第24章 マクスウェル方程式
01変位電流とマクスウェル方程式
問い
電池と
この
ポイント 第24章で
記号 | 意味 |
|---|---|
電束(面を | |
変位電流(単位 | |
電流密度,変位電流密度(単位 | |
電荷密度.この | |
導電率( | |
場の | |
ある | |
ポインティングベクトル(単位 | |
面要素(大きさは | |
右手系の | |
円筒座標の | |
光の | |
場の |
閉じた道に
考えてみる
第22章の
充電中の
充電中のコンデンサーの下の導線を囲む同じ円を,平らな面A₁と袋の形の面A₂の縁にとる.A₁は導線が貫き,A₂は正極板の外を回り込んで極板のすき間を通る.
電流が
変位電流
すき間には
です.導線を
これは
定義 変位電流
面を
を変位電流と
変位電流は
法則 アンペール・
閉じた道に
面の
円板の
初期状態はr = 0.50aで,円を貫く電束は全体の25 %である.上に極板の側面図,下に極板の間の平面図,右にBとrのグラフを示す.スライダーでrを変えると,数える電束の面とグラフ上の点が動く.r = aで直線の増加から1/rの減少につながる.
4つの 法則
これで
法則 マクスウェル方程式
法則 | 積分形 | 微分形 |
|---|---|---|
ガウスの | 閉じた面で | |
磁場の | 閉じた面で | |
ファラデーの | 閉じた道で | |
アンペール・ | 閉じた道で |
場が
表は,第20章の
電荷の
で,第21章の
場は 自分で 伝わる
電荷も
と
空間に並ぶ電場Eはx方向,磁場Bはそれに垂直なy方向を向く.2つの場の山と谷は同じ位置にある.場の変化が互いに結び付くことを,2本の矢印でつないだ輪で示す.場の矢印の長さは,それぞれ任意の尺度である.
準静的近似
第21章から
準静的近似は,変位電流を
問いに 戻る
充電している
ポイント ここまでの
アンペールの
法則は,電荷が たまる 所では 面の 選び方で 答えが 変わり,矛盾する. 変位電流
を足した アンペール・ マクスウェルの 法則で,矛盾が 消え,電荷の 保存とも 両立する. マクスウェル方
程式は,場の 湧き出し(ガウスの2つの 法則)と 渦(ファラデー,アンペール・ マクスウェル)の4つで,積分形と 微分形は 同じ ことを 言う. 真空では
変化する 電場と 磁場が 互いを 作り,場は 速さ で自分で 伝わる. 準静的近似は,装置の
大きさ が よりずっと 小さい ときに 使え,補正の 割合は 程度.
02積分形と微分形を行き来する
本体の
定理 数学の
ベクトル場
が面に 垂直で 一様なら,流束は(法線成分) (面積).半径
の円に 沿って が一定なら,循環は .止まった
面では .
定理 数学の
領域
が
積分形から
です.これが
定理 数学の
どんな
が
どちらも
練習1
練習2
答え 練習1:
例題
例題 1
半径
極板の
間の 電場が 増える 速さ を求めよ. 極板の
間の 平面で,軸からの 距離 の点の 磁場 を, と に分けて 求めよ. での値も 求めよ. の磁場が,微分形の アンペール・ マクスウェルの 法則を 満たす ことを 確かめよ.
半径a,間隔dの円板コンデンサーを充電する.正極板から負極板へ向かう向きを+zとする.極板の間に半径rの円形の道と,その円に沿う磁場Bφを示す.電場と磁場の計算結果は記していない.
解答を見る
考え方 極板の
より
では円を 貫く 変位電流は なので, より
で,2つの
なので, の磁場は 練習2で としたものである.よって .一方,電流の無い 極板の 間で 右辺は で,一致する.
確かめ:
例題 2
小さな
この
球面を 外向きに 通る 電流 を で表せ. 球面上の
電場と,球面を 外向きに 通る 変位電流 を求めよ. 電流が
流れているのに,どこにも 磁場が できない ことを 示せ.
中心の小さな球から正の電荷をもつ粒子がすべての向きへ放出される.半径rの球面と外向きの電流I(r,t),球面上の小さな円の道,その円を縁とする球面の一部を示す.
