第3章 運動を記述する
01位置とベクトル
問い
友だちに「駅から500 mの
もう
考えてみる
「駅から500 m」だけでは,駅を
大事な
向きと
座標系と 位置ベクトル
位置を
直線上の
運動なら,原点と,正の 向きを1つ 決めて,位置を1つの 数 で表します. 平面上の
運動なら,原点で 直交する2本の 軸 軸と 軸をとり,位置を で表します. 空間なら,もう1本の
軸を加えて です.
原点Oから
定義 位置ベクトルと
原点Oから
で,始点から
印刷では
平面に原点Oと直交するx軸,y軸があり,点P1と点P2がある.Oから各点へ向かう位置ベクトルr1とr2を黒い矢印で,P1からP2へ向かう変位ベクトルΔr(=r2−r1)を橙の矢印で描く.灰色の破線は実際に動いた道のりで,変位とは別のものである.
変位は「どこから
原点の
ベクトルの 和・差・実数倍
2つの
ベクトルAの終点にベクトルBの始点をつなぐと,Aの始点からBの終点へ引いた橙の矢印が和A+Bになる.同じAとBを始点をそろえて平行四辺形に並べた別の見方も灰色の破線で薄く重ねてあり,対角線として同じ和になる.
差
実数倍
成分で 位置を 書く
ベクトルは,座標軸の
問いの 答え
「駅から500 m」は,位置ベクトルの大きさ
ポイント ここまでの
位置は,原点と
座標軸を 決めて 初めて 数で 表せる.直線では ,平面では である.原点から
点Pへの ベクトル が位置ベクトル.変位は で,始点から終点へ 向かう. 位置は
原点の 選び方で 変わるが,変位は 変わらない. ベクトルの
和は 矢印を つなぎ,差は 終点どうしを 結び,実数倍は 長さを 変える. 問いの
答え:「駅から500 m」は 大きさだけの 情報.向きと 基準(座標系)が あれば 場所が 決まる.
02ベクトルの道具
前の
定理 数学の
定義 ベクトル
成分での
和と
大きさ 三平方の
向き
(
単位ベクトル 大きさ1の
内積(スカラー積)の
と
導出:内積と
一方,
2式を
したがって,
練習.
, のとき, , , を求めよ.また,なす角 の余弦を 求めよ. と が垂直に なるように を定めよ. と同じ 向きの 単位ベクトルを 求めよ.また,大きさ , 軸から反時計回りに の向きの ベクトルの 成分を 求めよ. 空間の
ベクトル , について, , ,なす角 を求めよ. , のとき, を,成分から直接と, からの2通りで求めよ.
答え:(1)
例題
例題 1
ドローンが
原点から東より北へ30°の向きに80 m,次に西へ50 m進む経路を示す.
解答を見る
考え方 2回の
1回目の
2回目は
大きさは
向きは,
答え:東から
例題 2
座標が
東向きをx,北向きをyとしてP(1,2)とQ(4,6)を示す.
PからQへの
変位 の成分,大きさ,および向きの 単位ベクトルを 求めよ. 原点を
点Pに 移した 座標系(軸の 向きは 同じ)で,Qの 位置ベクトルを 求めよ.(1) の 変位と 比べて,何が いえるか.
解答を見る
考え方 変位は「終点の
大きさは
新しい
座標系の 原点はPなので,Qの 新しい 位置ベクトルは PからQへの ベクトル その もので .Pの新しい 位置ベクトルは .
比べると,Qの
ポイント ここまでの
和・差・実数倍は
成分ごとに 計算する.大きさは ,向きは , . と同じ 向きの 単位ベクトルは .零ベクトルには向きが ない. 内積
はただの 数で, のとき,0なら 垂直である.なす角を 扱う ときも 両方が 零ベクトルで ないと する. 2回の
移動の 合成は,それぞれを 成分に 分けて 足す.変位は「終点−始点」の 成分で,原点の 取り方に よらない.
03位置とベクトルの演習
位置・変位・ベクトルの
演習
演習 1
駅Aを
東をx軸,北をy軸として駅A,図書館L,公園P,郵便局Qを配置する.座標の単位はkm.
LからPへの
変位の 成分と 大きさを 求めよ. 郵便局Qを
原点に 取り替えた とき,LとPの 位置ベクトルを それぞれ求めよ.また,LからPへの 変位を 求め,(1) と 比べよ.
解答を見る
.大きさは .新しい
原点がQなので,各点の 新しい 位置ベクトルは 元の 位置ベクトルから を引いて 得られる.
LからPへの
演習 2
次の
投射速度,成分が与えられたベクトル,北西へ進む船の速度を別々に示す.成分の答えは記入しない.
水平から
上向きに 投げた,速さ のボールの 速度ベクトル. 成分が
のベクトルの 大きさと, 軸となす角( の値で よい). 北西に
で進む船の 速度ベクトル.
解答を見る
.大きさは
, .北西は
東から 反時計回りに の向きなので
演習 3
三角形ABCで,辺BCの
三角形ABC,BCの中点M,中線AM上の点Gを示す.AG:GM=2:1である.
を , で表せ. 中線AMを
に内分する 点Gの 位置ベクトルを 求めよ. の
結果から,3本の 中線は1点で 交わる ことを 説明せよ.
解答を見る
中点の
位置ベクトルは .AからMへ
向かう ベクトルは .Aからこの ベクトルの だけ進んだ 点がGなので
の式は について 対称である.B から 出る 中線に ついても 同じ 手順で の内分点を 求めると,同じ になる.したがって3本の 中線は 同じ 点Gを 通り,Gは 各中線を 頂点側から に内分する.この 点が 重心である.
演習 4
原点Oから
共通の原点Oから点Pと点Qへ向かうベクトルを示す.投影図の見かけの角度は実際の角度ではない.
角
の余弦を 求め,角度を 小数第1位まで 求めよ. が に垂直に なるように を定めよ.
解答を見る
, , .したがって
で,角は
より .
演習 5
平行四辺形で,隣り合う2辺を
隣り合う辺a,bと,二つの対角線a+b,a−bを示す.
を示せ. 2本の
対角線の 長さが 等しい 平行四辺形は 長方形である ことを,内積を 使って 示せ.
解答を見る
内積の
性質 と,成分で確かめられる 分配法則を 使う.
2式を
なら2乗も等しいので,上の 展開から ,すなわち . なので,隣り合う辺が 直角に なり,この 平行四辺形は 長方形である.逆に 長方形なら で対角線の 長さは 等しい.
ポイント 教える
最初に「駅から500 m」を
示し,何が 足りないかを 自分の 言葉で 言わせる.「向き」と 答えが 出たら,「向きを 測る 基準は 何か」と 重ねて,座標系の 必要を 引き出す. よく
ある つまずきは,位置と 変位の 混同である.位置は 原点に 依存し,変位は 依存しない ことを,前の 節の 例題2のように 原点を 替えて 数値で 確かめさせる. 理解の
確認には,「東へ3,北へ4進んだ 後,西へ3進む.変位と 道のりは」のような 短い 問いが 有効である. 内積は
式の 暗記ではなく,成分の 定義と が一致する 理由(余弦定理)まで 一度たどらせる.
04速度
問い
車の
「60 km/h」と
考えてみる
素朴な
そこで,短い
です.
スピードメーターが
平均速度と 瞬間速度
直線上の
定義 平均速度と
平均速度は,変位を
瞬間速度は,
である.単位は
平均速度の
単位の
速度ベクトル
平面や
定義 速度ベクトルと
成分ごとに
曲がった軌道上の点Pと,Pより先の点Qを結ぶ変位ベクトルΔr(橙の矢印).QをPに少しずつ近づけると,変位ベクトルの向きは軌道のPでの接線(青の破線)の向きに近づく.極限では速度ベクトルvが接線の向きを向く.
