第11章 非慣性系
01慣性系と非慣性系
問い
駅を
電車の
左は地上から見た傾いたつり革と右向き加速度A.右は車内から見た同じつり革で,重力と張力だけでは合力が0にならない.
考えてみる
まず,地上に
重力は
です.辺々を
この
次に,電車の
加速する
慣性系と 非慣性系
定義 慣性系と
慣性系:慣性の
非慣性系:慣性系に
この
の
つり革の加速度を比較する.図中の記号と条件は「地上 S」「θ」「A」「a=A」「電車 S'」「a'=0」である.
つり革では,
見かけの 力と いう 考え方
と
定義 見かけの
非慣性系で
見かけの
向きは,系の
加速度 と逆向きである. 大きさは,物体の
質量に 比例する. 他の
物体から 受ける 力ではない.そのため,作用・ 反作用の 相手に あたる 力が,どこにも 存在しない.
つり革の
地上(慣性系) | 電車の | |
|---|---|---|
つり革の | ||
働く | 重力 | 重力 |
運動方程式 |
下の
な ぜ,わざわざ非慣性系で 考えるのか
地面と
私たちが
立っている 地球が,厳密には 非慣性系だから.地球は 自転している ため,地面に 固定した 基準系は 加速しています.普通の 実験では 無視できますが,台風や 海流,長い 距離を 飛ぶ弾道を 調べる ときは,この 効果が 現れます. 乗り物の
中の 観測は,その 乗り物を 基準に するのが 自然だから.電車の 中の 人に とっての「落ちる」「傾く」「止まっている」は,電車に 対する 運動です. 解きやすくなる
ことが あるから.系の 中で 静止している 物体は なので,つり合いの式だけで 済みます.上の つり革は,その例です.
ただし,便利さの
ポイント 非慣性系で
最初に,どの
基準系で 考えるかを 決める. 慣性系で
考えるなら,実際に 働く 力だけを 数える.見かけの 力は 入れない. 並進する
非慣性系で 考えるなら,実際の 力に,並進に よる 見かけの 力 を加える. 2つの
立場を 途中で 混ぜない.慣性系の 加速度を 使いながら 見かけの 力も 足すと,同じ 効果を 二重に 数えてしまう.
ポイント ここまでの
問いの
答え:つり革を 後ろへ 傾けている 力は,実在しない.電車の 中の 人から 見た ときだけ,後ろ 向きの 見かけの 力(慣性力) が重力と 張力に 加わって,3つの 力が つり合う. 地上の
人から 見れば,つり革は 前へ 加速する ために 傾いている.同じ 現象が,どちらの 立場でも 説明できる. 慣性系に
対して 向きを 変えずに 加速度 で動く(並進する)基準系は 非慣性系で,運動方 程式が そのままでは 成り立たない. から, となる. 並進に
よる 見かけの 力 を足すと,並進する 非慣性系でも 運動方 程式の 形が 使える.向きは と逆で,大きさは 質量に 比例し,反作用の 相手は ない. 非慣性系で
考える 理由は,地球自体が 非慣性系である こと,乗り物の 中の 観測が 自然である こと,静止した物体が つり合いで 解ける ことの3つである. どちらの
系で 考えるかを 先に 決め,途中で 混ぜない.
02慣性系と非慣性系の例題
同じ
ポイント 数学の
向きの
正を 決める.水平なら 進行方 向,鉛直なら 上 向きを 正に する. 慣性系で
解く 場合:物体の 加速度 (地上から見た 値)を 書き,実際に 働く 力の 和を に等しいとおく. 非慣性系で
解く 場合:物体の 加速度 (乗り物から見た 値)を 書き,実際の 力に 見かけの 力 を加えた和を に等しいとおく. 2つの
立場の 式を 比べる.移項すれば 同じ式に なるはずで,これが 検算に なる.
練習. 加速度
答え:進行方向を
例題
例題 1
水平で
のとき,箱は 荷台に 対して 滑らなかった.箱が 床から 受ける 摩擦力の 向きと 大きさを,地上の 人の 立場と トラックの 中の 人の 立場の 両方で 求めよ. 箱が
荷台に 対して 滑らないための の最大値を 求めよ. で発進すると,箱は 荷台に 対して 滑った.荷台に 対する 箱の 加速度を,両方の 立場で 求めよ.箱が 初め荷台の 後端から 前にあったとすると,何秒後に 後端に 達するか.
発進するトラックの側面図で,水平な荷台の上に箱があり,箱には重力 mg と垂直抗力 N を描き,トラックの加速度 A を前向きの矢印で示す.箱の後面と荷台の後端との距離は 1.5 m である.
解答を見る
考え方 箱を
進行方向を
正と する.地上から 見ると,箱は トラックと 同じ 加速度 で動くので,摩擦力を として
である.トラックの
どちらの
鉛直方向の
つり合いから .滑らないためには,必要な摩擦力 が最大摩擦力 以下であればよい.
である.質量
箱は
荷台に 対して 後ろへ 滑るので,動摩擦力は 前向きに である.地上から見た箱の 加速度は (前向き)で,荷台に対する 加速度は
である.トラックの
である.地上から
例題 2
質量
エレベーターが
上向きに 加速度 で動き出した.体重計が 示す力 を,地上(慣性系)の立場で 求めよ. (1)を,エレベーターの
中の 人の 立場で 求め,同じ 結果に なる ことを 確かめよ. 下向きに
加速度 で動いている ときの を求めよ.また,(1)と(3)を,体重計の 目盛りを 質量に 直して 比べよ. ケーブルが
切れて,エレベーターが 自由落下を 始めた.空 気抵抗と ブレーキの 影響は ないと して, を求めよ.
エレベーターの三つの加速条件.図中の記号と条件は「上向き加速」「A」「体重計の値は未知」「下向き加速」「自由落下」である.
解答を見る
考え方 人は
地上から
見た 人の 加速度は,エレベーターと 同じ (上向き)である.人に 働く力は,上 向きの と,下向きの重力 だけだから,
である.およそ
エレベーターの
加速度は (上向き)で,エレベーターの 中の 人の 加速度は である.力は (上向き), (下向き),見かけの力 ( と逆の 下向き)の3つで,
と
下向きの
加速度を とする.上 向きを 正と すれば,加速度は で, から
である.非慣性系で
目盛りを
自由落下では,エレベーターの
加速度は 下向きに である.(3)の式で とおけば
である.体重計は,人から
ポイント ここまでの
同じ
問題を,慣性系(実際の 力だけ,加速度は 地上から 見た 値)と 非慣性系(見かけの 力を 足す,加速度は 乗り物から 見た 値)の 両方で 解くと,移項すれば 同じ式に なる.これが 検算に なる. 加速する
荷台の 上の 箱を 前へ 加速させるのは,床の 静止摩擦力である.荷台に 対して 滑らない 条件は,静止摩擦係数を として で,質量によらない. エレベーターの
体重計の 目盛りは,上 向きに 加速すると ,下向きに加速すると になる.質量が 変わったのではなく,床が 人を 押す力が 変わったのである. 自由落下(
)では目盛りが になる.この「重さが 消える」現象は,「並進慣性力」の 節で,有効重力と いう 考え方で 整理する.
