第2章 物理の見方
01原子の見方
問い
コップに
さて,水面は
考えてみる
素朴な
消えたと
すると
物質は 原子・分子で できている
物質は,元素ごとの
原子は
大きさの
対象 | 大きさの |
|---|---|
原子 | |
水分 | |
砂糖の | |
可視光の | |
髪の |
髪の
球1個を原子1個分(直径約0.1 nm)として並べた図.水分子は球3個で約0.3 nm,砂糖分子は球45個の集まりで約0.7 nm.髪の毛の太さ8×10^-5 mは原子を一列に並べて約100万個分で,図では途中を省略している.
原子は 止まっていない:熱 運動
原子や
室温の
固体・液体・気体を 原子の 絵で 見る
定義 三つの
固体:原子が
隣どうしで 接し,決まった 位置の まわりで 小さく 振動している.形も 体積も 保つ. 液体:原子が
隣と 接しているが,位置を 次々に 入れ替えている.体積は 保つが,形は 容器に 合わせて 変わる. 気体:分子が
互いに 離れて 自由に 飛び回り,ときどきぶつかる.容器全体に 広がる.
固体と
固体は原子が規則正しい格子に並び,決まった位置のまわりで振動する.液体は原子が接して詰まっているが配置は乱れ,位置を入れ替える.気体は分子がまばらで,矢印の向きに飛び回る.図の気体の間隔は実際よりずっと狭く描いてある.
溶けた
化学反応と 物理
化学反応は,原子の
と
な
1 mol と いう 数
原子や
定義 物質量と mol
粒子
をアボガドロ定数と
この
公式 質量から
質量
問いに 戻る:砂糖は 消えたのか
砂糖は
水面の
1 mm に
ポイント ここまでの
物質は
原子・分子で できていて,分子は 絶えず熱 運動を している. 固体と
液体では 粒が 接して 詰まり,気体ではまばらに 飛び回る. は約 個のまとまりで, が質量と 個数を つなぐ. 砂糖は
消えず,分子が ばらばらに なって 見えなくなる.水面は 結晶の 体積ぶん,約 上がる.
02原子の見方の例題
前の
定理 数学の
科学的記数法.数を
掛け算では
接頭語.k(キロ)
有効数字.意味の
掛け算・
割り算:結果の 桁数を,入力の うち桁数の 最も 少ない ものに 合わせる. 足し算・
引き算:結果の 最後の 桁の 位置を,入力の うち最も 粗い ものに 合わせる. 途中の
計算は1桁多く 保ち,最後に 丸める.
練習. (1)
答え:(1)
例題
例題 1
水1滴の
水1滴に
解答を見る
考え方 質量を
物質量は
例題 2
角砂糖1個を
角砂糖1個に
含まれる 砂糖分子の 個数を 求めよ. 砂糖分子1個が
占める 体積と,それを 立方体と みな した ときの 一辺を 求めよ.この 一辺は 可視光の 波長 の何分の1か. 内径
のコップの 水に 溶かした ときの 水面の 上昇は 何 か.溶液の体積は,水の 体積と 砂糖結晶の 体積の 和に 等しいと する.
内径6.0 cmのコップで,溶かす前の水面と溶かした後の水面の差Δhを示す.
解答を見る
考え方 (1) は
物質量は
.個数は である.結晶の
体積は .1個あたり
一辺は
断面積は
.上昇した部分の 体積が であるから
ポイント ここまでの
原子の
世界の 数は の形で 書き,掛け算では 指数を 足し,割り算では 引く. 有効数字は,掛け算・
割り算では 桁数の 少ない ほうに,足し算・ 引き算では 粗い ほうの 位置に 合わせる. 質量
物質量 個数と順に 進めば,目に 見えない 粒の 数も 大きさも,ふつうの 測定値から 求められる. 角砂糖1個の
分子の 数は 約 ,分子1個の一辺は 約 だった.