解答を見る
考え方 球対称なので,電場も
電荷の
保存から,球面から 出ていく 電流は 内側の 電荷の 減る 速さに 等しく, .ガウスの
法則から .外向きの電束は なので .各点でも,電流密度 と変位電流密度 は打ち消し合い, である.球面上の
点で 磁場が 球面に 沿う 成分を もつと すると,その 点を 通る 半径の 線の まわりに 配置を 回しても 何も 変わらないのに,その 成分の 向きだけが 回ってしまう.よって 磁場は 半径方向しか 許されない.半径成分を とすると,磁場の ガウスの 法則から で .したがって磁場は0である.アンペール・ マクスウェルの 法則とも 整合する.球面上の 小さな 円を 道に とり,それを 縁と する 球面の 一部を 面にとると,貫く 電流と 変位電流の 和は0なので,循環は0である.
確かめ:変位電流の
例題 3
電荷も
2つの
ガウスの 法則を 満たす ことを 確かめよ. ファラデーの
法則と アンペール・ マクスウェルの 法則の 微分形から, と の関係, と の関係を 求めよ. この
場の 山が 進む 向きと 速さを 求めよ.
ある瞬間の電場Exと磁場Byをz軸に沿って描く.電場はx方向,磁場はy方向に振れ,山と谷は同じ位置にそろう.矢印の長さは場ごとに任意の尺度である.進行方向,速さ,E₀とB₀の関係は図には記さない.
解答を見る
考え方 成分が1つで,
は によらないので .同じく .電荷の無い 真空の ガウスの 法則を 満たす. , .ファラデーの法則から .また , なので .2式を掛けると で
が一定の 点は と動くので,山は 向きに速さ で進む.
確かめ:単位は
ポイント ここまでの
流束と
循環の 向きは,閉じた面では 外向き,縁の ある 面では 縁と 右ねじの 関係に とる. ガウスの
定理と ストークスの 定理で,積分形の 法則と 微分形の 法則は 互いに 直せる. , は成分の 計算でも,定理でも 示せる.前者から 電荷の 保存が 出る. 充電中の
円板コンデンサーの 極板の 間では ( )で,外側では導線の まわりと 同じ. 球対称な
電流では,電流と 変位電流が 打ち消し,磁場は できない.
03変位電流とマクスウェル方程式の演習
面と
演習 1
真
での変位電流を 求めよ. 同じ面を
向きに の伝導電流が 貫く とき,縁を 一周する 磁場の 線積分の 符号を 求めよ.正方向は 側から見て 反時計回りと する.
解答を見る
考え方
電束の
だから, .閉じた縁に
沿って 一周する 積分は である.和は正なので 積分は 正.磁場の 向きには 対称性も 要る. は電荷の 次元を もち,その 微分は 電流の 次元に なる.
演習 2
内半径
極板間の
平面で,軸を 中心と する 半径 の円内の 変位電流を, , , に分けて 求めよ. 同じ
円周上の 磁場の 大きさと 向きを 求めよ.
環状極板の軸を含む断面と極板間の平面.内半径 a,外半径 b,間隔 d,半径 r の円を示す.電場は環状部分で +z 向き,正極板から外部回路へ電流 I₀ が流れる.
解答を見る
考え方
電束の
より .含まれる面積を 掛けると
反時計回りを
正と する 接線成分を とすると,対称性と アンペール・ マクスウェルの 法則から .したがって大きさは ,向きは磁場が0でない所で 側から見て 時計回りである. で連続に なる.指定した3つの 比が 十分 小さい ことが 条件であり,縁では 近似が 破れうる. の式も 帰線より 内側に 限り,帰線を 囲む円では その 伝導電流を 加える 必要が ある.
演習 3
端子間の
電荷保存から
と の関係を 導き, と漏れ抵抗 を求めよ. の不確かさの 最大幅を 両端の 測定から 見積もれ.また,漏れを 無視できるか 述べよ.
電源に容量 C と漏れコンダクタンス G を並列につなぐ.端子電圧 V,電源からの流入電流 I,電圧変化率 α を示す.漏れは長方形の抵抗記号で示す.
解答を見る
考え方
蓄積と
, だから .両端の差より .中央の値から ,したがって .電流差の
最大幅は なので .増加時だけで とすると になってしまう.漏れを 無視するには が十分 小さい ことであり,ここでは その 比が2なので 満たさない.
演習 4
半径
内部の
半径 での誘導電場の 接線成分 と変位電流密度 を求めよ. 軸方向の
長方形の 周回路から,この 変位電流が 要求する を見積もれ. での一様場に 対する 相対的な 補正と,近似の 条件を 求めよ.
ソレノイドの半径 a と軸 z,内部の半径 r の円周,軸方向の長方形の周回路を示す.周回路の向きや誘導電場,変位電流,磁場の補正は加えない.