03慣性系と非慣性系の演習
同じ物体の
演習 1
地上を
慣性系と
みなせる 観測室を 選び,理由を 述べよ. ウの
室内で,水平な 力を 受けない 小球を 室内に 対して 静止させて 放す.直後の 小球の 相対加速度と,導入する 慣性力の 向きを 述べよ.
解答を見る
考え方 系の
アと
イである.両者の 原点の 加速度は0で,軸も 回らないので,任意の 物体に ついて が成り 立つ.ウは 速度の 大きさが 変わり,エは 速さが 一定でも 速度の 向きが 変わる ため,原点が 加速する 非慣性系である.エの 軸が 回らないと いう 条件でも,原点の 加速度は 消えない. ウの
加速度 は西向きである.小球の 水平加速度は 地上では0なので, は東向きと なる.室内で 加える 慣性力 も東向きである.小球を 東へ押す新しい 物体が 現れた わけではなく,観測室の 速度が 減って 小球との 相対速度が 生まれる.初めの 相対速度が0でも,相対加速度まで0とは 限らない.
演習 2
右向きを
地上での
加速度 と台車での 加速度 を求めよ. 台車での
運動方 程式を 書き, と書く 誤りを 説明せよ.
同じ物体と力を二つの系で見る.図中の記号と条件は「地上 S」「F」「A」「台車 S'」である.
解答を見る
考え方 まず
. だから である.物体自身が左へ 加速する 効果と,台車が 右へ 加速する 効果が,相対 運動では 加わる.台車の 速度は 与えられていないが,加速度の 差を 求める ためには 不要である. 慣性力は
なので,台車では と書く.左辺を にすると,地上の 加速度に 対して 台車用の 慣性力を 足してしまう.正しくは を移項して 得られる 式であり,どの 座標系の 加速度かを プライムで 明示する ことが 二重計算を 防ぐ.
演習 3
質量
体重計の
示す垂直抗力 を地上と 箱の 両方から 求めよ. 同じ
下向き加速度の まま,箱が 下降へ 転じた 場合,目盛りは 変わるか.体重計が を質量と して 表示する ときの 値も 求めよ.
上昇しながら減速する箱.図中の記号と条件は「地上 S」「箱のV」「A」「箱 S'」である.
解答を見る
考え方 上昇か
地上では
なので .したがって である.箱では で,慣性力は上向きに .よって となり,同じ値を 得る.重力 その ものが 小さくなったのではない. 加速度が
同じなら も同じである.速度が0を 通過する 瞬間にも 加速度は 残る ため,静止中の 通常の 目盛りに 戻るわけではない.表示は となる.人の 質量は のままであり,表示は 接触力を 一定の で割った 値に すぎない.この 問題では なので,人と床が 接触し続ける 仮定にも 矛盾しない.
演習 4
ロープウェイの
と張力 を,地上とゴンドラの 両方の 立場から 求めよ. ゴンドラが
急に ケーブルに 沿う 等速 運動へ 移った 直後,つり革は 新しい つり合いの 位置へ 瞬時に 移るか.糸が 張っていると して 説明せよ.
斜めに加速するロープウェイ.図中の記号と条件は「α」「θ」「A」「m」である.
解答を見る
考え方 加速度は
右向きと
上向きを 正と する.ゴンドラの 加速度は である. だから , .地上ではつり革も 同じ 加速度を もつので
である.割り算から
ゴンドラでは
瞬時には
移らない.有限の 力では 位置や 速度は 飛び変わらず,つり革は 傾いた 位置で 相対速度0の まま 加速終了を 迎える.等速に なると 慣性力が 消え,つり合いの 位置は 鉛直に なる.重力の 接線成分で 鉛直位置へ 向かって 動き出し,抵抗が なければ 振動し,抵抗が あれば 減衰して 鉛直に 落ち着く.新しい つり合い 位置と,切替直後の 実際の 位置を 区別する 必要が ある.
演習 5
高さ
車内での
落下時間と,Pの 真下から 測る 着地点の 水平変位を 求めよ. 地上の
座標で 同じ 結果を 導き,結果が に依存しない 理由を 説明せよ.
天井から球を放す二つの見方.図中の記号と条件は「地上 S」「P」「h」「A」「車内 S'」である.
解答を見る
考え方 車内では
Pの
初期位置を 車内の 原点,右向きと 上向きを 正と すると, , .床は だから .水平変位は で,車の後方へずれる.重力と 慣性力は ともに 質量に 比例するので,結果は 球の 質量にも 依存しない. 地上では
球の 水平位置は ,Pの水平位置は .差を取ると である.鉛直方向は車が 加速しないため落下時間も 同じと なる.初めの 共通速度 は差から 消え,どちらの 観測者も 同じ床上の 点への 衝突を 予測する.球が 後方へずれるからと いって,地上で 球が 左向きに 加速するとは 限らない.
ポイント 教える
速さ一定と
速度 一定を 区別し,円 運動を 反例と して 説明させる. 力の
図には 観測する 系の 名前を 書かせ,加速度の プライムと 対応させる. 体重計の
値を 質量 その ものと 同一視しない ことが 重要である. つり合い
位置の 変化と 実際の 過渡 運動を 分けて 問いかける.
04並進慣性力
問い
水平な
台車が
加速する台車の斜面.図中の記号と条件は「m」「30°」「台車」「A」である.
考えてみる
素朴には,斜面が
地上から
座標を 台車へ移す
慣性系
定理 並進する
両辺を
である.
並進する原点と位置ベクトル.図中の記号と条件は「O」「O'」「物体」「R」「r'」「r」「r=R+r'」である.
物体の
を
法則 並進慣性力
加速度
と
並進慣性力は,場所に
有効重力
並進慣性力の
です.そこで
公式 有効重力
と
たとえば
です.
有効重力の合成.図中の記号と条件は「g」「−A」「g'」「有効水平面」「φ」である.
問いに 戻る
です.
