第31章 原子核と素粒子
01原子核の構成と大きさ
問い
原子の
ここから
ポイント 第31章で
記号 | 意味 |
|---|---|
原子番号(陽子の | |
質量数(陽子と | |
原子番号 | |
陽子,中性子,電子の | |
原子質量単位. | |
原子核の | |
フェムトメートル. | |
クーロンの | |
粒子の | |
結合 | |
原子核の |
考えてみる
陽子2個を
です.質量
すると,原子核の
原子核を つくる 粒子
原子核は陽子と中性子から
定義 原子番号と
原子核に
原子の
原子や
です.どの
原子核の
4つの 相互作用
粒子どうしの
相互作用 | 働く | 届く | 1 fm 離れた |
|---|---|---|---|
強い | 核子(クォーク) | 約 | 1 |
電磁相互作用 | 電荷を | どこまでも( | |
弱い | すべての | 約 | |
重力 | 質量を | どこまでも( |
強さの
原子や
原子核の 大きさと 密度
原子核の
と
初期状態は A = 56.陽子と中性子を色分けした核子の集合を示す.スライダーで A を4から238まで変えると,半径 R = r₀A¹ᐟ³ が変わるが,密度 ρ₀ = 2.3 × 10¹⁷ kg m⁻³ は変わらない.核子の配置と色の割合は模式的で,AだけではZは決まらない.
したがって
です.水の
核力
法則 核力の
核子どうしの
間に 働く 引力で,陽子どうし,陽子と 中性子,中 性子どうしの 間で ほぼ同じ 強さで 働く. 届く
距離は 約 で, より離れると ほとんど 働かない(短距離力). 届く
範囲の 中では 電気の 力より ずっと 強い. 約
より近づくと,強い 斥力に 変わる.
核力は
中心間距離 r を0から4 fmまでとる.核力のみの曲線は,0.5 fmより内側の斥力の壁,1 fm付近の深い谷,2 fmより外側でほぼ0になる短距離性を示す模式図.陽子どうしではクーロンの位置エネルギー kₑe²/r が加わる.外側の拡大図で,和に現れる小さなクーロン障壁と,遠方へ減少する様子を示す.
一方,クーロン力は
静止エネルギーと MeV
原子核の
法則 質量と
質量
を
質量0の
と
原子核の
です.最後の
重い
です.ウランでは
問いに 戻る
陽子どうしが
ポイント ここまでの
原子核は
陽子 個と中性子 個からなり, と書く.質量は で量ると ほぼ に等しい. 相互作用は
強い・電磁・弱い・ 重力の4種類で,強さも 届く 距離も 大きく 違う. 原子核の
半径は ( )で,密度は でほぼ 一定である. 核力は
約 しか届かない 強い 引力で,届く 範囲では クーロンの 反発に 勝つ. , , を使うと,原子核の エネルギーは MeV の 桁に なる.
02原子核の大きさとクーロンエネルギーの例題
原子核の
ポイント 原子核の
, , .原子核の
半径 , .電荷
と が距離 離れているときの クーロンの 位置エネルギーは で, を使う. 静止エネルギーは
, .運動エネルギー が の 1 % 程度までなら,ニュートン力学の式 を使ってよい.
例題
例題 1
原子核の
鉄の
原子核 とウランの 原子核 の半径を 求めよ.また,それぞれの 密度を 求めよ. 鉄の
金属の 密度は である.鉄の金属の 体積の うち,原子核が 占める 割合を 求めよ.電子の 質量は 無視して よいことも 確かめよ.電子の 質量は である.
解答を見る
考え方 体積は
, より,
である.密度は
で,
金属の
体積 の中の 原子核の 全体積を とすると,金属の 質量は ほぼ原子核の 質量 に等しいので,
である.原子1個あたりの
なので,電子の
確かめ:割合の
例題 2
陽子の
中
心間の 距離 の陽子2個の クーロンの 位置エネルギーを MeV と J で 求めよ.また,水素原子の 陽子と 電子(距離 )のクーロンの 位置エネルギーの 大きさを eV で 求め,比べよ. 遠く
離れた 陽子2個を,同じ 速さで 正面から 近づける.核力が 働き始める 中心間距離を とし,そこまで 近づくのに 必要な 陽子1個の 初めの 運動エネルギーと 速さを 求めよ.ニュートン力学で 扱って よいかも 確かめよ. 気体の
陽子の 平均の 運動エネルギー が(2)の値に 等しくなる 温度を 求めよ.
遠く離れた2個の陽子が,同じ速さ v で正面から近づく.下段は,問題で指定された核力が働き始める中心間距離2.0 fmを示す.
解答を見る
考え方
陽子2個では
である.水素原子では
である.距離の
全
運動量は0なので,最も 近づいた とき2個とも 止まる.エネルギー保存から,1個の 初めの 運動エネルギーを として
である.
である.
より
である.
確かめ:太陽の
例題 3
運動エネルギー
金の
原子核が 動かないと して,α 粒子が 最も 近づいた ときの 中心間距離 を求めよ. 金の
原子核の 反跳を 考えると,最も 近づいた ときの 中心間距離 はいくらか. この
エネルギーでの 散乱は クーロン力だけで 説明できた.この ことから 金の 原子核の 半径に ついて 何が いえるか.また, ( )で2つの原子核の 表面が 接するまで 正面衝突で 近づけるには,α 粒子の 運動エネルギーを いくら以上に すれば よいか.
上段は速さ v₀,運動エネルギー K = 7.7 MeVのα 粒子が,初め止まっている金の原子核へ向かう条件を示す.電荷はそれぞれ2eと79e,質量は4 uと197 uである.下段は未知の中心間距離 d で,両者が同じ速度 V で動いている様子を示す.
解答を見る
考え方 最も
エネルギー保存から
なので
である.
α 粒子の
質量を ,金の原子核の 質量を とする.最も 近づいた とき両者は 同じ速度 で動くので,運動量保存より である.このときの 運動エネルギーは
なので,位置エネルギーに
である.反跳の
α 粒子は
金の 原子核の 中心から まで近づいても,クーロン力しか 受けていない.核力は 表面が 触れ合う ほど 近づかないと 働かないので,金の 原子核の 半径と α 粒子の 半径の 和は より小さい.つまり が半径の 上限である.
以上が
確かめ:
ポイント ここまでの
原子核の
密度は によらず 約 で,物質の体積の うち原子核が 占めるのは 程度にすぎない. を使うと,fm の 距離の クーロンエネルギーは すぐ MeV で 求まる.原子核の エネルギーは 原子の 倍である.正面衝突で
最も 近づくのは 相対速度が0に なる 瞬間で,標的の 反跳を 入れると を に置き換える. 散乱が
クーロン力だけで 説明できる 最も 近い 距離は,原子核の 半径の 上限を 与える. 運動エネルギーが
静止エネルギーの 1 % 程度までなら,ニュートン力学で 扱える.
03原子核の構成と大きさの演習
陽子数と
演習 1
核の
XとYの
原子番号 ,質量数 を求め,同位体か 答えてください. YとXの
体積比と 電荷の 比を 求めてください.
解答を見る
考え方 半径比を3乗すると
.陽子と中性子が 同数なので .Yは , となる.原子番号が 同じで 質量数が 異なるので 同位体である. 体積比は
.電荷は両方 だから比は1である. となり,中性子の 追加で 電荷を 変えずに 半径が 増すことも 確かめられる.
演習 2
中性子星を
星の
平均密度と 核物質の 密度の 比を 求めてください. 核物質と
同じ 平均密度で 質量 の球を 作ると,半径は いくらに なりますか.星の 各点の 密度も 分かりますか.
半径R_*,質量Mの中性子星と,半径R,質量Am_0の一様な核物質の球.2つの図の縮尺は共通でない.
解答を見る
考え方 平均密度は
星では
.核物質では だから .比は となり,質量 の精度に 合わせれば 約1.1倍である. .星の各点の 密度は 求められない.計算に 使った 核物質の 一様性と,星の 平均値の 比較は 別の 仮定である.質量を8倍に すれば 同密度の 半径は2倍と なり,体積の 次元も 合う.