解答を見る
考え方
まず
より .したがって .長方形の
軸方向の 長さを とすると .積分して . の一様場 に対する 最大の 相対補正は である.これは補正の 先頭項である. が十分 小さい ときだけ,変位電流に よる 補正を 無視できる.
演習 5
真
ガウスの2法則と
ファラデーの 法則を 微分形で 確かめ,必要な 電荷密度 を求めよ. アンペール・
マクスウェルの 法則から 伝導電流密度を 求め,電荷保存を 確かめよ.電荷も 電流も ない 領域の 場と して 採用できるか.
真空領域と右手系の座標軸 x,y,z.+x は右,+y は上,+z は紙面の手前を向く.本文で与えた場の式を添える.
解答を見る
考え方
各法則に
より .一様な磁場なので .また で,ファラデーの法則を 満たす. より . で電荷保存も 満たすが, なら一般の で電流が 必要である.したがって 電流の ない 領域の 場と しては 採用できない. の単位は となる.
ポイント 教える
変位電流の
漏れと
電荷保存と
準静的近似の
04場のエネルギーとその流れ
問い
電池に
考えてみる
水車を
ここで,第21章の
場の エネルギー密度
第20章で,平行板コンデンサー(極板の
法則 場の
真
の
大きさを
エネルギーの 保存を 場で 書く
ある
と
問題は,この
です.かっこの
定理 ポインティングの
エネルギーは
静的な
抵抗には エネルギーが 側面から 入る
半径
で,側面の
半径a,長さℓの円柱の抵抗に電流Iが流れる.電場Ezは軸に沿い,磁場Bφは表面を回る.ポインティングベクトルSは側面に垂直で,まわりの空間から抵抗の内側へ向く.
この
JIS式の電池と矩形の抵抗を2本の導線でつなぐ.橙の線は電池の側面から出て導線のまわりの空間を通り,抵抗の側面へ入るエネルギーの流れを示す.上の導線のすぐ下では電場Eは下向き,導線を回る磁場Bは紙面の奥向きで,Sは右向きである.
充電中の コンデンサー
半径
です.極板の
同軸ケーブルと 場の 運動量(発展)
同軸ケーブル(内導体の
エネルギーが
の
正の電荷を縁に固定した絶縁体の円板の軸にソレノイドを通す.軸から見た図では磁場Bは手前向きである.円板の内側では正の縁の電荷による電場Eは中心へ向かい,ソレノイド内でE × Bは反時計回りの円周方向を向く.右に円板とソレノイドの側面図を示す.
問いに 戻る
電熱線で
ポイント ここまでの
場の
エネルギー密度は (真空). エネルギーは
その場で 保存し, .この式は マクスウェル方 程式から 導ける(ポインティングの 定理). エネルギーの
流れは . は場から 電荷へ渡す仕事率. 抵抗にも
充電中の コンデンサーにも,エネルギーは 側面から 入る.導線は エネルギーの 道案内を する. (発展)エネルギーの
流れには 運動量 が伴い,場は 角運動量も もつ.
05外積とエネルギーの流れの計算
ここでは,ポインティングベクトルの
定理 数学の
を
これで,よく
軸に
沿う 電場と 円周を 回る 磁場(抵抗,コンデンサー): .円周を
回る 電場と 軸に 沿う 磁場(ソレノイド): .半径の
向きの 電場と 円周を 回る 磁場(同軸ケーブル): .
定理 数学の
半径
定理 数学の
成分で
です.積の
です.
これを
です.面から
練習
答え
例題
例題 1
半径
表面に
沿う 電場と 磁場の 大きさ,ポインティングベクトルの 半径成分の 大きさと 向きを 求めよ.側面から 入る 仕事率を 発熱と 比べよ. 電熱線の
中で,軸からの 距離 の円筒の 側面から 入る 仕事率を 求め,その 円筒の 中の 発熱と 比べよ.
半径a,長さℓの電熱線に軸方向の電流Iが流れる.軸方向の電場Ez,円周方向の磁場Bφと,半径rの同軸の円筒を点線で示す.橙のSの矢印は電熱線の側面から内向きに入るエネルギーの流れを示す.場とSの大きさ,仕事率は記していない.
解答を見る
考え方 電熱線内の
.表面のすぐ 外でも,表面に 沿う 電場は 同じである. .
で,向きは
円筒の
内側を 流れる 電流は なので .入る仕事率は
発熱の
確かめ:場が
例題 2
半径
極板の
間で 軸からの 距離 の円筒の 側面から 入る 仕事率を, , , , で表せ. が,その
円筒の 中の 電場の エネルギーの 増える 速さに 等しい ことを 確かめよ.