斜面は
自由落下では 重力が 消える
有効重力の
です.重力と
国際宇宙ステーションの
逆に,重力の
ポイント ここまでの
問いの
答え:物体は 斜面を上る向きに 動き出し,加速度は 約 .台車の上の 人から 見れば,有効重力が 左下へ 傾き,斜面は 右へ 上る の坂に あたる. 並進する
系では, の2階微分から となる.並進慣性力 は,向きが と逆で,大きさが 質量に 比例し,反作用は 無い. 重力と
並進慣性力は どちらも 質量に 比例するので,有効重力 にまとめられる.「下」は の向きである. 自由落下する
系では で,重力が消えて 見える(無重量状態).重力の 場所に よる 違いを 無視できる 小さな 領域では,重力と 加速の 区別が つかない.これが 等価原理の 入口である.
05並進慣性力の例題
「並進慣性力」の
定理 数学の
座標変換の
である.
練習 1.
答え:
練習 2. 上
答え:
例題
例題 1
落下する
箱が
自由落下している.小球を 静かに 放すと 箱に 対して どう 動くか.また,水平に で投げると,反対側の 壁に 着くまでの 時間と 高さは どうなるか. ブレーキが
働いて,箱の 下向きの 加速度が になった.小球を 高さ から静かに 放すと,床に 達するまでの 時間は いくらか.
落下する箱の初期条件.図中の記号と条件は「自由落下:A=g」「放した後の運動を求める」「下向き:A=0.80g」である.
解答を見る
考え方 箱の
だから .静かに放した 小球は 箱に 対して 静止し,浮いたままに なる.水平に 投げた 小球は 箱に 対して 等速直線 運動を するので,時間は
で,高さは
(下向き).小球は箱に 対して 静止から 落ちるので
である.止まった
例題 2
台車の
台車に
対して 斜面を 下る 向きの 加速度 と,垂直抗力 を, で表せ. , , のとき, と を求めよ.物体は 斜面を 下るか,上るか. 物体が
台車に 対して 静止し続ける と,そのときの を求めよ.
台車内で斜面に働く力.図中の記号と条件は「m」「θ」「台車」「A」「mg」「N」「−mA」「平行」「垂直」である.
解答を見る
考え方 台車の
斜面に
沿って 下る 向きを 正と する.重力の 成分は,斜面に 沿って 下向きに ,垂直に押しつける 向きに .慣性力 の成分は,斜面に 沿って 上向きに ,垂直に押しつける 向きに .よって
である.
だから
である.
から ,すなわち
である.
例題 3
一定の
小球が
車に 対して 静止している ときの,糸の 傾き と張力 を求めよ. つり合いの
位置からの 小さな 振れの 周期を 求め,車が 止まっている ときの 周期と 比べよ.
加速する車内の振り子.図中の記号と条件は「θ₀」「A」「ℓ」である.
解答を見る
考え方 重力を
.糸は の向きなので,鉛直から 後ろへ
傾く.張力は
つり合いの
位置からの 振れが 小さい とき,重力加速度が になっただけの 単振り子と して 扱える.張力 と区別して 周期を と書くと
である.止まっている
ポイント ここまでの
( ).有効重力 は成分ごとに 引いて合成する. 台車上の
斜面では,慣性力を 斜面に 平行・ 垂直に 分ける.下る 加速度は ,台車に対して 静止する 条件は .一定の
加速度で 動く 車の 中の 振り子は 有効重力の 向きに ぶら下がり,つり合い 位置の 周りの 微小 振動の 周期は .自由落下する箱の 中では で,物体は箱に 対して 等速直線 運動を する.
06並進慣性力の演習
まず
演習 1
右を
慣性力と
有効重力を 成分で 求めよ. 壁に
当たる 前の 後の相対速度と,放した 位置からの 相対変位を 求めよ.
斜め上へ加速する箱.図中の記号と条件は「A=(3.0,4.0)」「x'」「y'」「O」である.
解答を見る
考え方 系の
, .箱が上へ加速するので,箱内では 下向きの 加速度が より大きい.有効重力の 大きさは であり,成分の差と 大きさの 差を 混同してはいけない. , である.二つの成分の 比が 一定なので,箱からは 左下へ 直線状に 動く.地上では 鉛直下向きに 重力加速度を 受ける 運動であり,箱の 加速度を 足すと と確かめられる.
演習 2
エレベーターの
エレベーターに
対する の下向き加速度 と,糸の張力 を求めよ. , , のときの と を求めよ. のとき,エレベーターに 対して 静かに 放した おもりは どう 動くか.
加速するエレベーターの滑車.図中の記号と条件は「m」「2m」「B」である.
解答を見る
考え方 エレベーター内の
有効重力の
大きさを とする. が相対的に 下がる 向きを 正と すると
であり,張力は
なので , である. では となり, , である.静かに放した おもりは,エレベーターに 対して 静止したままである.自由落下の 箱の 中では,軽い方を 引き上げる 駆動力が 残らない.
演習 3
水平と
小球が
台車に 対して 静止する とき,糸が 斜面の 法線となす角と,鉛直からの 傾きを 求めよ. つり合いの
まわりの 微小 振動の 周期を,静止した 実験室の 単振り子と 比べよ. のときの 周期比を 求めよ.
斜面を滑る台車の振り子.図中の記号と条件は「α」「ℓ」「m」である.つり合いの角は描かない.
解答を見る
考え方 台車の
右向きと
上向きを 正と する.斜面下向きの 単位ベクトルは なので,台車の加速度は である.有効重力は
である.斜面の
つり合いの
方向から 測った 微小角 について だから,周期は である.実験室の周期 との比は である. では より である.水平に加速する 車の 振り子と 違い,傾きは 斜面の 角その もので,周期は で決まる.
演習 4
水平な
物体が
台車に 対して 静止する ために 必要な,斜面下向きを 正と する 摩擦力 と垂直抗力を 求めよ. 静止できる
の範囲と,その 範囲の 両端で 摩擦が 働く 向きを 求めよ.
粗い斜面の静止条件.図中の記号と条件は「m」「θ」「台車」「A」「粗い面:μ」である.
解答を見る
考え方 摩擦の
斜面方向で
だから .垂直方向では である.摩擦は常に ではなく,この必要値を とる. を整理する.仮定に より 分母が 正なので
と
演習 5
高さ
球が
初めに 当たる 面と,到達時間を 求めよ. 同じ箱の
床上に 置いた物体は,床と 接触し続けられるか.床に 接着されていない ものとして 説明せよ.
重力より速く下へ加速する箱.図中の記号と条件は「H」「h」「a₀」である.
解答を見る
考え方 有効重力の
上
向きを 正と すれば , .球は箱に 対して 上へ 加速し, で天井へ達する.よって である.地上では球も 下へ 重力加速度で 落ちるが,天井の 方が 速く 下へ 加速して 球に 追いつく. 接触を
仮定すれば から となる.通常の 床は 物体を 下へ 引けないので,この 解は 接触の 仮定に 反する.物体は 床から 離れ,その後は で上向きの 相対加速度 をもつ.負の 垂直抗力を そのまま 答えに せず,運動の 条件を 切り 替える 必要が ある.