演習 3
核半径の
27 | |
64 | |
125 |
中央の
測定値を 使い,最初の2点から と を決め,3点目を 検証してください.対数を 取った グラフの 軸も 指定してください. と確定した 後,3点目だけで 求める の不確かさを 求めてください.核物質の 密度 の相対不確かさも1次まで で 求めてください.
横軸ln A,縦軸ln(R/(1 fm))に,Aが27,64,125の測定点と半径の誤差棒を置いた図.
解答を見る
考え方 べき乗の
.よって .3点目の予測は で一致する.指定の 対数グラフでは となる. なので .微分から ,約2.0 %である.評価は が十分小さく,指数と 核子質量の 不確かさを 無視した 場合に 限る.
演習 4
炭素核
準静的に
近づける 外力の 仕事を 求めてください. 中
心間距離を 接触距離の2倍に した 位置までに,仕事の 何割が 必要ですか.核子数を 固定して 片方の 陽子数だけを 半分に した 場合,接触時の 仕事は どう 変わりますか.
半径R_1,R_2,電荷Z_1e,Z_2eの2核.接触前の中心間距離dと,表面が接した配置を並べる.
解答を見る
考え方 重ならない
距離
の反発力は .接触距離 までの仕事は .したがって である. では なので5割である.陽子数だけを半分に すると,この 半径模型では は同じで 電荷の 積が 半分に なる ため,仕事も 半分に なる.距離を 無限大へ戻すと 仕事は0と なる.これは 電子の 遮蔽と 核力・変形を 省いた クーロン障壁の 見積もりである.
演習 5
陽子2個の
を求め,距離に 依存するか 調べてください. とおき, の最大値と その 距離を 求めてください. の値も 調べ,「強い力なら 遠方でも 電気力に 勝つ」と いう 主張を 検討してください.
中心間距離rの陽子2個と,右の陽子に働く反発力F_E,引力F_N,F_G.矢印の長さは力の強さの比を表さない.
解答を見る
考え方 逆2乗則どうしの
. が消えるので 距離に よらず,この2粒子の 比較で 重力は 無視できる. とおくと . は で正, で負なので,最大は , である.また , だから,近距離では核力が 勝つが,遠方では 電気力が 勝つ. で比が0に なることも 確かめられる.この 模型は の力を 指定していないので,その 範囲の 安定性や 実際の 核内の 運動まで 結論してはいけない.
ポイント 教える
半径比を3乗する
理由と,電荷を 決める 粒子を 確認させます. 平均密度の
一致から 内部構造まで 決められるか 問いかけます. 測定値の
誤差と 模型の 近似を 区別し,密度の 相対誤差が3倍に なる 理由を 説明させます. クーロン障壁の
高さと 核力の 届く 距離を,別の 量と して 図で 確かめます.
04質量欠損と結合エネルギー
問い
ヘリウムの
考えてみる
まず
化学では,反応の
系の 質量は 中の エネルギーで 決まる
前の
法則 系の
いく
である.
気体を
部分どうしが
上段はばらばらで静止した陽子2個と中性子2個の4.031882 u c²,下段はヘリウムの原子核の4.001506 u c²である.差が結合エネルギーBで,原子核ができるときにγ線や運動エネルギーとして外へ出ていく.準位の間隔は模式的に示す.
質量欠損と 結合 エネルギー
定義 質量欠損と
陽子
を質量欠損,
を結合
原子質量単位では
表に
電子の
原子番号が
です.これは,質量数
原子や 分子の 結合も 同じ
この
質量保存の
核子1個あたりの 結合 エネルギー
原子核 | |||
|---|---|---|---|
重水素 | 2 | 2.22 | 1.11 |
ヘリウム | 4 | 28.3 | 7.07 |
炭素 | 12 | 92.2 | 7.68 |
鉄 | 56 | 492 | 8.79 |
ウラン | 235 | 1784 | 7.59 |
質量数Aを0から250,核子1個あたりの結合エネルギーbを0から9 MeVで示す.印は重水素,ヘリウム,炭素,鉄,ウランの本文の表の値である.模式曲線は鉄やニッケルの付近で最大になる.核融合の矢印は軽い側から右向き,核分裂の矢印は重い側から左向きで,どちらも山に近づく.
原子核が
定義 反応の Q 値
反応の
を
陽子と
定理 Q 値と
陽子と
である.結合
これで,曲線の
ただし,
曲線の 形を 見積もる(液滴模型)
な
体積の
表面の
クーロンの
公式 液滴模型の
係数は
初期状態はA = 56,Z ≈ 26である.体積の項a_vから表面の損a_s/A^(1/3)とクーロンの損a_c Z²/A^(4/3)を順に引き,残りbを青い曲線で示す.緑と橙の棒は選んだAでの各損を同じエネルギー尺度で示す.Aのスライダーを動かすと,小さい核では表面の損が,大きい核ではクーロンの損が大きくなる.曲線のZは代表核C,Fe,Uの陽子数に合わせた近似値である.
この
(発展)実際の
問いに 戻る
ヘリウムの
ポイント ここまでの
全体と
して 静止した 系の 質量は で決まる.束縛された 系は 部分の 和より 軽い. 質量欠損
,結合エネルギー .原子の質量を 使う ときは を に替える. 化学結合の
は 程度で,質量保存はよい 近似に なる.原子核では 程度で,質量の差が 測れる. 核子1個あたりの
結合 エネルギーは 鉄の 付近で 最大(約 ).山に近づく 核分裂・核融合で となり,エネルギーが 出る. 液滴模型
で,小さい核は表面の 損,大きい核は クーロンの 損で が下がる.
05結合エネルギーの例題
前の
例題
例題 1
中性の
ヘリウムの
原子核 の質量欠損,結合 エネルギー ,核子1個あたりの結合 エネルギーを 求めよ. 重水素の
原子核 の結合 エネルギー を求めよ. 重水素の
原子核2個が 結び ついて ヘリウムの 原子核1個に なる 反応の 値を求めよ.また,同じ値を 原子の 質量から 直接求めて 確かめよ.
上から自由な陽子2個と中性子2個,重水素の原子核2個,ヘリウムの原子核の順に準位を示す.最上段から重水素の段までの差を2B_D,最上段からヘリウムの段までの差をB_Heと記す.準位の間隔は模式的に示す.
解答を見る
考え方 原子の
解答
ヘリウムは
, なので
である.よって
重水素は
, なので , である.核子1個あたりでは で,ヘリウムの約6分の1しかない. 反応の
前後とも 陽子2個と 中性子2個なので,自由な 核子の 静止エネルギーが 打ち消し合い
である.原子の
確かめ
例題 2
静止した
この
反応の 値を求めよ. 核子1個あたりの
結合 エネルギーは,ウラン235 が ,バリウム141 が ,クリプトン92 が である.これから を求め,(1) と 比べよ. ウラン235 が
すべてこの 反応で 分裂した ときに 出る エネルギーを 求めよ.
左では中性子nがウラン235の原子核へ近づく.中央では吸収後のウラン236の原子核が大きく変形する.右ではバリウム141とクリプトン92の原子核,中性子nが3個,外向きに飛び去る.粒子の配置と大きさは模式的に示す.
解答を見る
考え方 電子の
解答
反応の
前の 質量の 和は ,後の和は である.差は なので
である.
陽子の
総数(92)と 中性子の 総数(144)は 反応の 前後で 変わらないので, は結合 エネルギーの 総和の 差である.吸収される 中性子と 飛び出す中 性子3個は 結合 エネルギー0と して 数える.
と
1個の
ウラン235 の 質量は なので, に含まれる 原子核の 数は 個である.1回あたり なので,全体で
である.