03原子の見方の演習
個数・体積・長さの
演習
演習 1
金の
金原子1個の
質量を,立方体の 体積と 密度から 求めよ. 金の
モル質量 と から1個の質量を 求め,(1) と 比べよ.
一辺0.26 nmの立方体を並べ,中央の区画の金原子を球で示す.
解答を見る
考え方 1個の
体積は
,密度は であるから である. である.(1) との差は 約4 %で,よく 一致する.
演習 2
標準状態(
標準状態の
空気 に含まれる 分子の 個数を 求めよ. 分子1個が
占める 空間を 立方体と みな して,分子の 間隔を 求めよ.分子の 大きさ の約何倍か.
分子間隔dと分子の直径0.3 nmを区別した模型.立方体は分子1個あたりの空間を表す.
解答を見る
考え方 (1) は
物質量は
.個数は 個である.1個あたりの
体積は .一辺は である.分子の大きさの 約 倍,およそ10倍である.
演習 3
コップ1杯の
印つき分子を含む水を海に混ぜ,再びコップでくむ操作を示す.点の数は実際の分子数を表さない.
解答を見る
考え方 混ざった
コップ1杯の
すな
演習 4
塩化ナトリウム
Na⁺とCl⁻が交互に並ぶ格子の断面と,イオン1個あたりの立方体を示す.
解答を見る
考え方
1組は
と
ポイント 教える
答えを
先に 言わず,予想を 書いて もらう.「水面は 上がる」と 答える 人は 多いが,「どれだけ」と 聞くと 止まる.分子の 大きさ,個数,断面積を どう 結ぶかが 入り口である. つまずきやすいのは
の冪の 扱いである. と が逆数である ことを,具体的な 数で 何度も 確かめさせる. mol は「ダース」と
同じ 個数の 単位だと 強調する. を覚えさせるのではなく,質量から 個数を 求める 橋渡しと して 使えればよい. 確かめ:「1滴の
水の 分子数は 地球の 人口より 多いか 少ないか」「結晶の 原子の 間隔と 密度から,な ぜ原子の 個数が 分かるのか」と 問う.答えられれば,個数・体積・長さの つながりが 分かっている.
04単位と次元
問い
軽い糸に
周期を
天井の1点から長さlの糸でおもり(質量m)をつるした振り子.おもりは左右に振れ,鉛直下向きに重力加速度gがはたらく.1往復にかかる時間が周期Tである.
考えてみる
式を
この「量の
量は「数×単位」
物理量は,数と
世界共通の
力学では,m,kg,s の3つで
単位の
加速度の 単位:な ぜ か
速さの
「秒」が2回出てくるのは,1回目が
重力加速度
放してからの | 速さ |
|---|---|
「9.8 メートルずつ
ポイント 加速度の
次元
単位を
定義 次元
ここで
量 | 次元 |
|---|---|
速さ | |
加速度( | |
力 | |
エネルギー | |
圧力 | |
角度,摩擦係数 | 無次元 |
法則 次元の
足し算・
引き算・等号は,同じ 次元の 量どうしでしか 成り立たない. 掛け算・
割り算では,次元の 指数が 足し 引きされる. 指数関数,対数,三角関数の
中身は,無次元でなければならない.
したがって,次元が
問いに 戻る
「考えてみる」の
ポイント ここまでの
物理量は「数×単位」.力学の
単位は m,kg,s の 積と 商で 作れる. 加速度の
単位 は,速度の単位 を時間で 割った もの. は,空気抵抗を無視した 鉛直落下で,1秒ごとに 速さが 増えることを 表す. 量の
種類だけを 見た ものが 次元で,次元が 合わない式は 必ず間違い.ただし 次元が 合っても,係数までは 決まらない. 振り子の
周期は 質量に よらず,振れの 角度を そろえれば の形に なる.
05次元解析と冪の計算
前の
次元解析:式の 形を 当てる
次元が
ポイント 次元解析の
求めたい
量が,どの 量に 関係しそうかを 挙げる. 求めたい量を,関係する
量の べき乗の 積 とおく( は無次元の 定数). 両辺の
の指数を 別々に 比べ,指数の 連立方程式を 解く.