ポイント 教える
有効重力は
成分の 差と して 書かせ,符号を 図と 照合させる. 摩擦の
向きを 決め打ちせず,必要な 静止摩擦力を 先に 求めさせる. 垂直抗力が
負に なったら,接触の 仮定へ 戻る ことが 重要である. 自由落下は
有効重力が0と なる 境界であり,その 両側を 比較させる.
07遠心力
問い
水平な
硬貨を地上と回転系から比較する.図中の記号と条件は「地上 S」「r」「O」「ω」「f」「v」「円盤 S'」「mω²r」「v'=0」である.
考えてみる
まず
次に,円盤の
回る 系の 運動方程式
円盤と
定義 遠心力
一定の
が
外積を
向心力との
硬貨が
の
回転系で静止している物体(回転する
回転する 液面
円筒形の
回転する水面と有効重力.図中の記号と条件は「回転軸」「ω」「mg」「mω²r」「合力」「θ」である.
軸から
です.
と
地球の 自転と 重力加速度
地球は
地球上の遠心力の分解.図中の記号と条件は「自転軸」「P」「λ」「R」「R cos λ」「mω²R cos λ」「法線成分」「赤道向き」である.
緯度
実測では
ポイント ここまでの
一定の
角速度 で回る 系で 止まっている 物体には,軸から 外向きの 見かけの 力 (遠心力)を加えると, が成り 立つ. 遠心力は
反作用を 持たない 見かけの 力で,慣性系から 見ると 現れない.向心力を,実在の 力とは 別の 力と して 加えない.慣性系の 図に 遠心力は 描かず,回る 系の 図には 実在の 力と 遠心力を 一緒に 描く. 円盤の
上の 物体が 滑らない 条件は (質量によらない).回転する 液面は 放物面 .地球では遠心力が 赤道の を約0.35 % 弱める. 問いの
答え:外向きの 力は,円盤の 上の 人が 運動方 程式を そのまま 使う ために 持ち込んだ 見かけの 力で,実在しない.地面から 見れば,硬貨は 中心向きの 摩擦力で 円運動していて,摩擦が 足りなくなると 円盤に 対して 滑り 始め,その 瞬間の 速度の 向き(円の 接線方向)へ それていくだけである.
08回転座標系での時間微分
回転する
定理 数学の
である.微分すると
回転する基底とその微分.図中の記号と条件は「x」「y」「O」「e₁'」「e₂'」「de₁'/dt=ωe₂'」「ωt」である.
原点を
である.
と
である.
練習 1.
答え:
練習 2.
答え:
遠心力と その ポテンシャル
回る
遠心力
ポイント 遠心力の
回転軸からの
例題
例題 1
水平な
回転円盤上の小物体.図中の記号と条件は「r」「O」「ω」「f」「mω²r」である.
中
心から の位置で,物体が 滑らずに いられる 最大の を求めよ. のとき,滑らずに いられる 中心からの 最大の 距離を 求めよ.質量を に替えると 変わるか.
解答を見る
考え方 円板とともに
より . .式に質量が 入らないので, に替えても 変わらない.
例題 2
内側の
回転容器の水量と高さ.図中の記号と条件は「回転軸」「ω」「静止時の水面」「R=0.10 m」「回転後の水面と高さを求める」である.
重力と
遠心力の ポテンシャルから,水面の 式を 求めよ. 縁と
中心の 水面の 高さの 差 を求めよ. 水の
体積は 変わらないと して,中心での 水面の 高さを 求めよ.
解答を見る
考え方 回る
水面上で
なので ( は中心の 高さ). .縁( )との差は ,約 . .半径 から の細い輪の 面積は なので,水の体積は
である.体積不変より,これが
ポイント ここまでの
基底ベクトルは
を満たし,任意の ベクトルで「慣性系での 微分 回る系での 微分 」となる. 速度は
.止まっている物体の 加速度 から遠心力 が出る. 遠心力の
ポテンシャルは .静止した液面は,重力の ポテンシャルとの 和が 一定の 面に なる.
09遠心力の演習
回転系で
演習 1
水平な
円盤の
系での 遠心力の 大きさと 向きを 求めよ. 地上と
円盤の 両方で 水平な 力の 式を 書き,摩擦力と 遠心力が 作用反作用の 対でない 理由を 述べよ.
円盤上で静止する物体の二つの見方.図中の記号と条件は「地上 S」「r」「O」「ω」「円盤 S'」である.
解答を見る
考え方 地上では
で,回転軸から外向きである.この 距離は 円周に 沿う 長さではなく,軸へ 下ろした 垂線の 長さである. 外向きを
正と し,内向き摩擦の 大きさを とすれば,地上では ,円盤では .どちらも を与える.摩擦力の 反作用は 物体が 円盤へ 及ぼす外 向きの 力で,円盤に 作用する.遠心力は 同じ物体に 加える 見かけの 力であり,相互作用の 相手を 持たない.つり合う 二力だからと いって 作用反作用とは 限らない.
演習 2
頂点を
と,面が物体に 及ぼす垂直抗力 を求めよ. , , のときの と を求めよ. を増やすと はどう 変わるか.
回転する円錐面の小物体.図中の記号と条件は「軸」「ω」「m」「r」「α」である.抗力は描かない.
解答を見る
考え方 回る
抗力の
鉛直成分は ,水平内向き成分は である.鉛直のつり合いと,遠心力との 水平の つり合いから
したがって
, だから
である.
演習 3
鉛直軸の
壁からの
垂直抗力と 摩擦力を 求めよ. 物体が
ずり落ちない 最小角速度を 求めよ. , , のとき数値を 示せ.
回転円筒の内壁の物体.図中の記号と条件は「mg」「R」「ω」「鉛直断面:床の支えなし」である.
解答を見る
考え方 垂直抗力と
回転系で
半径方向の つり合いから .鉛直方向では摩擦が 重力を 支えるので,上 向きに である.地上で見ても,内向きの が円運動の 向心力を 担い,鉛直加速度は0なので 同じ結果と なる. より .最小値は である.回転を速める ほど 抗力が 増え,摩擦の 上限が 増すため支えられる.水平円盤では 摩擦が 円運動を 担ったが,ここでは 抗力が 円運動を 担う.同じ が現れても,力の 役割は 接触面の 向きに よって 違う.
