問いしるべ
参考書

問いから始める物理

公式参考書

問いから始める物理

問いから原理へ,基本からオリンピックまで

著者:柚木芹香

身近な問いから始めて物理の原理を組み立て直す参考書.微積分は必要になった所で導入し,各節の演習は基本から物理オリンピックの水準まで段階をつけて置く.独学でも,教わりながらでも読めるように,各節の終わりに「教える人へ」の囲みがある.

この章の目次 · 4節
  1. この本の読み方
  2. 独学の進め方
  3. 教わりながら進めるには
  4. 記号と単位の約束

第1章  この本の読み方

01この本の読み方

この本がめざすもの

『問いから始める物理』は,公式を覚える本ではありません.身のまわりの現象や短い問題から出発して,「なぜそうなるのか」を自分で考え,少数の原理から結果を導き,数で予言できるようになることをめざします.物理は,たくさんの現象を少ない原理で説明し,まだ見ていない結果を数で言い当てる営みです.この本は,その営みを一歩ずつ体験できるように組み立てています.

誰のための本か

この本は,次のような人を想定しています.

  • 独学で物理を学ぶ人.解説と解答がそろっているので,一人でも最後まで進めます.進め方は次の節「独学の進め方」にまとめました.

  • 先生・家庭教師・保護者などに教わりながら進める人.演習の節の最後にある「教える人へ」が,教える側の手引きになります.使い方は「教わりながら進めるには」に書きました.

  • 高校物理の基礎から,大学入試,物理チャレンジ・物理オリンピックの予選までを一続きで学びたい人.同じ話題を,やさしい問題から難しい問題まで順に歩けるようにしてあります.

前提は,中学と高校前半の数学(文字式,方程式,三角比,指数)です.それより先の数学(微分・積分,ベクトル,近似など)は,必要になった所で,その題材の中で導入します.ただし,高校の数学で習う公式のうち,二項定理,三角関数の加法定理と2倍角の公式,指数関数の微分 (ekt)′=kekt の3つは,導出を省いて「復習」として使います.まだ習っていなくても,使う所で式を示してあるので,その式を認めて読み進めれば大丈夫です.問題の中で,まだ習っていないかもしれない公式が要るときは,その公式を問題文に書いておきます.また,数値計算は電卓(関数電卓)を使ってかまいません.三角関数・指数関数・対数の値は,問題文では与えていないので,電卓で求めてください.

節の形

1つの題材は,原則として3つの節に分かれています.1つの節は短く,ゆっくり読んで30分から1時間ほどで終わる長さです.

  1. 本体の節.次の順に進みます.

    • 問い.身近な現象か短い問題が1つ置かれます.答えはまだ書いていません.

    • きりたんのひとこと.問いに対する素直な反応や,面白い事実です.

    • 考えてみる.素朴な考え方を試し,どこで困るかを確かめます.

    • 理論.定義や法則を,結果ではなく「なぜそう考えるか」を中心に説明します.

    • ここまでのまとめ.3〜6行で要点をまとめ,問いの答えを回収します.

  2. 数学の道具の節(または例題の節).その題材で初めて必要になる数学を,定義,短い導出,練習の順に学びます.そのあとに例題が続きます.例題の解答の前には「考え方」があり,何に注目するかが先に書かれています.数学の道具が要らない題材は,例題の節になります.

  3. 演習の節.難しさの順に並んだ問題と,教える人向けの手引きです.

最初に「問い」を読んだら,すぐ先へ進まず,紙に予想を書いてください.外れてもかまいません.自分の予想と答えのずれが,いちばんよく残ります.

節の名前は,本体の節が題材の名前,数学の道具の節が「〜と微分」のような名前,演習の節が「〜の演習」です.章の終わりには,その章全体の問題を集めた「章末問題」「発展問題」と,要点を一覧にした「章のまとめ」が置かれています.

★の意味

演習と例題には,難しさを表す★があります.