次元解析で
無次元量.角度(弧÷半径),長さの
定理 数学の
次元解析で
次元の
練習. (1)
答え:(1)
例題
例題 1
長さ
長さlの糸に質量mのおもりをつけ,小さく傾けた振り子を示す.
次元解析で
の への依存の 形を 求めよ. で と測れた.係数 を求めよ( ).周期が
の振り子の 長さを 求めよ.
解答を見る
考え方
上の
連立方程式を 解く. , , である.よって
である.質量には
である. に近い. である.
例題 2
高さ
の形を 次元解析で 求めよ. から落とすと だった. では何秒か.
地面から高さhの石を静かに放す.重力加速度gは下向き.
解答を見る
考え方 (1) は
とおく. から . から , から だから である.
石の
高さが4倍だから,時間は
倍で である.
ポイント ここまでの
次元解析は,求める
量を とおき, の指数を 別々に 比べて 連立方程式を 解く 方法である. 決まるのは
指数だけで,無次元の 係数 は決まらない.無次元量が 関係すると,その 関数の 形も 決まらない. 振り子の
周期は ,落下時間は で,どちらも質量に よらない. 係数は,1回の
測定か比を 取る ことで,別に 処理する.
06単位と次元の演習
単位の
演習
演習 1
次の
解答を見る
考え方 1に
(a)
演習 2
次の
(a)
解答を見る
考え方 各項の
(a) 右辺第2項は
演習 3
なめらかな
周期
が と だけで決まると して,その 形を 求めよ. を4倍, を9倍にすると,周期は 何倍か. , で だった.係数 を求めよ. 振幅
(長さ)も関係すると して 次元解析すると,周期は 振幅に よるか.
ばね定数kのばねと質量mの物体.自然長の位置からの変位Aを示す.
解答を見る
考え方 (4) は
. から , から .よって , である. 倍である. だから である. とおくと, の次元を もつのは だけなので である.周期は振幅に よらない(等時性).ただし 鉛直に つるすと も長さを 含み,無次元の 組 ができるので,次元解析だけでは 結論できない.
演習 4
波長
隣り合う山の間隔λと波の進む向きを示す.
解答を見る
考え方
演習 5
質量
質量Mの太陽を中心とする半径rの円軌道.周期をTとする.
解答を見る
考え方 指数の
とおく. : . : . : .よって で
である.
だから,地球の 年に対して 年である. である.
演習 6
水素原子の
原子核と電子の距離aを模式的に示す.軌道の模型は長さの尺度を表すためのもの.
解答を見る
考え方
数値は
ポイント 教える
先に
振り子の 式を 教えず,「質量は 効くか」とだけ聞く.直感は 割れる.次元で「質量を 消せない」と 示すと,理由が 見える. つまずきは,
の次元( ), と指数 の対応,連立方程式の 立て方である. ごとに指数の 式を1本ずつ 書かせる. 次元解析は
係数を 与えない.「次元が 合えば 正しい」と 誤解させず, や は別の 方法で 決めると 伝える. 確かめ:任意の
式を 渡して,次元の 合否を 理由つきで 述べられるか,未知の 式に ついて「関係しそうな 量」を 自分で 挙げられるかを 見る.
07見積もり
問い
教室に
実際にはかる
考えてみる
多くの
では
人ひとりが
この「見当を
見積もりの 作法
定義 フェルミ問題
正確な
フェルミ問題には,次の
分解する.知らない
量を,知っている 量の 積や 和に 分けます.教室の 空気の 質量なら「密度×縦×横×高さ」です. 桁で
押さえる.各量は 有効数字 1 桁,ときには「 の何乗か」だけで 十分です.教室の 縦が か かは,答えの桁を 変えません. 上下の
限界を とる.「これより 大きい ことは ない」「これより 小さい ことは ない」と いう 値で 挟みます.挟んだ 結果が 結論を 変えないなら,細かい 数字は 要りません.
