第15章 気体の分子運動論
01気体の圧力と分子の運動
問い
自転車の
ここから
ポイント 熱の
記号 | 意味 |
|---|---|
絶対温度(単位 | |
分子の | |
数密度(単位 | |
物質量(単位 | |
モル体積(単位 | |
ボルツマン定数,気体定数 |
数密度
考えてみる
壁が
困るのは,分子の
壁に ぶつかる 分子の 力積
一辺
立方体の右の壁で分子が弾性衝突する.壁に垂直な x 成分は v_x から −v_x に反転し,壁に平行な y,z 成分は変わらない.右側で衝突前後の3成分を比較する.
この
です.すべての
と
容器の
面積 S の壁へ同じ速度で向かう分子を考える.壁の前の斜めの筒の中にいる分子は時間 Δt 以内にこの面へ届く.壁に垂直な x 方向の長さは v_x Δt,筒の体積は S v_x Δt である.
分子の
公式 圧力の
圧力は,数密度と
分子どうしの
温度を どう 決めるか
ここまで
法則 熱力学第零法則
物体 A と B が
当たり前に
ただし,どの
温度は 分子の 運動エネルギー
希薄な
法則 理想気体の
希薄な
が
これと
ポイント 温度の
理想気体では,分子1個あたりの
である.温度は,分子の
体積 V と分子数 N が同じ容器で低温と高温を比べる.高温では速度の矢印が平均として長く,壁への衝突回数も1回の力積も増える.赤い矢印は壁を押す力の増加を表す.
3方向に
ここから,2乗平均の
で,
同じ
ポイント ここまでの
圧力は
分子が 壁に 与える 力積の 時間平均で .向きの偏りが なければ で,容器の形に よらない.分子の 体積と 分子間力を 無視できる 希薄な 気体に ついての 式で,混合気体では 分圧の 和が 全圧に なる. 温度は,熱平衡と
第零法則の 上で,測温物性の 校正と して 定義される.希薄な 気体の 圧力で 測った 目盛りが 絶対温度で,摂氏とは だけずれる.状態方程式
と比べると,分子1個あたりの 平均並進 運動エネルギーは で,分子の種類に よらない.1方向あたりは . は室温の 窒素で 程度.音速と同じ 桁だが,比の 値は 断熱変化から 決まる. 問いの
答え:タイヤを 支える 力は,膨大な 数の 分子の 衝突の 力積の 平均である.分子数と 体積が 変わらない 範囲では から なので,温度が上がれば 圧力も 上がる.分子の 側から 見れば,速さが 増して1回の 力積も 衝突の 回数も ともに 増えたことに なる.だから 炎天下の タイヤは 朝より 硬くなる.
02平均と分散,そして速度成分の平均
分子を1個ずつ
定理 数学の
で
ばら
で
が
第14章「測定と
この
速さに
練習 1
4個の
解答を見る
練習 2
気体の
解答を見る
例題
状態方
例題 1
鉛直に
ピストンが
静止している ときの 気体の 圧力 を求めよ. この
とき気体の 体積は ,温度は であった.分子の数と 内部 エネルギーを 求めよ. ピストンの
上に 質量 のおもりを 静かに 載せ,十分に 待って 温度が に戻った.圧力 と体積 を求めよ. の
状態から おもりを 載せたまま 加熱する.シリンダーの 内側には,体積が になる 位置で ピストンを 止める ストッパーが ある.ピストンが ストッパーに 達する 温度 と,それ以後に温度を 上げた ときの 圧力の 変化を 答えよ.
自由なピストンは大気と重力につり合う.おもり追加後に上側ストッパーへ達すると接触力Fₛが加わり,体積V₀が固定される.
解答を見る
考え方 ピストンを1つの
ピストンに
働く力は,下から 気体が 押す ,上から大気が 押す ,重力 である.つり合いは なので
である.ピストンの
.単原子分子なので .おもりを
載せても ピストンは 動けるので,つり合いが 圧力を 決める.質量が になったから
である.温度が
ピストンが
動ける 間は 圧力が のままなので である. になる 温度は
である.ここで
例題 2
体積
2乗平均の
速さを 求めよ. 質量密度
の気体では が成り 立つことを 示せ. を
使って, , , の空気の を求め,同じ 条件での 音速 と比べよ.