での の値と,側面全体から 入る 仕事率を 数値で 求めよ.
充電中の円板コンデンサーの極板の間に,半径rの円筒を点線で示す.極板の半径はa,間隔はdで,電流Iと軸方向の電場Ez,円周方向の磁場Bφを示す.橙のSの矢印は点線の円筒の側面から内向きに入るエネルギーの流れを示す.求める仕事率とSの値は記していない.
解答を見る
考え方 極板の
.円筒の
中の 電場の エネルギーは . なので
で,(1) に
, なので
側面全体では
確かめ:回路が
例題 3
同軸ケーブルの
導体の
間の 電場の 半径成分 と磁場 を求め,断面を 向きに通る 仕事率が ちょうど になる ことを 示せ. 内導体の
表面の すぐ 外の ポインティングベクトルの 半径成分を 求め,内導体の 単位長さに 側面から 入る 仕事率が,単位長さあたりの 発熱に 等しい ことを 示せ.1 m 進むごとに 失われる 仕事率は 送る 仕事率の 何倍か.
左は+z側から見た断面,右は縦断面である.内導体の半径aと外導体の内半径b,半径方向の電場Er,円周方向の磁場Bφを示す.電流Iは内導体を+z向きに進み,外導体を逆向きに戻る.縦断面では導体の間の真空中を+z向きに流れるSと,内導体の表面へわずかに内向きに傾くSを橙の矢印で示す.場とSの値,傾きの数値,仕事率は記していない.
解答を見る
考え方 対称性から,電場の
内導体の
単位長さあたりの 電荷を とすると , より . . なので
外導体の
内導体の
中の 電場は で,表面に沿う 成分なので 表面の すぐ 外でも 同じである. で内向き.単位長さの 側面から 入る 仕事率は で,単位長さあたりの発熱に 等しい.失われる 割合は,長さ に対して
確かめ:表面での
ポイント ここまでの
外積の
向きは と,その順に 回した2つで 決める. 側面から
入る 仕事率は ,断面を通る 仕事率は . からポインティングの 定理が 出る.体積で 積分すると,入る 仕事率=場の エネルギーの 増加率+電荷に 渡す仕事率. 抵抗では
側面から 入る エネルギーが 中で 少しずつ熱に なり,同軸ケーブルでは 電力が 導体の 間を 流れる.
06場のエネルギーとその流れの演習
流入電力と
演習 1
体積
各場の
エネルギー密度と 全エネルギーを 求めよ. ポインティングベクトルを
求めよ.
解答を見る
考え方
密度と
, .体積を掛けると .平行なので
.密度がほぼ等しくても 流れが あるとは 限らない.
演習 2
真
管の
内面と 外面の 磁場の 接線成分 を求めよ. 側から見た 反時計回りを 正と する. エネルギーが
入る 面を 求め,流入電力を 発熱と 比べよ.
内半径 a,外半径 b の抵抗管と軸上の理想帰線.抵抗管には +z 向き,帰線には −z 向きに同じ電流 I が流れる.抵抗管の対象部分の長さ ℓ と抵抗 R を示す.断面の ⊙ と ⊗ は電流の向きを表す.
解答を見る
考え方
帰線の
閉じた
円周に 沿って 一周すると .内面は帰線だけを 囲み ,外面は全電流0で . より .内面は ,外面では0.空洞から 内面へ 入り,電力は で発熱と 等しい. が十分小さく,端から 離れた 所に 適用できる.
演習 3
半径
を求め,変位電流から 側面の 磁場を 求め,流入電力を と で表せ. 流入電力が
最大の 時刻と 値,同時刻の 電源の 仕事率と 発熱率も 求めよ.
一定電圧 V_f の電源,抵抗 R,容量 C の充電回路と円板極板の形状.半径 a と間隔 d を記し,極板間の円筒側面を破線と薄い塗りで示す.
解答を見る
考え方
電源の
, より .初期条件から . なので . より
とすると . より,最大は , .この瞬間 , より電源は ,発熱は .差が流入電力に 等しい.小さい量は , .最初の が 程度の過渡も 除く.
演習 4
半径
内部の
半径 での誘導電場 と側面からの 流入電力を 求め,磁場への 蓄積率と 比べよ. ソレノイド内部の
電場エネルギー を体積積分で 見積もり,同じ 領域の 磁場エネルギー との比を 求めよ.