★

めやす

★1

基本.その節の理論を一度使えば解ける

★2

入試標準.理論を組み合わせて使う

★3

難関大学の入試レベル.見積もりや工夫が要る

★4

物理オリンピック予選・大学初年級

★5

物理オリンピック本選級

普通の演習の節は★1〜★3です.章末問題は★1〜★3,発展問題は★4と★5で,その章全体の使い方を試します.いくつもの章をまたぐ総合演習は★4と★5です.★はあくまで目安で,感じ方には個人差があります.詰まったら,1つ下の★に戻っても構いません.

目標に合わせた進み方

この本の問題は,全部を解かなくても構いません.目標に合わせて,どこまで解くかを決めてください.本体の節と例題は,どの目標でも読みます.下の段は,上の段の問題をすべて含みます.

目標

解く問題

難関大学に合格する

演習の節(★1〜★3)

東京大学に合格する

演習の節と章末問題(★1〜★3)

東京大学の物理で満点を取る

ここまでに加えて,発展問題(★4・★5)

物理オリンピックに挑む

ここまでに加えて,総合演習(★4・★5)

演習の節は,その題材の理論を使えるようにするための問題です.入試の標準的な問題は,ここまでで解けるようになります.章末問題は,1つの章の題材をまたいで使う問題です.どの原理を使うかが問題文から見えにくくなり,東大の入試で求められる,自分で筋道を立てる練習になります.

発展問題は,入試の枠を越えた設定で,その章の原理を深く使う問題です.試験で満点を取るには,見たことのない設定でも原理から式を立てられる力が要ります.発展問題で迷いながら解き切る経験が,その力になります.

総合演習は,第12章(力学),第19章(熱力学),第28章(電磁気と波),第32章(原子),第33章(全範囲)にあります.分野をまたぐ問題,東大の過去問を発展させた問題,物理オリンピックの問題を集めました.東大で満点をめざす人も,総合演習の中の東大の過去問を発展させた節には挑戦するとよいでしょう.物理オリンピックに挑む人は,発展の章(次の「読み進め方の目安」を見てください)も読んでください.とくに第14章「測定と不確かさ(発展)」は,実験問題の土台になります.

目標は途中で変えて構いません.1周目は1つ下の目標で全体を通し,2周目に上の段の問題を足していく進め方もあります.全体を早く見渡せるので,後の章で学んだことが前の章の難しい問題を解く助けになります.

微積分を避けない

高校の物理は,微分や積分を使わずに説明するために,ときどき回りくどくなります.この本では微分や積分を避けません.速度が位置の変化率であること,仕事が力を位置で積み上げたものであることは,微分と積分の言葉で書くと素直になります.ただし,数学の授業で習う前でも読めるように,微積分は必要になった題材で「数学の道具」の節として導入します.定義,短い導出,すぐ試せる練習の順に進むので,予備知識がなくても追いつけます.すでに知っている道具は,飛ばして構いません.

読み進め方の目安

1日に何節も進める必要はありません.1節を終えるごとに,その節の要点を自分の言葉で3行にまとめてみると,次の節への入り口が軽くなります.前の節で学んだ道具を使う場面は,先へ進むほど増えます.忘れていたら,戻って読み直して構いません.

題に(発展)と付いた章は,発展の章です.第13章「対称性から組み立てる力学(発展)」,第14章「測定と不確かさ(発展)」,第17章「ボルツマン分布と等分配則(発展)」,第18章「ゆらぎと拡散(発展)」,第26章「電磁波(発展)」,第30章「確率振幅から組み立てる量子力学(発展)」の6つがあります.大学で学ぶ物理へつながる見方や,実験の結果を数で扱う方法を学びますが,受験だけが目的なら飛ばして構いません.第26章の結果のうち後の章で使うものは,第27章の初めにまとめてあります.第14章は第3章「運動を記述する」までの内容で読めるように書いてあるので,第3章の後ならいつ読んでも構いません.実験のレポートを書く前などに読むとよいでしょう.

この本の第2章「物理の見方」は,次元や見積もりといった,間違いに気づくための道具を最初に手にする章です.計算の道具がまだ少ないうちに,物理の考え方の土台を作ります.では,次の節「独学の進め方」へ進みましょう.