体積 V = 1.0 × 10⁻³ m³,温度 T = 300 K,圧力 p = 1.0 × 10⁵ Pa のヘリウムが容器に入っている.青い矢印は原子の乱雑な速度を表す.モル質量 M は 4.0 × 10⁻³ kg mol⁻¹ である.
解答を見る
考え方 (1) は
.容器の体積と 圧力は 使わない. で, は単位体積あたりの 質量,つまり である.よって .分子1個の質量を 知らなくても が求まる. .音速はその 約 倍で同じ桁である.音は 分子の 熱運動が 圧力の 変化を 次々に 受け渡して 伝わるので,同じ桁に なるのは 自然である.ただし が音速の 上限だとは 言えない.比べる 相手を や最も 確からしい 速さに 変えれば比の 値も 変わる.実際に 断熱変化から 音速を 導くと で( は比熱比,第16章),空気の では となって上の 数値と 合う.
例題 3
質量の
質量 m_A,m_B の2種類の分子が共通の温度 T で混ざり,小孔から真空へ流出する.軽い分子は平均として速く,より多く流出する.大小の丸は重い分子と軽い分子を表し,A,B の質量の順序は指定していない.
解答を見る
考え方 同じ
ポイント ここまでの
重みつき平均
.分散 .圧力に
効くのは で, でも 0 にならない.同じ 理由で .動ける
ピストンで 閉じた気体の 圧力は,ピストンの 力の つり合いが 決める(鉛直なら ).ストッパーで止まった 後は つり合いが 使えず,体積が 決まる. 測りやすい
量だけで 書くと ,単原子分子なら .音速との比は 断熱変化から 決まり, である.同じ
温度の 気体では .軽い分 子ほど 速く,穴からも 速く 逃げる.
03気体の圧力と分子の運動の演習
力積と
演習 1
壁間の
右の
壁への 力積,往復時間,平均の 力を 求めよ. の割合が 順に の集団の 平均,分散,圧力を 求めよ.数密度は とし,分子間衝突は 無視する.
x 方向の壁間距離は L である.右の静止した滑らかな壁へ,速度成分が (u,2u,0) の分子が斜めに入射して弾性反射する.青い成分矢印の長さは u と 2u の比を表す.
速度の x 成分が −2u,−u,u,2u の4群を示す.丸の個数比 4:2:2:4 は表の割合 1/3,1/6,1/6,1/3 に対応する.速さ 2u の矢印は速さ u の矢印の2倍の長さである.
解答を見る
垂直成分だけが
反転するので 力積は ,往復時間は ,平均の力は . ,2乗平均は .分散も ,圧力は .平均0でも圧力は 残る.
演習 2
固い
加熱後の
温度を 求め,この 容器を 温度計に する 校正の 手順を 述べよ. を示し,前後の 根二乗平均速さと 内部 エネルギーの 倍率を 求めよ.
変形しない密閉容器を加熱する.初めは T = 280 K,p = 8.0 × 10⁴ Pa,質量密度 ρ = 1.2 kg m⁻³ である.加熱後は p = 1.4 × 10⁵ Pa で,温度は未知である.体積 V と分子数 N は一定に保たれる.
解答を見る
は一定なので .圧力を定点で 校正し,対象との 熱平衡を 待つ.第零法則が 温度の 比較を 保証する.絶対温度は 希薄気体温度計の 極限で 一致する 目盛りである. 等方的な
運動では , より求める 式と なる. は前後で . は 倍.
演習 3
体積
分圧,全圧,1分子の
平均エネルギーと 根二乗平均速さの 比を 求めよ. 面積
の小孔を 真空へ 開く.平均の 速さをAは ,Bは と与え,成分 の流出率(単位時間 あたりに 出ていく 個数)は とする.温度は 一定で,内部は 一様である.小孔を 開けた 直後のAとBの 流出率の 比を 求めよ.しばらく 流出した あと,容器に 残る 気体の 組成は どちらへ 変わるか.
体積 V の容器で A と B が共通の温度 T にある.緑の丸 A は質量 m,個数 2N,薄色の丸 B は質量 4m,個数 N を表す.図でも A の丸を B の2倍の個数にする.
