問いしるべ
100日数学チャレンジ 問題 7
問題 07

問題007|整式とデータの分析

難易度 D 目安 60分

前半戦

2次式

ax2+bx+1

を x−a で割ると a 余り,x−b で割ると b 余るという.a,b を求めよ.ただし,a,b は相異なる整数とする.

n 個の実数データを,個数 k と n−k の二組に分ける.ただし 1≤k<n とする.全体の平均値と分散を μ,σ2,二組の平均値と分散をそれぞれ μ1,s12 と μ2,s22 とする.分散は偏差の二乗の和をデータ数で割ったものと定義する.
(1) 全体の分散を,二組の分散と平均値の差を用いて表せ.
(2) n,k,μ,σ を固定し,σ>0 とする.全体の平均値が μ,分散が σ2 となる実数データ全体を動かすとき,μ1 の最大値を n,k,μ,σ で表し,等号を実現するデータをすべて求めよ.

後半戦

n を正の整数とする.x≠0 に対して,

f(x)=xn−1xn,z=x−1x

とおく.実数係数の多項式 g(t) を用いて,すべての実数 x≠0 に対して

f(x)=g(z)

と表せるための必要十分条件は,n が奇数であることを証明せよ.

三つの変量 X,Y,Z を同じ n 個の対象について観測し,各変量の分散は正とする.相関係数を

ρUV=1n∑i=1n(Ui−U―)(Vi−V―)1n∑i=1n(Ui−U―)21n∑i=1n(Vi−V―)2

と定める.−1<a<1, −1<b<1 を固定し,ρXY=a, ρXZ=b とする.
(1) ρYZ の取り得る範囲に必要な不等式を求めよ.
(2) その範囲のすべての値が,n=4 の実数データによって実現できることを,具体的な構成で示せ.

ヒント 設問 1

ヒント 1

剰余の定理から f(a)=a, f(b)=b と表す.f(x)−x はどの二つの数を根にもつか.

ヒント 2

a=0 が不可能なことを確認し,f(x)−x=a(x−a)(x−b) の定数項を比較する.a,b が相異なる整数であることを使え.

ヒント 設問 2

ヒント 1

第一組の各値について x−μ=(x−μ1)+(μ1−μ) とおいて二乗和をとる.交差項の和は消える.

ヒント 2

k(μ1−μ)+(n−k)(μ2−μ)=0 を使って片方の平均値を消去する.分散は非負であり,零になる条件も明確にする.

ヒント 設問 3

ヒント 1

x を −1/x に置き換えると,z=x−1/x と xn−x−n がそれぞれどう変わるかを調べる.

ヒント 2

十分性では r=x, s=−1/x とおく.r+s=z, rs=−1 を用いて,rn+sn が z の多項式になることを漸化式で示せ.

ヒント 設問 4

ヒント 1

各変量から平均を引き,標準偏差で割って平均 0,分散 1 にそろえる.Y−aX, Z−bX の二乗の平均と積の平均を計算する.

ヒント 2

四つの観測値からなる列 u=(1,1,−1,−1), v=(1,−1,1,−1), w=(1,−1,−1,1) を使う.どれも平均 0,分散 1,相異なる二列の積の平均は 0 である.

解答 設問 1
f(x)=ax2+bx+1

とおく.

剰余の定理より,

f(a)=a,f(b)=b

である.したがって,

(1)a3+ab+1=a
(2)ab2+b2+1=b

を得る.

ここで,f(a)−f(b)=a−b より,

a(a2−b2)+b(a−b)=a−b.

a≠b であるから,両辺を a−b で割って

a(a+b)+b=1.

よって,

a2+ab+b−1=0,

すなわち

(a+1)(a+b−1)=0.

したがって,

a=−1

または

a+b=1

である.

(i) a=−1 のとき

(1) に代入すると,

−1−b+1=−1

より,

b=1.

したがって,

(a,b)=(−1,1).

(ii) a+b=1 のとき

b=1−a を (1) に代入すると,

a3+a(1−a)+1=a,

したがって,

a3−a2+1=0.

a は整数であるから,整数解が存在するならば,整数根の定理より a は定数項 1 の約数でなければならない.したがって,

a=±1

のみを調べればよい.しかし,

13−12+1=1≠0,
(−1)3−(−1)2+1=−1≠0.

よって,この場合には整数解は存在しない.以上より,求める整数 a,b は

(a,b)=(−1,1)

である.

別解(二つの根から定数項を比べる)

f(x)=ax2+bx+1 とおくと,剰余の定理から f(a)=a, f(b)=b である.a=0 は f(a)=a に反するので a≠0 であり,2次式 f(x)−x は相異なる二根 a,b をもつ.したがって

f(x)−x=a(x−a)(x−b).

定数項を比較すると a2b=1 となる.a,b は整数だから a=±1, b=1 であり,a≠b より (a,b)=(−1,1) に限る.実際,このとき f(x)=−x2+x+1 は f(−1)=−1, f(1)=1 を満たす.

解答 設問 2

第一組の各値を xi と書くと,∑(xi−μ1)=0 より

∑第一組(xi−μ)2=ks12+k(μ1−μ)2

である.第二組でも同様に計算し,kμ1+(n−k)μ2=nμ を用いると

σ2=kns12+n−kns22+k(n−k)n2(μ1−μ2)2.

