第8章 回転と剛体
01角運動量とトルク
問い
氷の
考えてみる
スケーターの
運動量も
平面上で,質点(質量
時間で
です.最初の2項は
です.右辺は,位置と
角 運動量と トルク
定義 角
原点 O から
を O の
定義 トルク
位置
を O の
原点 O から質点までの位置ベクトル \vec{r} と,その質点の運動量 \vec{p} を平面上に描く.\vec{p} を \vec{r} に平行な成分と垂直な成分 p_{\perp} に分け,\vec{r}\times\vec{p} が紙面から手前を向くことを,右ねじの回転の向きとともに示す.
さきほどの
法則 角
O の
並進の
トルクが0なら,角
糸で
板の上で糸に引かれる小球の真上からの図を,引く前(半径が大きい)と引いた後(半径が小さい)に並べて描く.後のほうの速度の矢印を長くする.
面積速度
中
ポイント 面積速度一定
中
惑星が
質点系の 角運動量
質点が
です.内力は
です.内力が2つの
法則 質点系の
内力が
と
スケーターの
ポイント ここまでの
角
運動量 とトルク は,原点を決めて はじめて 決まる. 運動方
程式から が出る.トルクが なら は保存する. 中
心力ではトルクが .角運動量が 保存し,面積速度が 一定に なる(ケプラーの 第2法則). 質点系では,内力が
質点を 結ぶ 直線の 向きなら 内力の トルクは 打ち消し合い,外力の トルクだけが 全角 運動量を 変える. 問いの
答え:外力の トルクが ほぼ無く,腕の 力は 内力なので,全角 運動量が 保たれる.腕を 引き寄せて が小さくなった 分,回転が 速くなる.
02外積
前の
定理 数学の
定義 空間の
大きさは
( は2つのなす角, ). , を2辺とする 平行四辺形の 面積に 等しい. 向きは
にも にも垂直で, から へ右ねじを 回すと き,ねじの 進む 向き.
右手座標系で,xy 平面上の \vec{a},\vec{b} と平行四辺形に斜線を引く.\vec{a}\times\vec{b} を垂直な矢印で描き,右ねじの回転を曲線の矢印で添える.
成分
x,y,z を
性質
外積の
である.
と
練習 1.
, のとき, と,2つを2辺とする 平行四辺形の 面積を 求めよ. , の外積を 求め, に垂直な ことを 確かめよ.
答え:(1)
練習 2. (1)
答え:(1)
例題
例題 1
質量
原点を中心とする円と,円上の2点 (2.0,\,0),(0,\,2.0) での位置ベクトルと速度の矢印を描く.
質点が
にある ときと にある ときの,O の まわりの 角運動量の z 成分を 求めよ. 質点に
速度と 同じ 向きの 一定の 力 を加え始めた.O の まわりの トルクと,角 運動量の 変化の 割合を 求めよ. 力を
加え始めて 後の速さを,角 運動量から 求めよ.ただし,この 間も 質点は 同じ円周上を 動く ものとする.
解答を見る
考え方 外積の z 成分
では なので . では なので .どちらも に等しい. 力は
接線方向なので,トルクは .よって .一定の
トルクなので . より .運動方程式 とも一致する.
例題 2
なめらかな
板を真上から見て,初めの円と引いた後の円を同心円で描く.糸は穴へ向かい,手が下に引く向きを添える.
引いた後の
小球の 速さと 角速度を 求めよ. 引く
前と 後の 糸の 張力を 求めよ. 運動エネルギーの
増加と,その 由来を 答えよ.
解答を見る
考え方 糸の
が一定なので . .角速度は,初め ,後は . より,初めは ,後は .運動エネルギーは,初め
,後は .増加は約 .
増えた分は,糸を
ポイント ここまでの
外積
は,大きさ (平行四辺形の面積),向きは から への右ねじの 向き.成分は .順序を
入れ替えると 符号が 変わり,平行なら .xy 平面内なら z 成分 だけが残る. 外積の
微分は,積の 微分の 形で 順序を 保つ.これで が出る. 円
運動では .中心力で 半径が 変わる ときは,速度の 接線成分 を使った が一定.
03角運動量とトルクの演習
まず
演習 1
質量
原点Oの
まわりの を求めよ. 直線上の
点A のまわりの 角運動量を 求め,質点が 回転軌道を 描かなくても 角運動量を 持てる 理由を 述べよ.
原点Oと直線y=b,直線上のAと質点,右向き速度uを示す.
解答を見る
考え方 角
質点が
にある とき, , なので .向きは紙面の 奥である. は式に 残らず,質点がOから 遠ざかっても 角運動量は 変わらない.運動量の 作用線からOまでの 垂直距離が 常に だからである.Aからの
位置は で,運動量と平行なので .同じ運動でも 原点を 変えると 値が 変わる.円 運動する ことは 角運動量を 持つための 必要条件ではなく,原点を 通らない 直線 運動も 反例に なる.どちらの 原点に ついても 外力の トルクは0であり,それぞれの 角運動量が 保存する ことに 矛盾は ない.