ソレノイドの半径 a,長さ ℓ,単位長さ当たりの巻数 n と内部の半径 r の円を示す.与えられた磁場 B_z は +z 向きで,横向きの矢印と断面の ⊙ で表す.
解答を見る
考え方
外積から
から . だから .一方, . より .体積
を使うと
よって
演習 5
真空の
ガウスと
アンペールの 法則から を求め, の式を 導け. 直線化で
模型を 確かめ, を求めよ.最初の 測定電力の 誤差が のとき,その 測定だけから 推定する の範囲を 求めよ.この 範囲の 推定では は正確と する.
同軸断面の内導体半径 a,外導体の内半径 b,測定半径 r_m と電位差 V を示す.a と r_m の間を薄く塗る.⊙ は +z 向きの内導体電流,⊗ は逆向きの外導体電流 I を表す.半径は模式的に描く.
解答を見る
考え方
対数半径に
線電荷密度
に対し . より . だから .積分して
は で,電力も同比なので 原点を 通る 直線に なる. なので . .誤差から ,約 から となる. で となり,収支が 合う.
ポイント 教える
中
電源の
近似の
07第24章の章末問題
変位電流に
演習 1
面積
各極板間の
電場と,極板全面を 貫く 変位電流を 求めよ. 各極板間に
蓄えられる 電気エネルギーと,その 増加率の 比を 求めよ.電源の 仕事率との 関係も 示せ.
極板面積 A と 2A,間隔 d の二つのコンデンサーを直列につなぐ.電源からの充電電流 I と各正極板の電荷 Q を示す.中間導体は橙色で示し,電源の端子から孤立している.
解答を見る
考え方
孤立した
ガウスの
法則から , である.正極板から負極板へ 向かう 法線を 各面の 正方向と すると, より
電場は
密度を
体積に 掛けると , .したがって .微分して , なので,増加率も である.各電圧 を使えば,和は となり,理想電源の 仕事率に 等しい.配線での 損失は 理想導線の 仮定に より0である.縁の 効果と 極板間の 磁場エネルギーを 小さく するには, と装置の 大きさを と変化時間の 積で 割った 比が 十分 小さい ことが 必要である.
演習 2
一様な
領域に
蓄えられる 全エネルギーと, に垂直な 一断面を 通る 電力を 求めよ. 領域の
全境界から 外へ 出る 正味の 電力を 求め,場が 静的である ことと 矛盾しないか 説明せよ.
直方体の z に垂直な断面積 A と長さ ℓ を示す.右手系の座標軸に沿って,電場 E₀ は +x 向き,磁場 B₀ は +y 向きに重なる.
解答を見る
考え方
エネルギー密度は
, .体積は だから .外積より ,したがって 向きの断面電力は である. 側の端面から 出る 電力が ,反対の端面から 出る 電力が ,側面からは0なので,正味は0である.流入と流出が 等しく,内部で 発熱も ないため と整合する.確認すると, の単位は であり,静的な場でも 一断面を 通る 流れは0とは 限らない.
演習 3
半径
を
正 | 0 | 負 |
を導き, を推定せよ. の相対不確かさを1次の 近似で 求めよ.また,Pでの 電気エネルギー密度が 最大に なる 距離を 求めよ.
軸に垂直な半径 a の絶縁リングと軸上の観測点 P.中心から P までの距離 x と,P に向かう速さ v を示す.リングには未知の正電荷 Q が固定されている.
解答を見る
考え方
空間微分に
微分すると
零点は
は に比例するので . は に比例するので .絶対幅は約 , となる. の範囲では の極大と の極大が 一致する ため,最大は .確認すると, と で電場は0に なり,極大の 存在と 整合する.準静的な 式には ,不確かさの1次近似には の小ささが 必要である.
演習 4
半径
複素インピーダンスから
電流を 求め, の側面での 磁場と ポインティングベクトルを 求めよ. 側面から
内側へ 入る 符号つきの 電力と, から までの流入エネルギーを 求めよ.一周期の 平均電力も 求めよ.
交流電源と容量 C の円板コンデンサー.極板半径 a,間隔 d,電場の正方向である +z 軸と極板間の円筒側面を示す.電源電圧は V(t) = V₀ cos ωt である.
解答を見る
考え方
まず
複素数の
電圧振幅を とすると, より .実部を取って となる. 側から見て 反時計回りの 磁場成分を とすれば,閉じた 円周に 沿って 一周する アンペール・ マクスウェルの 法則は である. なので
内向きを
正に 取ると .これは の微分に 等しい.指定した 四分の 一周期には
初めの
演習 5
内半径
磁場エネルギーの
積分から 自己インダクタンス を求めよ. が に比べて 小さい 場合の 式も 求めよ. 電流の
時間変化,時刻 までの発熱量,磁場に 残る エネルギーを 求めよ.