温度 T を一定に保った体積 V の容器の壁に,面積 S の小孔がある.分子は真空側へ流出し,容器内は常に一様である.初めの圧力は p₀ で,分子数の減少に伴い孔へ届く個数も減る.
解答を見る
考え方 同じ
, ,全圧は .平均エネルギーはともに なので比は .根二乗平均速さは に比例し,比は .直後の
流出率は である.
したがって比は
演習 4
鉛直シリンダーの
載せたまま
加熱する と 動き始める 温度は いくらか. 初期状態で
おもりを 外し, での体積,続く 加熱で 上側に 達する 温度と での圧力を 求めよ.
初めはおもりを載せて下側ストッパーに接触する.おもりを外すとピストンは動き,上側のストッパーが膨張の上限を決める.
解答を見る
自由な
つり合い 圧力は .定積で圧力が ここまで 増すと,下側の 接触力が0に なる. を超すと 上へ 動く. 外すと
上向きの 力が 勝つ.温度が 戻ると 圧力は ,等温の状態比較から .続く等圧膨張で 上側に 達する 温度は .以後は定積で, では .ストッパーの力が 加わる ため,自由な つり合い式は 使えない.
演習 5
一端を
水平から
傾け開口を高くした とき,(2) 鉛直の 上下を 逆に した ときの 気体の 長さを 求めよ.管の 全長は で,水銀は全て 残るか.
左は開口が上,中央は水平から30度,右は開口が下である.液柱の管に沿った長さhは変わらず,圧力差に入る鉛直高さと気体の長さℓが変わる.
解答を見る
圧力差には
.等温条件 より .気体が
上なので , .気体と水銀の 長さの 和は なので管内に 残る.
演習 6
密閉ヘリウム気球の
内部の
物質量と 密度,浮上の 可否を 求めよ. 気体を
逃が さず 温めた とき,浮上の 境目の 温度と での上向き合力を 求めよ.
内圧は外気圧と与えられた膜の圧力差の和.上向きの浮力には外気密度を,下向きの重力には内部気体・膜・荷物の質量を使う.
解答を見る
内圧
より .気体は ,密度 .浮力は外気 の重さに 等しいが,全質量 を支えられない. 内圧と
物質量一定より .境目は なので . では体積 ,合力は で上向き.一定圧力差の 膜模型で,気体の 質量は 一定である.
ポイント 教える
平均の
04理想気体はどこで破れるか
問い
使い捨て
考えてみる
前の
薄い気体では,分子が
分子の 大きさ:使える 体積が 減る
分子を
と
直径dの硬球が接すると中心間距離はdになる.一方の中心の周りの半径dの領域へ,相手の中心は入れない.球の断面で示す.
分子が
分子に
分子間の 引力:壁への 当たりが 弱まる
次に
内部の分子は四方の引力が打ち消し合う.壁付近には壁側の分子がなく,内向きの引力が残るため壁へ渡る力積が小さくなる.
減り方の
法則 ファンデルワールスの
モル体積を
これは
いつ理想気体で よいのか
空気を
で,どちらも 0.3 % に
液体に なれる 気体,なれない 気体
高温では単調減少,臨界温度では水平な変曲点,低温では正の傾きをもつ区間が生じる.低温線は模型の式そのものを示す.
臨界点より
ポイント ここまでの
理想気体の
式は,分子に 大きさが ない こと,分 子間に 力が 働かない ことを 仮定していた.この2つを ゆる めると 状態方 程式が 変わる. 分子を
直径 の硬い球と すると,使える 体積は から ( )に減り,圧力は 上がる. 壁の
近くの 分子は 内向きに 引かれるので,壁への 力積が 減る.減り分は 数密度の2乗に 比例し, と書ける. 合わせると
(ファンデルワールスの状態方程式). と がともに 小さい とき理想気体に 戻る.常温常圧の 空気では どちらも 程度.問いの
答え:理想気体の 式には 引力が 入っていないので,分子が 集まって 液体に なる 道が ない.引力を 入れると,臨界温度より 低い 温度では 圧縮に よって 液体が 現れる.ブタンは 室温が 臨界温度より 十分低いので ボンベの 中で 液体に なり,窒素は 室温が 臨界温度より 高いので 液体に ならない.