見積もりに
検算に
なる.精密な 計算の 結果が,見積もりと 桁で 食い 違えば,どこかに 誤りが あります.単位換算の ミスは,たいてい 倍のずれに なります. 研究の
第一歩に なる.実験を 計画する とき,現象が 何秒続くのか,装置が どれくらいの 大きさかを,測る 前に 知る 必要が あります. 何を
無視して よいかが 分かる.次の 節の 例題 2 のように 桁違いに 小さい ものは,捨てても 結論は 変わりません.これは,この 章の 最後の「モデルと 問題の 解き方」の 節の 土台です.
見積もりに
量 | 目安 |
|---|---|
水の | |
空気の | |
成人の | |
東京ドームの | |
地球の | |
地球の | |
地球の | |
日本の | |
1 日,1 年 | |
快晴の | 約 |
ポイント 空気の
気体
問いに 戻る
教室の
ポイント ここまでの
見積もりは,知らない
量を 知っている 量の 積や 和に 分け,桁で 押さえ,上下の 限界で 挟む作業である. 見積もりは
検算に なり,実験の 計画の 第一歩に なり,何を 無視して よいかを 教えてくれる. 数字は
有効数字 1 桁で よい.手が かりに なる 量(水の 密度,地球の 大きさ,1 年の 秒数など)を いく つか 覚えて おく. 教室の
空気は 約 で,人ひとりより数倍重い.
08見積もりの数学
見積もりでは,下限と
定理 数学の
幾何平均. 正の
理由は,見積もりの
対数の
より, .したがって . より, .すなわち .
これで
練習 1.
練習 2.
練習 3.
練習 4. 対数の
例題
例題 1
縦
教室の縦9 m,横7 m,高さ3 mを示す.
解答を見る
考え方 質量=密度×体積に
体積は
である.人ひとりの
上下の
答え:約
例題 2
日本の
人びとの上向きの速さvと地球の反対向きの速さVを模式的に示す.矢印の長さは速さの比ではない.
解答を見る
考え方 人びとが
1 人
である.人びとの
と
これは
答え:地球の
ポイント ここまでの
下限
と上限 が分かったら,中 心値には 幾何平均 を選ぶ.どちら側にも 同じ 倍率の 余裕が 残る. 対数の
目安は , , .掛け算を指数の 足し算に して 暗算できる. 上下の
限界で 挟み,結論が 変わらない ことを 確かめるのが 見積もりの 核心である. 桁違いに
小さい ものは 捨てられる.人類が 跳んでも 地球の 動きは 約 で,無視できる.
09見積もりの演習
仮定を
演習
演習 1
安静時の
解答を見る
考え方 1分→1日→1年→一生と,時間の
1 日は
送り出す血液は
答え:1 年で
演習 2
髪の
解答を見る
考え方 (地球一周の
赤道の
である.
答え:約
演習 3
東京 23 区(面積
面積Sの地面に厚さdの雨水がたまった断面.dは50 mmである.
解答を見る
考え方 雨の
面積を m² に
質量は,水の
答え:質量約
演習 4
屋根の
日射が受光面積4 m²の集熱面に当たり,200 Lの水を温める.
解答を見る
考え方 必要な
必要な
である.水に
と
答え:約 6 時間.
演習 5
地球の
底面積がともに1 m²の大気柱と高さ10 mの水柱を比べる.柱の高さの縮尺は異なる.
解答を見る
考え方 水柱と
地表の
である.地球の
密度が
答え:約
演習 6
日本の
タイヤ側面と表面を帯に広げた模型.外周2.0 m,幅0.2 m,減る深さ6 mmを示す.
解答を見る
考え方 タイヤ1本の
仮定. タイヤの
タイヤ 1 本の
である.
1 台あたり. 1 台は 4 本なので,寿命の
全体.