02独学の進め方

問いは紙の上で考える

各題材の本体の節は「問い」から始まります.ここで本を読み進めず,まず紙に自分の予想と,そう思う理由を書いてください.頭の中だけで考えると,あとから「そうだと思っていた」と記憶を書き換えてしまいます.紙に書いておけば,予想と答えのずれがはっきり見えます.外れたときの驚きが,その節でいちばん長く残る学びになります.

予想が思いつかないときは,「わからない」と書いて構いません.そのうえで,答えがどんな大きさ,どんな向き,どんな単位になりそうかだけでも書いてみましょう.

解答の使い方

演習や例題の解答は,次の順に使ってください.

  1. まず自分で解く.10分ほど考えても手がかりがなければ,次に進みます.

  2. 解答の「考え方」だけを読む.何に注目するかのヒントだけを受け取り,もう一度自分で解きます.

  3. それでも進まなければ,解答を最後まで読む.読み終えたら,本を閉じて,何も見ずに自分で書き直します.

答えの数値が合っていても,途中の考え方が違っていないかを確かめましょう.また,解き終えたら,次元は合っているか,極端な場合に妥当か,という検算を習慣にしてください.この検算は,第2章で学びます.

解答を読んだだけで分かったつもりになるのは,いちばん危ない使い方です.読んで「なるほど」と思うことと,白紙から自分で書けることの間には,大きな差があります.書き直して初めて,自分のものになります.

詰まったとき

分からない所が出てきたら,まず,どの言葉が分からないのかを特定してください.次のように,原因はいくつかに分かれます.

  • 用語が分からない.前の節に戻って,定義を読み直します.

  • 式の意味が分からない.文字の1つ1つが,何の量で,どんな単位かを書き出します.

  • 式変形が追えない.自分で1行ずつ書き写して,間の変形を埋めます.

  • 原理がなぜ成り立つのかが分からない.もっと簡単な数値や,極端な場合で試してみます.

これらは別々の問題で,手当ても違います.それでも分からなければ,その節に印をつけて先へ進み,あとで戻ってきても構いません.ほかの節で学んだことが,思いがけずその分からなさをほどいてくれることがよくあります.

物理が得意な人は,間違えない人ではなく,間違いに早く気づく人です.この本では,次元,極端な場合,桁の見積もりといった検算の方法を,第2章で先に身につけます.間違いに気づく道具を最初に手にしておくことが,この本の構成の狙いの1つです.

ノートの取り方

図は本文の中に置いてあり,動かせるものもあります.ただし図は眺めるものではなく,自分でも描くものです.問題を解くときは,必ず自分で図を描いてください.状況を図にできたら,問題の半分は解けています.

ノートには,式の変形だけでなく,「何を求めたいのか」「どの原理を使うのか」を日本語で1行書き添えると,あとで見返したときに自分の考えをたどれます.第2章で学ぶ「図・原理・式・検算」の順に,ページを区切って書くのもよい方法です.

  • 左のページに問題と図,右のページに解答,と分けると,見返しやすくなります.

  • 間違えた問題には,どこで間違えたかを一言書き,日をおいて解き直します.

  • 1節を終えるごとに,その節の要点を自分の言葉で3行にまとめます.本のまとめを写すのではなく,何も見ずに書くのがコツです.

進める速さ

1つの節は,ゆっくり読んで30分から1時間を目安にしています.問いと考えてみるに10分,理論に20分,ここまでのまとめを読んで自分の言葉で言い直すのに数分,という配分です.数学の道具の節や演習の節は,別の日に回しても構いません.

大切なのは,毎日少しずつでも続けることです.1日に1節を目安に,疲れた日は問いだけを読んで予想を書くところまでにしておく.それだけでも,次の日に続きを読むときの入り口が軽くなります.

03教わりながら進めるには

この節は,先生・家庭教師・保護者など,誰かに物理を教えながらこの本を使う人に向けて書いています.教わる側の人も読んで構いません.教える人が何を考えて問いかけているかが分かると,学びやすくなります.