05小さい補正の展開と臨界点
ファンデルワールスの
定理 数学の
が
物理の
練習 1
を の項まで 書きなさい.(2) のとき,1次までの 近似 は正しい 値から 何 % ずれますか.
解答を見る
.(2) 正しい値は ,近似は なので差は .相対的には % 程度のずれで,これは と同じ桁である.打ち切った 項の 大きさが 誤差の 目安に なる.
例題
例題 1
ファンデルワールス気体
が小さいと して, を のべきで の項まで 展開し
の
となる 温度(ボイル温度 )を求めよ. が より低い とき,高い とき, は1より大きいか 小さいか. 窒素の
, から を求めよ.
圧力0へ外挿するとZは1になる.ボイル温度より低ければ初め下がり,高ければ上がる.ボイル温度では最初の傾きが0だが高圧では上がる.
解答を見る
考え方 先に
定義に
代入して
なので,
である.分子の
は なので である. より低い 温度では が負なので,薄い気体から 押し縮め始めると は1より小さくなる.引力が 勝ち,理想気体より 縮みやすいと いう ことである. より高い 温度では が正で は1より大きく,分子の 大きさが 勝って 縮みに くくなる.ちょうど では1次の補正が 消え,広い範囲で 理想気体のように ふるまう. .窒素の実測の ボイル温度は 約 なので,模型は3割ほど高く 見積もる.補正を 最も 簡単な 形で 入れただけの 模型なので,桁と 向きが 合えば 十分である.
例題 2
ファンデルワールス気体の
が
, , を , で表せ. 臨界点での
圧縮因子 を求めよ.気体の 種類に よらない ことを 確かめよ. 逆に,測った
と から , を決める 式を 作れ.窒素の , を入れて , と分子の 直径 を求めよ.
臨界点w꜀,p꜀では等温線の傾きと2階微分がともに0になる.橙色の線は水平な接線を示す.
解答を見る
考え方 2本の
を で偏微分して
である.両方を0とおくと
と
が
である.
代入すると
で,
なので
である.窒素では
と
ポイント ここまでの
補正を
評価する ときは,まず 無次元の 小さい 量を 作る.ファンデルワールス気体では と ,その比は .圧縮因子
のビリアル展開は .この模型では , . となる ボイル温度は .低温では引力が 勝って ,高温では分子の 大きさが 勝って .臨界点は
から , , . は気体に よらない. 逆向きに
, . から分子の 直径が の桁で 求まる.
06実在気体の演習
圧力の
演習 1
仮想的な
で , を求め,理想気体の 近似を 評価せよ. で,2つの比と を求めよ. なら,両補正を無視できると いえるか.
解答を見る
より,比は , .どちらも十分 小さく,希薄気体の 近似が よい. 比は
それぞれ , であり,小さい補正とは いえない.展開せずに
を
演習 2
同じ
のとき,それぞれの を求めよ. ボイル温度に
あるIIIでも が厳密に 成り 立つか. を で表せ.
Iは大きさのみ,IIは引力のみ,IIIは両方の効果を入れた模型.a=RTbの条件で比較し,いずれも希薄な極限でZ=1に戻る.IIの横軸も比較用の共通尺度bを使う.
解答を見る
Iは
,IIは ,IIIは .大きさは圧力を 上げ,引力は 下げる. で,ビリアル展開の1次係数 は0である.しかし
であり,
演習 3
ある
0.010 | 0.997016 |
0.020 | 0.998504 |
0.040 | 0.999251 |
と の関係を 求め,最初の2点から とその 単位を 決めよ.3点目も 確かめよ. 同じ2次式で
の を求めよ.2次項は1次項の 大きさの 何 % か.
解答を見る
は切片 ,傾き の直線.最初の2点は , なので
と
.比は ,約2.7 %である.これは指定された2次式内の 比較で,未測定の 範囲で3次以降が 小さい ことまでは 保証しない.
演習 4
仮想気体Xの
Xの
を求め,Yでの 倍率を 答えよ. として,Xの 分子径と 両気体の 分子径の 比を 求めよ. を分子自身の 体積の モルあたりの 和と して 扱うと,直径を 何倍に 誤るか.
