四頂点の重心を原点 𝑂 にとり,位置ベクトルを
𝐴=𝑝+𝑞+𝑠,𝐵=𝑝−𝑞−𝑠,𝐶=−𝑝+𝑞−𝑠,𝐷=−𝑝−𝑞+𝑠
と表す.これは例えば 𝑝 =(𝐴 +𝐵)/2 とおけば得られる表示である.𝐴𝐵 =𝐶𝐷 は |𝑞 +𝑠|2 =|𝑞 −𝑠|2 と同値なので 𝑞 ⋅𝑠 =0 である.同様に 𝑝,𝑞,𝑠 は互いに垂直である.体積が正なのでどれも零ベクトルではない.その方向を座標軸に選ぶと,𝑢,𝑣,𝑤 >0 を用いて
𝐴=(𝑢,𝑣,𝑤), 𝐵=(𝑢,−𝑣,−𝑤), 𝐶=(−𝑢,𝑣,−𝑤), 𝐷=(−𝑢,−𝑣,𝑤)
と表せる.したがって
𝑎2=4(𝑣2+𝑤2),𝑏2=4(𝑢2+𝑤2),𝑐2=4(𝑢2+𝑣2).
これより 8𝑢2 =𝑏2 +𝑐2 −𝑎2 および巡回的な二式を得る.必要十分条件は
𝑎2<𝑏2+𝑐2,𝑏2<𝑐2+𝑎2,𝑐2<𝑎2+𝑏2
である.実際,これらが成り立てば三式から正の 𝑢,𝑣,𝑤 を定め,上の四頂点を作ればよい.三つの方向が独立なので体積も正になる.
原点から四頂点までの距離はすべて等しく,𝑅2 =𝑢2 +𝑣2 +𝑤2 である.面 𝐴𝐵𝐶 の方程式は 𝑥/𝑢 +𝑦/𝑣 −𝑧/𝑤 =1 である.この面上の点について
1≤(𝑥2+𝑦2+𝑧2)(𝑢−2+𝑣−2+𝑤−2)
であり,(𝑥,𝑦,𝑧) が (1/𝑢,1/𝑣, −1/𝑤) に比例するとき等号が成り立つ.よって原点からこの面までの距離は 1/√𝑢−2+𝑣−2+𝑤−2 である.他の三面も符号が変わるだけなので距離は同じである.原点は四頂点の平均で四面体内部にあり,この距離を半径とする球は四つの面が定める内側の半空間すべてに含まれる.したがってこれは内接球であり,
𝑟−2=𝑢−2+𝑣−2+𝑤−2.
最後に
𝑅2𝑟2=(𝑢2+𝑣2+𝑤2)(𝑢−2+𝑣−2+𝑤−2)≥(1+1+1)2=9.
ゆえに 𝑅≥3𝑟 である.最後の不等式の等号条件は 𝑢 =𝑣 =𝑤,すなわち 𝑎 =𝑏 =𝑐 であり,四面体が正四面体であることと同値である.