トロイドの内半径 a,外半径 b,高さ h,巻数 N と切り替え回路.図のスイッチは電源側の接点から離れ,抵抗 R と巻線の閉回路側につながっている.
解答を見る
考え方
磁場が
半径
の閉じた道に 沿って 一周すると なので .体積要素 を使って
よって
に を代入すると . として , .発熱量は
確認すると
演習 6
面積
電源の
電流と,極板面積 に対応する 極板間の 固定した 平面を 貫く 変位電流を 求めよ.その面は 考える 短い 時間区間を 通して 極板間に あり,正法線を 電場の 向きと する. 電源の
仕事率,電気エネルギーの 変化率,外力の 仕事率を 求め,極板間の 引力を 導け.
電圧 V を保つ電源につないだ面積 A の極板.上側の極板を速さ v で動かし,間隔 d(t) を増やす.極板間に固定した積分面を破線で示し,正法線を正極板から負極板へ向ける.
解答を見る
考え方
電圧一定では,引き離すと
, より .固定面の電束は なので .電場の向きが 変わらなくても 変位電流は 負に なる. 電源が
外へする 仕事率は .負なので電源が エネルギーを 受け取る.一方 より .準静的な収支 から . より,引力の大きさは である.確認すると,電源が受け取る 電力は 場の 減少率と 外力の 仕事率の 和に 等しい.必要な 小さい比は , ,および装置の寸法を 電場の 変化時間 と の積で 割った 比である.
演習 7
半径
半径
の円内の 変位電流と,円周上の を求めよ.全容量も 求めよ. 半径
の円筒側面から 内側へ 入る 電力を,局所平行板の 精度で 求め,円筒内の 電気エネルギーの 変化率と 比べよ. の極限を 確かめよ.
半径 a の極板を中央面の上下に対称に曲げる.中心の間隔 d₀,半径 r での間隔 d(r),中央面と半径 r の円筒側面を示す.
解答を見る
考え方
変位電流は
と書く.中 央面を 貫く 変位電流は
閉じた
磁場と
電場を 厚み内で 中央面の 値で 代表させると, .したがって
円筒内では
演習 8
半径
球間の
電場と,外向き法線の 球面を 貫く 伝導電流・変位電流を 求め,磁場が0である こととの 整合を 説明せよ. 場の
エネルギーの 増加率を 積分で 求めよ.ポインティングベクトルが0であるにも かかわらず,エネルギーが 増える 理由を から説明せよ. は体積要素を 表す.
同心導体球の半径 a,b と内球の電荷 +Q,外球の電荷 −Q.球間の積分領域を薄く塗り,電荷の輸送装置による内向き電流密度 j を示す.
解答を見る
考え方
変位電流と
ガウスの
法則より .外向きの伝導電流は ,電束は なので変位電流は である.両者は球間の 各点でも と打ち消すため,アンペール・ マクスウェルの 法則と 磁場0は 整合する. 場の
エネルギーは
よって
電荷は
演習 9
容量
電荷保存と
回路の 式から を求めよ. 各極板間の
側面から 内側へ 入る 電力を 求め,抵抗の 発熱率との 収支を 示せ.全発熱量も 求めよ.
容量 C と 2C の円板コンデンサーの初期電圧は 3V₀ と V₀.正極板間に抵抗 R とスイッチを置き,負極板を共通の導線でつなぐ.第1から第2への電流の正方向 I と極板半径 a₁,a₂,間隔 d₁,d₂ を示す.
解答を見る
考え方
全電荷と
全正電荷は
.各正極板について , ,抵抗について . とすれば . , より .電荷保存と組み合わせて
各電場の
向きを 正法線と すると,変位電流は .閉じた円周に 沿って 一周する 法則から . を使うと,側面からの 流入電力は .したがって である.和は で,全電気エネルギーの減少率に 等しい.全発熱量は
確認すると,初期エネルギー
08第24章の発展問題
放電の
演習 1
半径
放電時定数
と を求め, で伝導電流と 変位電流を 足して を求めよ. 極板間から
側面を 通って 外へ 出る 電力を 求め,外部抵抗の 発熱率,媒質内部の 発熱率,場の エネルギーの 減少率を 比較せよ.両方の 全発熱量も 求めよ. が既知で,初期の 側面の 磁場 を測れたとします. と を決め,測定値が 模型と 両立する 範囲を 示せ. の極限では,磁場と エネルギーの 流れが どうなるかも 述べよ.
