𝛼 =log102 とおく.𝛼 が有理数 𝑝/𝑞(𝑝,𝑞 は正の整数)なら 2𝑞 =10𝑝 となり,素因数5の有無が矛盾する.よって 𝛼 は無理数である.また,1 <2 <√10 より 0 <𝛼 <1/2 である.以下,{𝑢} =𝑢 −⌊𝑢⌋ と書く.
𝑡 ={𝑘𝛼} に対して,先頭の数字が 𝑑 となる条件は
log10𝑑≤{𝑡+𝑗𝛼}<log10(𝑑+1)(𝑑=1,…,9)
である.したがって13個の数字が変化し得る境界は,0と1を同一視した区間上の
𝐵={{log10𝑑−𝑗𝛼}:1≤𝑑≤9, 0≤𝑗≤12}
である.
まず 𝐵 の要素数を数える.𝑑 =1,2,4,8 では log10𝑑 はそれぞれ 0,𝛼,2𝛼,3𝛼 であり,log105 =1 −𝛼 だから,𝑑 =1,2,4,8,5 から生じる境界は
{𝑟𝛼}(𝑟=−13,−12,…,3)
の17個である.𝑑 =3,6 からは {log103 +𝑟𝛼}(𝑟 = −12,…,1)の14個,𝑑 =7 からは {log107 +𝑟𝛼}(𝑟 = −12,…,0)の13個,𝑑 =9 からは {2log103 +𝑟𝛼}(𝑟 = −12,…,0)の13個を得る.各群の内部では 𝛼 の無理性から重複しない.異なる群の境界が一致すれば,𝑢,𝑣 ∈{1,3,7,9}(𝑢 ≠𝑣)と整数 𝑟,𝑚 に対して 𝑢/𝑣 =2𝑟10𝑚 となるが,素因数3または7の指数を比較すると不可能である.よって,
|𝐵|=17+14+13+13=57
である.0も 𝐵 に含まれるので,これらの境界は [0,1) を左端を含み右端を含まない57個の区間に分ける.各区間の内部で13項の組は一定であり,境界上では右側の区間と同じ組となる.
次に,異なる区間が同じ組を与えないことを示す.もし 𝑡1 <𝑡2 が同じ組を与えるなら,第1の数字も同じだから,同一の区間 [log10𝑑,log10(𝑑 +1)) に入り,
0<𝑡2−𝑡1<log10𝑑+1𝑑≤𝛼<12
となる.各 𝑗 について,𝑡1 +𝑗𝛼 と 𝑡2 +𝑗𝛼 の整数部分が異なると,小数部分の距離は 1 −(𝑡2 −𝑡1) >1/2 となる.これは両者が同じ数字に対応する長さ高々 𝛼 <1/2 の区間にあることと矛盾する.したがって整数部分は同じであり,その間のすべての 𝑡 も同じ数字を与える.このことは全 𝑗 で成り立つから,途中に組を変える境界は存在しない.よって2点は同一の区分に属し,57区間の組はすべて異なる.
最後に,全区間が実際の 𝑡 ={𝑘𝛼} によって実現することを示す.任意の正の整数 𝑀 に対し,𝑀 +1 個の数 {𝑗𝛼}(𝑗 =0,…,𝑀)を長さ 1/𝑀 の 𝑀 個の区間に入れると,同じ区間に2つ入る.その差から,ある正の整数 𝑞 について,{𝑞𝛼} =𝛿 または 1 −𝛿,ただし 0 <𝛿 <1/𝑀,となる.𝐿 =⌊1/𝛿⌋ とすれば,点
{(1+ℓ𝑞)𝛼}(ℓ=0,1,…,𝐿)
は,0と1を同一視した区間上で,向きの違いはあっても間隔 𝛿 ずつ進む点である.隣り合う点の隙間はすべて高々 𝛿 なので,長さが 𝛿 より大きい任意の開区間に少なくとも1点入る.𝑀 をいくらでも大きくできるから,{𝑘𝛼}(𝑘 ≥1)はすべての開区間に現れる.特に57個の区分の内部すべてに現れる.以上より,求める種類数は 57 である.