答え:約
ポイント 教える
最初に「重いか
軽いか」を 直感で 言わせて 記録し,見積もりの あとで 比べさせる. つまずきの
多くは 単位である.面積を のまま,体積を のまま,他の 量と 掛けてしまう.数字を 式に 入れる 前に,すべて SI 単位に そろえさせる. 「正確な
値が 分からないから 答えられない」と 止まる 人には,上限と 下限を 言わせる.「 人よりは多く, 人よりは少ない」と 言えれば,もう 半分は 答えている. 理解の
確かめと して,身の 回りの 量を 使った 問題(たとえば「この 教室で 1 時間に 吸う 空気の 質量は」)を 自分で 一つ 作らせる. 答えが
出たら「仮定を 倍に しても 結論は 変わらないか」を 必ず 聞く.これが 見積もりの 核心である.
10モデルと問題の解き方
問い
同じ
ところが
考えてみる
実際に
教科書の
モデル化
定義 モデル
現実の
代表的な
質点:大きさを
無視し,質量だけを 持つ点と みなす.物体全体の 運動を 問い,回転や 変形が 結果に 効かない ときに 使う. 剛体:大きさは
持つが,力を 受けても 変形しない物体と みなす.回転を 扱う ときに 使う.
どれを
空 気抵抗は 無視できるか
速さ
と
ポイント 終端速度との
抵抗が
問いの
丸めた紙は
質量は
問題を 解く 手順
モデルを
法則 図・原理・式・
図:状況を
図に する.求める ものを 一つ 決め,既知の 量と 未知の 量に 文字を 付け,座標軸と 向きを 決める. 原理:どの
法則・関係を 使うかを 決める.等速 運動の 関係,保存則など,一言で 言えるように する. 式:原理から
文字の まま 式を 立て,文字の まま 解く.数値は 最後に 入れる. 検算:次元が
合うか,極端な 場合( や無限大,二つの 量が 等しい 場合)で 結果が 正しいか,数値の 桁が 妥当かを 確かめる.
文字の
ポイント ここまでの
「重い物も
軽い 物も 同時に 落ちる」は,空気抵抗を 除いた モデルの 中での 話である. 何を
無視して よいかは 目的が 決め,無視する 量と 残す量の 比(無次元の 数)で 判断する.空 気抵抗なら,空気が ない ときの 速さで 評価した 抵抗と 重力の 比 が よりずっと 小さい ときに 使える. 広げた紙は
で空気が ない モデルが 成り立たず,終端速度に 近づいて 漂い,丸めた紙は ,鉄球はさらに 小さい.落ち方の 違いは の違いである. 問題は「図・原理・式・
検算」の 順に,文字の まま 解いて 検算する.
11近似と検算
「図・原理・式・
定理 数学の
一次近似.
が
極端な
練習 1.
練習 2.
練習 3. 一次近似で
答え:(1)
練習 4. 半径
例題
例題 1
P町とQ町の間隔150 kmと,各車の出発時刻・進行方向・速さを示す.
解答を見る
考え方 この
図. 8 時を
原理. 2 台とも
式.
数値を
検算. 次元は
答え:9 時 42 分,P 町から
例題 2
半径
半径3 cmの鉄球と発泡スチロール球を高さ3 mから放す.密度はそれぞれ7.9×10³ kg m⁻³と30 kg m⁻³.
解答を見る
考え方 前の
式. 球の
次元は
鉄球では
発泡スチロール球では
答え:鉄球は
ポイント ここまでの
一次近似は,指数
を固定して のとき .特に , .モデルの
前提が 保たれる 範囲で,極端な 場合( ,大きな値,二つの 量が 等しい)の 結果が 納得できるかを 調べるのが,検算の 主力である. 次元,極端な
場合,桁の 三つで 確かめると,文字式の 誤りの 多くが 見つかる. 空
気抵抗を 無視して よいかは で判定する.鉄球は で使え,発泡スチロール球は で使えない.