説明より先に問いを投げる

この本の各題材の本体の節は,答えをまだ示していない問いから始まります.教えるときも,説明から始めず,問いをそのまま投げかけてください.教わる人が予想を言ったり,紙に書いたりしたら,その理由を聞きます.正しいかどうかは,この時点では言わなくて構いません.外れた予想こそ,次の「考えてみる」への最良の入り口になります.

教える人が答えを言ってしまうと,教わる人は考えるのをやめてしまいます.迷っている様子が見えても,少し待ってください.待つ時間も教えることの一部です.

「教える人へ」の囲みの使い方

演習の節の最後には,「教える人へ」という囲みがあります.そこには,おおよそ次の3つが書かれています.

  • 何を問いかけるか.その題材で,最初に投げかけるとよい問いと,予想を引き出す聞き方です.

  • よくあるつまずき.これまでの経験で,教わる人が止まりやすい所と,その手当てです.

  • 理解の確かめ方.答えが出たあとに,本当に分かっているかを見る問いです.

教える前に,その題材の「教える人へ」を一度読んでおいてください.読んだ内容をそのまま伝えるのではなく,目の前の人の様子に合わせて使います.囲みは台本ではなく,地図のようなものです.

教わる人が解答を見る前に

教わる人が詰まっているとき,すぐに解答を見せたり,解き方を言ったりするのは避けましょう.代わりに,次のように聞いてみてください.

  • どこまで考えましたか.

  • 何を求めたいのですか.図に描けますか.

  • 使えそうな法則は何ですか.

  • 極端な場合(0や無限大)で考えると,どうなりますか.

答えそのものより,考えた過程のほうが,次の学びに効きます.間違った答えの中にも,筋の通った考え方が隠れていることがあります.まずそこを探して,認めてから,ずれている所を一緒に探してください.

確かめるときの心がけ

答えが合っていたとき,「合っている」で終わらせず,「なぜそうなりますか」「数を変えたらどうなりますか」と一歩踏み込みます.答えられれば,式の意味まで分かっています.答えられなければ,分かったつもりになっているだけかもしれません.

間違えたときは,責める言葉を避け,間違いに気づけたこと自体を認めてください.物理が得意な人は,間違えない人ではなく,間違いに早く気づく人です.次元や極端な場合による検算を,教わる人が自分から使えるようになれば,教える人の役目は半分終わったようなものです.

教える人も,先に解いておく

教える前に,教わる人に出す予定の問題を,教える人も一度自分で解いておくと安心です.解答と見比べると,どこで手が止まりやすいかが分かります.解けた経験があると,教わる人が詰まったときに,答えを言わずにヒントを選べるようになります.解いてみて,自分も迷った所は,教わる人も迷う所です.

分からない質問が来たときは,無理に答えようとせず,「一緒に調べよう」と言って構いません.本の前の節に戻る,簡単な数値で試す,図を描き直す,といった方法を,教える人が実際にやってみせることが,いちばんよい手本になります.

★の使い分け

教わる人の様子を見て,★の段階を使い分けてください.★1が楽に解けるなら★2へ,★2で詰まったら★1の問題に戻る,という具合です.★3以上の章末の問題は,ひとりで解けなくても構いません.解答を読んで,一緒に考え方を確かめるだけでも,十分な学びになります.

1節に使う時間は,30分から1時間が目安です.一度に進めすぎず,次に会うまでの間に,教わる人が自分で解き直す課題を1つ決めておくと,次の時間が実りあるものになります.

04記号と単位の約束

この本では,記号と単位の書き方を全体で統一しています.ここで一度まとめておくので,あとで迷ったら戻ってきてください.

量を表す記号

よく使う量には,次の記号を割り当てます.

量

記号

位置

x,r

速度

v,v

加速度

a,a

質量

m,M

力

F

垂直抗力

N

張力

T

重力加速度

g

静止摩擦係数

μ

動摩擦係数

μ′

時間

t

N は垂直抗力ですが,個数を表す文字として使うこともあります.T は張力のほかに,周期にも使います.どちらの意味かは,その節の文脈と,文字の定義から分かるようにしてあります.

