s)−1 を用いると,

gcd(22a−1,22b−1)=2gcd(2a,2b)−1=22d−1

であるから,

D∣(2d−1)(2d+1)

を得る.

ここで,D と 2d−1 が互いに素であることを示す.d∣a より,a=dm と正の整数 m を用いて表せるので,

2a−1=(2d−1)(1+2d+⋯+2(m−1)d)

となる.したがって,D と 2d−1 の正の公約数 g は,2a+1 と 2a−1 をともに割り切り,その差 2 も割り切る.一方,g は奇数 2d−1 の約数なので奇数であり,g=1 でなければならない.よって,gcd(D,2d−1)=1 である.

互いに素な整数についての割り切りの性質より,D∣(2d−1)(2d+1) から D∣2d+1 が従う.したがって,

gcd(2a+1,2b+1)∣2gcd(a,b)+1

が成り立つ.

解答 設問 4

二項係数の積を整理する

An=∏r=0n(nr)

とおく.幾何平均は n+1 個の数について取るので,Gn=An1/(n+1) である.二項係数を階乗で表すと,

An=∏r=0nn!r!(n−r)!=(n!)n+1(∏r=0nr!)(∏r=0n(n−r)!)=(n!)n+1(1!2!⋯n!)2

となる.最後の等式では,n−r も 0,1,…,n を一度ずつ取り,0!=1 であることを用いた.

ここで,1!2!⋯n! に含まれる各整数の個数を数える.整数 j は,j!,(j+1)!,…,n! のそれぞれに一度ずつ現れるので,全部で n+1−j 回現れる.したがって,

1!2!⋯n!=∏j=1njn+1−j

である.一方,分子 (n!)n+1 では各 j が n+1 回現れる.よって,分子と分母の指数の差を取ると,

An=∏j=1nj(n+1)−2(n+1−j)=∏j=1nj2j−n−1

を得る.指数が負となる因子は,分母に残ることを意味する.

さらに,これらの指数の和は,

∑j=1n(2j−n−1)=2n(n+1)2−n(n+1)=0

である.したがって,各因子の底を n+1 で割っても,積全体には (n+1)0=1 しか掛からず,

An=∏j=1n(jn+1)2j−n−1

と表せる.両辺の 1/(n+1) 乗を取ると,

Gn=∏j=1n(jn+1)2j/(n+1)−1

となる.対数を取り,極限を求める

以下,log は自然対数とする.N=n+1 とおくと,

log⁡Gnn=1nlog⁡Gn=Nn{2N∑j=1N−1jNlog⁡jN−1N∑j=1N−1log⁡jN}

となる.中括弧内の二つの和をそれぞれ調べる.

まず,tlog⁡t は t→0+ のとき 0 に収束するので,t=0 での値を 0 と定めれば [0,1] 上で連続となる.したがって,区分求積法により,

limN→∞1N∑j=1N−1jNlog⁡jN=∫01tlog⁡tdt=−14

である.積分値は,部分積分で得られる原始関数 t22log⁡t−t24 と,limt→0+t2log⁡t=0 から求まる.

次に,log⁡t は t=0 で発散するため,通常の連続関数の区分求積法をそのまま適用することはできない.そこで,log⁡t が単調増加することを用いる.各区間で積分と長方形の面積を比較すると,

∫0(N−1)/Nlog⁡tdt≤1N∑j=1N−1log⁡jN≤∫1/N1log⁡tdt

となる.∫log⁡tdt=tlog⁡t−t と limt→0+tlog⁡t=0 より,左右の積分はいずれも ∫01log⁡tdt=−1 に収束する.したがって,はさみうちの原理から,

limN→∞1N∑j=1N−1log⁡jN=−1

を得る.

以上と N/n=(n+1)/n→1 より,

limn→∞log⁡Gnn=2(−14)−(−1)=12

となる.指数関数の連続性を用いれば,

limn→∞Gnn=e1/2=e

が従う.

DISCUSSION

この問題の掲示板

この掲示板は公開されています。ニックネームと本文は、ログインしていない人にも表示されます。Googleアカウントの名前は表示されません。

閲覧はどなたでもできます。ログインすると投稿できます。

まだ投稿はありません。