速さと 速度の 違い
速度は
ポイント 速度と
速度:向きを
もつ(ベクトル).平均速度=変位÷時間. 速さ:速度の
大きさ.平均の 速さ=道のり÷時間. 平均速度の
大きさと 平均の 速さは,一般には 等しくない.
x-tグラフの 傾き
位置
瞬間速度は,x-tグラフの
接線の 傾き 右
上がりなら ,右下がりなら ,山や谷の頂点では 傾きが
急な ところ ほど 速さが 大きい
山と谷のある曲線のx-tグラフ(x=t^3−6t^2+9t,tは0〜4 s).曲線上の2点(t1,t2)を結ぶ橙の割線と,t1での青い接線を描く.割線の傾きが平均速度,接線の傾きが瞬間速度である.スライダーでt1と間隔Δtを変えると,Δtを小さくするほど割線が接線に重なる.
最初の
ポイント ここまでの
平均速度は
変位÷時間.瞬間速度は その の極限で, である.速度は
ベクトル(直線上では 符号つきの 数)で,速さは その 大きさ.平均の 速さは 道のり÷時間なので,往復では 平均速度が0でも0に ならない. 速度ベクトルは,軌道の
接線の 向きを 向く.x-tグラフの 接線の 傾きが 瞬間速度である. 問いの
答え:メーターの 数字は,短い 時間の 変位を 時間で 割った 値の 極限の 大きさ.平均の 速さは 区間全体の 道のり÷時間で,途中の 変化は 見えない.
05速度と微分
前の
微分を 使って 速度を 求める
まず,微分の
定理 数学の
定義 関数
で
導出(
定数
: .よって . : .よって . : . : .一般の
自然数 :二項定理より .これを使うと .
公式
(
上では
積の
と
である.
練習.
の速度 を求め, のときの 値を 求めよ. を,積の微分と,先に 展開してからの 微分の2通りで 計算し,一致を 確かめよ. 定義に
したがって の導関数を 求め, の の場合と 一致する ことを 確かめよ. 次の
関数を で微分せよ.(a) (b) (c) (d)位置が
の物体に ついて, から までの平均速度と, の瞬間速度を 求めて 比べよ.
答え:(1) 和と
例題
例題 1
直線上を
問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
速度
を求め, の値を 求めよ. 速度が0に
なる 時刻と,その ときの 位置を 求めよ. から までの平均速度と 平均の 速さを 求めよ.
解答を見る
考え方 位置の
.したがって , , (いずれも ). より と .位置は , . の符号は, で正, で負, で正なので, で向きを 変える. , .平均速度は .
道のりは,
例題 2
直線上を
各区間(0〜2 s,2〜4 s,4〜8 s)の
速度を 求めよ. 物体が
原点を 通る 時刻を すべて 求めよ. 0〜8 s の
平均速度と 平均の 速さを 求めよ.
横軸t(0〜8 s),縦軸x(−2〜6 m)のx-tグラフ.(0,0),(2,6),(4,6),(8,−2)を直線で結んだ折れ線で,0〜2 sでは右上がり,2〜4 sでは水平,4〜8 sでは右下がりになる.
解答を見る
考え方 直線の
0〜2 s:
.2〜4 s:位置が変わらないので .4〜8 s: . と,最後の区間で となる .平均速度は
.道のりは なので,平均の速さは .
折れ線の
例題 3
平面上を
位置r=(2t,4t−t²)で与えられる平面運動の軌道と座標軸を示す.速度は描かない.
速度ベクトル
を求めよ. の速度ベクトル,速さ,向きを 求めよ.
解答を見る
考え方 成分ごとに
, より, . で .速さは .向きは 軸から 上向き.
ポイント ここまでの
導関数
は,グラフの接線の 傾きである.位置を 微分すれば 速度に なる. 公式:
( は負の 整数や 分数でも よい), , , . の符号が 変わる 時刻( )で向きを 変える.道のりは,向きを 変える 位置で 区間を 分けて 求める. 平面
運動の 速度ベクトルは,位置の 成分を それぞれ微分して 得る.
06速度の演習
平均速度と
演習
演習 1
位置が
問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
から , から , から の平均速度. の瞬間速度.(1) の 値と どう 関係するか.
解答を見る
より . より . より . より .区間の幅 の平均速度は と書け, で に近づく.(1) の 値も そうなっている.
演習 2
家から
距離Lの同じ道を,行き6.0 km/h,帰り4.0 km/hで歩く.
往復全体の
平均の 速さを 求めよ. 往復全体の
平均速度を 求めよ. 行きの
速さを ,帰りの速さを として,(1) を 文字で 表せ. と の平均 とは同じか.
解答を見る
行きの
時間は ,帰りは .合計の時間は .道のりは .平均の速さは . によらない. 出発点に
戻るので 変位は .平均速度は .時間の
合計は で,平均の速さは .算術平均 とは異なる(遅い 速さの 時間の ほうが 長いため). のときだけ一致する.
演習 3
位置が
x軸上の振動の範囲と原点を示す.速度と加速度は描かない.
の速度を,微分の 定義に したがって 求めよ. 周期
を求めよ.また x-t グラフの 形から, になる 時刻と,速さが 最大に なる 時刻を で表せ( ).速さの
最大値を 求めよ.
解答を見る
. より .x-t グラフは で原点を 通り, で最大値 , で再び原点, で最小値 をとる.接線が 水平に なるのは 山と 谷の 頂点なので, は .傾きが最も 急なのは 原点を 横切る で,このとき速さが 最大. の速度が だった. ではグラフが 点対称なので,傾きの 絶対値は 同じ.速さの 最大値は .加速度の節で と求める ものと,この 最大値は 一致する.
演習 4
位置が
問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
速度が0に
なる 時刻と,その ときの 位置を 求めよ. から までの変位,道のり,平均速度,平均の 速さを 求めよ.
解答を見る
. は と . , . の符号は で正, で負, で正.よって ( から ), ( から ), ( から )と動く. .
変位:
演習 5
一直線上の
時刻0でBは原点,Aはその15 m前方にいる.位置の時間変化は問題文で与えられる.
2台の
速度 , を求めよ. 2台の
距離 が最小に なる 時刻と,その 最小値を 求めよ. の
時刻に2台の 速度に どんな 関係が 成り 立つか. を時間で 微分して 説明せよ.
解答を見る
, . . で最小値 . なので,BはAに追いつかない. で ,すなわち速度が 等しい. を微分すると
で,これは2台が
ポイント 教える
問いの「メーターの
数字」は,何を 測った 量かを 言葉で 言わせる.「1時間後に 進む距離」と 答えが 出たら,その 時間が まだ 経っていない ことを 指摘して,短い 時間の 平均を 縮める 流れへ 誘導する. と表を 作らせると,極限を 実感できる. よく
ある つまずきは,速度と 速さの 混同(特に 往復)と, を単なる 割り算と 読むことである. 確かめには,x-tグラフに
接線を 引き,傾きが 公式の 値と 合うかを 見させるのが 有効である.
07加速度
問い
電車の
も
考えてみる
思い出してみてください.発車する
つまり,押される
加速度の 定義
位置の
定義 加速度
時刻
瞬間加速度(加速度)は,その
単位は
速度は
と
単位
加速度の 向き
直線上では,速度の
平面では,平均加速度の
発車・
ブレーキ: は速度に 平行(進行方 向,または その 逆). 一定の
速さの カーブ: は速度に 垂直で,曲がる 側(カーブの 内側)を 向く.
左は曲がる道路を走る車の軌道で,点1の速度v1と点2の速度v2を青い矢印で示す.右はv2をv1と同じ始点に移し,v1の先からv2の先へ緑の矢印でΔv=v2−v1を引く.Δvは軌道の内側(曲がる側)を向き,加速度の向きと一致する.
最初の
グラフの 対応
速度が x-t グラフの
グラフ | 値 | 傾きは |
|---|---|---|
x-t | 位置 | 速度 |
v-t | 速度 | 加速度 |
a-t | 加速度 | (この |
x-t が
ポイント ここまでの
加速度は
速度の 時間変化率で, .位置を2回微分したもの( )でもある. 直線上では,
と が同符号なら 加速,異符号なら 減速. だけでは加速と 決まらない. 速さが
一定でも,向きが 変われば なので加速度が ある.カーブでの 加速度は 曲がる 側(内側)を 向く. v-tグラフの
接線の 傾きが 加速度である. 問いの
答え:カーブで 押されるのは,速度の 向きが 変わる(内向きの 加速度が ある)から.感じる 向きは 加速度と 逆の 外向き.