解答を見る
臨界定数と
ボイル温度の 式に 代入すると
と
, .分子自身の体積の 和は .これを と取り 違えると,直径を 倍に過大評価する.
演習 5
演習4の
模型の
圧力 と を求めよ. 理想気体の
式で と推定すると 何 % 誤るか. 充填量が
分かっている 場合, と推定した 温度と 誤差を 求めよ.
固い密閉ボンベの体積Vと物質量νは一定である.圧力計と温度計の読みを比較し,理想気体の式による推定誤差を調べる.
解答を見る
, より
である.丸める
.相対誤差は だから,約5.8 %少なく見積もる. で,約 ,5.8 %低い.圧力に比例する 目盛りが 絶対温度と 一致するのは 希薄気体の 極限で,この 密度では 補正が 必要に なる.
ポイント 教える
が1に近い 理由が,小さい 補正か 相殺かを 区別させます. ボイル温度で
残る 項と,排除体積が 分子自身の 体積の4倍に なる 理由を 問います. 誤差の
分母を 真の 値に そろえ,模型の 予言と 測定を 区別させます.
07第15章の章末問題
力積,平均,装置の
演習 1
質量
分子の入射速度のx成分はu,y成分はq.壁は左向きに速さsで動く.壁から見て垂直成分を反転し,平行成分は変えない.
解答を見る
壁から
演習 2
質量
vₓ=−u と u の割合はそれぞれ 1/3,vₓ=−2u と 2u の割合はそれぞれ 1/6 である.棒の高さは各速度成分の割合を表す.
解答を見る
正負の
演習 3
温度
容器内の A は質量 m,個数 N/4,B は質量 4m,個数 3N/4 で,個数比は 1:3 である.青い矢印は分子の速度を表す模式図である.
解答を見る
演習 4
温度
解答を見る
演習 5
質量
法線と60度をなす平行な分子ビームの1/3は板に吸収され,2/3は弾性反射する.面積Sの板へ時間Δtに届く領域を緑で示し,壁に垂直な厚さ v cosθ Δt を記す.
解答を見る
到達率は,垂直速度と
演習 6
全体
固定を
外した後の 平衡で,下側の 体積を 求めよ. 同じ
初期状態で,最小体積 のストッパーを 下側に 設け,質量 のおもりを 載せて 固定を 外す.静止した 終状態の 両圧力と 支持力を 求めよ.
密閉シリンダーに同じ物質量と温度の二つの気体を入れる.左は中央に固定した初期状態.右はおもりを載せ,下側の体積V₀/2のストッパーへ達した状態である.
解答を見る
下側の
体積を とすれば,上側は .つり合いは なので .許される根は ,従って体積は である.接触前の
つり合いは 圧力差 を要求し,根は .最小体積より小さいため接触する.終状態は .上向きの 支持力は となる.
演習 7
全体
左右の体積はともに 2V₀,温度は T である.左は A が 2N₀ 個,B が N₀ 個,右は A が N₀ 個,B が 2N₀ 個である.A は可動膜をそのまま通り,B は膜で弾性反射する.
解答を見る
初めBの
演習 8
底が
浮いた
状態の と気体の 圧力を 求めよ. 等温で
筒を 引き上げ,水位差を にする.天井の 高さ と手の 上 向きの 力を 求めよ.開口部は 水中に 保つ.
逆さの筒に気体を閉じ込め,開口は水中に保つ.浮いた状態の内側水面は外よりh低い.筒を等温で引き上げると気体が膨張し,水位差がh/2になる.
解答を見る
水圧から
.天井の上下の 圧力差に よる 力と 重力が つり合うので ,従って , .等温で
分子数一定なので .よって
支持力は
演習 9
数密度
気体の
圧力を として と,片面への毎秒の 到達個数を 求めよ. 両面を
, に保つときの 力を 求め, , で評価せよ.
同じ気体が板の左右へ速さuで入射する.温度4Tの面からは2u,温度Tの面からはuで垂直に再放出する模型.板は熱い面から冷たい面へ力を受ける.
