問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 37
問題 37

問題037|最適な定数と微分不等式

難易度 D 目安 60分

前半戦

0<a<2 とする.x>0 における fa(x)=xa(1+x)2 の最大値 M(a) を求めよ.さらに,0<a<2 における M(a) の最小値を求めよ.

非負の実数 x,y,z のすべてに対して

ex+ey+ez−3e(x+y+z)/3≥C{(x−y)2+(y−z)2+(z−x)2}

が成り立つような実数 C の最大値を求めよ.

後半戦

f は [0,1] 上で連続な導関数をもち,f(0)=0,0<f′(x)≤1 を満たすとする.

(∫01f(x)dx)2≥∫01f(x)3dx

を示し,等号が成り立つ関数の例を挙げよ.

Putnam 1973 B4

f(0)=0, f(1)=1 を満たし,[0,1] 上で連続な導関数をもつ実関数 f 全体を考える.すべてのそのような f に対して

u≤∫01|f′(x)−f(x)|dx

が成り立つ最大の実数 u を求めよ.

Putnam 1980 A6

ヒント 設問 1

ヒント 1

対数微分を使えば fa′ の符号が簡単になる.

ヒント 2

最大値を取る x は a/(2−a) である.得られた M(a) にも対数微分を使う.

ヒント 設問 2

ヒント 1

F(t)=et−t2/2 の2階導関数を調べる.

ヒント 2

m=(x+y+z)/3 における接線より F(t)≥F(m)+F′(m)(t−m) となる.最良性は (x,y,z)=(t,0,0) で調べる.

ヒント 設問 3

ヒント 1

積分の上端を1から変数 t に替え,左右の差を微分する.

ヒント 2

先に 2∫0tf(x)dx−f(t)2≥0 を示すとよい.

ヒント 設問 4

ヒント 1

e−xf(x) を微分すると f′−f が現れる.下からの評価だけでなく,そこへ近づく関数の構成が必要である.

ヒント 2

ϕ(t)=3t2−2t3 を用い,e−xf(x) を短い区間 [0,ε] で0から e−1 へ滑らかに増加させる.

解答 設問 1

fa′/fa=a/x−2/(1+x)={a−(2−a)x}/{x(1+x)} である.したがって x=a/(2−a) の前で増加,後で減少し,

M(a)=aa(2−a)2−a4

となる.(log⁡M)′=log⁡a−log⁡(2−a) なので M は 0<a<1 で減少,1<a<2 で増加する.よって最小値は a=1 における 1/4 である.

別解(最大値を一点で下から押さえる)

M(a) の最小値だけなら,その式を a で微分する必要はない.どの 0<a<2 についても

M(a)=maxx>0fa(x)≥fa(1)=14.

一方,a=1 なら (1+x)2≥4x より f1(x)≤1/4 で,x=1 において等号が成り立つ.したがって minM(a)=1/4 である.さらに M(a)=1/4 なら x=1 が最大点なので fa′(1)=0 が必要であり,fa′(1)=(a−1)/4 より a=1 に限る.最大値の最小化では,すべてのパラメータに共通する一点での値を先に調べると,下限がすぐに決まることがある.

解答 設問 2

t≥0 で F″(t)=et−1≥0 なので,F′ は単調増加である.F(t)−F(m)−F′(m)(t−m) の導関数の符号を調べれば,これは t=m で最小値0を取る.これを t=x,y,z について足して,

ex+ey+ez−3em≥x2+y2+z2−3m22=(x−y)2+(y−z)2+(z−x)26.

よって C=1/6 は条件を満たす.一方 (x,y,z)=(t,0,0),t>0 とすると,

C≤et+2−3et/32t2⟶16(t→0+).

最後の極限は eu=1+u+u2/2+o(u2) から従う.この展開は (eu−1−u)/u2=∫01(1−s)esuds→1/2 でも確認できる.したがって最大値は 1/6 である.

解答 設問 3

f(0)=0, f′>0 より t>0 で f(t)>0 である.

G(t)=2∫0tf(x)dx−f(t)2

と置くと G(0)=0,G′(t)=2f(t)(1−f′(t))≥0 だから G(t)≥0 である.さらに

H(t)=(∫0tf(x)dx)2−∫0tf(x)3dx

とすれば H(0)=0,H′(t)=f(t)G(t)≥0 である.よって H(1)≥0 が求める不等式となる.f(x)=x なら両辺はともに 1/4 となり,等号が成り立つ.実際,等号なら連続な非負関数 fG の積分が0なので t>0 で G(t)=0,したがって G′=2f(1−f′)=0 より f′=1,すなわちこの例が唯一である.

解答 設問 4

(e−xf(x))′=e−x(f′−f) より

e−1=∫01e−x(f′−f)dx≤∫01e−x|f′−f|dx≤∫01|f′−f|dx.

したがって u=e−1 は条件を満たす.最良性を示すため,0<ε<1,ϕ(t)=3t2−2t3 とし,

gε(x)={e−1ϕ(x/ε)0≤x≤ε,e−1ε≤x≤1,fε(x)=exgε(x)

と置く.ϕ(0)=0,ϕ(1)=1,ϕ′(0)=ϕ′(1)=0,かつ ϕ′≥0 なので fε は条件を満たす連続微分可能関数である.gε′≥0 であり,その台は [0,ε] に含まれるから,

∫01|fε′−fε|dx=∫0εexgε′(x)dx≤eε∫0εgε′(x)dx=eε−1.

ε→0+ とすれば e−1 より大きな下界は不可能である.よって u=1/e である.

補足(補助関数 ϕ の発想と作り方)

まず g(x)=e−xf(x) と置くと,g(0)=0, g(1)=e−1 であり,

∫01|f′(x)−f(x)|dx=∫01ex|g′(x)|dx

となる.右辺は g の変化量に重み ex をかけて足したものと考えられる.増減を繰り返すと絶対値によって余分な変化量が加わるので,まず単調に増加する g を考える.そのうえで,重みが最も小さい x=0 の近くで 0 から e−1 まで増やし切り,あとは一定にすれば,下界 e−1 に近づけられそうである.これが短い区間 [0,ε] に変化を集中させる理由である.

そこで,区間 [0,1] で 0 から 1 へ増加する関数 ϕ を作り,e−1ϕ(x/ε) によって横幅を ε,高さを e−1 に調整する.必要なのは ϕ(0)=0, ϕ(1)=1, ϕ′≥0 であり,さらに x=ε で定数部分へ導関数まで連続につなぐために ϕ′(1)=0 としたい.ここでは始点も水平になるように ϕ′(0)=0 を加える.

両端で 0,途中で非負となる導関数の簡単な候補は ϕ′(t)=Ct(1−t)(C>0)である.これを積分し,ϕ(0)=0 を使うと,

ϕ(t)=C(t22−t33).

さらに ϕ(1)=1 より C/6=1,すなわち C=6 となるので,ϕ(t)=3t2−2t3 が得られる.この式を突然思いつく必要はなく,「原点付近で増やし切る」「定数部分へ滑らかにつなぐ」という目的から,導関数の形を決めて逆算すればよい.

なお,この問題では ϕ′(0)=0 は必須ではない.終点で滑らかに止まればよいので,ϕ(t)=2t−t2 でも ϕ(0)=0, ϕ(1)=1, ϕ′(1)=0, ϕ′≥0 を満たし,同じ構成と評価が使える.

DISCUSSION

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