08加速度と微分の道具
微分の さらなる 道具
位置が
定理 数学の
連鎖律
導出
三角関数の
導出 高校で
単位円の第1象限に角h(ラジアン)の扇形を描き,同じ弧を持つ3つの図形を並べる.左は扇形に内接する三角形で面積は½sin h,中央は扇形で面積は½h,右は外接する三角形で面積は½tan h.面積の大小は½sin h<½h<½tan h.
(図の面積の 大小 より , で から,挟み込みで従う.)
よって
角速度を
練習.
, を求めよ. を求めよ. と を求めよ. 位置が
( は秒)の 運動に ついて,速度 と加速度 を求め,速さの 最大値と 加速度の 大きさの 最大値を 答えよ.
答え:(1)
例題
例題 1
直線上を
解答を見る
考え方 加速度は v-t グラフの
加速度(v-t の
位置:0〜2 s は
x-t は,0〜2 s で
既知の速度と時刻の関係だけを示す.加速度と位置のグラフは設問で求める.
例題 2
速さ
東向きと北向きの速度を共通の始点から描く.両方の速さは20 m s⁻¹で,時間差は5.0 s.
解答を見る
考え方 平均加速度は
東を
大きさは
速さは
ポイント ここまでの
連鎖律:
, のとき .三角関数の
微分(角は ラジアン): , .角速度を含む形は , .v-tグラフの
傾きから a-t グラフが でき,x-tグラフは 傾きが になるように つないで 描く. 平面
運動の 平均加速度は,速度の 差を ベクトルと して 計算して で割る.速さが 同じでも0とは 限らない.
09加速度の演習
加速度の
演習
演習 1
x-t グラフが,
問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る
0〜3 s:
3〜6 s:
v-t は
演習 2
位置が
問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る
演習 3
位置が
x軸上の振動の範囲と原点を示す.速度と加速度は描かない.
解答を見る
連鎖律と
意味:加速度は,原点からの
演習 4
速さ
曲がる前後の速さ15 m s⁻¹の速度を共通の始点から描く.二つの向きの角は60°.
この間の
平均加速度ベクトルの 大きさと 向きを 求めよ. 速さが
一定の 運動では,加速度(瞬間)は 速度に 垂直である ことを, を時間で 微分して 示せ. ブレーキを
踏みながら曲がる とき,加速度は,速度に 垂直な 向きから どちら側に 傾くか.
解答を見る
東を
,北を の正の 向きと して, , . なので
大きさは
の両辺を で微分する.連鎖律より 左辺は ,右辺は .よって
速さが
の
式から,速さが 減る( )とき .したがって は,垂直な向き(曲がる 側)に 加え,速度と 逆向きの 成分も もつ.曲がる 側を 向いたまま,後ろ側に 傾く.
演習 5
物体の
x方向の半径3 m,y方向の半径2 mの楕円と,中心から点への位置ベクトルを示す.
速度
と加速度 を求めよ. を示せ.この 運動の 加速度は 一定か. 加速度の
大きさが 最大・ 最小に なる 位置と,その 値を 求めよ.
解答を見る
成分ごとに
連鎖律で 微分して
.加速度は常に 原点(楕円の 中心)を 向くが,大きさ と向きは 時間とともに 変わるので,一定ではない.等加速度 運動の 公式は 使えない. . は,長軸の端 で最大,短軸の 端 で最小である.したがって 最大は ( のとき),最小は ( のとき).
ポイント 教える
問いでは,電車で
押される 向きを 実際に 思い出して 答えさせ,「速さが 同じ カーブでも 押されるのは なぜか」と 重ねて 尋ねる.ここから「加速度は 速度の 変化の 割合で,速度は ベクトル」へ 導く. つまずきやすいのは,「
なら加速」と 決めつける ことと,「速さが 一定なら 加速度は0」と 思う ことである.前の 節の 例題2で,速度の 差を ベクトルと して 計算させる. 連鎖律は,
の微分で が出る 理由を,「 が の3倍の速さで 進むから」と 言葉で 説明させると 定着する. 確かめには,v-t グラフを
描かせて,傾きから a-t グラフを 作れるかを 見る.
10速度から位置へ
問い
電車の
横軸が時刻t(単位s),縦軸が速度v(単位m/s)のグラフ.原点から点(10,20)まで直線で上がり,(30,20)まで水平に進み,(40,0)まで直線で下がる台形の折れ線.
この
考えてみる
速度が
速度が
と
では,速度が
面積が 変位に なるわけ
位置
と
定義 定積分(区分求積)
区間
を,
物理では
例と
です.
変位と 道のりのちが い
定積分は,横軸より
ポイント 変位と
変位は
ポイント ここまでの
速度が
一定なら 変位は .v-tグラフでは高さ ,幅 の長方形の 面積に あたる. 速度が
変わる ときも,時間を 細かく 刻んで 長方形の 面積を 足し合わせれば 変位が 得られる.その 極限が 定積分 で,v-tグラフと横軸で 囲まれた 面積(横軸の 下は 負)である. 変位は
,道のりは .速度が符号を 変える ときは 区間を 分ける. 問いの
答え:台形の 面積から,電車は40秒間に 走った.
11速度から位置へと積分
前の
原始関数と 微積分学の 基本定理
前の
定義 原始関数と
微分すると
と
定理 微積分学の
が
証明の
と
運動の
と
定理 数学の
べき関数,三角関数,指数関数の
定数倍と
確かめ方は,右辺を
です.定積分は,原始関数を1つ
練習 1.
練習 2.
練習 3.
練習 4. 速度が
答え:(1) 原始関数は
例題
例題 1
x軸上を
問題で与えられたvと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る
考え方 速度の
である.位置は
例題 2
x軸上を
問題で与えられたaと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る
考え方 加速度を
である.次に
と
ポイント ここまでの
となる が原始関数.定積分は (微積分学の基本定理). 公式:
( ), , , ( ). のように中身が のときは の定数と して を使う. , (積分変数は ,上端の と区別する).積分定数は 初期条件(初めの 位置・初速度)で 決める. 位置を
求めるには,速度の ほかに 出発点の 位置が1つ要る.
12速度から位置への演習
v-tグラフの
演習
演習 1
直線上を
横軸が時刻t(単位s),縦軸が速度v(単位m/s)のグラフ.(0,0),(3,6),(8,6),(10,0)を折れ線で結んだ台形.
解答を見る
考え方 面積を3つの
0〜3 sは
演習 2
一直線上を
原点でブレーキをかけ始める物体と初速度v₀を示す.
解答を見る
考え方 停止は
より . である. を代入すると
, .
演習 3
物体が
原点に静止した物体と,正のx方向に増す加速度a=αtを示す.
解答を見る
考え方 加速度を
. . より .距離は .
演習 4
原点から
時刻0に原点から正のx方向へ出発する質点を示す.
解答を見る
考え方 速度は
(cm). より , .よって と .1度目は行きの 途中,2度目は 折り返した あとである. で になり,それ以降は である. . .6 sまでに45 cm進み,6 s以降に同じ距離だけ戻るので,道のりは で,変位は0である.
演習 5
x軸上の
問題で与えられたvと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る
考え方
であり,
変位は
.区間ごとの
変位は , , なので,道のりは各絶対値の 和で .極大は
,極小は である.
演習 6
抵抗を
速度と逆向きに加速度が働く物体の初期状態を示す.
解答を見る
考え方 (1) は
となり, を満たす.初期条件 も満たす. . で となり, .進む距離は を超えない. は有限の 時刻では0に ならないので,有限の 時間では 止まらず,限りなく ゆっくり に近づく.演習 2 の 一定の 加速度の 減速とは,この 点が 違う.
