(𝑒−𝑥𝑓(𝑥))′ =𝑒−𝑥(𝑓′ −𝑓) より
𝑒−1=∫10𝑒−𝑥(𝑓′−𝑓)𝑑𝑥≤∫10𝑒−𝑥|𝑓′−𝑓|𝑑𝑥≤∫10|𝑓′−𝑓|𝑑𝑥.
したがって 𝑢 =𝑒−1 は条件を満たす.最良性を示すため,0 <𝜀 <1,𝜙(𝑡) =3𝑡2 −2𝑡3 とし,
𝑔𝜀(𝑥)={𝑒−1𝜙(𝑥/𝜀)0≤𝑥≤𝜀,𝑒−1𝜀≤𝑥≤1,𝑓𝜀(𝑥)=𝑒𝑥𝑔𝜀(𝑥)
と置く.𝜙(0) =0,𝜙(1) =1,𝜙′(0) =𝜙′(1) =0,かつ 𝜙′ ≥0 なので 𝑓𝜀 は条件を満たす連続微分可能関数である.𝑔′𝜀 ≥0 であり,その台は [0,𝜀] に含まれるから,
∫10|𝑓′𝜀−𝑓𝜀|𝑑𝑥=∫𝜀0𝑒𝑥𝑔′𝜀(𝑥)𝑑𝑥≤𝑒𝜀∫𝜀0𝑔′𝜀(𝑥)𝑑𝑥=𝑒𝜀−1.
𝜀 →0 + とすれば 𝑒−1 より大きな下界は不可能である.よって 𝑢=1/𝑒 である.
補足(補助関数 𝜙 の発想と作り方)
まず 𝑔(𝑥) =𝑒−𝑥𝑓(𝑥) と置くと,𝑔(0) =0, 𝑔(1) =𝑒−1 であり,
∫10|𝑓′(𝑥)−𝑓(𝑥)|𝑑𝑥=∫10𝑒𝑥|𝑔′(𝑥)|𝑑𝑥
となる.右辺は 𝑔 の変化量に重み 𝑒𝑥 をかけて足したものと考えられる.増減を繰り返すと絶対値によって余分な変化量が加わるので,まず単調に増加する 𝑔 を考える.そのうえで,重みが最も小さい 𝑥 =0 の近くで 0 から 𝑒−1 まで増やし切り,あとは一定にすれば,下界 𝑒−1 に近づけられそうである.これが短い区間 [0,𝜀] に変化を集中させる理由である.
そこで,区間 [0,1] で 0 から 1 へ増加する関数 𝜙 を作り,𝑒−1𝜙(𝑥/𝜀) によって横幅を 𝜀,高さを 𝑒−1 に調整する.必要なのは 𝜙(0) =0, 𝜙(1) =1, 𝜙′ ≥0 であり,さらに 𝑥 =𝜀 で定数部分へ導関数まで連続につなぐために 𝜙′(1) =0 としたい.ここでは始点も水平になるように 𝜙′(0) =0 を加える.
両端で 0,途中で非負となる導関数の簡単な候補は 𝜙′(𝑡) =𝐶𝑡(1 −𝑡)(𝐶 >0)である.これを積分し,𝜙(0) =0 を使うと,
𝜙(𝑡)=𝐶(𝑡22−𝑡33).
さらに 𝜙(1) =1 より 𝐶/6 =1,すなわち 𝐶 =6 となるので,𝜙(𝑡) =3𝑡2 −2𝑡3 が得られる.この式を突然思いつく必要はなく,「原点付近で増やし切る」「定数部分へ滑らかにつなぐ」という目的から,導関数の形を決めて逆算すればよい.
なお,この問題では 𝜙′(0) =0 は必須ではない.終点で滑らかに止まればよいので,𝜙(𝑡) =2𝑡 −𝑡2 でも 𝜙(0) =0, 𝜙(1) =1, 𝜙′(1) =0, 𝜙′ ≥0 を満たし,同じ構成と評価が使える.