確かめ 「核子1個あたり約
例題 3
水素
水分
子1個が できる ときに 出る エネルギーは 何 eV か.例題1 の ヘリウムの 原子核の 結合 エネルギーと 比べよ. この
反応で,反応する 物質(水素と 酸素,合わせて )の質量は 何 kg 減るか.もとの 質量に 対する 割合も 求め,質量の 変化を 天秤で 確かめられるかを 述べよ. 反応する
物質 あたりに出る エネルギーを,この 化学反応,例題2 の 核分裂(ウラン あたり ),太陽の中で 水素4個が ヘリウム1個に なる 核融合( あたり )で比べよ.
解答を見る
考え方 1 mol あたりの
解答
1分子あたりの
エネルギーは
である.ヘリウムの
質量の
減少は
で,もとの
化学反応では
である.核分裂はこの 倍,核融合は 倍である.
確かめ 1 kg あたりの
ポイント ここまでの
原子の
質量で 計算する ときは,陽子の 代わりに 水素原子の 質量を 使い,反応の 両辺で 電子の 数が そろっているかを 確かめる. 陽子と
中性子の 数が それぞれ変わらない 反応では .自由な核子の 結合 エネルギーは0と して 数える. ウラン235 の
分裂1回で 約 から ,質量の約 0.08 % が エネルギーと して 出る.水素の 核融合では 約 0.7 % である. 化学反応の
質量の 変化は 程度で天秤では 測れず,核反応の から 分の1のエネルギーしか 出ない.
06質量欠損と結合エネルギーの演習
原子核か
演習 1
陽子数6の
炭素核の
質量 と陽子の 質量 を表してください. 質量欠損
,結合エネルギー ,核子1個あたりの値を 求めてください.
解答を見る
考え方 炭素原子と6個の
.また である. .したがって , . で,分解には正の エネルギーが 要る.電子の 結合 エネルギーと の比が 十分 小さい 範囲での 近似である.
演習 2
核子1個あたりの
核種 | |||
|---|---|---|---|
炭素12 | 12 | 6 | 7.68 |
マグネシウム24 | 24 | 12 | 8.26 |
鉄56 | 56 | 26 | 8.79 |
全結合
エネルギーが 最小の 核を 求めてください. マグネシウム核を
炭素核2個に 分け,静止して 十分離すための 供給エネルギーを 求めてください.分解の 値と逆向きの 収支も 答えてください. は変化前から 変化後の 総静止エネルギーを 引いた値です.
横軸A,縦軸bに,炭素12,マグネシウム24,鉄56の表の値7.68,8.26,8.79 MeVを置いた図.
解答を見る
考え方 自由核子を
全体の
値は 順に , , なので炭素核である. 自由核子の
質量の 和を とすると,始状態は ,終状態は .供給量は差の となる.したがって 分解の であり,逆向きには同量を 放出できるが,起こりやすさは この 収支だけでは 決まらない. が等しい 核どうしなら この 差が0に なることも 確かめられる.
演習 3
原子番号12の
原子質量 | |
|---|---|
24 | |
25 | |
26 |
から25への結合 エネルギーの 増加 を,中央の値と 誤差の 上限で 求めてください. 「結合
エネルギーは 中性子1個に つき ずつ増す」という 模型は,この 測定で 否定できますか.3点目を 予測してください.
質量数24,25,26の測定値を横軸A,縦軸M_a/u−Aで示す.誤差棒は各測定の誤差の上限を表す.
解答を見る
考え方 電子数が
.2つの質量の 誤差の 和から .したがって である.一定増加なら
質量も 等差数列に なり, .予測誤差の上限は .測定との差は であり,誤差の和 以下なので否定できない.誤差が0なら差を 検出できるが,今回は 模型を 証明した わけでもない.
演習 4
太陽の
質量減少率と
水素消費率を 求めてください. が一定なら,この 水素で 何年放射できますか.質量減少を 消費量と 同一視した 誤りも 述べてください.
解答を見る
考え方 質量減少は
質量減少率は
,水素消費率は となる. 時間は
.質量減少率を消費率と すると 時間を 倍,約140倍長く見積もる. の単位は 質量毎時間であり, では同じ光を 出すための 消費率が 増すことも 確かめられる.一定の と光への 全変換を 仮定した 見積もりである.
演習 5
半径
の形を 導き, を求めてください. に限り, を連続量と して が最大と なる と を求めてください.自己相互作用を 除く を で近似した 相対的な 違いも,求めた で見積もってください.
半径R,総電荷Zeの球形核.内部の核子と表面近くの核子を区別した模式図.
解答を見る
考え方 核子数,表面積,電気的な
体積項は
,表面の損失は .電気的な損失は なので,よって指定の 形に なり, である. より .微分が正から 負に なる で最大と なり, である. を基準に した 補正の 割合は ,約4.2 %となる.近似には が十分 小さい ことが 必要である.小さい 核では 表面項,大きい核では クーロン項が 効くが,整数条件と 陽子・中性子比の 効果は 省いており,実際の 核種までは 決まらない.
ポイント 教える
原子質量か
核質量か,電子数まで 確認させます. と外から 供給する エネルギーの 符号の 違いを 説明させます. 測定と
模型が 両立する ことと,模型が 証明された ことを 区別します. 液滴模型の3項と,連続量・
一様 電荷の 近似の 限界を 問います.
07放射性崩壊と放射線
問い
遺跡から
考えてみる
年代を
素朴に
3種類の 崩壊
原子核は
定義 放射性崩壊の3種類
α 崩壊:ヘリウムの
原子核 (α 粒子)を出す.原子番号が2,質量数が4減る.例 .β 崩壊:核の
中の 中性子が 陽子に 変わり,電子と 反ニュートリノを 出す( 崩壊, ).原子番号が1増え,質量数は変わらない.例 .陽子が中性子に 変わり陽電子と ニュートリノを 出す 崩壊もある. γ 崩壊:エネルギーの
高い 状態(励起状態)の 核が,光子(γ 線)を 出して 低い 状態へ 移る.原子番号も 質量数も 変わらない.
横軸は中性子数,縦軸は陽子数で,格子1つが1個に対応する.親核からα崩壊は左下へ2つずつ,β⁻崩壊は左上へ1つ,β⁺崩壊は右下へ1つ移る.右のγ崩壊は,同じ核図表の点で励起状態から低い状態へ移る.
どの
が,出てくる
α 崩壊では,静止していた
β 崩壊の なぞと ニュートリノ
β 崩壊で
左のα粒子の運動エネルギーはKαに集中する.右のβ⁻崩壊の電子は,0からQまで連続した運動エネルギーをもつ.山の形と縦軸の高さは模式的に示す.
1930年に
崩壊は 確率で 起こる
1個の
いま,まだ
が
法則 崩壊の
崩壊定数を
個残る.
初期状態の半減期T₁/₂は2.00,平均寿命τは約2.89で,時間は任意単位である.青い曲線はN/N₀で,半減期ごとの点は1/2,1/4,1/8を示す.緑の印は時刻τで,残る割合は1/eである.スライダーで半減期を変えると,曲線とすべての印が同じ時間軸上で動く.
半減期は,どの
この
放射能と 計数率
1秒あたりに
を放射能と
実験で
立体角:点状の
線源が 四方八方へ 一様に 放射線を 出すなら,距離 にある 面積 の検出器に 向かうのは 全体の だけです( が より十分 小さい とき). 検出効率:検出器に
入った 放射線の うち,実際に 数えられる 割合 は1より小さい ことが ふつうです. バックグラウンド:試料が
なくても,宇宙線や 周りの 物質からの 放射線が 数えられます.試料を 除いて 同じ 時間 測った 計数を 差し引いて,正味の 計数を 求めます.
上の配置では点状の線源が等方的に放射線を出す.線源から距離dにあり,線源を向いた面積Sの検出面にはその一部が入る.Sがd²に比べて十分小さいと入射割合はS/(4πd²)で,計数には検出効率εも関わる.下は試料を除き,同じ時間で周囲や宇宙線によるバックグラウンドを測る配置である.
