問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 25
問題 25

問題025|指数・対数と値の範囲

難易度 D 目安 60分

前半戦

実数 a に対し,

Fa(x)=(2x+2−x−3)2+a(2x−2−x)2

とおく.Fa(x) が実数全体で最小値をもつような a の範囲を求め,その最小値と,最小値をとるすべての x を求めよ.

方程式

|log3⁡x|=ax+b

は互いに異なる3つの実数解をもち,小さい順に並べたときの比が 1:2:3 であるという.実数 a,b を求めよ.

後半戦

a>0, a≠1, b>0 とする.

loga⁡b<loga+1⁡(b+1)

を満たす実数の組 (a,b) をすべて求めよ.

出典:IMO 1984 Shortlist,第20問.

正の整数 n に対し,2n を十進法で表したときの先頭の数字を cn とする.正の整数 k を動かして得られる順序付きの組

(ck,ck+1,…,ck+12)

は,ちょうど57種類であることを証明せよ.

出典:Tournament of Towns 1994年秋,上級・シニア部門,第6問.

ヒント 設問 1

ヒント 0

t=2x+2−x とおく.t の下限と,t がどこまで大きくなれるかを調べる.

ヒント 1

(2x−2−x)2=t2−4 より,(1+a)t2−6t+9−4a を t≥2 で調べる.

ヒント 設問 2

ヒント 0

3解を α,2α,3α とおく.y=|log3⁡x| の概形と直線との交点から,α<1<2α になることを考えよう.

ヒント 1

aα+b=−log3⁡α,2aα+b=log3⁡(2α),3aα+b=log3⁡(3α) の差をとって,a,b を消去する.

ヒント 設問 3

ヒント 0

a,b が1より大きいか小さいかで分ける.a,b が1を挟む場合や b=1 の場合は,対数の符号だけで判断できる.

ヒント 1

F(t)=log⁡(t+1)/log⁡t を考える.t>1 では F(t)=1+log⁡(1+1/t)/log⁡t,0<t<1 では F(t)=−log⁡(1+t)/log⁡(1/t) と書くと,微分せずに単調性が分かる.

ヒント 設問 4

ヒント 0

α=log10⁡2,t={kα} とおく.ここで {u}=u−⌊u⌋ は小数部分である.ck+j=d は log10⁡d≤{t+jα}<log10⁡(d+1) と同値になる.

ヒント 1

13個の数字が変わる境界は {log10⁡d−jα}(d=1,…,9, j=0,…,12)である.1,2,4,8,5 の境界をひとまとめにし,次に 3,6,7,9 をまとめて,重複を除いた個数を数えよう.

ヒント 2

境界の個数を数えただけでは不十分である.異なる区間が異なる13項の組を与えることと,小数部分 {klog10⁡2} がすべての区間に入ることも示す.後者には鳩の巣原理による無理数の倍数の稠密性を使える.

解答 設問 1

t=2x+2−x とおくと,相加相乗平均から t≥2 である.逆に任意の t≥2 について u2−tu+1=0 は正の解をもつので,u=2x として実現できる.従って

Fa(x)=(1+a)t2−6t+9−4a(t≥2)

を調べればよい.a<−1 では2次の係数が負,a=−1 では −6t+13 となるので,いずれも下に有界でなく最小値をもたない.

a>−1 なら平方完成でき,軸は t=3/(1+a) である.軸が2以上となる条件は a≤1/2 だから,最小値は

{9−4a−91+a(−1<a<1/2),1(a≥1/2).

従って最小値をもつ条件は a>−1 である.−1<a<1/2 のとき T=3/(1+a)>2 とおけば,最小値をとる x は

x=±log2⁡T+T2−42.

a≥1/2 では t=2 の場合だけであり,x=0 である.境界 a=1/2 でも軸は2なので,等号をとる点は1つに限る.

解答 設問 2

曲線 y=|log3⁡x| は 0<x<1 では減少し,下に凸であり,x>1 では増加し,上に凸である.3つの交点をもつ直線は傾きが正で,交点は 0<x<1 に1つ,x>1 に2つとなる.実際,a≤0 のとき,x>1 では曲線と直線の差が増加する.b≤−a なら x>1 に交点はなく,左側にも高々2つである.b>−a なら x=1 で差が負となるため,左側の凸性から左側に高々1つ,右側にも高々1つである.a>0 のときは左側の差が厳密に減少するので左側に高々1つ,右側の差の厳密な凹性から右側に高々2つである.x=1 自身が解なら左側に他の解はなく,右側にも高々1つなので,3解のときは x=1 は解ではない.

3解を α,2α,3α とおくと,以上から 1/2<α<1 である.したがって,

aα+b=−log3⁡α,2aα+b=log3⁡α+log3⁡2,3aα+b=log3⁡α+1.

後ろの2式の差から aα=log3⁡(3/2),前の2式の差から aα=2log3⁡α+log3⁡2 を得る.よって α2=3/4,すなわち α=3/2 であり,

a=23log3⁡32,b=log3⁡433

となる.この a,b を代入すると,3/2,3,33/2 が実際に解である.また,上述の単調性と凸性から他の解は存在しない.図はこのときの3交点を示す.

y=絶対値log3xと直線y=ax+bの3交点.x座標はα,2α,3αで,αと2αの間に1がある.
解答 設問 3

以下,log の底は10とする.

