仕事とエネルギー
第6章の発展問題
著者:柚木芹香
★4・★5の
演習 1
固定された
接触中の
速さと 垂直抗力を 求めよ. 面を
離れる 角度と 速さを 求めよ. と,初めから の場合を 説明せよ.
半球外面を滑る物体.半球の外面,頂上の初速度u,一般位置の物体,角θと半径Rを示している.離脱点やその角度は描かない.
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考え方 外面では
落ちた
高さは なので .中心向きに より
と
離脱の
境界は .よって , .接触開始時の から,角度が増すと 抗力が 減って 初めて0に なる 位置である.そこで 接線方向の 速さは 正で,その 先で 面に 沿うには 負の 抗力が 必要に なる ため離脱する. なら .ただし頂上に厳密に 静止させた 完全な 理想系は,きっかけが なければ 動かない.これは 微小な 初速を 与えた 極限である. なら初めから 接触を 保てず,等号でも 直後には 負の 抗力が 必要に なるので 頂上で 離れる.
演習 2
半径
最下点から
測る 角 で,接触中の と を求めよ. , , の運動を 分類せよ. 境界
を説明せよ.
ループの接触条件を調べる.ループ内面と最下点の速度v₀,一般位置の角θを示す.分類の境界角や離脱軌道は描かない.
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考え方 速さが0に
, .速度0の
候補は . では で,そこで .よって接触を 保ったまま 引き返す. では抗力0の 位置が となり,そこで
だから
では側面の で が同時に 成立する.そこで 重力の 接線成分が 下向きに 残る ため,物体は 下へ 引き返す.直後には となって 抗力が 正に 戻る. だけを見て,必ず 飛び出すと 結論してはいけない.
演習 3
一様で
動き始める
ことを 確かめよ. 垂れた
長さが になるまでの 摩擦の 仕事を 求めよ. 最後の
端が 机を 離れる 直前の 速さを 求めよ.
机から滑り落ちる一様な鎖.机上から丸い縁を通って垂れる鎖を示している.全長L,初期の垂れ長y₀と一般の垂れ長y,机上の摩擦係数1/3を示す.
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考え方 同時に
線密度を
とする.垂れた 部分の 重力は ,最大静止摩擦力は なので動き出す.以後は 駆動する 重力が 増え,摩擦は 減るから 途中で 止まらない. 鎖が
動くと机上の 各部分も 同じ 道のりを 動くので
と
机の
高さを 基準にして .最後までの減少は .摩擦の仕事は だから ,よって .鎖全体が共通の 速さを もつため,運動エネルギーには 垂れた 部分だけでなく 全質量 を使う.
演習 4
滑らかな
最大圧縮の
瞬間の 両物体の 速度を 求めよ. 最大圧縮量を
求めよ. 初めて
自然長へ 戻った 瞬間の 各速度を 求めよ.
ばねでつながれた2物体.自然長のばねで結ばれた左の物体mと右の物体2m,左だけに初速度uを示す.
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考え方 外力の
共通速度を
とすれば より .最大圧縮時にも
の運動エネルギーが 残る.よって
と
自然長では
再び弾性エネルギーが0だから , .これらを解くと,初期状態の 根 と, が得られる.初めて 戻る ときは ばねが 伸びる 向き,つまり なので後者を 選ぶ.左の 物体は 反転し,右の 物体は 右へ 進む.周期の 式を 使わず,運動量と エネルギーだけで 求まる.
演習 5
水平面で,質量
θはAの曲がる角,φはBの反跳角.これらは実験室系で測る.
重心速度と
各物体の 重心系の 速度を 求め,弾性衝突で ニュートンダイアグラムの 円の 半径が 変わらない 理由を 説明せよ. から衝突後の 速度成分, , を求めよ. でAの取り得る 方向を 比較せよ. Bに
渡る エネルギー を求めよ. の実験で と測定した とき, を逆算せよ. , として エネルギーも 評価せよ.