計数の ゆらぎ
崩壊は
バックグラウンドを
放射線の 透過と 線量
γ 線は
と
放射線が
定義 吸収線量と
吸収線量:物質
あたりが受け取った 放射線の エネルギー.単位は (グレイ, ).等価線量:吸収線量に
放射線の 種類に よる 重み(γ 線・β 線は1,α 線は20)を 掛けた もの.単位は (シーベルト).実効線量:等価線量に
臓器ごとの 感受性の 重みを 掛けて 全身で 足した もの.単位は .
崩壊の 連鎖と 放射平衡
崩壊して
親核の
問いに 戻る
大気の
木が
年前に
この
ポイント ここまでの
不安定な核は,α 崩壊・β 崩壊・γ 崩壊で
別の 核や 低い 状態へ 移る.電荷・核子数・ エネルギー・ 運動量が 保存され,β 崩壊では ニュートリノが エネルギーの 一部を 持ち去るので 電子の エネルギーは 連続に なる. 1個の
核の 崩壊は 確率で 起こり,多数の 核は で減る.半減期は ,平均寿命は .放射能は
( ).計数は立体角と 検出効率の 分だけ小さく,バックグラウンドを 引く.計数 のゆらぎは で,引き算の後も 残る. γ 線は
で減り,半価層は .体が受ける 量は (エネルギー)と (影響の重み 付き)で 測る. 木炭の
年代は,死んだ 時から の放射能が 半減期5730年で 減る ことを 使い,今の 植物との 放射能の 比から 求める.
08崩壊の微分方程式と放射平衡
崩壊の
定理 数学の
の
半減期.
平均寿命. 時刻
である(部分積分).
崩壊した数. 時刻
練習1 半減期
答え
定理 数学の
で,縦軸を
バックグラウンドを
青線は半減期の違う2種類の核の正味計数の自然対数である.後半の長い半減期の成分を緑の直線として前へ延ばす.その成分を対数をとる前の正味計数から差し引くと,残りは橙の短い半減期の直線となる.赤い点線はバックグラウンドを含む総計数で,後半は一定の背景へ近づいて曲がる.時間と成分の大きさは説明用の値である.
親核と 娘核の 崩壊
親核P(崩壊定数
です.2つ目は積分因子を
定理 数学の
の
である.
親子の
です.放射能の
です.
娘の
方が 速く 崩壊する( )と,比は に近づき,親と 娘は 同じ速さで 減ります(過渡平衡). さらに
が十分 小さいと 比は1で,親と 娘の 放射能が 等しくなります(永続平衡). を一定とした 上の 式の とおり,娘は 時定数 で平衡に 近づきます. なら平衡に ならず,親が 先に なくなり娘が 残ります.
初期状態ではT_D/T_P = 0.020,娘の初期核数は0である.青い実線は親の放射能λ_P N_P,橙の破線は娘の放射能λ_D N_Dを,初めの親の放射能λ_P N₀で割った片対数グラフである.娘は0から増え,親の直線に寄り添う.半減期の比を変えると,永続平衡に近い場合,過渡平衡,平衡なしの違いが分かる.0は対数目盛に描けないので,娘の曲線は表示範囲に入ったところから見える.
例題
例題 1
遺跡の
木炭の
炭素 あたりの放射能と,木が 切られてからの 年数を 求めよ. 計数の
不確かさを それぞれの 計数の 平方根と して,年数の 不確かさを 求めよ.
左は木炭から取り出した炭素4.0 gを測る配置で,検出効率0.50,測定時間10 h,総計数5400である.右は試料を除いた配置で,検出効率0.50,同じ10 hのバックグラウンド計数3300である.周囲や宇宙線からの放射線は両方の測定で数えられる.
解答を見る
考え方 正味の
正味の
計数は .1 g あたりの放射能は
である.今の
である.
の不確かさは で,相対的には . で は に比例するので, .よって である.
確かめ:
例題 2
試料の
核の 数と 崩壊定数を 求め,半減期を 年で 表せ. この
半減期を,放射能の 時間変化を 片対数グラフに して 求める ことは できるか.1年の 測定で 放射能が 何割変わる かから 考えよ.
解答を見る
考え方 半減期が
.
である.
1年で
放射能は 倍になり, だけ相対的に減る.これは 割である.これを測るには,計数の 相対的な 不確かさ をこれより 小さく,つまり にしなければならず,できない.片対数グラフの方法は 使えない.
確かめ:地球の
例題 3
の放射能を 求めよ. 十分
時間が たった とき,容器の 中の の原子の 数と,それが 標準状態で 占める 体積を 求めよ. の放射能が (2) の 平衡の 値の99 %に なるまでの 日数を 求めよ.
ラドンを除いた直後に,ラジウムRaの試料1.00 gを容器に密閉する.Raは半減期1600年でα崩壊してRnとなり,Rn気体が容器内に生じる.Rnは半減期3.82日でさらに崩壊する.粒子の数や容器の大きさは模式的で,求める核数・体積・日数は示さない.
解答を見る
考え方 親の
, .放射能は
である.
平衡では
. なので
である.体積は,丸める
で, となるのは
の
確かめ:
ポイント ここまでの
の解は .半減期 ,平均寿命 (部分積分で示せる). 片対数グラフで
は傾き の直線.バックグラウンドは 先に 引き,2種類の 核が 混ざると 折れ曲がる. 半減期が
長すぎる 核は,核の 数と 放射能の 比 から崩壊定数を 決める. 娘核は
に従い,積分因子 で解ける.親の 方が 十分長寿命なら,娘は 時定数 で永続平衡 に近づく.
09放射性崩壊と放射線測定の演習
核数と
演習 1
単一核種の
半減期・崩壊定数・平均寿命を
求めよ. 初めの
核数と 崩壊した 核数を 求めよ.
解答を見る
考え方 放射能
より . , . .崩壊数は . は無次元と なる.
演習 2
質量数232,原子番号90の
各崩壊の
回数を 求めよ.途中の 放出で回数は 変わるか. 単色の
線の未散乱光子数が 厚さ の板で 半分に なる. として, と透過数を1/32以下に する 最小厚さを 求めよ.
質量数232,原子番号90から,質量数208,原子番号82へ変わる崩壊系列.別図にγ光子束,厚さxの板,検出器を示す.
解答を見る
考え方 質量数から
回数を
とすると , .よって , である. 放出では質量数・原子番号は 不変. から . より で,最小は .散乱光子も検出する 配置では,この 指数則を そのまま 使えない.
演習 3
単一核種を
開始時刻 | |
|---|---|
5200 | |
2800 | |
1600 |
を片対数で 直線化して 半減期を 求めよ.総計数も 直線に なるか. 計数の
不確かさは その 平方根で,正味計数の 分散は である.両端から求める について, を使い,半減期の 不確かさを 求めよ.
試料ありの測定と独立な背景測定を示す.下段は開始時刻tと正味計数S_iの片対数作図用座標で,測定点は未記入.
解答を見る
考え方 背景を
正味計数は4800,2400,1200.効率
,測定時間 で . の傾きは で, , .中央も一致する.総計数は 直線に ならない. . を微分すると .よって である.相対ゆらぎ は小さい.
演習 4
木炭の
木炭由来の
現代炭素に 対する 比と 年代を 求めよ. 混入を
無視した 年代と 誤りの 向きを 求めよ.
炭素質量の90.0 %が木炭由来,10.0 %が混入した現代炭素である.試料全体の単位質量あたりの放射能は現代炭素の0.325倍.
解答を見る
考え方 炭素質量で
木炭由来の
比を とすると なので . . .比放射能が増すので 約 若く見える.混入0なら 年代は 一致する.
演習 5
静止核が
娘核の
運動エネルギーと 解放エネルギー を求めよ. を求め,近似を 確かめよ. 崩壊の電子が 連続エネルギーに なる 理由を 述べよ.
静止親核から娘核とα粒子が生じる.娘核の質量216 u,α粒子の質量4.00 uと測定運動エネルギー6.48 MeVを示す.