ポイント 教える
問いかけ:「速度計の
記録だけで 走った 距離は 分かるか」と 聞き,台形の グラフを 見せる.面積が 変位に なる 理由を,「短い 時間なら 速度は 一定と みなせる」と いう 言い方で,教わる 人自身に 言わせる. つまずき:定積分(面積と
いう 数)と 不定積分(関数)が 混ざる.積分定数を 入れ忘れて 初期条件を 使わない 誤りも 多いので,位置を 求める ときは 必ず「初めの 位置は?」と 聞き返す. 変位と
道のり:速度が 負の 区間の 扱いで 混乱する.往復 運動の 図を 描かせ,戻った ぶんを どう 数えるかを 言葉で 説明させる. 理解の
確かめ: の0から1までの変位を,区分求積の 和( など)と原始関数の 両方で 求めさせる.「 は止まるか」と 問い,第4章の 空気抵抗への 関心に つなげる.
13等加速度運動と自由落下
問い
ガリレオは,斜面を
時計の
考えてみる
ガリレオは,管の
静止から
問いの
等加速度 運動の 式
加速度
速度は
法則 等加速度
加速度が
3つ目の
面積を
横軸が時刻t,縦軸が速度vのグラフ.t=0で速度v0,時刻tで速度vとなる右上がりの直線と横軸の間に台形ができる.台形の上底は左の辺のv0,下底は右の辺のv,高さは横幅のt.v−v0はatに等しく,直線の傾きが加速度a.台形の面積が変位x−x0.
変位は
です.平均の
3番目の
自由落下と 重力加速度
空気の
定義 重力加速度
地表付近の
「重い
座標軸は
と
ポイント ここまでの
時計が
なくても,時間の 比さえ 分かれば 等加速度 運動は 確かめられる.静止から 出発する 等加速度 運動では,出発点から 測った 変位 が で,等しい時間ごとの 距離は の比に なる. 加速度が
一定の 直線 運動では , , が成り 立つ.3つ目の 式には 時間が 入らない. 空気の
抵抗が 無視できる 落下は,質量に よらず 加速度 の等加速度 運動である. 斜面は
加速度を 小さくして,速すぎる 落下を 測りやすく する 工夫だった.
14等加速度運動と自由落下の例題
鉛直投げ上げ
地面から
です.最高点の
数値で
同じ
ポイント 数学の
この
2次方程式
練習. 地面から
答え:(1)
重力加速度の 測り方
です.ところが
例題
例題 1
地面から
地面から鉛直上向きの初速度v₀でボールを投げる.重力加速度gを示す.
解答を見る
考え方 鉛直上
より .高さは . とおくと, . と置いて 整理すると ,すなわち .これは と因数分解でき, である.よって と .前者は上りの 途中,後者は 下りの 途中である. 数値を
直接代入する. , .(2) の時刻は と ,そのときの 高さは .
例題 2
橋の
橋から石を静かに放す.着水まで3.0 sであることだけを示す.
解答を見る
考え方 落下を「放した
鉛直下向きを
.有効数字2桁で約 . .約 .2.0 sまでの
落下距離は .最後の1.0 sに落ちる 距離は .約 .
例題 3
質量の
同じ高さの異なる質量の球と,高さhと4hの同じ球を並べる.落下後の位置は示さない.
解答を見る
考え方 自由落下の
式
, のどこにも 質量が 入らないので,2つの 球は 同時に 着地し,速さも 等しい. 高さ
のとき , のとき なので,落下時間の比は .着地速度も と で比は である.
ポイント ここまでの
鉛直投げ上げは,上
向きを 正に とって とおく.最高点は より ,高さは ,地面に戻る 時刻は で,戻るときの 速さは 初速度と 同じである. 高さを
指定された 時刻は2次方 程式の 解で,地面から 投げ上げて 最高点より 低い 高さ( )なら2つあり,上りと 下りに 対応する.最高点では 重解,それより 高い所には 届かない.落下時間を 求める ときは,条件に 合わない 解を 捨てる. 落下は
放した 点からの 距離で 表し,時刻ごとの 値を 引き算すると 区間の 距離が 出る. 重力加速度は
で測れる.いく つかの 高さで を に対して グラフに すると,傾きが になる.
15等加速度運動と自由落下の演習
まず
演習
演習 1
斜面上で
斜面の出発点からの測定位置と,毎秒20 gずつ流出する水時計を示す.
解答を見る
考え方 等加速度で
は , , , と一定である. が ,つまり に比例するので,等加速度 運動と 考えてよい.隣り合う 区間の 距離も で, に並ぶ. は に当たる. より, .自由落下の加速度の およそ4 %で,球の 動きは 自由落下より ずっと ゆっくりである.
演習 2
高さ
同じ高さ44.1 mからAを静かに放し,1.0 s後にBを下向きの初速度v₀で投げる.
解答を見る
考え方 Aの
Aは
より で着く.Bの 落下時間は .Bについて なので, ,約 .A:
.B: .約 と で,後から投げたBの ほうが 少し 速い.
演習 3
高さ
高さHの球Pを静かに放すと同時に,真下の地面から球Qを上向きに投げる.
解答を見る
考え方 2つの
上
向きを 正と し,地面を 原点に とる.Pの 高さは ,Qの高さは . とおくと が消えて となり,出会う 時刻は .高さは .出会う
高さが0以上であればよい. より , . なら .出会う時刻が によらないのは,Qから 見るとPが 一定の 速さ で近づいてくるからである(相対 運動は この 章の「相対 運動」の 節で 扱う).
演習 4
深い
井戸の口から落とす石と,水面から口へ伝わる音を示す.深さをhとする.
解答を見る
考え方 音が
石の
である.数値を
である(負の
音の
演習 5
一定の
高さ2.4 mのエレベーターで,天井のボルトが外れる瞬間を示す.ボルトは上向きの速度を引き継ぐ.
解答を見る
考え方 外れた
外れた
床の
高さは ,ボルトの高さは .ボルトが床に 着くのは のときで, の項が 消えて
と
変位は
,すなわち下向きに である.ボルトは初め上 向きに 動くので,最高点までの 時間 は より短く,いったん 上がってから 落ちる.上昇する 高さは .最高点から終点まで 下がる 距離は .道のりは ,約 である.
床が
ポイント 教える
問いかけ:「時計が
ない とき,何を 比べれば 等加速度だと 言えるか」と 聞く.時間 その ものでなく 時間の 比で 足りる こと,距離の 比が になることに 気づくかを 見る. つまずき:符号である.上
向きを 正に とったら になる こと,最高点で0に なるのは 速度だけで 加速度は のままである ことを,式と 図で 確認させる. 2次方
程式の 解:高さを 指定された 時刻が2つ出る 理由を「上りと 下りで2度通る」と 説明させ,落下時間で 負の 解を 捨てる 理由も 問う. 理解の
確かめ:「2倍の 高さから 落とすと,落下時間は 何倍か」を 式を 書かずに 答えさせる. 倍と答えられれば が分かっている.
16放物運動
問い
木の
左下に猟師が立ち,銃口から右上の枝にぶら下がる猿の最初の位置へ向けて,狙う向きに直線を引く.水平面とのなす角はθ.銃口から猿の最初の位置までの水平距離がL,高さがH.猿の真下には落下の経路を赤い破線の矢印で示す.弾の軌道は描かない.
弾は
考えてみる
手が
確かめるには,運動を
水平と 鉛直の 独立
物体を
です.水平方向には
実験でも
法則 放物
原点から,水平面と
原点から斜め上に投げた物体の放物線の軌道を,水平方向をx,鉛直上向きをyとして描く.スライダーで射出角θを変えられ,初期状態はθ=60°.軌道上の等しい時間間隔の5点に速度ベクトルを青い矢印で示し,その水平成分と鉛直成分を破線で示す.水平成分は5点とも同じ長さで,鉛直成分は上向きから最高点で0になり下向きに変わる.破線の軌道は45°の場合で,到達距離Rが最大.目盛はv0²/gを単位とする.
軌道の 式
です.
最高点と 到達距離
最高点は
で,最高点の
です.この
です.最後の
たとえば
最大の 到達距離と2つの 角
同じ初速の大きさv0で,投射角がθと90°−θの2本の放物線を描く.初期状態はθ=30°(青,低い軌道)と60°(橙,高い軌道).2本は同じ点に着地し,到達距離Rは等しいが,60°のほうが高く上がる.スライダーで低い方の角θを変えると,着地点は2本とも同じまま,高さと滞空時間の比がtanθに応じて変わる.目盛はv0²/gを単位とする.