解答を見る
だから ,従って .片面への割合は なので,到達個数は 毎秒である.各面の
圧力は .熱い面は ,冷たい面は なので,力は熱い 面から 冷たい 面へ .与えた模型内の 答えである.
08第15章の発展問題
到達数の
演習 1
質量
単位面積・単位時間の
衝突数 と,単位面積あたりの力 を求めよ. 壁へ
渡る 単位面積あたりの 仕事率 を最大に する ,そのときの 速い 分子の 到達割合と 平均入射エネルギーを 求めよ.
速さuと3uのビームは数密度nとn/4をもつ.右向きに速さvₚで動く壁へ届く数は,相対速度u−vₚと3u−vₚで決まる.
解答を見る
考え方 届く
速さ
,数密度 なら到達数は ,反射後の速度は .力積は なので
1個が
失う エネルギーは より . とすると .微分は で, の前で 正,後で 負だから 最大は .遅い・速いビームの 到達数は , より速い 割合は .平均は .空間内の個数比ではなく,到達数で 重みを 付ける.
演習 2
体積
各個数
, と全圧を 求めよ. Bの
個数割合が になる 時刻 ,初圧に対する 圧力の 比,そこまでの 流出分子のAの 割合を 求めよ. で個数に よる 平均 を求め,質量密度 を用いた が使えるか 確かめよ.
温度Tを一定に保った体積Vの容器に,Aが3N₀個,BがN₀個入っている.平均の速さはAで2c,Bでcと与えられ,面積Sの小孔から真空へ流出する.分子の図は初期個数比3対1を表す.
解答を見る
考え方 成分ごとに
とすると , .よって , , . より .残る個数は だから圧力比は .流出数は よりAの割合は .同温度の
希薄気体では , .個数割合 で平均すると .一方 , なので .指定の式は 圧力を 倍に見積もる.正しくは を足すか,質量で 重み付けする.
演習 3
真
右は
に保ち,左だけゆっくり温める. のストッパーに 達する 左の 温度を 求め,左が となった ときストッパーが 連結体 へ 及ぼす力を 求めよ. ストッパーを
外した 場合の 平衡位置と 小振動の 角振動数を 求めよ.各温度は 常に , で,圧力は体積へ 瞬時に 応答する 模型と する.
左面積A,右面積3Aのピストンが剛い棒で連結される.右向き変位xで左室は膨張,右室は圧縮される.ストッパーはxₛで右への運動を止める.
解答を見る
考え方 両面の
自由に
動ける 間は . , とすると だから で .その後は体積が 固定される. とおくと, で , .気体の合力は 右へ なので,ストッパーの力は 左へ 同じ 大きさ. より .合力 の傾きは . とすれば より .
演習 4
物質量
, , により,気体の 種類に よらない 式を 導け.これを 対応状態の 法則と 呼ぶ. で から2までゆっくり膨張させる.気体が 外へする 仕事 を で割って 求め,同じ 温度と 両端の 体積の 理想気体と 比べよ.
θ=3/2のファンデルワールス等温線を実線,同じ温度の理想気体を破線で示す.φ=1から2の実線の下の面積はW/(νp꜀w꜀)である.
解答を見る
代入すると
, は消え,同じ なら同じ になる. より
理想気体は
演習 5
物質量
と小振動の 角振動数を 求めよ. の極限で,上向き変位 による 先頭の 復元力を 求めよ. とし, と を使ってよい.角 振動数が0なら,復元力も 消えるか.
鉛直ピストンの平衡体積は3νb.上向き変位xで体積がAx増す.温度を一定に保ち,圧力の傾きと高次の変化から復元力を調べる模型である.
解答を見る
考え方 圧力の
平衡では
, なので
したがって
体積変化は
, を状態方 程式に 入れる. , より
辺々
変位と
09第15章のまとめ
この
定義と 法則
法則 圧力の
分子の
質量を ,数密度を とすると,壁が 受ける 圧力は
である.1個の
向きの
偏りが なければ なので
と
ただし,分子の
体積と 分子間の 力を ともに 無視できる 希薄な 気体に ついての 式である.高密度では 補正が 付く(ファンデルワールスの 式). 式に
分子の 種類が 入らないので,混合気体では 成分ごとの分圧 の和が 全圧に なる(ドルトンの 法則).