解答を見る
考え方 等しい
. より なので . である. . は小さく,非相対論近似が よい. 崩壊は娘核・電子・反ニュートリノへ エネルギーと 運動量を 分けるので,電子の 取り分は 一定でない.
演習 6
PからD,Dから
とおき, と放射能比 を求めよ. 娘の
放射能の 最大時刻と を求めよ. 十分後の
と,放射能を等しく する 近似条件を 求めよ.
PからD,Dから安定核への崩壊.Pの半減期40日,Dの半減期2.0日と,時刻0のN_P=N_0,N_D=0を示す.
解答を見る
考え方 娘核の
, . . を掛けて0から 積分すると .よって
微分を0と
すると . .このとき で,微分は正から 負へ 変わる. 極限は
である. と が小さければ .前者は0.050で約5 %の ずれが 残る. で娘核数は0と なる.
ポイント 教える
半減期と
背景を
反跳の
娘の
10粒子を作る,粒子を消す
問い
電子と
考えてみる
化学で
反応で 保存する もの
原子核に
です.左右で,原子番号の
法則 反応で
核反応や
全エネルギー(静止エネルギーを
含む)と 全運動量,角 運動量. 電荷.
核子の
数(より 一般には バリオン数.反粒子は と数える). レプトン数(電子・ニュートリノを
,陽電子・反ニュートリノを と数える).
粒子の「数」そのものではなく,反粒子を
Q 値
反応
で,反応に
しきい エネルギー
吸熱反応を
定理 しきい
止まっている
で,この
ここでは,反応で
第1の
は,どの
止まっている
と
定理 しきい
右辺の
核分裂と 連鎖反応
出てきた
分裂で
遅い中性子nを吸収したウラン235が2つの分裂片と3個の中性子に分かれる.放出された中性子が次のウラン核に吸収され,核分裂が枝分かれして続く.一部の中性子は吸収材に吸収され,または外へ逃げる.矢印は中性子の進む向き,灰色の下向き矢印は反応の順序を表す.
核融合と 太陽
軽い
です.太陽の
融合を
粒子の 生成と 消滅
ここで
逆に,光子から
で,重い核なら
ポイント 粒子と
すべての
左は静止した電子e⁻と陽電子e⁺の対消滅で,2個の光子γが反対向きに飛び出す.各光子のエネルギーは0.511 MeVである.右は原子核の近くを通る光子γから電子と陽電子が生まれる対生成で,原子核も右へ反跳して運動量を受け取る.矢印は進む向きの模式図である.
素粒子の 見取り図
陽子と
種類 | 第1世代 | 第2世代 | 第3世代 |
|---|---|---|---|
クォーク(電荷 | u(アップ) | c(チャーム) | t(トップ) |
クォーク(電荷 | d(ダウン) | s(ストレンジ) | b(ボトム) |
レプトン(電荷 | 電子 | ミュー粒子 | タウ粒子 |
レプトン(電荷0) | 電子ニュートリノ | ミューニュートリノ | タウニュートリノ |
相互作用 | 力を |
|---|---|
強い | グルーオン |
電磁相互作用 | 光子 |
弱い | W粒子,Z粒子 |
重力 | 重力子(未発見) |
ほかに,素粒子に
問いに 戻る
対消滅で
ポイント ここまでの
反応の
前後で,エネルギー・ 運動量・角 運動量・電荷・核子の 数(バリオン数)・レプトン数が 保存する.反粒子は 負に 数える. は運動エネルギーの 増加分.吸熱反応の しきいは 重心 運動の 分だけ より大きい. はどの 慣性系でも 同じで,しきいは 重心系で .核分裂は
増倍率 で連鎖反応の 行方が 決まり,核融合は クーロン障壁の ために 高温が 要る. 電子と
陽電子は2個以上の 光子に なって 消え,光子は 核の 助けを 借りて対を 作る.
11核反応と対消滅・対生成の例題
本体の
例題
例題 1
ほとんど
中性子の
この
反応の 値を求めよ.原子の 質量を 使ってよい 理由も 述べよ. 重水素核の
反跳を 考えて,γ線の エネルギーを 求めよ.反跳の 運動エネルギーは どれほどか.重水素核の 静止エネルギーは とする.
上は遅い中性子nが静止した陽子¹₁Hへ近づく反応前の状態である.下は吸収後の模式図で,重水素核²₁Hが右へ反跳し,光子γが左へ出る.矢印は進む向きを表す.
解答を見る
考え方 原子の
左辺の
水素原子と 右辺の 重水素原子は どちらも 電子を1個含むので,両辺に 電子の 質量が 同じだけ 加わり,差を 取ると 打ち消し合う(電子の 結合 エネルギーの 差は より十分小さく,無視できる).よって
である.これは
γ線の
エネルギーを ,重水素核の質量を とする.運動量の 保存から 重水素核の 運動量は で,反跳の速さは 光速より ずっと 小さいので,運動エネルギーは .エネルギーの保存は
である.右辺第2項は
よって
確かめ:
例題 2
止まっている
電子と 陽電子が 対消滅して2個の 光子に なった.各光子の エネルギーと 波長を 求めよ. 運動エネルギー
の陽電子が 止まっている 電子と 対消滅し,2個の 光子が 陽電子の 進んでいた 向きの 前方と 後方へ出た.各光子の エネルギーを 求めよ.
上の(1)は電子e⁻と陽電子e⁺がともに静止している場合で,反応後に2個の光子γが左右へ出る.下の(2)は運動エネルギーK = 1.00 MeVの陽電子が右へ進み,静止した電子と対消滅する場合で,光子が前方と後方へ出る.矢印は進む向きだけを示し,波線の間隔は模式的である.
解答を見る
考え方 対消滅の
全
運動量は0なので,2個の 光子の 運動量は 大きさが 等しく 反対向きで,エネルギーも 等しい.全エネルギーは だから,各光子は である.波長は
である.
陽電子の
全エネルギーは ,運動量 は から
前方・後方の
で,
確かめ:
例題 3
エネルギー
を使って,対生成が 起こる のしきい値を 求めよ. が鉛の 原子核(静止エネルギー )の場合と,電子の 場合に ついて,しきい値を 数値で 求めよ. がない 真空中では,どんなに エネルギーの 大きい 光子でも 対生成は 起こらない.その 理由を, を使って 説明せよ.
上はエネルギーEの光子γが,静止した質量Mの標的粒子Xへ入射する状態である.下はしきいの模式図で,電子,陽電子,Xが同じ速度vで前へ進む.
解答を見る
考え方 しきいでは,重心系で3つの
実験室系では
, だから
これが
である.
鉛の
原子核では で,しきい値は とほとんど 同じである.電子では で, となる.軽い 標的では,重心の 運動に 回る エネルギーが 大きいので,しきいが 高くなる. 光子1個では
で,エネルギー によらない.光子1個には 重心系が 存在しない.一方,電子と 陽電子の 系は なので,反応前後で が一致せず,エネルギーと 運動量を 同時に 保存できない.
確かめ:
ポイント ここまでの
原子の
質量の 表から 値を出すときは,両辺の 電子の 数を そろえる. 止まった
状態からの 反応では 全運動量が0で,生成物は エネルギーを 運動量の 釣り合いで 分け合う.重い 反跳核の 運動エネルギーは と小さい. 対消滅の2個の
光子は,重心系では ずつ,動いている陽電子では 前方の 光子ほど 大きな エネルギーを もつ. 不変量
を実験室系と 重心系で 比べると,しきいが 一度に 求まる.光子1個は なので単独では 対を 作れない.
12核反応と粒子生成の演習
重心
演習 1
静止した
Xの
原子番号を 求めよ. 各
運動エネルギーと 速さの 比を 求めよ.
静止したウラン236核が,バリウム144核と質量数92の核Xへ分裂する模式図.運動エネルギーの和177 MeVは与えられた値である.