12モデルと問題の解き方の演習
「図・原理・式・
演習
演習 1
弟が
兄の出発時刻をt=0とし,家にいる兄と先行する弟を示す.
解答を見る
考え方 兄の
図. 兄の
原理. 2 人とも
式. 弟の
検算. 次元は
答え:約
演習 2
静水での
流速wの川で,舟は水に対して速さuで上流と下流へ進む.往復区間の長さLを示す.
解答を見る
考え方 上りと
上りは
岸から 見て 速さ ,下りは で進む.
比は
. が小さい とき なので,比は . では で,約 1 % 長くなる.流れに乗って 得を する 分と 逆らって 損を する 分は,一次の 項では 打ち消し合い,二次の 差だけが 残る. では で,静水の結果に 戻る. では分母が に近づいて となる.上り速度 が になり,上流に 進めなくなるからで,物理と して 妥当である. では が負に なり,式は 使えない.
答え:(1)
演習 3
半径
高さ1.0 kmの雲から半径1.0 mmの雨滴が落ちる配置を示す.
解答を見る
考え方
(時速 超).現実の雨の 速さとは 大きく 違う. 例題 2 の
球の 式より . で,空気がないとした ときの 速さでは,抵抗は 重力の 約 450 倍に なる.実際は それより ずっと 前に 終端速度に 落ち着くので,モデルは 使えない. より .実際の雨滴の 速さに 近い. となる 高さで, より .雨滴は 2 m ほど落ちる あたりで 抵抗が 重力と 同じくらいに なり,速さは 終端速度に 近づく(抵抗を 入れて 計算すると,この ときの 速さは 終端速度の 約8割).そこから 先は,ほぼ終端速度の まま 落ちる.
答え:(1)
演習 4
高さ
次元だけで 1 つを
除け.(2) と の場合を 調べて,さらに 2 つを 除け.(3) 残った 式で, が非常に 大きい とき となる ことを 一次近似で 示せ.(4) 後の 章で 学ぶ から (ア) を導き,確かめよ.
高さhの窓から石を初速度v₀で下向きに投げる.
解答を見る
考え方 次元,
速度の
次元は , は なので,(エ) は で時間にならない.除く. なら自由落下で のはず.(ウ) は で 倍ずれる.除く. なら,投げる前に 着いているから のはず.(イ) は に近づき にならない.除く.残るのは (ア). .よって (ア) は .重力の影響が 小さい 高速では 等速で 進むと いう 結果に なり,妥当である. の正の 解を 求めると .(ア) と一致する.
答え:(ア).
演習 5
質量
落下する人に働く重力mgと空気抵抗Fを示す.右は進行方向から見た断面積Aの模式図.
解答を見る
考え方 終端速度は
. は より .約 落ちると抵抗が 効く. 大きさが
倍で質量は 倍,断面積は 倍. .また である. とおくと, は人の 倍で .終端速度が小さい 小動物は,高所から 落ちても 助かりやすい.
答え:(1)
ポイント 教える
問いの
紙は,実際に 落とさせてから 進む.「物理では 同時に 落ちる」が 嘘なのか,何を 言っているのかを,自分の 言葉で 説明させる. 「無視する」と「小さい」は
別である.小さいか どうかを,比べる 量との 比で 言えるように, のような無次元の 比を 作る 習慣を つけさせる. つまずきは,手順の「式」で
数値を 先に 入れる ことである.文字の まま 解き,検算で 次元と 極端な 場合を 確かめるまでを 1 セットに する. 確かめには,答えが
出た あとに「 にしたら,無限大に したら」と 問う.答えられれば,式の 意味を 理解している.
13第2章の章末問題
この
演習
演習 1
銅の
原子を球として表し,球の間に隙間が残る様子を示す.
解答を見る
考え方 1 mol の
1 mol の
である.半径
答え:
演習 2
岩の
地面に立つ高さhの一様な岩の柱(密度ρ).重力加速度gは鉛直下向き.柱の底面に,地面から上向きの圧力が一様に働く様子を5本の矢印で示す.底面積はA.