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考え方 重心系では2つの
全質量を
と書く. ,衝突前の重心系の 速度は , .重心運動の エネルギー は運動量保存で 変化しない.したがって 弾性衝突では 相対 運動の エネルギー ,ただし ,も保存する.相対速さは のままで,Gを 中心と する 半径 , の2円が保たれる.速度先端はGを はさんで 反対側に ある.
初期状態は散乱角0度.解答用の図で,χを変えるとGを固定した2円の上を速度先端が動く.原点からの矢印とGからの半径の違いを比較できる.
GからAの
先端へ 向かう 半径を 回し,最後に重心速度を 足すと
したがって
Bの
成分を2乗して 足すと .よって
最大値は
数値では
演習 6
無重力下で
左の板は初め静止.ドローンは右へ遠ざかり,球を左へ投げる.上はひも付き,下はひもなし.
投射直後の
ドローンと 球の 速度を 求めよ. 自然長
,ばね定数 の,伸びたときだけ張力を 生じる 軽い ひもで 球を ドローンに つなぐ.板には 届かない ほど 遠くで 実験する.最大の ひもの 長さと,再捕獲後の 速度を 求めよ. , , , とする. ひもを
外し,板との 反発係数を ( )とする.球を 再捕獲できる と の領域を,ニュートンダイアグラムを 用いて 求めよ.板は 投射時に ドローンより 左に あり,ドローンは 投射後に 推進しない. , では で回収できるか.捕獲して 一体に なった 後の 速度も 求めよ.
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考え方 投射,弾性ひもの
ドローンを
,球を とすると , .したがって , .重心速度は
,換算質量は .ひもが自然長に なるまでは 相対速さ が一定で,伸び が最大の 瞬間には 相対速さが0と なる.よって ,最大長は
その後は
まず球が
板へ 向かうには ,すなわち が必要.球と 板の 速度図のGは にある.球の 点 をGの反対側へ 倍した点が 衝突後の 速度なので
再捕獲には
右辺が
で下限は ,実際は なので回収できる. , , で,球はドローンより だけ速い.捕獲後は (約 ).板の速度は で,全系では と運動量を 保つ.ひも 付きの 実験と 違い,板へ 運動量を 渡した ため,捕獲後の 速度は 元に 戻らない.
演習 7
無重力下で,ばね定数
両端の球は同じ割合ηを放出する.噴射方向はそれぞれの進行方向の後ろである.
放出前の
と,放出直後の残存球の 速さを 求めよ. ばね長を
変えず,放出直後から 等速円 運動を 続ける ための を求めよ. が十分 小さい 極限も 示せ. この
条件では 残存する2球の 運動エネルギーが 変わらない ことを 示し,放出片の エネルギーの 出所を 説明せよ. , , , , で数値を 確かめよ.
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考え方 放出しただけでばね長が
半径は
なので .したがって
各球の
放出後も
同じ 張力,同じ 半径なら が必要十分である.初めに 径方向速度が なく,この 円運動が 運動方 程式を 満たすからである.正の 速さを 選び
残存球の
全運動エネルギーは で厳密に 不変.ばねの エネルギーも 長さ一定なので 不変である.しかし 各放出片は 実験室系で 速さ を持つ.2片の エネルギーは で,これは噴射装置の 内部 エネルギーから 供給される.局所的な2体分裂の エネルギー増分を 使っても,2球分で となり,臨界条件では と一致する.
数値は
演習 8
長さ
2球は共通の支点のまわりを左右対称に動く.角θは鉛直下向きから測る.
最下点衝突直後の
速さを として,角 での速さと 張力を 求めよ.衝突で 速度が どう 変わるかを ニュートンダイアグラムで 説明せよ. 最下点衝突直前の
速さの2乗を で割った 値を ,頂点衝突直後の同じ値を とする. から ,さらに次の 最下点衝突直前の 値へ 進む漸化式と,その 適用条件を 求めよ. , のとき,頂点で 何回衝突するか.その次に 糸が たる む位置と 速度を 示し,以後の 飛行を 表す式を 書け. 別の
試行では 最初の 最下点衝突の 直前に 支点を 上へ 動かし,再び固定する. の1次までを考え,この 操作で 両球の 高さは ともに 上がり,手が両球に する 全仕事は だったとする.この仕事の 式は 操作条件と して 与える.衝突直前の 新しい 速さを 求め,位置エネルギーの 増加だけで 全仕事を 数えられるか 説明せよ.