解答を見る
考え方 等しい
.BaをBと
略し, と より .和が なので , . である.和は に戻る. は小さい.
演習 2
世代
世代 | 0 | 1 | 2 |
|---|---|---|---|
平均計数 | 1000 | 1200 | 1440 |
増倍率
と を求めよ. 期待値が2倍以上と
なる 最初の 世代と,定常と なる を求めよ.
中性子が確率pで分裂を起こして平均2.50個を生み,確率1−pで失われる模型.
解答を見る
考え方 放出数に
.計数比から , . より .最初は第4世代である.一定には が必要で, である.放出数が1を超えても 損失が あれば 増殖しない.
演習 3
質量
衝突後の
速度と 残る エネルギー割合を 求めよ. 以下まで減速する 最小衝突回数を 求めよ.
質量mの中性子が速度vで質量3mの静止核へ正面から入射する.衝突前の配置を示す.
解答を見る
考え方 速度比の2乗が
衝突後の
核・中性子の 速度を として , .弾性衝突なので .これを連立し , . である. より .最小は10回.9回後は ,10回後は となる.斜めの 衝突では 取り分が 変わる.非相対論式には が小さい 条件が 要る.
演習 4
粒子
慣性質量変化を
無視する 非相対論近似で,入射 運動エネルギー のしきい 値 を求めよ. 全エネルギー
,全運動量 の は重心系でも 不変である.粒子の を使い,厳密な しきい値と 補正を 求めよ.
質量mの入射粒子と質量Mの静止核が2粒子へ変わる.生成粒子の質量の和m+M+δ/c²と,δ=8.50 MeVを示す.
解答を見る
考え方 しきい値でも
.重心のエネルギーは なので,利用できる分は .よって . , から
しきい値の
補正は
演習 5
重水素核D・
等量混合で
解答を見る
考え方 密度
演習 6
真
対生成の
条件を 導け.1光子だけでは 生成できない 理由も 述べよ. の光子との 正面衝突の 最小 と, での最小角を 求めよ. とする.
エネルギーE,εの2光子が衝突する.下段で進行方向を同じ始点に移し,その間の角θを示す.
解答を見る
考え方 重心系の
運動量の
和より .よって .重心系で必要な 最低エネルギーは だから
1光子では
正面では
より .指定値で .よって .同方向なら で,高エネルギーでも生成できない.
ポイント 教える
分裂片への
平均と
しきい値で
核融合模型の
13第31章の章末問題
結合
演習 1
重水素核
Xの
質量数と 原子番号を 求め,反応1回の 値を求めよ. は反応前の 総静止エネルギーから 反応後の 値を 引いた量です. という 比較だけで といえますか.反応に よる 総静止質量の 減少を, を用いて 求めよ.
重水素核2個が陽子と核Xを作る反応.既知の核種の質量数・原子番号と,B_D=2.225 MeV,B_X=8.482 MeVを示す.
解答を見る
考え方
反応の
質量数の
保存から ,電荷の保存から .したがって , で,Xは三重水素核である.自由核子の 静止エネルギーの 和を とすると,始状態は ,終状態は .よって である.必要な
比較は である.例えば なら吸熱と なる.今回の 質量減少は .結合の増加が 正の 質量減少に 対応し, に戻ることも 確かめられる.
演習 2
初めに
初めの
熱出力を 求めよ. 初めから
の間に 発生する 熱量と,崩壊した核すべてに ついての 総静止質量の 減少を 求めよ.熱量を で割った 値との 違いも 述べよ.
断熱容器内の試料からの電子などは容器内で熱になり,反ニュートリノだけが外へ逃げる.初期核数4.0×10¹²,半減期6.0 hを示す.
解答を見る
考え方
熱出力は
1回あたりの
熱は .崩壊定数は なので, である.2半減期後の
核数は で,崩壊数は .熱量は .総静止質量の減少は
である.
演習 3
点状の
初めから
後の正味計数率を,板厚 の関数と して 求めよ. その
時点の 正味計数率を 以下にする 最小の 板厚を 求めよ.背景計数率が なら,その最小厚さでの 総計数率は いくらですか.
初期測定の距離d_0=0.25 mと,板を置いた測定の距離d=0.50 mを別々に示す.板厚xと線源に正対する検出器を描く.
解答を見る
考え方
時間に
検出器の
面積を とすると,受け取る 割合は .したがって距離の 変更で 倍,2半減期の経過で 倍になる.また なので,求める率は である. より .最小厚さは .総計数率は である.距離を2倍にしても 背景は 倍にならない.幾何学的な 近似には が十分 小さい こと,指数則の 使用には 未散乱光子だけを 数える 配置が 必要である.
演習 4
安定核Xが
照射中のYの
核数を 求め,測定から を決めよ. 捕獲の
値と,捕獲直後のγ放出・反跳に 対応する 放出仕事率を 求めよ.Xの 減少を 無視した 仮定を 確かめよ.
Xが中性子を捕獲してYとなり,Yが安定核へ崩壊する.照射1200 s,待機600 s,計数600 sと検出効率0.100を示す.
解答を見る
考え方
照射中は
とおく.照射中は .両辺に を掛けて 積分すると だから, .照射終了時は である.待機で半分と なり,次の 半減期に その 半分が 崩壊するので,正味計数 .よって
と
陽子数は
同じで 中性子が1個増すので, .求める仕事率は で,Yの後の 崩壊熱は この 値に 含めない.照射中に 消費したXの 割合は と小さい.一定生成率の 仮定には,この 割合とYの 再捕獲確率が 小さい ことが 必要である.
演習 5
同じ
測定開始時刻 | 総計数 |
|---|---|
6100 | |
2600 | |
1225 |
最初の
測定窓にUとVが それぞれ寄与する 正味計数の 期待値 を,最初の2点から決めよ.3点目を 予測して 模型を 検証せよ. 初めの
核数 を求めよ.測定窓の 間も 崩壊する ことを 考慮せよ. 各回の
計数は 独立で,分散は 総計数に 等しいとします. の標準不確かさを 求めよ.背景を 差し引いた 計数を,1種類の 指数関数で 表せますか.
核種UとVを含む試料を同じ効率で測定する.開始時刻0,10.0,20.0 minの各60.0 sの測定窓と総計数6100,2600,1225を示す.
解答を見る
考え方
一定長の
正味計数は
, , .開始時刻が 遅れると,Uの寄与は ,Vは となる.よって , .解くと , .3点目の予測は で一致する. 測定時間を
とすると,Uの 最初の 計数は . , だから
である.瞬間の
背景の
不確かさを 無視できるので, , .線形結合から , である.従って , .各不確かさは周辺の 値であり, 自体は独立ではない. , と比が 異なる ため,中央の 値は 単一指数則に 一致しない.単一模型を 統計的に 棄却できるかは 別の 検定が 要る.大計数の 近似に 必要な は各回とも 小さい.
演習 6
運動エネルギー
Xの
質量数・原子番号と 運動エネルギーを 求めよ. 測定から
反応の 値とXの結合 エネルギーを 求めよ.質量数を 質量の 比に 使う 近似の 限界も 述べよ.
α粒子がx軸の正方向へ静止炭素13核に入射し,中性子がy軸の正方向へ出る.既知の運動エネルギーK_αとK_nを示す.
解答を見る
考え方
運動量の
保存則から
, なのでXは酸素核である.入射運動量を ,中性子の運動量を とすると, .ここで は各軸の 単位ベクトルである.従って
である.
より .また自由核子の 静止エネルギーが 相殺するので .よって である.非相対論近似には が小さい ことが 必要で,最大でも 中性子の である.質量比の近似には 核子質量の 差と の小ささも 必要であり,得た 結合 エネルギーは 指定した 近似模型の 値である.
演習 7
仮想的な
値と,接触時・無限遠での 各核の 運動エネルギーを 求めよ. 同じ
核子数・電荷・半径で だけが小さかった 場合,この 接触状態から 出発できる 条件を 求めよ. だけで,指定された分裂経路が 可能と いえますか.