演習 4
細い
回転系での
水平部分の 圧力差から, を , , で表せ. 左右の
水面の 高さを 求め,左の 腕の 水が 底まで 下がらない 条件を 述べよ. , , , で数値を 求めよ.
回転軸を左腕とするU字管.図中の記号と条件は「回転軸」「ω」「L」「h₀」「回す前の水面」である.回転後の水面差は描かない.
解答を見る
考え方 自由表面は
回転系で
水は 静止している.軸から 距離 の水平部分では,外向きの 遠心力と 内向きの 圧力勾配が つり合うので である.左端 から右端 まで積分すると,底での 圧力差は である.左の水面の 高さを ,右を とすると,同じ 圧力差は でも書ける.よって
である.断面が
断面積が
一様なので,左で 下がった 体積は 右で 上がった 体積に 等しい.各腕の 変化は であり
である.左の
指定の
演習 5
地球を
地表で
静止する 物体の 遠心加速度を,球面の 外向き法線と 赤道向き接線に 分解せよ. 有効重力の
大きさと,つり下げた糸の 中心方 向からの ずれ角 を1次まで求めよ. , , , で評価せよ.
地球表面での成分の向き.図中の記号と条件は「自転軸」「P」「λ」「R」「R cos λ」「外向き法線」「赤道向き」である.
解答を見る
考え方 遠心力は
軸からの
距離は .遠心加速度の法線 成分は ,接線成分は である.後者は北半球では 赤道へ 向かう.極では 軸からの 距離が0となり,両成分とも 消える.
である.最後の
ポイント 教える
遠心力の
距離は 軸からの 距離であり,球の 中心からの 距離と 区別させる. 向心力と
いう 名前を 新しい 独立した 力と して 追加させない. 円錐面では,垂直抗力の
水平成分が 円運動を 担う ことを,円筒の 内壁と 対比させる. U字管では,圧力差の
積分 範囲が 水の 端で 変わる ことを 確認させる.
10コリオリ力
問い
気象衛星の
考えてみる
地球が
回転する
直線運動と回転系の軌跡.図中の記号と条件は「地上 S」「O」「u」「ω」「1」「2」「3」「円盤 S'」「同じ番号は同じ時刻の位置」である.
コリオリ力
結論は,回転系で
定義 コリオリ力
角速度ベクトル
が
向きは
法則 回転系の
一定の
右辺の
この
地球上の コリオリ力
地球の
北半球で東へ動く場合.角速度と速度の外積は北向きと下向きであり,負号を付けたコリオリ力は南向きと上向きになる.
水平に
台風 低気圧の
大きさを
北半球の低気圧を地球固定系で見る.風は上から見て反時計回りで,赤実線の内向きの気圧の力は赤破線の外向きのコリオリ力より大きい.両者の差が中心向きの加速度を与える.
洗面台の
フーコーの 振り子
長い
北極のフーコー振り子を比較する.図中の記号と条件は「時刻 0」「空間:振動方向一定」「床:振動方向は時計回り」「時刻 1」「時刻 2」である.
落下物と
ポイント ここまでの
回転系で
速度 で動く物体には,見かけの 力 (コリオリ力)が働く.速度に 垂直で 仕事を せず,止まっている 物体には 働かない. コリオリ力の
水平成分は,北半球では 進行方向の 右向き(大きさ ),南半球では左向き.赤道では この 水平成分が0に なる(東西に 動く物体には 鉛直成分が 残る). 台風の
渦,フーコーの 振り子の 振動面の 回転(角速度 ),落下物の東への ずれは,コリオリ力で 説明できる. 問いの
答え:低気圧に 向かう 風が,北半球では コリオリ力で 右へ 曲げられ続けるので,反時計回りの 渦に なる.南半球は 逆である.
11回転系の加速度の一般式
原点が
定理 数学の
原点が
である.もう
と
で,第2項が
同時刻の直線運動と回転系の軌跡.図中の記号と条件は「地上 S」「O」「u」「ω」「1」「2」「3」「円盤 S'」「同じ番号は同じ時刻の位置」である.
平面での
原点が
練習 1.
答え:
練習 2. 同じ物体の
答え:
例題
例題 1
北緯
東へ走る列車の条件.図中の記号と条件は「東 x」「北 y」「上 z」「ω」「ω cos λ」「ω sin λ」「v'」「力の成分を求める」である.
列車に
働く コリオリ力を 成分で 求めよ. 列車が
横に 動かないために,レールが 水平に 及ぼす力の 大きさと 向きを 求めよ.
解答を見る
考え方
なので . より,南向きに約 ,上向きに 約 (重さの約0.05 %). 南向きの
コリオリ力を 打ち消すため,レールは 北向きに 約 を及ぼす.
例題 2
北緯
塔からの落下の初期条件.図中の記号と条件は「h」「真下の基準点」「東」である.
コリオリ力に
よる 東向きの 加速度を,落下速度 を使って 求めよ. 東への
ずれ を導き,着地までの ずれを 求めよ.
解答を見る
考え方 コリオリ力は
, より .よって東向きの 加速度は .初速0で
積分して , .落下時間は なので ,約 東へずれる.
例題 3
北半球の
フーコー振り子の初期方向.図中の記号と条件は「x'」「y'」「O」「初めの振動方向」「北緯 λ」である.
の運動方 程式を 求め, とおいて,振動面が一定の 角速度で 回る ことを 示せ. 北緯
で振動面が1回転する 時間を 求めよ. .
解答を見る
考え方 運動方
運動方
程式は , .第2式に をかけて 足すと . を代入すると となる. は一定の 直線上の 単振動なので,振動面は 角速度 で( より)時計回りに回る. 周期は
,約42時間.
ポイント ここまでの
角速度ベクトルが
一定の 回転系の 加速度は .運動方程式に 入れると,並進の 慣性力・ コリオリ力・遠心力が 出る. 力が
無く 原点が 慣性系で 静止している 平面 運動では, に対し .原点から 軸の向きに 速さ で出た 慣性系の 直線 運動は,回る 系で 渦巻き になる( に軸が 重なっていたとする). 落下物の
東への ずれは ,フーコーの振り子の 面は 角速度 で回る.
12コリオリ力の演習
外積の
演習 1
水平な
相対速度が
, , のそれぞれで,コリオリ力を 求めよ. とする. 回転系で
静止した物体には 遠心力と コリオリ力の どちらが 残るか.また コリオリ力の 仕事率を 求めよ.
回転軸と三方向の相対速度.図中の記号と条件は「x」「y」「x方向の速度」「⊙ z,ω」「v'」「y方向の速度」「z方向の速度」である.