弱い導電性媒質を満たした円板コンデンサーと外部抵抗 R.極板半径 a,間隔 d,半径 r の円,電場 E_z の正方向 +z と側面の磁場 B_* の測定点を示す.磁場の向きは指定しない.
解答を見る
考え方
電圧の
媒質の
コンダクタンスを とする.正極板の 電荷保存は だから, , となる.極板間の 電流密度の 和は
半径
より,側面から外へ 出る 電力は .媒質の発熱率は .電気エネルギーは なので
外部抵抗へは
和は
より,外部抵抗のコンダクタンスを と置くと , , .受動的な放電経路には , が必要なので
端点は
演習 2
半径
複素指数関数で
を求め,電荷が 初めて0に なる 時刻 を求めよ. 極板間の
側面からの 符号つき流入電力を 求め, でその 符号が 変わる 時刻を 示せ. までにコンデンサーから 出た エネルギーが,コイルと 熱に どの 割合で 分かれるか 求めよ. 極板間の
磁場エネルギー を積分で 見積もれ. で電気エネルギーが0に なる ことを 踏まえ,これを 無視する 適切な 条件を 示せ.
円板コンデンサーと直列の抵抗 R,インダクタンス L のコイル.正極板の電荷 q と,正極板から出る放電電流の正方向 I を示す.極板半径 a,間隔 d と極板間の円筒側面を添える.
解答を見る
考え方
電荷の
, より . として ,根は .実数解 に初期条件を 入れると , である.したがって
最初の
電場の
正方向を 初めの 電場の 向きと すると,変位電流は ,側面の磁場は . より .指定区間では だから, で流出し, で流入する. までの流出量は 初期値 である.零点の条件から なので, .よってコイルの エネルギーは である.回路の式に を掛けると だから,熱の割合は ,コイルの割合は となる. 内部では
.したがって
演習 3
内導体半径
場から
送電電力と,単位長さ当たりの 電気・磁気エネルギー を求めよ. と を固定して を選びます. を最小に する 条件と 最小値を 求めよ.また,定常場の 流れと 蓄積の 比 が 以下になる ことを 示せ. 絶縁の
制約で とします.制約下の最適電圧と を求め, の極限を 調べよ.
同軸ケーブルの断面と軸を含む断面.内導体半径 a,外導体の内半径 b,長さ ℓ,内導体が高電位となる電位差 V を示す.内導体には +z 向き,外導体には逆向きに同じ電流 I が流れる.
解答を見る
考え方
電力を
とする.ガウスの 法則より ,電圧の積分 から .閉じた円周に 沿って 一周する アンペールの 法則より .したがって ,断面積分は
単位長さの
抵抗の
次元を もつ量 を定義すると, . より
等号は
を代入すると .その微分は なので, では負,それより 上では 正である.よって 最適電圧は . の場合, とおくと
演習 4
半径
場の
誘導電場を
求め,その 電場が 円板と リングに それぞれ与える 角力積と,結合した全体の 最終角速度を 求めよ. 初めの
場の 角運動量を,ガウスの 法則の 積分形を 使って 求め,(1)の 全角 運動量と 比べよ. の極限を 調べよ.また,回転する 電荷の 磁場を 無視する 条件を 見積もれ.円板と リングの 寸法比は1程度と し,回転が 作る 磁場の 尺度を として よい.
半径 a,固定電荷 Q の絶縁円板と,半径 R,固定電荷 −Q の外側リングを同じ軸に結合する.半径 b の外部ソレノイドを円板の上下に置く.初期磁場 B₀ は +z 向きで,断面の ⊙ と矢印で表す.
解答を見る
考え方
各電荷が
と書き, 側から見て 反時計回りを 正と する.半径 の閉じた 円周に 沿って 一周する ファラデーの 法則は だから
電荷
リングへの
磁場内で
,角運動量密度は .半径 の十分長い 閉じた 円筒に ガウスの 法則を 適用する.端面の 電束は 高さを 無限に 伸ばすと 消えるので
外側リングは
これは(1)で
が十分 小さい とき,円板と リングは それぞれ , 程度の角力積を 受け,その 先頭の 項が 相殺する.全体には に比例する 小さい 残りが 現れる.回転磁場の 初期外部磁場に 対する 比の 尺度は
この
演習 5
半径
閉じた
円周と 軸方向の 細い 長方形に 積分形の 法則を 適用し,複素振幅 が満たす積分関係を 導け. が一定と いう0次の 近似から 出発し, を の1次まで求めよ. 側面の
接線電場の 積分 を電圧と 定義します. を求め,その 虚部に 対応する 導線内部の インダクタンスを,磁場エネルギーの 積分でも 求めよ. 導線表面の
磁場には 変位電流も 含め,側面からの 瞬間の 流入電力を 同じ 精度で 求めよ.発熱,電場エネルギー,磁場エネルギーの 収支を 示せ. は小さくても が小さくない 場合に,どの 近似が 破れるか 述べよ.