静止親核A=200,Z=80と,表面が接する同一の球形生成核2個.生成核の半径Rと中心間距離2Rを示す.
解答を見る
考え方
保存則から
各核は .結合エネルギーの 増加は .接触距離は なので,相互作用の位置エネルギーは .途中の計算には 桁を 多めに 残した.エネルギー保存 から .差を取る ため,入力の 精度では 小数第1位まで 確定できない.無限遠では 位置エネルギーが0となり,各核は となる.各核の 運動量が 互いに 逆で 質量が 等しい ため,常に 等分である. 接触時の
運動エネルギーが 非負である 条件は . なら,無限遠での収支は 発熱でも,指定した 接触状態には 達せない.これは 球形の 接触状態を 出発点とした 模型に ついての 必要条件であり,実際の 変形経路や 核力に よる 障壁を 決めた ものではない.運動の 計算で 質量を と近似すると, は小さく,非相対論的に 扱える.
演習 8
静止核Pが
反ニュートリノの
エネルギーが0へ 近づく 極限で 電子の 運動エネルギーが 最大に なります.その 最大値を 厳密に 求め,反跳を 無視した 値からの 差を 電子ボルトで 示せ. です.電子の
運動エネルギーが の事象では,反ニュートリノの エネルギーを まず 反跳なしで 近似し,娘核の 反跳エネルギーの 最大値・ 最小値を 求めよ.
静止Pから娘核D,電子,反ニュートリノが生じる.電子と反ニュートリノの運動量の間の角θを示す.Dの位置は模式的に配置したもの.
解答を見る
考え方
端点では2体の
とおく.端点では電子と 娘核の 運動量の 大きさが 同じで, .両者の関係式を 引くと だから, .従って
である.反跳に
まず
.電子の運動量は で,電子には非相対論式を 使わない.娘核の 運動量の 大きさは,同方向の 放出で ,逆方向で .娘核だけを非相対論的に 扱うと
と
演習 9
仮想的な
Yの
質量数・原子番号と,中性子を 静止して 分離するのに 必要な エネルギー を求めよ. 静止Xへの
光子の しきい エネルギーを 求め, との差を キロ電子ボルトで 示せ.しきい値でのYと 中性子の 運動に ついて 説明せよ. です.
エネルギーE_γの光子が,質量数20,原子番号10の静止核Xに入射し,Yと中性子を作る.
解答を見る
考え方
分離エネルギーは
保存則からYは
. なので, である.反応前は
, より .しきい値では重心系で 相対 運動が なく, .よって
で,差は
14第31章の発展問題
核反応の
演習 1
太陽型の
同じ
ニュートリノの
到来数密度率 と を測定から 求めよ. に対応する 計数比の 範囲も 求めよ. 恒星の
反応率と 光の 全放射仕事率 を求めよ.ニュートリノの 持ち去る エネルギーを 無視すると, をどう 誤りますか. 計数の
分散は それぞれの 計数に 等しく,効率・距離・面積の 不確かさは 無視できます.1次の 誤差伝播では,独立な 量 の関数 の分散は です. と の標準不確かさを 求め,計数比が 許容範囲外なら 何を 疑うべきか 述べよ.
恒星から距離Dにある独立な2台の検出器.両者の面積,測定時間,種類aとbの検出確率,総計数CとHを示す.
解答を見る
考え方
検出器ごとの
1台目から
なので, .2台目では .比を とすると ,従って . に対応する 期待計数比は である.1反応で2個出る
ため,反応率は .光へ渡る エネルギーは .よって .ニュートリノのエネルギーを 省くと となり,相対的に ,約3.09 %大きく見積もる. の偏微分は .よって
と
演習 2
質量
衝突前後の
中性子の エネルギー比 を求め,その 確率密度を 示せ. 対数減少
の平均 と分散 を求めよ. , の極限も 調べよ. 初期エネルギー
,目標値 とします.平均対数を用いる 代表回数を と定義し,実際に 比較する 回数 を, 以上の最小整数とします.各衝突後に 吸収されず 残る 確率は,散乱角と 独立に です. の とその 回数までの 生存確率を 求めよ.さらに を評価し, 回なら全中 性子が 以下になると いえるか 述べよ. , とします.
実験室系の静止核への中性子入射と,重心系の中性子散乱角θを別々に示す.各衝突後の生存確率qと吸収確率1−qを枝で示す.
解答を見る
考え方
重心速度に,回転した
重心速度は
.重心系での中性子の 速さは で,弾性衝突後も同じである.従って 実験室系で なので
と
平均は
である.2乗平均には
を
. では , , , , .生存確率は . では , , , , .生存確率は となる.
独立な
演習 3
液滴模型で
核が
等しい 核2個に 分裂する ときの 値を で表し, の条件を によって 示せ. 分裂前の
核の 体積を 保つ 小さな 変形の 大きさを とします.この模型で 表面項は ,電気的な項は と与えられます.高次の 項は 省いています.球形が 小変形に 対して 局所的に 安定な 条件を 求めよ. の核に ついて,(1)と 両立するか 数値で 調べよ. 非対称な
分裂では,生成核の 質量数を ,原子番号を とします. は の連続量と 近似します. を求め, がエネルギー解放量の 局所的な 最大と なる 条件を 求めよ.対称分裂が 発熱なら 球形は 必ず 不安定である,と いう 主張も 検討せよ.
球形核と同体積の小変形核を,変形εとともに示す.別に,核子数と電荷をfと1−fの割合で分けた十分離れた2生成核を描く.
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考え方
核子数に
等分後の
表面項は ,電気的な項は .従って結合の 増加は
である.
静止エネルギーの
変化は,結合の 減少に 等しく, .2次の係数が 正なら 球形は 局所的な 極小なので 安定であり,条件は である. では高次の 項が 必要で,この 式だけでは 判定できない.指定の 核では , , .(1)の と,(2)の局所安定性が 両立する.小さな 変形の 初めには 供給エネルギーが 必要だが,十分離れた 生成核は より 低い エネルギーを 持つ.障壁全体の 高さは この2次式からは 決まらない. 核子数と
電荷の 分担を 同じ 割合に したので,電気的な 項は と になる.従って
である.
なので,
演習 4
質量
bを
静止させてaを 入射する 場合,aの 運動エネルギーの しきい値を 求めよ. 両粒子を
互いに 正面から 入射させ,供給する 運動エネルギーの 和を 最小にします.その 最小値と,aとbへの 最適な 配分,それぞれの 運動量を 求めよ.同じ 運動エネルギーを 両粒子に 与える 配分は 最適ですか. 正面衝突に
対して 最適な 配分を 保ち,供給する 運動エネルギーの 和を とします. の場合,入射方向の 角が にずれても 反応できる の範囲を 先頭の 近似で 求めよ. で評価し,近似の 条件を 確かめよ.
粒子aの質量m,粒子bの質量4mを示す.下段は運動エネルギーK_a,K_bの2本のビームと,正面からの方向のずれδを表す.
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考え方
静止標的では
, .始状態の から
を
運動エネルギーの
和を とすると ,また .従って少なくとも が要る.等しい 大きさで 逆向きの 運動量なら 等号に できる.その とき で, だから .連立して , .従って
と
正面に
対する 最適配分とは である. , から,厳密には , で求められる.方向の ずれを 入れると,全 運動量の2乗は .従って
であり,反応の
と
演習 5
自由な
静止励起核から
出る 光子の エネルギー と,静止基底核が吸収できる エネルギー を,反跳を含めて 厳密に 求めよ.両者の 差を の先頭の 非零の 次数まで 求めよ. 線源だけを
吸収核の 方向へ 速度 で動かします.線源の 静止系で 前方に 出る 光子の 実験室系の エネルギーは , です.静止吸収核に共鳴する を厳密に 求め,数値で 評価せよ. エネルギー幅の
尺度を とし, , とします.動かない自由核どうしの エネルギー差と を比較せよ. 線源の
速度は(2)の 値に 固定し,線源自体の 熱運動は 無視します.吸収核だけが 温度Tの 気体中に あり,光の 進行方向の 速度 は平均0,分散 とします. では核が 見る 光子エネルギーは です.熱運動に よる エネルギーの 標準偏差を 求め,それを 以下にする 温度を 見積もれ. , とします.