定義 熱平衡と
2つの
法則 理想気体の
希薄な
気体では
が
これと
上の 式を 比べると
すな
3方向に
等しく 分けると1方向あたり である.単原子分子の気体では 並進の3方向しかないので,内部 エネルギーは になる.エネルギーが2乗の 形で 入る 運動1つ あたり ずつ分けられるという 等分配則は,条件とともに 第17章で 扱う.
定義 平均・
値
法則 ファンデルワールスの
分子を
が
手順
ポイント 分子運動論と
問われているのが
分子1個の ことか,たくさんの 分子の 平均かを 見分ける.平均なら と状態方 程式の2本で ほとんど 足りる. 圧力を
決めているのは 何かを 先に 見分ける.固い容器なら気体が 決め,動ける ピストンなら ピストンの 力の つり合いが 決める(鉛直なら ).ストッパーに当たった 後は つり合いが 使えず,体積が 決まる. 壁に
加わる 力を 考える ときは,壁に 垂直な 速度成分だけが 反転する こと(1回の 力積 )と,衝突の回数が に比例する ことを,分けて 数える. 平均してから2乗するのか,2乗してから
平均するのかを 確かめる. でも で,圧力はこの 違いの 上に 乗っている. 測りやすい
量だけで 書き直せないかを 考える. や は,分子1個の質量を 知らなくても 使える. 温度や
分子の 質量を 変えた ときは 比で 追う.同じ 温度なら ,同じ気体なら である.理想気体の
式を 使って よいかを 疑う ときは,無次元の 比 と を評価する.常温常圧の 空気では どちらも 程度で,安心して使える.
主な 公式
圧力:
状態方
程式: ,数密度では温度と
運動エネルギー: ,1方向あたり単原子分子の
内部 エネルギー: 2乗平均の
速さ: .室温の窒素で 程度で,音速と同じ 桁(比は 断熱変化から 決まり ,第16章)平均と
分散: , ,小さな
穴から 逃げる 個数:数密度と 平均の 速さの 積に 比例し,同じ 温度では に比例する(軽い 分 子ほど 速く 逃げる) 動ける
ピストンの つり合い:鉛直なら ファンデルワールス:
,排除体積ビリアル展開:
,この模型では , .ボイル温度臨界点:
, , , .逆に ,
各題材の 問いへの 答え
気体の
圧力と 分子の 運動:タイヤが 体重を 支える 力は,膨大な 数の 分子が 壁に 与える 力積の 時間平均である. の壁が1秒に 受ける 衝突は 回ほどなので,1つ1つは感じられず,切れ目の ない 一定の 力に 見える.分子数と 体積が 変わらない 範囲では から なので,温度が上がれば 圧力も 上がる.分子の 側から 見れば,速さが 増して1回の 力積も 衝突の 回数も ともに 増えたことに なる.だから 炎天下の タイヤは 朝より 硬くなる. 平均と
分散,そして 速度 成分の 平均:平均が0でも2乗の 平均は0ではないので, でも圧力は 残る.エネルギーに 効くのは ,壁への衝突の 回数や 穴から 逃げる 個数に 効くのは で,両者は別の 量である. 理想気体は
どこで 破れるか:理想気体の 式には 引力が 入っていないので,分子が 集まって 液体に なる 道が ない.分子の 大きさは 使える 体積を に減らして 圧力を 上げ,引力は 壁への 力積を 減らして 圧力を 下げる.この2つを 入れると,臨界温度より 低い 温度では 圧縮すると 液体が 現れる.ブタンは 室温が 臨界温度(約 )より十分低いので ボンベの 中で 液体に なり,窒素は 室温が 臨界温度(約 )より高いので どれだけ押しても 液体に ならない. 小さい
補正の 展開と 臨界点:補正の 大小は 無次元の 比で 測る. と の差し 引きが 圧縮因子の1次の 係数 で,これが0になる ボイル温度より 低温なら 引力が 勝ち,高温なら 分子の 大きさが 勝つ.臨界点の 位置は , から決まり,逆に 測った , から , ,そして分子の 直径 の桁まで たどれる.
この 章で 使った 数学
重みつき平均と