ベクトルと大きさ

向きと大きさをもつ量(ベクトル)は,この本では v のように太字で書きます.手書きのときは v→ のように文字の上に矢印をつけるのがふつうで,印刷の太字と手書きの矢印は同じものを指します.ベクトルを初めて導入する第3章「位置とベクトル」の冒頭だけは,手書きの形に合わせて矢印つきで書き,そこから先は太字で統一します.

ベクトルの大きさは,同じ文字を太字にせずに v と書きます.つまり v=|v| です.直線上の運動では,向きを正負の符号で表し,太字を使わないことがあります.その場合の v は符号つきの速度で,負になることもあり,速さは |v| です.どちらを正とするかは,図に描いて決めます.

ベクトルの成分は,vx,vy のように下付きの添字で表します.

添字

同じ種類の量を区別するときは,添字をつけます.

  • 時刻や状態の違い:初速度は v0,ある時刻の速度は v1,v2 のように書きます.0 は初めの値を表します.

  • 物体の区別:物体 A の質量は mA,物体 B の質量は mB のように,立体の文字で書きます.

  • 方向の区別:x 成分,y 成分は Fx,Fy です.

2つの値の差は,Δx=x2−x1,Δt=t2−t1 のように Δ をつけて表します.差は小さいとは限りません.時間による微分は dxdt と書き,時間の差 Δt を限りなく0に近づけたときの変化率です.後の章では,時間による微分を文字の上の点で x˙=dxdt,x¨=d2xdt2 と短く書くこともあります.

単位の書き方

単位は,数式の中でも立体の文字で書き,数値との間に細い空白を入れます.

v=3.0ms−1

分数の形ではなく,各単位の冪を並べる形で書きます.速さは ms−1,加速度は ms−2,力は kgms−2 です(1kgms−2 を 1N と書きます).冪の形にしておくと,掛け算と割り算の計算が楽になり,次元のそろい方も見やすくなります.

たとえば重力加速度は g=9.8ms−2 と書きます.これは「地表付近で空気抵抗を無視すると,鉛直下向きの速度成分が1秒ごとに 9.8ms−1 ずつ増える」という意味です.

ただし,文脈上その方が自然なときだけは,スラッシュを残します.車のメーターの km/h や,日常の言い回しの km/L がその例です.

接頭語は,k(キロ,103),M(メガ,106),m(ミリ,10−3),μ(マイクロ,10−6),n(ナノ,10−9)などを使います.1km=103m のように,式の中では計算する前に基本の単位に直すと,間違いが減ります.

有効数字

数値には,意味のある桁,つまり有効数字があります.この本では,問題文で与えられた数値の有効数字の桁数を目安に,答えの桁数をそろえます.

  • 掛け算・割り算では,精度に限りのある測定値や近似値のうち,有効数字の桁数が最も少ないものに合わせます.式の係数や正確な個数,定義で決まる換算係数は,桁数を制限しません.

  • 足し算・引き算では,最後の桁の位置が最も粗いものに合わせます.

  • 途中の計算は1桁多く保ち,最後に丸めます.

大きな数や小さな数は,a×10n(1≤|a|<10,n は整数)の形で書きます.1200 と書くと桁数があいまいなので,1.2×103 か 1.20×103 と書き分けます.有効数字の詳しい扱いは,第2章「物理の見方」の「原子の見方の例題」の節で改めて取り上げます.

見積もりの問題では,答えを1桁または2桁で書きます.7.5×1013J と書いても,実際の確かさは1桁ほどだと考えてください.

文章の表記

文章は,句読点に「,」と「.」を使います.これは理系の文書で広く使われる書き方で,数式の中のカンマとも自然につながります.この本の問題文・考え方・解答も,すべてこの書き方にそろえています.

数式は,文中に置けるものは文中に置き,大切な式や長い式だけを独立した行にします.文中の式も独立した式も,読むときは文の一部として,主語や述語と結びつけて読んでください.