円柱導線の半径 a,長さ ℓ,軸 z,導電率 γ と断面内の半径 r を示す.半径 r の円周と軸に平行な細い長方形の周回路を破線で描く.電流や電場の分布は加えない.
解答を見る
考え方
磁場の
複素振幅の
時間微分は 倍になる.半径 の円周に 沿って 一周する アンペール・ マクスウェルの 法則から
軸方向の
変位電流に
表面の
値から
電流
インピーダンスからの
と書く.全断面の 変位電流は, より .したがって表面では , .流入電力は
最後の
よって
09第24章のまとめ
この
定義と 法則
定義 変位電流
面を
法則 マクスウェル方程式
法則 | 積分形 | 微分形 |
|---|---|---|
ガウスの | 閉じた面で | |
磁場の | 閉じた面で | |
ファラデーの | 閉じた道で | |
アンペール・ | 閉じた道で |
積分形の
定理 電荷の
アンペール・
が
定義 準静的近似
各瞬間の
法則 場の
真
の
定理 ポインティングの
(
手順
ポイント 場の
対称性から
場の 向きを 絞る.軸対称なら 磁場は 円周の 向き,球対称なら 半径の 向きだけが 許される. 積分形を
使うなら,場が 一定に なる 道や面を 選ぶ.縁が 同じなら面は 自由に 選べるので,電流が 貫く 面でも,変位電流だけが 貫く 面でもよい. 流束と
循環の 向きを そろえる.閉じた面では 外向き,縁の ある 面では 縁を 回る 向きと 右ねじの 関係に とる. の向きは とその 順に 回した2つで 決める.面から 入る 仕事率と,中の 場の エネルギーの 増える 速さと 発熱の 和を 別々に 計算して 比べると,確かめに なる. 使った
近似の 条件を 確かめる.縁の 効果を 無視するには が十分 小さい こと,準静的近似には 装置の 大きさが よりずっと 小さい ことが 要る.
主な 公式
変位電流:
.平行板コンデンサーの極板の 間では 充電中の
円板コンデンサー(半径 )の極板の 間の 平面の 磁場: ( ), ( )球対称に
広がる 電荷:電流と 変位電流が 各点で 打ち消し合い, で磁場は できない 真空の
渦の 式: , ,真空を
進む場 , : , で, 向きに速さ で進む 準静的近似の
補正の 割合: . では , ではエネルギー密度:
ポインティングベクトル:
.互いに垂直な と では ,円筒座標の
外積: , , .軸に沿う 電場と 円周を 回る 磁場では (内向き)円筒の
面を 通る 流れ:側面から 入る 仕事率 ,断面を通る 仕事率 抵抗(半径
,長さ ):表面で ,側面全体から が入る 充電中の
円板コンデンサー:側面から 入る 仕事率 同軸ケーブル:
, ,断面を通る 仕事率 (発展)場の
運動量密度:
各題材の 問いへの 答え
変位電流と
マクスウェル方程式:充電している 間,極板の すき間の まわりにも 磁場は できる.すき間では 電流は 流れていないが,電場が 増えていて,その 変位電流 が導線の 電流 にちょうど 等しいからである.極板より 外側の 円では,磁場は 導線の まわりと 同じ で,すき間の所で 途切れる ことは ない. 場の
エネルギーと その 流れ:電熱線で 熱に なる エネルギーは,導線の 中を 通っては 届かない.電池から 出た エネルギーは 導線の まわりの 空間を 導線に 沿って 流れ,電熱線の 側面から 中へ 入る.側面から 入る 仕事率は ちょうど である.運んでいるのは電子ではなく 空間の 電場と 磁場で,その 流れは で表される.導線の 中の 電子の 動きが 遅くても エネルギーが 速く 届くのは この ためで,導線は エネルギーの 道案内を している.
電磁気の 分野を ふり 返って
第20章の
この 章で 使った 数学
流束と