角
ポイント ここまでの
水平方向は
等速,鉛直方向は 加速度 の等加速度 運動で,2つは 互いに 影響しない. 軌道は
が の2次式になる 放物線.最高点では だが,水平成分 は残る. 最高点の
高さは ,到達距離は . で最大 , と は同じ到達距離を 与える. 問いの
答え:弾も 猿も,同じ 時間に 同じだけ 落ちるので,弾は速さに よらず猿に 当たる(式での 確認は 次の 節).ただし猿が 地面に 着く前に 限る.
17放物運動と加法定理
放物
定理 数学の
で,
また
練習 1. 加法定理を
練習 2.
練習 3. 加法定理を
練習 4.
練習 5.
答え:(1)
例題
例題 1
問いの
原点の銃口から猿の初期位置(L,H)を狙う.猿は発射と同時に手を離す.衝突位置は描かない.
解答を見る
考え方 弾と
弾の
で,同じ
ただし当たるのは,その
例題 2
傾き
下向きに傾く斜面の上端Oから,水平な初速度v₀で投げる.
解答を見る
考え方 Oを
水平投射なので
斜面上の
点は を満たす. より, で .落下点のx座標は
.斜面に沿った 距離は .落下の
瞬間に , .水平面から下向きの 角は .この結果は によらない.
数値は
例題 3
高さ
高さ19.6 mの崖から,水平に15 m s⁻¹で石を投げる.着水位置は示さない.
解答を見る
考え方 水平は
鉛直方向は
より .水平距離は
. , .速さは ,約 .角度は より .
ポイント ここまでの
加法定理から2倍角の
公式が 出る. の積は と書き直して,角度の 最大・ 最小を 調べる. は軌道の 式を の2次式に直すときに 使う. モンキーハンティングでは,弾の
水平位置が になる 時刻に,弾と 猿の 高さが どちらも になる.空 気抵抗を 無視し,地面に 着く 前に 出会える 速さで あれば,当たる ことは の大きさに よらない. 斜面への
投射は,軌道と 斜面の 直線の 交点を 求める 問題に なる.水平投射で 斜面に 落ちる とき,落下の 向きは で,初速に依存しない.
18放物運動の演習
水平方向と
演習
演習 1
地面の
水平な地面から30°の向きに速さ14 m s⁻¹で蹴り出す瞬間を示す.
解答を見る
考え方
. . . から,もう1つの角は .最大の到達距離は のときの である.
演習 2
原点から
原点と水平距離12 m,高さ3.0 mの的を示す.投射方向は未記入とする.
解答を見る
考え方 軌道の
である.整理して
演習 3
傾き
傾きαの斜面の下端Oから,水平とθをなす初速度v₀で投げる.着地点は示さない.
解答を見る
考え方 斜面に
, .Y方向は より,着地( )の時刻は .X方向の距離は
である.
,すなわち のとき 最大である.この とき .最大値は
より .水平面の最大到達距離の である.( で水平面の 結果に 一致する.)
演習 4
地面の
地面の原点と高さhの崖上の原点について,初速の大きさv₀と任意の投射方向を示す.到達範囲は描かない.
解答を見る
考え方 軌道の
を について まとめると
である.実数解が
で,
を
崖の
上の 原点から 地面( )へ向かうので, を代入して
である.数値は
ポイント 教える
問いかけ:モンキーハンティングは,まず
予想を 聞く.「速い弾なら 当たる」「遅いと 上を 通る」など,直感の 誤りが 出るので,その 理由を 言葉に させてから 式に 入る. つまずき:水平と
鉛直を 別々に 扱うことに 納得しない 教わる 人が 多い.水平方向の 速度は 変わらない こと,最高点でも 加速度は のままである ことを,図で 確認させる.初速の 分解( と の取り違え)も 頻出である. 到達距離の
式は 暗記させず,その場で 導けるように する. 理解の
確かめ:「最高点での 速さは0か」と 尋ねる.水平成分が 残るので0ではない,と 答えられれば,独立の 考え方が つかめている.
19相対運動
問い
無風の
考えてみる
走っている
人から
相対位置・相対速度・相対加速度
「どの
定義 相対位置・相対速度・相対加速度
物体A,Bの
と
微分は
ここで,相対速度が
速度の 合成
人Pが
法則 速度の
「地面から
導出は1行です.定義から
最初の
と
雨粒は地面に対して鉛直下向きに8m/sで落ちる.立っている人から見た雨粒の速度v_RPは地面に対する速度v_RGと同じ.右へ走る人(初期状態で4m/s)では,v_RPはv_RGからv_PGを引いたベクトルで,後ろへ4m/s,下へ8m/sの左下向きになり,雨は鉛直から前へ約27°傾いて見える.スライダーで走る速さを変えると,傾きが走る速さとともに大きくなる様子が分かる.
川を 渡る 船
川には
です.船首を
川幅d,流速u,船の水に対する速度vを矢印で示す.左は船首を対岸へまっすぐ向けた場合で,岸から見た船の速度はv+uとなり下流側へ斜めに進む.右は船首を上流側へ角θだけ傾けた場合で,v+uの向きは下流側への傾きが小さくなる.どちらも川幅方向の速さはvの川幅方向の成分だけで決まる.
ポイント ここまでの
Aから
見たBの 相対位置・相対速度・相対加速度は,B の 量から A の 量を 引いて 作る. .速度の
合成は .添字が隣り合う所で 打ち消し合う 形に 書くと 間違えに くい. 問いの
答え:走る 人から 見た雨は,鉛直から 前へ 約 傾いて降ってくる(見かけの 速度は ).川を
渡る 船では,川幅方向の 運動は 流れの 影響を 受けない.時間は 川幅方向の 速さだけで 決まり,流れは 着く 位置だけを 変える.
20相対運動と最接近
定理 数学の
2つの
距離の
と
と
です.
練習 1.
練習 2.
練習 3.
答え:(1)
ガリレイ変換と 慣性系
座標系の
です.これを
と
例題
例題 1
川幅
最短時間で
渡るには 船首を どちらへ 向ければよいか.その ときの 時間と,対岸に 着くまでに 流される 距離を 求めよ. 流されずに
真向かいの 点に 着くには,船首を どちらへ 向ければよいか.その ときの 時間を 求めよ.
幅dの川が右向きに速さuで流れている.下の岸の出発点Aから,水に対する速さvの船で上の岸へ渡る.Aの真向かいの対岸の点をBとする.船首の向きは自由で,水に対する速さvが半径になる半円で表している.
解答を見る
考え方 岸に
岸に
船首を
対岸に まっすぐ 向け,垂直方向の 速さを にするのが 最短である.垂直方向の 速さが 最大だからである.時間は .その間に下流へ 流される 距離は .船首を
上流側へ,岸に 垂直な 方向から 角 だけ傾ける.岸に沿った 成分が 打ち消し合う 条件は で, , .このとき岸に 垂直な 速さは だから,時間は .
例題 2
無風の
地上では鉛直に降る雨と,速さ10 m s⁻¹の電車から見える鉛直から30°傾いた雨の筋を並べる.
地面に
対する 雨粒の 速さを 求めよ. 電車の
速さを に上げると,窓の 外の 雨粒の 筋は 鉛直から 何度傾いて 見えるか.また,電車に 対する 雨粒の 速さは いくらか.
解答を見る
考え方 雨粒の
雨粒の
である.筋が
, より . のとき なので .電車に対する 雨粒の 速さは .
ポイント ここまでの
等速で
動く2物体の 距離は,相対位置 の大きさ.距離の2乗が の2次関数なので, なら,平方完成で最接近の 時刻 が出る. のとき,その 瞬間に 相対位置と 相対速度は 垂直に なる. なら では が最小で,最小距離は である.等速で
動く 系へ 移っても,加速度は 変わらない(ガリレイ変換).加速度で 動く 系では となる. 川の
問題では,岸に 垂直な 成分と 沿う 成分に 分ける.雨の 見かけの 傾きは (電車の速さ ,雨の速さ )で決まる.