離れた励起核と基底核,光子の進行方向,線源の前進速度v,吸収核の熱運動の成分uを示す.準位差Δと励起状態の平均寿命τを添える.
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考え方
放出では
と略記する.放出では , .前者の を後者へ 代入し,光子エネルギーの2乗を 相殺すると
と
である.差は
, とおく.共鳴条件は なので, .よって
である.速度の
.差との比は であり,静止した自由核どうしは,寿命に よる 幅だけでは ほとんど 共鳴しない.幅は 指定した 尺度であり,ここで 線の 形その ものを 導いたわけではない. なので,標準偏差は . の条件は
である.極端に
15第31章のまとめ
この
定義と 法則
定義 原子核の
原子核は
陽子 個と中性子 個からなり, と書く. を原子番号,核子の 数 を質量数と いう. が同じで が違う ものを 同位体と いう. 原子質量単位
は 原子1個の質量の で, である.原子の質量は で量ると ほぼ に等しい. 原子核の
半径は ( )で,密度は によらず 約 である.
法則 4つの
相互作用は
強い 相互作用(核力),電磁相互作用,弱い 相互作用,重力の4種類で,強さも 届く 距離も 大きく 違う.弱い 相互作用は 中性子が 陽子に 変わるような 粒子の 種類の 変化を 起こす. 核力は
核子どうしに ほぼ同じ 強さで 働く 引力で,届く 距離は 約 ,届く範囲では クーロン力より ずっと 強く,約 より近いと 強い 斥力に なる.核子は 隣の 核子とだけ 引き合い,陽子は すべての 陽子と 反発する.
法則 質量と
質量
の粒子は 静止エネルギー をもち, ,運動エネルギーは である.光子は . が 1 % 程度までならニュートン力学の でよい. 全体と
して 静止した 系の 質量は で決まる.保存するのは エネルギーで,質量は 保存しない.束縛された 系は 部分の 質量の 和より 軽い.
定義 質量欠損・結合
質量欠損
,結合エネルギー . は止まった 原子核を 止まった 自由な 核子に ばらばらに するのに 要る エネルギーである.中性の 原子の 質量を 使う ときは を水素原子の 質量 に替える. 反応の
値 は運動エネルギーの 増加(光子の エネルギーを 含む)に 等しい. が発熱反応, が吸熱反応である. 陽子と
中性子の 数が それぞれ変わらない 反応では (自由な核子は ). は反応が エネルギーの 上で 許される ことを 言うだけで,すぐ 起こる ことまでは 言わない.
公式 液滴模型
体積の
定義 放射性崩壊の3種類
α 崩壊:
を出し, が2, が4減る.2体に分かれるので α 粒子の エネルギーは 一定である. 崩壊:核の中で . が1増え, は変わらない.3体に 分かれるので 電子の エネルギーは0から までの連続分布に なる. 崩壊もある. γ 崩壊:励起状態の
核が 光子を 出して 低い 状態へ 移る. どの
崩壊でも 電荷・質量数・ エネルギー・ 運動量が 保存し, のときだけ 自然に 起こる.
法則 崩壊の
まだ
である.
定義 放射能・計数・線量
放射能
,単位 .検出器の
計数は 立体角 と検出効率 の分だけ小さく,バックグラウンドを 引いて 正味の 計数に する.計数 のゆらぎは ,正味の計数 の不確かさは .γ 線は
で減り,半価層は .α 線・β 線は電離で エネルギーを 失い,飛程で 止まる. 吸収線量は
あたりのエネルギー( ),等価線量・実効線量は放射線の 種類や 臓器の 重みを 掛けた もの( ).
法則 反応で
核反応や
ポイント 粒子と
すべての
粒子には 質量が 同じで 電荷などの 符号が 逆の 反粒子が ある.粒子と 反粒子は 対で 生まれ,対で 消え,エネルギーと 運動量は 光子などに 受け継がれる. 陽子は
,中性子は (u は ,d は ).物質の素粒子は クォークと レプトンの3世代で,力は グルーオン,光子,W・Z粒子,重力子(未発見)が 運ぶ.ほかに ヒッグス粒子が ある.β 崩壊は 弱い 相互作用で d が u に 変わる 反応である.
手順
ポイント 原子核の
長さは
,エネルギーは ,質量は で量り,J や kg には 最後に 直す.クーロンエネルギーは を距離で 割る. 反応式では,まず
電荷・質量数(核子数)・レプトン数の 保存を 確かめる.崩壊系列では α 崩壊の 回数を 質量数の 変化から, 崩壊の回数を 原子番号の 変化から 決める. 原子の
質量の 表で を出すときは,両辺の 電子の 数が そろっているかを 確かめる. 止まった
状態から2つに 分かれる ときは,運動量が 等しく 逆向きに なるので,運動エネルギーは 質量に 反比例して 分かれる.重い 反跳核の 運動エネルギーは と小さい. 衝突で
最も 近づくのは 相対速度が0の 瞬間で,止まった 標的の 反跳を 入れると,位置エネルギーや 反応に 使えるのは だけである.しきいは,不変量
を実験室系で 計算し,重心系で 生成物が 止まった 値 と比べて 求める.
主な 公式
, , , ,一様に
帯電した球の クーロンエネルギー: (ウランで約 )中性子1個を
引き離す エネルギー: 代表的な
値: , .ウラン235 の分裂1回で 約 (質量の約 0.08 %),太陽の 水素4個から ヘリウム1個で (約 0.7 %), の融合で α 崩壊の
エネルギーの 分配: ,年代測定:放射能が
今の 植物の 倍なら . の半減期は5730年 親子の
崩壊: , . で過渡平衡, が十分 小さいと 永続平衡 (時定数 で近づく) しきい
エネルギー:非相対論 ,相対論対生成の
しきい: (重い核なら約 ,標的が電子なら ).止まった電子と 陽電子の 対消滅では 光子2個が ずつ連鎖反応:
.減速材の核(質量 )との正面弾性衝突で 中性子の 運動エネルギーは 倍
各題材の 問いへの 答え
原子核の
構成と 大きさ:陽子どうしが 飛び散らないのは, ほどしか届かないが クーロン力より ずっと 強い 核力が 核子の 間に 働くからである.中性子は 反発を 増や さずに 引力を 足す糊の 役を する.ただし 核力は 隣の 核子とだけ,クーロン力は すべての 陽子どうしで 働くので,重い 核ほど クーロンエネルギーの 割合が 大きく,陽子の 数が およそ100を 超える 核は 安定に 存在できない. 質量は
減る:ヘリウムの 原子核が 陽子2個と 中性子2個の 和より 軽いのは,束縛された系の エネルギーが ばらばらの 状態より 結合 エネルギー だけ低いからである.ヘリウムの原子核が できた とき,この 分が γ 線や 運動エネルギーと して 系の 外へ 出ていった. 原子核は
崩れる:大気の は宇宙線に よる 生成と 崩壊が つり合って ほぼ 一定の 割合で,生きている 植物も 同じ 割合で 含む.木が 切られると 取り込みが 止まり, は半減期5730年で 減るだけに なるので,今の 植物との 放射能の 比から 年代が 分かる. 粒子を
作る,粒子を 消す:対消滅で 消えたのは 電子と 陽電子と いう 粒子の 形で,エネルギーと 運動量は 反対向きの2個の 光子に 引き継がれ,電荷と レプトン数は 反粒子を 負に 数えれば はじめから0で 変わらない.化学の「原子は 消えない」は,反応の エネルギーが 静止エネルギーより ずっと 小さい 場合の 近似だった.
この 章で 使った 数学
原子核の