高さ
の一様な 柱の 底面の 圧力を で表し,地球( )での上限を 求めよ.重力が の火星では 何倍か. 一様な
球の 表面の 重力加速度は ( )である.岩の天体が 自分の 重さで 球形に なる 目安を として,その 最小の 半径を 見積もれ.
解答を見る
考え方 (2) では
底面積
の柱の 重さは で,圧力は .これが になる 高さが 上限で
エベレスト(約
質量
より . に入れて
約
演習 3
大きさ
卵の断面(楕円)の外側から,殻を通って中心の黄身へ向かって熱が伝わる様子を,8方向のオレンジ色の矢印で示す.卵の大きさ(短径)をLとして右側に寸法で示す.
次元解析で
を で表せ(無次元の 係数を とする). 短径
の鶏卵は 固ゆでに 分かかる.短径 のダチョウの 卵では 何分か. 卵の
を水と 同じ , を鶏卵の 半径と して を求め,その で地球(半径 ,岩の )が伝導だけで 冷える 時間を 年で 見積もり,地球の 年齢 年と比べよ( 年 ).
解答を見る
考え方
とおくと, , から , .よって . より 分である. で .地球では 年で, をかけて 約 年.地球の年齢の 約 50 倍で,伝導だけなら 地球は ほとんど 冷えない.
演習 4
質量
質量Mの球形天体の中心から表面までの半径Rを示す.
解答を見る
考え方
第 1 式から
である.次元解析では
太陽では
答え:
演習 5
気体中の
気体を表す粒の箱の中に,粒が密な部分(高圧)と疎な部分(低圧)が等間隔で交互に並ぶ.箱の下に圧力pの変化を波形で示し,隣り合う高圧部の間隔を波長として示す.音は右向きに進む.
( は無次元の 定数)と して を求めよ. 理想気体では
( はモル質量, )である. の空気( )とヘリウム( )の音速を として 求めよ.声の 共鳴の 振動数は 音速に 比例する. が同じと して,ヘリウムを 吸った 声は 何倍の 振動数に なるか.
解答を見る
考え方
, , より , .よって . . で,空気は約 (実測 ),ヘリウムは .比は なので,声の振動数は 約 倍になる.
実際には
演習 6
脚を
股関節を支点に,長さLの棒とみなした2本の脚が前後に開いて地面に接している.足先の間隔が歩幅αLで,鉛直下向きに重力加速度gがある.人は右へ進む.
脚が
振れる 周期 を ,脚の質量 から次元解析で 決め,速さが ( は無次元)と 書ける ことを 示せ. 脚の
長さ の大人が で歩く.脚の 長さ の子どもの 速さと,1 秒あたりの 歩数の 大人に 対する 比を 見積もれ. 歩行から
走行に 移る 速さは,経験的に である.大人が月面( )で移る 速さを 求めよ.
解答を見る
考え方 質量だけでは
とおくと, , , より , .よって .歩数は なので である. .子どもは .歩数は に比例し,大人の 倍である. (地上は ).月面では で歩けず,跳ねるような 走り方に なる.
14第2章の発展問題
この
演習
演習 1
光速
解答を見る
考え方
第 1 式から
である.数値は
である.プランク時間は
答え:
演習 2
球形の
半径Rの液滴と,少しゆがめた液滴を並べる.密度ρと表面張力σを示す.
解答を見る
考え方
第 3 式から
である.水滴では
重力の
答え:
演習 3
ある
爆発後の時刻tにおける半径Rの火球と,周囲の空気を示す.
解答を見る
考え方
次元を
比べて
である.確認すると
両辺を 5 乗して
.数値を入れて
で,
係数
があれば で, となる. なら は 倍,約 になる.測った には 5 乗で効く ため,係数の わずかなずれが の大きな 不確かさに なる.Taylor は 流体の 方程式を 解いて 係数を 精密に 求めた. と書ける.時刻が から に進むと, は 倍になる(一次近似).よって で,膨張の速さは
である(第3章の
答え:(1) 次元は
演習 4
自動車が
自動車の進行方向,空気抵抗F,代表長さℓと断面積Aを示す.