これが (1) の答えである.各組の内部のばらつきに加え,組の平均値の違いも全体の分散を生む.

(2) では平均値の関係から μ2−μ=−k(μ1−μ)/(n−k) となる.上の計算をこの形でまとめ直すと

σ2=kns12+n−kns22+kn−k(μ1−μ)2.

よって

μ1≤μ+σn−kk.

この上限で等号が成り立つには,両組の分散がともに零でなければならない.したがって第一組の k 個がすべて μ+σ(n−k)/k,第二組の n−k 個がすべて μ−σk/(n−k) であることが必要である.逆にこのデータの平均は μ,分散は σ2 となるので,上限は実際に達成される.これが等号を実現するデータのすべてである.

解答 設問 3
z=x−1x

とおく.ここで,xn−1xn が z の多項式として表されるとき,その多項式を Pn(z) と書くことにする.すなわち,

Pn(x−1x)=xn−1xn

を満たす実数係数多項式 Pn が存在するかどうかを考える.

必要性

そのような多項式 Pn が存在すると仮定する.Pn(z) の次数は n であり,その最高次項の係数は 1 でなければならない.実際,

zn=(x−1x)n

の展開における xn の係数は 1 であり,xn の項を生じるのは Pn(z) の最高次項だけだからである.

したがって,Pn(z) における x−n の係数は,zn の展開から生じる

(−1)n

でなければならない.一方,

xn−1xn

における x−n の係数は −1 である.よって,

(−1)n=−1

でなければならないから,n は奇数である.したがって,n が奇数であることは必要である.

十分性

次に,n が奇数ならば,そのような多項式 Pn が存在することを示す.まず,

P1(z)=z

とすれば,

P1(x−1x)=x−1x.

また,

(x−1x)3=x3−3x+3x−1x3

より,

x3−1x3=z3+3z

であるから,

P3(z)=z3+3z

とできる.ここで,ある k≥2 に対して

x2k−1−1x2k−1=P2k−1(z),
x2k−3−1x2k−3=P2k−3(z)

と表せると仮定する.すると,

(x2+1x2)(x2k−1−1x2k−1)=x2k+1−1x2k+1+x2k−3−1x2k−3.

一方,

z2=(x−1x)2=x2+1x2−2

より,

x2+1x2=z2+2.

したがって,

(z2+2)P2k−1(z)=x2k+1−1x2k+1+P2k−3(z).

よって,

P2k+1(z)=(z2+2)P2k−1(z)−P2k−3(z)

と定めれば,

P2k+1(z)=x2k+1−1x2k+1

となる.したがって,数学的帰納法により,すべての正の奇数 n に対して

xn−1xn

は

x−1x

の多項式として表すことができる.以上より,

xn−1xn が x−1x の実数係数多項式として表される⟺n は奇数

である.

別解(同じ値を与える置換と対称式)

x を −1/x に置き換えても z=x−1/x は変わらない.一方,n が偶数なら xn−x−n は符号が反転する.例えば x=2 ではこの値は零でないので,同じ z の多項式で表すことはできない.よって n は奇数でなければならない.

逆に r=x, s=−1/x とおけば r+s=z, rs=−1 である.P0(z)=2, P1(z)=z とし,

Pn(z)=zPn−1(z)+Pn−2(z)(n≥2)

と定めると,r2=zr+1, s2=zs+1 より帰納的に Pn(z)=rn+sn となる.奇数 n ではこれが xn−x−n に等しいので十分である.「同じ z を与える二つの x」を調べると必要性がすぐに分かり,その二つの和と積から多項式も作れる.

解答 設問 4

平均を引いて標準偏差で割っても相関係数は変わらないので,各変量を平均 0,分散 1 にそろえる.以下,積の平均を ⟨U,V⟩=1n∑UiVi と書き,c=ρYZ とする.U=Y−aX, V=Z−bX とおけば

⟨U,U⟩=1−a2,⟨V,V⟩=1−b2,⟨U,V⟩=c−ab.

実数 t に対して ⟨tU−V,tU−V⟩≥0 である.この二次式の最小値を求めると

(c−ab)2≤(1−a2)(1−b2).

したがって必要な範囲は

ab−(1−a2)(1−b2)≤c≤ab+(1−a2)(1−b2).

逆にこの範囲の任意の c に対し

t=c−ab1−a2,h=1−b2−t2

とおく.仮定から根号内は非負である.四つの数からなる列

u=(1,1,−1,−1),v=(1,−1,1,−1),w=(1,−1,−1,1)

を用い,観測値の列を

X=u,Y=au+1−a2v,Z=bu+tv+hw

と定める.三列 u,v,w の平均は 0,各二乗の平均は 1,異なる二列の積の平均は 0 である.ゆえに X,Y,Z の平均はすべて 0,分散はすべて 1 であり,積の平均を計算すると

ρXY=a,ρXZ=b,ρYZ=ab+1−a2t=c.

したがって必要条件は十分でもあり,両端を含めたすべての値が四つの観測値で実現する.

DISCUSSION

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因数分解に時間がかかりすぎた🥲

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