F(t)=log⁡(t+1)log⁡t(t>0, t≠1)

を考える.t>1 では

F(t)=1+log⁡(1+1/t)log⁡t

と書ける.右辺の分数は分子が正で厳密に減少し,分母が正で厳密に増加するので,F は (1,∞) で厳密に減少する.0<t<1 では

F(t)=−log⁡(1+t)log⁡(1/t)

であり,分子が正で厳密に増加し,分母が正で厳密に減少するため,F は (0,1) でも厳密に減少する.ただし,1をまたいで単調減少とはいえないことに注意する.

a>1 の場合,0<b≤1 なら左辺は0以下,右辺は正なので必ず成立する.b>1 の場合は底の変換により,

log⁡blog⁡a<log⁡(b+1)log⁡(a+1)⟺F(a)<F(b)

となるので,単調性から b<a と同値である.合わせて a>1, 0<b<a を得る.

0<a<1 の場合,b≥1 なら符号から必ず成立する.0<b<1 の場合は,負の数 log⁡(a+1)/log⁡b を掛けると不等号が反転して F(a)>F(b) となり,単調性から a<b と同値である.よって答えは

a>1, 0<b<aまたは0<a<1, b>a

である.境界 b=a では両辺とも1となるので含まない.

別解(底をそろえて正規化する)

t=loga⁡b と置けば b=at である.a+1>1 なので,与式は t<loga+1⁡(at+1),すなわち

1<(aa+1)t+(1a+1)t

と同値である.括弧内の2数はともに0と1の間にあり,和が1である.したがって右辺は t<1 なら1より大きく,t=1 なら1,t>1 なら1より小さい.条件は単に loga⁡b<1 となり,

a>1, 0<b<aまたは0<a<1, b>a

を得る.底が1未満の場合の不等号の向きも,最後の1回だけ確認すればよい.

解答 設問 4

α=log10⁡2 とおく.α が有理数 p/q(p,q は正の整数)なら 2q=10p となり,素因数5の有無が矛盾する.よって α は無理数である.また,1<2<10 より 0<α<1/2 である.以下,{u}=u−⌊u⌋ と書く.

t={kα} に対して,先頭の数字が d となる条件は

log10⁡d≤{t+jα}<log10⁡(d+1)(d=1,…,9)

である.したがって13個の数字が変化し得る境界は,0と1を同一視した区間上の

B={{log10⁡d−jα}:1≤d≤9, 0≤j≤12}

である.

まず B の要素数を数える.d=1,2,4,8 では log10⁡d はそれぞれ 0,α,2α,3α であり,log10⁡5=1−α だから,d=1,2,4,8,5 から生じる境界は

{rα}(r=−13,−12,…,3)

の17個である.d=3,6 からは {log10⁡3+rα}(r=−12,…,1)の14個,d=7 からは {log10⁡7+rα}(r=−12,…,0)の13個,d=9 からは {2log10⁡3+rα}(r=−12,…,0)の13個を得る.各群の内部では α の無理性から重複しない.異なる群の境界が一致すれば,u,v∈{1,3,7,9}(u≠v)と整数 r,m に対して u/v=2r10m となるが,素因数3または7の指数を比較すると不可能である.よって,

|B|=17+14+13+13=57

である.0も B に含まれるので,これらの境界は [0,1) を左端を含み右端を含まない57個の区間に分ける.各区間の内部で13項の組は一定であり,境界上では右側の区間と同じ組となる.

次に,異なる区間が同じ組を与えないことを示す.もし t1<t2 が同じ組を与えるなら,第1の数字も同じだから,同一の区間 [log10⁡d,log10⁡(d+1)) に入り,

0<t2−t1<log10⁡d+1d≤α<12

となる.各 j について,t1+jα と t2+jα の整数部分が異なると,小数部分の距離は 1−(t2−t1)>1/2 となる.これは両者が同じ数字に対応する長さ高々 α<1/2 の区間にあることと矛盾する.したがって整数部分は同じであり,その間のすべての t も同じ数字を与える.このことは全 j で成り立つから,途中に組を変える境界は存在しない.よって2点は同一の区分に属し,57区間の組はすべて異なる.

最後に,全区間が実際の t={kα} によって実現することを示す.任意の正の整数 M に対し,M+1 個の数 {jα}(j=0,…,M)を長さ 1/M の M 個の区間に入れると,同じ区間に2つ入る.その差から,ある正の整数 q について,{qα}=δ または 1−δ,ただし 0<δ<1/M,となる.L=⌊1/δ⌋ とすれば,点

{(1+ℓq)α}(ℓ=0,1,…,L)

は,0と1を同一視した区間上で,向きの違いはあっても間隔 δ ずつ進む点である.隣り合う点の隙間はすべて高々 δ なので,長さが δ より大きい任意の開区間に少なくとも1点入る.M をいくらでも大きくできるから,{kα}(k≥1)はすべての開区間に現れる.特に57個の区分の内部すべてに現れる.以上より,求める種類数は 57 である.

DISCUSSION

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