解答を見る
考え方
外積は
順に , , .したがって力は , , である.水平運動では 進行方向の 右へ 働くが,軸に 平行な 運動では 外積が0と なる.速度が あるだけで 必ずコリオリ力が 生じるわけではない. ならコリオリ力は0である.遠心力は 軸から 離れた 位置では 残る.仕事率は .これはコリオリ力単独が 相対的な 運動エネルギーを 変えない ことを 意味し,他の 力も 含めた 速さが 必ず 一定と いう 意味ではない.
演習 2
北緯
コリオリ加速度の
成分と 数値を 求めよ. 他の
水平力が なく,短時間 の間は もとの 北向き速度を 用いてよいと して,東西方向の ずれを 求めよ.この 近似の 条件を 述べよ.
北へ進む物体の初期条件.図中の記号と条件は「x'」「y'」「O」「u」「北緯30°」「東」「北」である.
解答を見る
考え方 地球の
より .東向きに である.北へ進む人の 右は 東であり,向きの 規則とも 一致する. 初めの
東向き速度を0と して, .近似には が1より十分小さく,移動距離が 地球半径より 十分 小さい ことが 必要である.今回は である.新しく生じる 東向き速度が コリオリ力へ 与える 補正は,この 計算では2次の 効果と して 省いている.
演習 3
赤道上の
東向きと
西向きの コリオリ力を 求めよ. レールからの
垂直抗力の 差を 求めよ.「赤道では コリオリ力は 常に0」と いう 説明が 正しいか 述べよ.
赤道の東向きと西向きの運動.図中の記号と条件は「東向き」「上」「⊗ 北向きのω」「西向き」である.
解答を見る
考え方 赤道で
赤道では
.東向き なら だから,コリオリ力は上向きに .西向きでは下向きに 同じ 大きさである.水平な 偏向成分は どちらも0である. 鉛直の
相対加速度を0と すれば,東向きでは ,西向きでは .よって , ,差は .東向きでは軽く 測られる.赤道でも 鉛直の コリオリ力は 存在するので,提示された 説明は 誤りである.この 式は かつ曲率を無視できる 範囲の 局所的な 結果である.
演習 4
北緯
東向き加速度と,東向き変位を
時間の 関数で 求めよ. 着地時の
東向きの ずれを で表せ. のとき,静かに 落とした 場合の 式に 帰着する ことを 確かめよ. , , , , ではいくらか.
塔からの北向き水平投射.図中の記号と条件は「h」「v₀」「北」「東」である.軌道と着地点は描かない.
解答を見る
考え方 北向きの
, とすると である.したがって東向き加速度は
である.初期の
である.第1項は
落下時間は
である.着地時のずれは
である.
演習 5
地球上の
速度成分を
求めよ. 位置を
求め,軌道の 半径と 一周の 時間を 示せ.模型を 使う 際の 空間的な 条件も 述べよ.
水平な初速度の条件.図中の記号と条件は「x'」「y'」「O」「u」「北半球:λ>0」「水平力はコリオリ力のみ」である.
解答を見る
考え方 二つの
, なので, .初期条件 , から , を得る.速さは で一定であり,仕事率0の 性質と 一致する. 積分して
, .したがって で,南側の点 を中心に 時計回りに 回る.半径は ,周期は .軌道の広がりが 地球半径より 十分小さく,その 範囲で 緯度の 変化を 無視できる 必要が ある.赤道へ 近づくと が小さくなり,模型の 円の 半径が 大きくなる ため,局所近似の 妥当性を 改めて 検討しなければならない.
ポイント 教える
外積
そのものを 一度 書き,負号に よる 反転を 独立に 確認させる. 赤道で
消える 水平成分と,残る 鉛直成分を 区別させる. 1次の
力へ 代入する 速度が0次の 解で よい 理由を 説明させる. 仕事を
しない 力でも 軌道は 変わる ことを,速度成分の 解で 確かめさせる.
13第11章の章末問題
系の
演習 1
水平な
と最大変位の 大きさを 求めよ. 台車での
保存量を 示し,地上で 物体とばねの 力学的エネルギーが 一般には 保存しない 理由を 述べよ.
加速する台車とばね.図中の記号と条件は「A」「m」「k」「自然長位置」「x'」である.
解答を見る
考え方 一定の
. , とすると .初期条件から なので, . より最大変位の 大きさは である.平衡位置のずれ と混同しない. 式に
を掛けて 積分すると .最後の項が 慣性力の ポテンシャルである.地上ではばねの 固定端が 動き,台車を 動かす外部装置が 仕事を する ため,物体とばねだけは 孤立した 系ではない.台車での 保存量と 地上の 力学的エネルギーは 異なる.
演習 2
長さ
球とともに
回る 系で ,張力 ,円の半径を 求めよ. この
運動が 存在する の条件と,地上の 周期を 求めよ.
円錐振り子の形.図中の記号と条件は「ℓ」「θ」「ω」「m」である.
解答を見る
考え方 回転系では
鉛直で
,水平で . より , .半径は である.非零半径には
,すなわち が必要である.地上の 周期は .等号では円の 半径が0と なるので,非零半径の 円錐 運動には 含めない. の鉛直静止解は 別に 存在し, で割る 操作では その解を 扱っていない.
演習 3
直方体の
水面が
水平となす角 と,水面が高い側を 求めよ. 左右の
端の 水深と,底の 中央での 圧力を 求めよ.底全体が 覆われる 条件を 求めよ. , , , , , のとき,左右の 水深の 差と,底の 中央の ゲージ圧を 求めよ.
二方向に加速する水槽.図中の記号と条件は「静止時の水面」「L」「h₀」「A」「B」である.傾いた水面は描かない.
解答を見る
考え方 水槽に
右向きと
上向きを 正と すると である.静止流体では , だから,水面に沿って 圧力が 変わらない 条件から
である.右へ
水面は
直線なので,体積が 保存すれば 中央の 水深は のままである.左右の 端の 水深は
である.底の
なので水深の 差は である.左端は ,右端は で,底は覆われている.ゲージ圧は である.
演習 4
内半径
水が
初めて あふれる 角速度を 求めよ. その
ときの 中心の 水深を 求め,底が 先に 露出しない ことを 確かめよ.
あふれる前の円筒容器.図中の記号と条件は「回転軸」「ω」「静止時の水面」「H」「h₀」「R」である.
解答を見る
考え方 水面の
あ
ふれる 前の 水面は ,体積保存から .縁は なので, より である.中心は
.したがって,あふれる 限界までは 底全体を 水が 覆っており,(1)の 式を 使える.もし なら中央が 先に 乾き,水量積分の 下限を 乾いた 領域の 半径に 変える 必要が ある.この 問題の 不等式は,計算の 途中で 使った 水面モデルを 保証する 条件である.