21相対運動の演習
「だれから
演習
演習 1
自転車が
自転車が点Pを通過した20 s後にオートバイが同じ点を通過する.各速さと方向を示す.
オートバイが
自転車に 追いつくのは,オートバイがPを 通過してから 何秒後か. 追いつく
地点はPから 何mか.
解答を見る
考え方 オートバイから
オートバイが
通過する 時点で,自転車は 先にいる.自転車から 見た オートバイの 相対速度は だから,詰まるまでに かかる.オートバイは
その間に 進む.確認として,自転車は 進んでいて,一致する.
演習 2
対気速度(空気に
出発点の真北120 kmに空港があり,風は東向き20 m s⁻¹.機首の向きは描かない.
機首を
どちらへ 向ければ,空港まで 真北に 進めるか. その
とき,地面に 対する 飛行機の 速さと,所要時間を 求めよ. 風が
なければ 所要時間は 何分か.
解答を見る
考え方 地面に
東向きに
東西成分が0に
なる 条件は ,すなわち , .機首を真北から 西へ 約 傾ける.地面に
対する 速さは 北向き成分 .所要時間は ,約 分である.風が
なければ ,約 分である.
演習 3
一定の
電車の
中から 見た ボールの 運動を 述べよ.ボールが 床に 戻るまでの 時間と 最高点の 高さを 求めよ. 地上から
見た ボールの 初速度の 大きさと 向き,ボールが 投げた 位置から 水平に 進む距離,軌道の 概形を 述べよ.
右向きに走る電車の床から,ボールを電車に対して真上に投げ上げる.左は電車の中から見た軌道で,鉛直な直線を往復する.右は地上から見た軌道で,電車が右へ進む間にボールも水平に進むため放物線になる.最高点の高さは二つの図で同じ.
解答を見る
考え方 電車の
電車系では,投げ上げ直後の
速度は 鉛直上 向きの ,加速度は鉛直下向きの である.ボールは同じ鉛直線上を 往復する.戻る 時間は ,最高点の高さは .地上系での
初速度は .大きさは ,水平から 上向きである.水平には 等速 で 進むので .軌道は放物線であり,最高点の 高さは 電車系と 同じ (高さは水平方向に 動く 系で 変わらない)である.
演習 4
一定の
橋で落とした浮き輪と,橋から下流1.8 kmの再会地点を示す.船は10分間上ってから引き返す.
解答を見る
考え方 川と
水系では
である.船の
演習 5
海上で,船Aは
時刻0の船Aと船Bの位置と,地面に対する各速度を示す.
Aから
見たBの 相対速度を 求めよ. 2船が
最も 近づく 時刻と,その ときの 距離を 求めよ. 最接近距離が
以上でなければ危険と する とき,この2船は 危険か.
解答を見る
考え方 相対位置は
. . なので , .よって .このとき
であり,距離は
なので危険である.
ポイント 教える
「走ると
雨が 斜めに 見えるのは なぜか」を,「走る 人から 見て 後ろ へ 動くから」と 言葉で 説明できるか 確かめる.矢印を2本描かせ,差の ベクトルを 作らせると 定着する. つまずきやすいのは
引き算の 順序である.「Aから 見たBの 速度は 」を,具体的な車や船で 確かめさせる. 川渡りでは「船首の
向き」と「実際に 進む 向き」を 混同しがちである.「水に 対する 速度」と「地面に 対する 速度」を 別の 矢印で 描かせる. 最接近が「相対位置と
相対速度が 垂直」で 決まる 理由を,図でも 説明できるか 確かめる. 加速度が
等速の 系で 変わらない 点は 第4章の 入り口である.ここでは 導入に と どめる.
22円運動の運動学
問い
回転しているCDの
考えてみる
CDは1周するのに
後半の
角度と 角速度
角度の
定義 弧度法(ラジアン)
中
これで,弧の
定義 角速度・周期・
円周上を
を角速度と
この
弧の
と
位置ベクトルから 速度・加速度へ
半径
です.成分ごとに
ここから
法則 等速円
速さは
で一定. 速度は
位置ベクトルと 垂直( ).つまり円の接線方向を 向く. 加速度は
.位置ベクトルと逆向きなので,常に円の 中心を 向く.その 大きさ を向心加速度という.
最初の
速さが 変わる 円運動
角速度が
です.接線方向(回転角が
と
法則 接線加速度と
加速度は
等速円
ポイント ここまでの
角度は
ラジアンで 測り,弧の 長さは .角速度 ,周期 ,振動数 の間に が成り 立つ. 回転角が
増える 向きを 正と し,回転が 逆転しない とき,速さは で,角速度はどの 点でも 同じ,速さは 半径に 比例する(一般には ).等速円
運動の 加速度は で,常に円の 中心を 向く.大きさは .速さが一定でも,向きが 変わるので 加速度が ある. 速さが
変わる 円運動では,加速度は 接線成分 と法線 成分 に分かれる.
23円運動と弧度法
定理 数学の
弧度法の
も
理由は
半径1の円で,中心角θに対する弧の長さθ(青),弦(黒),sinθ(緑),tanθ(橙)を並べて比べる図.初期状態はθ=0.5rad.θが小さいと弧と弦とsinθとtanθはほとんど同じ長さで,スライダーでθを大きくするとtanθが先に大きく離れ,sinθも少しずつ小さくなる.
練習 1.
答え:
練習 2. 月の
答え:
練習 3. (1)
答え:(1)
練習 4. 小角近似で
答え:
例題
例題 1
半径
半径Rの円上の点を中心からの位置ベクトルで示す.
速度
と加速度 を成分の 微分で 求め, を示せ. 毎秒5回転する
ときの,速さと 加速度の 大きさを 求めよ.重力加速度の 何倍か.
解答を見る
考え方 各成分を
成分ごとに
微分して,
内積
より .速さは ,加速度の大きさは .重力加速度 の約 倍である.
例題 2
アナログ時計の
12時ちょうどに重なる時針と分針を,長さと線種を変えて示す.
時針,分針の
角速度( )を求めよ. 時針から
見た 分針の 相対角速度を 求め,次に2つの 針が 重なるのは 何分後かを 求めよ. 12時以降,2つの
針が 初めて 直角を なすのは 何分後か.
解答を見る
考え方 相対
分針は60分で
,時針は720分で 回るので, , .時針から
見た 分針の 相対角速度は
分針が
相対角が
になる 時刻は 分後.
例題 3
レコード盤が
回転軸から0.12 mの点を示す.回転数は毎分33⅓回.
解答を見る
考え方 毎分の
ポイント ここまでの
ラジアンで
測った 角では が成り 立つ.円 運動の 微分は,角を ラジアンに そろえてから 行う. 角が
小さい(ラジアンで1より 十分 小さい)とき, , , と近似できる. 位置ベクトル
を成分ごとに2回微分すると が出る. 針の
問題のように 角速度の 差を 考えると,追いつく 時刻や 直角に なる 時刻が 相対 運動と 同じ 手順で 求まる.
24円運動の演習
円
演習
演習 1
地球は
赤道上の
点の 速さと 加速度の 大きさを 求めよ. 北緯
の地点の 速さと 加速度の 大きさを 求めよ.加速度は 地球の 中心を 向くか.
地球の断面図.鉛直な自転軸のまわりを地球が角速度ωで回る.赤道上の点Eは自転軸から地球の半径Rだけ離れた円を描く.北緯35°の点Pは,地球の中心とPを結ぶ線が赤道面と35°の角をなす位置にあり,自転軸からの水平な距離rの円を描く.Pの円運動の中心は地球の中心ではなく自転軸上の点である.
解答を見る
考え方 北緯
自転の
赤道では
円運動の 半径が 地球の 半径 に等しいので, .加速度は (重力加速度の約 0.3 %). 北緯
では半径 なので,速さ ,加速度 .加速度は円運動の 中心,つまり自転軸に 向かう 向きであり,地球の 中心を 向くのは 赤道上だけである.
演習 2
半径
半径Rの円と回転角θを示す.接線・法線加速度は描かない.