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とおくと, の次元は なので
より
時速
は で,空気抵抗は
転がり抵抗は
ガソリン
から得られる 仕事は .よって あたり ,燃費は約 である.実際の乗用車の 高速走行の 燃費と 同じ桁で 妥当である. 空
気抵抗は に比例するので,速さが 半分なら の約 になる.転がり抵抗は 速さに よらないので合計は 約 で,エンジンの効率が 同じなら 燃費は 約 倍の 余りになる.実際は 低負荷で 効率が 下がり,ここまでは 伸びない.
答え:(1)
演習 5
水面の
水面の山の間隔λと波の進行方向を示す.水は十分深い.
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. : , : より . . . : , : , : より , , . .等しいとおくと
, .この長さを 毛管長と いう.係数を 含めた 厳密な 境目は (4) で 求める. と はどちらも 正なので,相加平均と 相乗平均(幾何平均)の 関係より
等号は
である.(3) の
棒が
速さ で動く とき,棒に 静止して 見える 定常な 波が できるには,波の 位相速度が に等しい 必要が ある.どの 波長でも なので, では定常な 波は 出ず,遠く へ波が 伝わらない. では波が 出て,棒の 前方に 毛管波,後方に 重力波が できる.
答え:(1)
15第2章のまとめ
第2章「物理の
定義
定義 第2章の
原子・分子:元素ごとの
化学的な 性質を 担う 基本単位の 粒が 原子(内部構造は あるが,ここでは 一つの 粒と して 扱う).いく つかの 原子が 結び ついた ものが 分子. 熱
運動:原子や 分子の 絶え間ない 不規則な 運動.温度が 高いほど 激しい. 物質量(mol):粒子
個のまとまりを とする 量.1 mol あたりの 個数 をアボガドロ定数と いう. モル質量:粒子
の質量.原子量・分 子量に をつけた 値. 組立単位:基本単位(m,kg,s など)の
積と 商で 作る 単位. , .次元:単位を
取り 去った 量の 種類. と書き,指数が すべて の量を 無次元量と いう. フェルミ問題:知っている
数字だけで 量の 桁を 求める 問題. モデル:目的に
関係する 性質だけを 取り出し,ほかを 無視した 理想的な 対象.質点と 剛体が 代表.
法則・ 公式
公式 質量から
質量
法則 次元の
足し算・
引き算・等号は,同じ 次元の 量どうしでしか 成り立たない. 掛け算・
割り算では,次元の 指数が 足し 引きされる. 指数関数・対数・三角関数の
中身は 無次元.
基本の 次元
量 | 次元 |
|---|---|
速さ | |
加速度( | |
力 | |
エネルギー | |
圧力 |
公式 数学の
科学的記数法:
( ).掛け算では指数を 足し,割り算では 引く. 有効数字:掛け算・
割り算は 桁数の 最も 少ない ものに,足し算・ 引き算は 最後の 桁の 位置が 最も 粗い ものに 合わせる. 幾何平均:下限
,上限 の中心値は . , , .一次
近似:指数 を固定して のとき .
手順
ポイント 次元解析の
求めたい
量が 関係しそうな 量を 挙げる. 求めたい量を
とおく( は無次元の 定数). の指数を 別々に 比べ,連立方程式を 解く.係数 は決まらない.
ポイント 見積もりの
分解する,桁で
ポイント 図・原理・式・
図:状況を
図に し,既知と 未知に 文字を 付け,座標軸と 向きを 決める. 原理:使う
法則・関係を 一言で 言う. 式:文字の
まま 式を 立て,文字の まま 解く.数値は 最後に 入れる. 検算:次元,極端な
場合,数値の 桁を 確かめる.
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原子の
単位と
見積もり.教室の
モデルと
第3章へ
第3章では,ここで