演習 5
北緯
東向き加速度と
変位を 時間で 表せ. 元の
高さへ 戻った ときの 東西の ずれと 水平速度を 求めよ.
鉛直投げ上げの初期条件.図中の記号と条件は「u」「東 x'」「北緯 λ」である.
解答を見る
考え方 上昇中と
0次の
鉛直速度は . を積分して , である.初期の水平位置と 速度は0とした. 飛行時間は
.代入して , となり,西へずれる.下降中の 東向き加速度は,上昇中に 得た 西向き速度を 減らすが,着地まで その 速度は 西向きのままである.水平速度が 初期値へ 戻っても,水平変位が0とは 限らない.適用には と最大高度の 地球半径に 対する 比が 十分 小さい ことを 要する.
演習 6
摩擦の
回転系の
位置 を求めよ.速度成分は を用いて 求めよ. は,慣性系の速度を 回転系の 基底で 表した ベクトルである. 回転系の
運動エネルギーが 増える ことを 示し,コリオリ力が 仕事を しない ことと 矛盾しない 理由を 説明せよ.
慣性系と回転系の軸.図中の記号と条件は「地上 S」「x」「y」「O」「u」「回転系 S'」「x'」「y'」「ωt」である.
解答を見る
考え方 慣性系の
時刻
に回転系は 慣性系に 対して 反時計回りに 角 だけ回っている.慣性系の位置 の回転系成分は , である.慣性系の速度 を同じ 基底で 表すと である. なので
である.半径は
二成分の
二乗和は で, .遠心力のポテンシャル を足すと で一定である.相対的な 運動エネルギーを 増すのは 遠心力の 仕事である.慣性系では 実在の 水平力が ないため,運動エネルギーは 初めから 一定である.
演習 7
細い管を
最初は
ばねはEからBを経て小球へ続き,全長はd+rである.水平管BCの長さは8ℓ/5.固定端を動かす操作と管を回す操作を区別する.
管を
回さないままの ,周期,最小・最大の を求めよ. ある
時刻 に管を 一定角速度 で回し始め,それ以降は 球を 管内の 同じ 位置に と どめたい.可能な と を求めよ. 別の
実験と して,管を 止め, にして 球を つり合わせる.この 状態から 時刻0に 一定角速度 で回し始める.安定な 半径方向の 振動が ある 条件,振動中 心 ,角振動数 ,運動 を求めよ.コリオリ力は 半径方向の 式に 入るか. (3)の
運動が 管の 一回転ごとに 位置・速度とも 同じ 状態に 戻り,球が 管の 端Cに 触れないように する.その中で 半径方向の 振幅が 最大と なる ,振幅,最大半径を求めよ. , , とする.(2)の 角速度,(4)の 角速度と 最大半径を 数値で 示せ.また(3)で 球が 外向きに 動く 間,管が 球に 与える 接線方向の 力の 向きと 大きさを 求め,力学的エネルギーが 球とばねだけでは 保存しない 理由を 説明せよ.
解答を見る
考え方 回る
初期位置は
,切替後のつり合い 位置は .運動方程式は だから,
周期は
半径方向の
速度が0と なるのは 折返点だけである.その 位置を とすると,回転開始後の つり合い 条件は
内側の
ばねが
自然長と なる 半径を とおく.回転系の半径方向の 式は
したがって
初期条件
回転系での
管の
一回転時間 に,半径方向の振動も 整数回戻る 必要が ある.振幅が0ではなく なので,必要十分な条件は (正の整数).一般の 有理数比なら 複数回転後には 閉じるが,今回は 一回転後に 戻る 条件なので 整数に 限る.よって
なので,(2)は ,(4)は .最大半径は で,管長 より短い.振幅も となる.
管の
実際,球とばねの
14第11章の発展問題
★4・★5の
演習 1
水平な
軸からの
距離 ,管に対する 速さ,出口へ達する 時間を 求めよ. 管が
ビーズへ 及ぼす水平な 横力を 求めよ. 出口へ達するまでに,回転を
維持する 装置が ビーズへ 供給する 仕事を 求めよ.
回転管の初期条件.図中の記号と条件は「O」「m」「r₀」「L」「ω」である.
解答を見る
考え方 管方向の
回転系では
.初期条件 , を満たす解は .微分して ,また である. を解くと
と
外向き速度
に対する コリオリ力は 回転と 逆向きに .管内では横の 相対加速度が0なので,管は 回転方向へ を及ぼす.鉛直方向には 別に 重力を 支える 抗力 がある.横力が0なら ビーズは 管の 方向を 保てない. 地上での
接線速度は である.仕事率は なので .地上の運動エネルギーは で,その増加も 同じ値に なる.回転系では 管の 横力は 相対速度に 垂直で 仕事を せず, が一定である.二つの エネルギー収支は,異なる 系での 仕事を 扱っている.
演習 2
質量
く
さびの 系を 用い,く さびの 右向き加速度 ,物体の斜面下向き相対加速度 ,垂直抗力 を求めよ. 物体が
高さ だけ下がるまでの,くさびの 変位と 物体の 相対速度を 求めよ.
自由に動くくさび.図中の記号と条件は「m」「α」「M」「h」である.
解答を見る
考え方 く
く
さび内では , .くさびの 地上での 水平 運動は なので, と置くと
である.
相対距離は
.一定加速度だから .同じ時間にく さびは だけ動く.これを に代入すれば,水平重心が 動かない ことも 確かめられる.く さび固定の 極限 で , となる.
演習 3
地球の
極と
赤道の 有効ポテンシャルを 等置し,扁平率 の先頭の 近似を 求めよ. , , で評価せよ.この 模型で 実際の 地球の 扁平率を 精密に 求められない 理由を 述べよ.
中心質量模型の極と赤道.図中の記号と条件は「自転軸」「R」「R+ΔR」「変形を誇張した模式図」である.
解答を見る
考え方 静止した流体の
単位質量当たりで,極は
,赤道は である. を使うと である.両者を等しくし,自転項の は高次なので 捨てると, である.よって である. ,およそ . である.実際には地球内部にも 質量が 広がり,変形した 質量分布 その ものが 重力ポテンシャルを 変える.ここでは それを 中心質点の 場で 置き換えたため,見積もれるのは 回転に よる 変形の 尺度である.さらに 物質の 密度 分布や固体と しての 性質も 指定していないので,この 数字を 精密な 地球形状の 予測と 解釈してはいけない.
演習 4
鉛直軸上の
回転系での
有効ポテンシャルと の運動方 程式を 求めよ. 下半分
の平衡と 安定性を 求めよ. 安定平衡の
まわりの 微小 振動の 角振動数を 求め, の境界では 線形近似だけで 何が 分からないか 述べよ.