の接線加速度,法線加速度,加速度の 大きさを 求めよ.また,加速度が 速度となす角を 求めよ. 加速度の
向きが 速度と になるのは 何秒後か.
解答を見る
考え方 接線加速度は
で . , .加速度の大きさは .速度は接線方向を 向くので,加速度と 速度のなす角 は , である. は と同値. より .
演習 3
等速円
時刻
と の速度ベクトルを 同じ 始点から 描き,速度の 変化 を図示せよ. を で表し,小角近似を 使って 加速度の 大きさ を求めよ.また, で の向きが 中心向きに なる ことを 示せ.
左は半径Rの円で,時刻tの点と時刻t+Δtの点(中心角Δθだけ進んだ位置)に,円の接線方向の速度ベクトルv(t)とv(t+Δt)を描いたもの.右は同じ二つの速度ベクトルを同じ始点から描き直したもので,二つのなす角はΔθ,大きさはどちらもvである.速度の変化Δvは,読者が右の図に描き入れて求める.
解答を見る
考え方 2つの
2つの
速度ベクトルを 始点を 共通に して 描くと,長さ の2辺が頂角 をなす二等辺三角形が でき,底辺が である.底辺の
長さは (小角近似). なので,
二等辺三角形の
演習 4
長さ
床から1.25 mの水平面内で長さ0.80 mの糸についた石を回す.右向きの接線速度は問題文の条件を示す.
石の
加速度の 大きさと 向きを 求めよ. 石が
糸から 離れる 瞬間に,石の 速度は 円の 接線方向を 向く.石が 離れてから 床に 着くまでの 水平距離と,着地点の 回転軸からの 距離を 求めよ.重力加速度は ,空気の抵抗は 無視する. 回転数を
変えずに 糸の 長さを2倍に すると,石の 加速度は 何倍に なるか.
解答を見る
考え方 円
. .向きは円の 中心(回転軸)である. 石の
速さは .離れる瞬間の 速度は 水平で,接線方向である.落下の 時間は より .水平距離は,離れた点から 接線方向に ,約 .離れた点は 回転軸から で,接線は半径に 垂直だから,着地点の 回転軸からの 水平距離は ,これも約 である.糸の長さに 比べて 飛ぶ 距離が 長いので,2つの 距離の 差は ほどしかない.回転数が
同じなら は同じで, は に比例するので2倍である.
ポイント 教える
「半径の
半分の 点は どちらが 速いか」を 最初に 問い,「速さは 半径に 比例するが,角速度は 同じ」と 言い分けられるかを 確かめる. 「速さが
一定ならば 加速度は0」と いう 素朴な 誤解に 対しては,円運動で 速度ベクトルの 矢印を 数本描かせ,向きが 変わっている ことを 見せる. ラジアンの
感覚を つかませる ため,1 rad が 約 ,円周が半径の 約 6.3 倍である ことを 具体的に 確かめる. 小角近似は「いつ
使って よいか」が 大事である. , , で誤差を 比べさせる. 接線加速度と
法線 加速度は「速さの 変化」と「向きの 変化」に 対応する.どちらが 何を 変えるかを 自分の 言葉で 言えれば,理解できている.
25第3章の章末問題
この
演習 1
長さ
列車AとBの長さを示し,Bが反対向きの場合と同じ向きの場合を分けて描く.
A,Bの
速さを 求めよ. 反対向きに
すれ違う とき,両列車の 先頭が 並んでから,末尾が 互いに 通り過ぎ終わるまでの 時間を 求めよ. 同じ
向きに 走る とき,Bの 先頭がAの 末尾に 並んでから,Bの 末尾がAの 先頭を 通り過ぎるまでの 時間を 求めよ.
解答を見る
考え方 相手の
A,Bの
反対向きの
とき,Aから 見たBの 速さは で,長さ を で通り過ぎるから .同じ向きの ときは .連立して , .先頭が
並んでから 末尾同士が 離れ終わるまでに,Bの 先頭はAに 対して 進む.よって .同様に
相対的に 進み,相対速度は だから .
演習 2
まっすぐな
道路上のA,P,Cと野原のBを示す.AP=x,AC=D,BC=lである.
所要時間
を表せ. を最小に する と,そのときの 最小時間を 求めよ.必要なら, ( の の場合)と 連鎖律を 使ってよい. AからBまで
野原を 直進する 場合,およびCまで 道路を 走ってから 野原を 垂直に 進む 場合と 比較せよ.
解答を見る
考え方
道路上の
野原での
道のりは だから
微分して,
野原での
野原を
直進すると .Cまで道路を 走る 場合は .最小の が最も 短い.な お,この 最小条件 は,光の屈折の 法則と 同じ 形を している.
演習 3
直線上を
進行方向と反対向きに,問題で与えられた減速度が働く状況を示す.
質点が
止まるまでの 時間を 求めよ. 止まるまでに
進む距離を 求めよ. 減速度が
の場合には,質点は 有限の 時間で 止まるか.また,進む距離の 上限は あるか.
必要なら次の
解答を見る
考え方 式は
連鎖律より
なので, . となる 時刻は .連鎖律より
と書けるから, ,すなわち .左辺は なので .止まる位置は .確認として を で積分しても が得られる. 問題文の
公式より, , を満たすのは である(この形の 方程式の 解が1つに 決まる ことは,空気抵抗の 章で 扱う).これは どんな 有限の でも0にならないので,有限の 時間では 止まらない.距離は と有限で,これが 進む距離の 上限に なる( と の関係は ).
演習 4
水平な
水平な地面の上を,台車が右向きに一定の速さVで走っている.台車の上の点から,台車に対する速さv0で,水平となす角θの向きにボールを投げ出す.台車に対する初速度の矢印と角θ,台車の速度Vの矢印を示す.ボールの軌道と着地点は描かない.
台車から
見た ボールの 運動を 述べ,ボールが 台車の どこに 落ちるか 答えよ. 地面から
見た 初速度の 成分を 書き,投げた 点から 落下点までの,地面に 対する 水平距離 を で表せ. を最大に する について であることを 示せ.必要なら, , ,2倍角の公式 を使ってよい. , のとき, を最大に する と,そのときの を求め, で投げた 場合と 比べよ.
解答を見る
考え方 台車は
台車は
等速なので,台車から 見ても ボールの 加速度は 鉛直下向きに である.したがって台車から 見ると,初速 ,角 のふつうの 放物 運動に なる.滞空 時間 の後,ボールは 台車の 上の,投げた 点から 前方へ の点に 落ちる.この 結果は によらない. 地面から
見た 初速度は .滞空 時間は 同じ なので
は に比例する.連鎖律で
より . で, . では で,少し短い.前へ 走りながら 投げる ときは, より高めに 投げるのが よい.
演習 5
半径
水平な地面を右へ滑らずに転がる半径Rの車輪.中心から右向きに速度v(青)を描き,車輪は時計まわりに角速度v/Rで回る.縁の点は,中心から見て水平右向きから反時計まわりに角θの位置にある.
縁の
点の 地面に 対する 速度の 成分と,速さを で表せ.速さが 最大,最小に なる 点は どこか. 車輪の
後ろ側( )で縁の 点から 泥が 離れ,その 後は 空中を 放物 運動する.泥が 離れる 角 を変える とき,泥の 最高点の 高さ の最大値を で表せ( とする). , では何 m か.
解答を見る
考え方 地面から
中心に
対する 速度は .中心の速度 を加えて .速さは で,最上点( )で最大の ,地面に接する 点( )で最小の である.離れる
位置の 高さは ,上向きの 速度成分は .よって として
演習 6
1 辺
1辺Lの正三角形ABC(Aが左下,Bが右下,Cが上).AはBへ,BはCへ,CはAへ,それぞれ一定の速さvで進む(青い矢印).3匹は対称に,中心Oのまわりを反時計まわりに回りながらOへ近づく軌跡(渦巻き)を描く.Oから頂点までの初めの距離をr0とする.
3 匹が
出会 うまでの 時間と,各虫の 道のりを 求めよ. 中
心Oからの 距離が から まで縮む間に,Oの まわりに 回る 角 を求めよ.出会 うまでの 回転数は 有限か.必要なら, で を使ってよい( は を底と する 対数で, である. の公式で 除いた の場合に あたる).