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考え方 頂点に
衝突直前は
速度軸上の に2点があり,等質量なのでGはO.衝突後はGを 中心に 反転し,各距離が 倍になるので 速さは .重心系の円が 縮む作図である.円 運動中の エネルギーと 半径方向の 運動方 程式から
張力が
最下点衝突の
直後は ,頂点直前は .到達条件は である.頂点衝突直後は .ここでも糸が 張って 降りるには が必要.満たす 場合,次の 最下点直前は
,漸化式は .直接計算すると次表に なる.
頂点へ | 最下点直前 | 頂点直前の | 頂点直後 |
|---|---|---|---|
1 | 20 | 12 | 9.6 |
2 | 13.6 | 6.88 | 5.504 |
3 | 9.504 | 3.6032 | 2.88256 |
4 | 6.88256 | 1.506048 | 1.2048384 |
5 | 5.2048384 | 0.16387072 | 適用できない |
4回目までは
左球は
2球分の
運動エネルギーは なので,仕事とエネルギーの 関係は .よって
指定した
演習 9
滑らかな
左右の半径Rの凹円弧と中央の半径rの凸円弧はCとEで接する.図はR=3rの場合の配置.
OCと
鉛直上 向きとの 角を , とする. とCの高さを 求め,離れずに 右の 谷まで 通過する の範囲を 求めよ. Cで
離れ,Dを 飛び越してEに 着地するように を選べ.途中で 中央の 円弧に ぶつからない ことも 確かめよ. , , として,(1)の 範囲,(2)の 高さ,Dの 上での すき間を 求めよ.
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考え方 接点で
中
心間距離は ,高さの差は なので ,CとEの高さは .中央の円弧上で 鉛直からの 角を とすると , ,内向きの運動方 程式から
最小の
とおくと,CとEの座標は .Cでの接線速度は .同じ高さへの飛行時間 と水平距離 より .エネルギー保存から
この
飛行の
中央の
なので
.接触して通過する 範囲は ,つまり .飛び越す高さは .頂点Dの直上の すき間は
演習 10
質量
から静かに 放した 後,最初に 止まる 座標を 求めよ. そこで
再び動く ための の条件を 求めよ. ,初期変位 のとき,停止する 座標を 順に 列挙し,最終停止位置と 全道のりを 求めよ.
摩擦のある床と伸ばしたばね.粗い水平面上の固定ばねと物体m,自然長位置x=0と初期位置Aを示す.後の停止位置は描かない.
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考え方 止まる
左へ
進む間,距離は である.初めと次の 停止を 比較して
と
静止できる
範囲は .したがって再始動には が必要である. の下では は不可能なので,条件は .この場合,次は 右向きに 動く.等号では 限界の 静止が 可能であり,自発的には 再始動しない ものとする. 各区間で
同じ 計算を 向きに 合わせて 繰り返すと,停止座標は
と
演習 11
質量
エネルギーの
不等式 から求まる 位置の 集合を 示せ. 原点に
近づく ときの 速さを 厳密に 表し,原点に 有限時間で 達するか 調べよ. 初期エネルギーを
わずかに 増やす場合と 減らす 場合で,左右の 谷の 行き来が どう 変わるか.
山頂と同じエネルギーの境界.二重井戸の曲線と山頂を通るE=U₀の水平線を示している.山頂O,両谷底±a,外側の交点P,Qを示し,原点を通る運動の矢印は描かない.
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考え方
初期の
より . から .ただし,この集合が つながっている ことだけでは 有限時間で 全体を 横断できるとは 言えない. で
である.定数
なら原点で 速さが 正なので,有限時間で 左の 谷へ 抜ける. なら原点より 右に 力が0でない 転回点が でき,右の 谷に 閉じ込められる. は両者を 分ける 境界であり,位置の 不等式だけでは 失われる 時間の 情報が 重要に なる例である.