回転平面内の振り子.図中の記号と条件は「ℓ」「θ」「ω」「滑らかな案内平面が鉛直軸のまわりに回る」である.
解答を見る
考え方 コリオリ力は
高さは
,軸からの距離は なので
である.相対
平衡は
と,存在すれば を満たす 二つの である. より, なら最下点が 安定, なら不安定である.非零平衡では なので安定である. 最下点では
.非零平衡では .境界 では二次の 項が 消え, となるだけでは 安定性を 判定できない.この とき
である.
と
演習 5
質量
単位質量当たりの
有効ポテンシャルを 書き,二つの 三角形型ラグランジュ点の 位置を 求めよ. 小天体に
近い内側と 外側の 共線型ラグランジュ点に ついて,小天体からの 距離の 先頭の 近似を 求めよ. 上側の
三角形型の 点の まわりの 微小変位を とし, と置く.線形化した 運動方程式
を
二天体と試験粒子の配置.図中の記号と条件は「x'」「y'」「M」「μM」「O」「P」「d₁」「d₂」「a」である.
解答を見る
考え方 回転系で
として
である.
が
小天体からの
符号付き変位を とする.外側 では,大天体までの距離は なので,大天体の重力加速度は である.遠心力の項 と合わせると, の定数項は 消えて が残る. では だから,これは である.小天体の引力を 加えると となり,距離は である.内側では とし, を使うと 同じ を得る.したがって 内側は ,外側は である. が小さいため展開が 整合し,両距離が 等しいのは 先頭の 近似までである. と置く. , を代入すると
である.辺々の
を
である.二根の
15第11章のまとめ
この
定義と 法則
法則 慣性系と
慣性の
法則が 成り 立つ座標系が慣性系で,慣性系に 対して 等速直線 運動を する 系も 慣性系である(ガリレイ変換).慣性系に 対して 加速または 回転する 系が非慣性系で,そこでは は成り立たない. 非慣性系の
中で 測る 加速度を と書く.見かけの 力を 実在の 力 に足せば,運動方 程式を 非慣性系の 中でも 使える.見かけの 力は,系の 運動から 決まり,作用・ 反作用の 相手を 持たず,慣性系から 見れば 現れない.
法則 並進慣性力と
慣性系の
位置 と,向きを変えずに 加速度 で動く(並進する)系の 位置 は .2回微分して .運動方
程式は .慣性力 は系の 加速度と 逆向きで,質量に 比例する. 重力との
合力を 有効重力 とすれば .自由落下する系( )では で,重力の場所に よる 違いを 無視できる 範囲では 重力が 消える(無重量状態,等価原理の 入口).
法則 遠心力
一定の
角速度 で回る 系で,回転軸から 距離 にある 質量 の物体には,軸から 外向きに遠心力 が働く.ベクトルでは .遠心力の
ポテンシャルは .回る系で 静止した液体の 自由表面(外圧は 一定)は,重力の ポテンシャルとの 和が 一定の 面(放物面 )になる. 向心力は
実在の 力の 合力に つけた 名前で,別の 力と して 加えない.遠心力は 見かけの 力で,慣性系の 図には 描かず,回る 系の 図では 実在の 力と 並べて 描く.
法則 コリオリ力
回る
系で 速度 で動く物体には,コリオリ力 が働く.速度に 垂直で 仕事を せず,回る 系で 止まっている 物体には 働かない. 回転を
上から 見て 反時計回りなら,水平に 動く物体は 進行方向の 右へ 曲げられる.地球の 北半球では 右向き,大きさ ( は緯度)で,南半球では 左向き,赤道では 水平面内で 曲げる 成分が0に なる(東西に 動く物体には 鉛直成分が 残る). 角速度ベクトルが
一定の 回転系の 運動方 程式: ( は軸に 垂直な 成分).角速度が 変わる 系では,さらに オイラー力 が加わる.
手順
ポイント 非慣性系で
どの
系で 考えるかを 決める.慣性系で 解けるなら 無理に 非慣性系を 使わない.非慣性系では,物体が 系に 対して 止まっている 問題が 最も 使いやすい. 非慣性系を
選んだら,系の 加速度 (並進)か角速度 (回転)を読み取り,向きを 図に 書く. 物体に
働く 実在の 力を すべて 描き,そのうえで 見かけの 力(慣性力 ,遠心力 ,物体が動くなら コリオリ力)を 別の 色で 加える. 同じ力を
二度 数えない.向心力を,実在の 力とは 別の 力と して 描き足さない.慣性系の 図には 遠心力を 描かない. 系の
中で 運動方程式(または つり合い)を 立て,慣性系の 式と 答えが 一致するかを 確かめる. 見かけの
力の 大きさを 見積もる.地球の 自転では,遠心力の 加速度は 赤道で 約 である.
主な 公式
, ,遠心力 ,滑らない条件 角速度ベクトルが
一定の 回転系(原点の 位置 ,加速度 )で, ,フーコーの
振り子の 面の 回転 ,落下物の東への ずれ
各題材の 問いへの 答え
慣性系と
非慣性系:発車する 電車の つり革が 後ろへ 傾くのは,電車の 中の 人から 見れば,後ろ 向きの 見かけの 力(慣性力 )が働くからである.引いている 物体は 無い.地面から 見れば,つり革は 加速度 で前向きに 動いていて,張力と 重力の 合力が を与えている.どちらの 系でも 傾きの 角は である.並進慣性力:加速する
台車の 上では,物体は 有効重力 の向きに「落ちる」. の斜面に 沿った 成分の 向きに 動き出し, が斜面に 垂直に なる 加速度が 境目である.加速度 の向きに 斜面が 角 で下っているなら, のとき 斜面を 上る.問いの 斜面( )では より が大きいので,上る 向きに 約 で動き出す. 遠心力:硬貨に
働く 外向きの 力は,円盤とともに 回る 人が 運動方 程式を そのまま 使う ために 持ち込んだ 見かけの 力で,実在しない.地面から 見れば,硬貨は 中心向きの 摩擦力で 円運動していて,摩擦が 足りなくなる で円盤に 対して 滑り 始め,その 瞬間の 速度の 向き(円の 接線方向)へ それていくだけである. コリオリ力:低気圧に
向かう 風が,北半球では コリオリ力で 進行方向の 右へ 曲げられ続ける.そのため風は 中心へまっすぐ 進まず,反時計回りに 旋回する.地表付近では 摩擦の ために,中心側へ 吹き込みながら渦を 巻く.南半球では 左へ 曲げられるので 時計回りである.洗面台の 渦は 現象が 短く,自転では 向きが 決まらない.
この 章で 使った 数学
座標変換の2回微分,ベクトルの