解答を見る
考え方 対称性から,3 匹は
虫の
進む 向きと,虫からOへの 向きは をなす.Oに 向かう 速さは ,初めの距離は .よって時間は
道のりは
Oの
まわりを 回る 速さは . , を割り算して . から まで積分し, を使うと
演習 7
岸壁の
水面から高さhの岸壁の滑車に綱を通し,綱の一端を一定の速さuで引く(青い矢印).綱のもう一端は水面の小舟につながる.滑車の真下の水面の点Oから舟までの距離をxとする.
舟のOからの
距離が のときの 舟の 速さ と加速度の 大きさ を, で表せ. での と を求めよ.また, が に達する を求めよ.
解答を見る
考え方 滑車から
の両辺を 微分し, を使うと .舟の速さは
さらに
なので , . は . で速さも 加速度も 限りなく 大きくなる.
26第3章の発展問題
★4・★5の
演習 1
水平な
投げ上げの
初速度 と,Pに達する 時刻 の関係式を,ベクトルで 書け. 石がPを
通る ために 必要な 最小の 初速の 大きさ と,そのときの 投げ上げの 角を 求めよ.必要なら,相加平均・相乗平均の 不等式(正の 数 について ,等号は のとき)を 使ってよい.
水平な地面の点Oから,水平に距離d,鉛直に高さhだけ離れた点Pを通るように石を投げる.OとPを結ぶ破線がOPの方向.青い曲線は初速度v0で投げたときの軌道の一例で,点Pを通る.重力加速度gは鉛直下向き.最小の初速度や投げ上げの角は図には描いていない.
解答を見る
考え方 自由落下する
点Oを
原点,水平方向を ,鉛直上向きを とする.重力加速度の ベクトルは ,Pの位置ベクトルは .時刻 の位置は だから,
両辺の
大きさの 二乗を とる. , を使うと,
第1項と
等号は
この
演習 2
傾き
台から
見た ボールの 加速度を 求めよ. ボールが
再び斜面に 着く 時刻と,その 点のOからの 斜面に 沿った 距離(斜面を 上る 向きを 正)を 求めよ. ボールが
ちょうどOに 戻る ための,台の 加速度 の条件を 求めよ.
傾き角αの斜面をもつ台が,水平な地面の上を左向き(斜面を下る向き)に加速度Aで加速している.斜面の下端Oから,斜面に垂直な向きに初速度v0でボールを投げる.重力加速度gは鉛直下向き.斜面に沿って上る向きを正としてOからの距離ℓを測る.右向きにx軸,上向きにy軸をとる.台から見た軌道は図には描いていない.
解答を見る
考え方 台に
右向きを
ボールの
加速度は ,台の加速度は だから,台から見た ボールの 加速度は .斜面に
平行・垂直な 成分は
台から
斜面に
すなわち , のとき.この とき台から 見た 加速度は 斜面に 垂直に なり,ボールは 斜面に 垂直な 直線を 往復する.な お, (台が動かない)の ときは となる.Oは 斜面の 下端なので,ボールは 斜面には 戻らず,Oより 左側(斜面の 下端より 先)の 床に 落ちる.
演習 3
一様な
東へ歩く速さが異なる二つの場合について,鉛直から前方へ傾く雨の筋を示す.地上での雨の速度は描かない.
地面に
対する 雨粒の 速度(大きさと 向き)を 求めよ. 雨粒の
筋が 鉛直に 見えるのは,どちらの 向きに 何 で歩く ときか. 人の
体を,頭上面(面積 )と進行方向に 向いた 前面(面積 )の板と みなす.板に 当たる 雨の 量は,雨の 板に 対する 相対速度の 板に 垂直な 成分,面積,時間の 積に 比例する.東向きに 距離 を歩く とき,濡れる 量を 歩く 速さ の関数で 表し, と の場合を 比べよ.
解答を見る
考え方 雨粒の
東向きを
条件より
, .整理すると , .辺々引くと だから , .雨粒の速度は 西向き ,下向き .速さは ,鉛直から西へ 傾いた向きに 降っている. 筋が
鉛直なのは のとき,つまり 西向きに で歩く とき(雨と 同じ 水平速度で 動く とき). 頭上面に
垂直な 相対速度成分は ,前面に垂直な 成分は ( ).時間は だから
演習 4
平らな
犬が
主人に 追いつくまでの 時間を 求めよ.一般の ( )についても 式で 表せ. 犬が
走る 道のりと,主人が 歩く 道のりを 求めよ. のとき犬は 追いつけない ことを,(1) の 計算から 確かめよ.
原点Oにいる犬が,Oから距離Lだけ離れた,y軸に平行な道の上を点Qから歩き出した主人に向かって,常に主人の方向へ速さvで走る.主人は道に沿って一定の速さuで進む.図はある時刻の犬の位置と主人の位置,どちらの速度の向き,犬が通った道筋の曲線を示す.犬の速度は常に主人を向くので,軌跡は主人の進む側へ曲がっていく.
解答を見る
考え方 犬の
犬の
主人の
を微分して(文字の 上の 点は による 微分を 表す),
また,
左辺は
数値では
犬の
速さは 一定だから 道のりは .主人は 歩く.追いつく地点は で,Oからの直線距離は だから,犬の道のり はそれより 長い(曲がった 軌跡なので 当然). となるので, では は増えるか 一定である.初めの 値は で,追いつくには0にならなければならないが,それは 不可能.よって 追いつけない. で となるのも,この 結果と 整合する.
27第3章のまとめ
この
定義の 一覧
定義 運動を
位置ベクトル
:原点から物体へ 向かう 矢印.変位は .速度
:位置の時間変化率.大きさ が速さ.直線上では .加速度
:速度の時間変化率.向きだけが 変わる 運動にも 加速度が ある. 相対速度
:Aから見たBの 速度. 角速度
( はラジアンで,増える 向きを 正と する.逆転しない 回転では ),周期 ,振動数 : .
法則と 公式の 一覧
法則 速度と
v-tグラフと
法則 等加速度
自由落下では,鉛直上
法則 放物
水平方向は
空
法則 速度の
座標軸の
法則 円
回転角が
各節の 問いへの 短い 答え
位置と
ベクトル:「駅から500 m」は,位置ベクトルの 大きさだけを 伝えていた.場所を 決めるには,向きと,原点・軸の 約束(座標系)が 要る. 速度:スピードメーターの
数字は,短い 時間の 平均を 限りなく 短くした 極限,つまり 瞬間速度 の大きさである.平均の 速さは 区間全体を ならした値である. 加速度:速さが
一定でも,速度の 向きが 変われば 加速度が ある.カーブで 外へ押されるように 感じるのは,加速度が 内向きだからである. 速度から
位置へ:v-tグラフの 面積(横軸より 下は 負)が 変位に なる.道のりは の面積で,往復では 変位と 一致しない.細かく 切って 足し合わせる 極限が 積分である. 等加速度
運動と 自由落下:ガリレオは 時間の 比だけを 使い,静止から 出発した 球の 出発点からの 距離の 比が になる ことで を確かめた.斜面は 加速度を 小さくして 測りやすく する 工夫だった. 放物
運動:空 気抵抗を 無視すれば,猿は 弾に 当たる.弾も 猿も 同じ 時間に 同じだけ 落ちるので,地面に着く 前に 出会える 速さで あれば,弾の 速さに よらない. 相対
運動:走る 人から 見た雨の 速度は,雨の 速度から 人の 速度を 引いた もの.雨は 前から 降ってくるように 見える. 円
運動:端の 点の ほうが 速い.角速度は 同じで,速さは 半径に 比例する.速さが 一定でも,加速度 が中心を 向く.
数学の 道具の 一覧
ベクトル:成分での
和・差・実数倍,大きさ,内積. 微分:
,積の微分,連鎖律, (ラジアン).積分:べき関数・三角関数・指数関数の
原始関数,定積分は 端点の 差. 三角関数:加法定理と2倍角,小角近似
.二次関数と
内積:距離の2乗の 平方 完成から 最接近の 時刻を 求める.
次の 章へ
この