演習 2
ある
原点の
まわりの 角運動量と トルクを 求めよ. その
瞬間の 角運動量の 大きさは 増えるか 減るか.また,力を 位置ベクトルと 平行な 力に 置き換えた 場合は どうなるか.
xy軸と点(2,1)にある質点.速度は右上,合力は右下へ描く.
解答を見る
考え方 外積の
運動量は
.したがって で, は正の 方向である.一方, だから, は負の 方向である.この
瞬間には かつ なので,大きさは減っている.これは 瞬間に ついての 結論であり,後の トルクまで 一定と 仮定した ものではない.力を に置き換えれば となり,その 瞬間の 角運動量の 変化率は0に なる.中心へ 向かう の場合も 同じである.
演習 3
平面内を
Bでの
速さと,軌道の 面積速度を 求めよ. AとBで
それぞれ短い 同じ 時間 に掃く 角度の 比を 求めよ.
Oから距離rのAと距離2rのB.Aには半径方向と30°をなす速度v,Bには速度の方向のみを示す.軌道の形は指定しない.
解答を見る
考え方 一般の
Aで
.Bでは なので .面積速度は である.中心力の 具体的な 距離依存性を 知らなくても,この 結果は 決まる.エネルギー保存だけでは,力の 位置エネルギーが 不明なので 速さの 関係を 求められない. 微小時間では
, と書ける.よって .厳密には の極限での 比であり,有限時間に 距離が 大きく 変わるなら 積分が 必要である.同じ 面積を 遠方では 小さい 角度で 掃く,と いう 幾何学的な 意味も 持つ.
演習 4
同じ
全
運動量と,原点Oの まわりの 全角 運動量を 求めよ. 固定点B
のまわりでも 全角 運動量が 同じに なる ことを 示せ.その 後も 保存するか.
x軸上の±aに質点を配置し,右の質点に上向きu,左に下向きuを描く.Oと任意の固定点Bを示す.
解答を見る
考え方 各質点の
.それぞれの角運動量の 成分は と なので, .全運動量が0でも,角 運動量は 打ち消し合わない. とすると .内力の合力は0で,全運動量は 以後も0である.さらに 内力の トルクの 和は なので,どちらの固定点でも 全角 運動量は 保存する.単に 作用反作用で 大きさが 等しいだけでなく,内力が2点を 結ぶ 方向に ある ことを 使っている.
ポイント 教える
原点と
正の 回転方向を,式を 書く 前に 宣言させる ことが 重要である. 直線
運動の 角運動量を 問い,円運動専用の 量と いう 誤解を 確かめる. 中
心力の トルクが0である ことと,仕事が0である ことを 区別させる. 系全体の
保存則では,内力の 方向まで 説明できるかを 確認する.
04剛体のつり合い
問い
なめらかな
考えてみる
は
です.ここから
足りないのは「は
剛体と 力の モーメント
力を
力が
定義 力の
平面上の
で
垂直抗力の
棒の一端 O を軸とし,棒の途中に斜めの力 F が加わる図を描く.作用線を点線で延ばし,O から作用線に下ろした垂線(腕の長さ d)を示す.
つり合いの 条件
法則 剛体の
剛体が
前者は
平面では,力の
重力は
特別な
円板(ふた)の上面図に,中心をはさんで逆向きの2力を描く.2つの作用線の間隔を d として示す.
は しごの 問題を 解く
長さ
壁に立てかけたはしごと床の側面図.下端 A に N_1 と f,上端 B に壁からの水平な N_2,重心に W を描く.床との角 \theta と,A から W の作用線までの水平距離 \dfrac{l}{2}\cos\theta を示す.
並進の
です.したがって
です.
ポイント ここまでの
剛体の
つり合いは,力の 和が であること(並進しない)と,どの 点の まわりでも 力の モーメントの 和が0である こと(回転しない)の2つ. 力の
モーメントは (反時計回りを正, は腕の 長さ).力は 作用線の 上で 動かしても 効果が 変わらない.重力は 重心に 働くと みてよい. モーメントの
点は,未知の 力が 多く 通る 点を 選ぶと 式が 簡単に なる. 問いの
答え:床の 摩擦力は 必要で, のとき 滑らない. が大きい ほど,より 寝かせても 滑らない.
05モーメントの計算と点の選び方
モーメントの
定理 数学の
計算の
である.反時計回りが
点の
証明.
練習 1.
点
に力 が働く とき,原点の まわりの モーメントを 求めよ. 点
に力 が働く とき,原点の まわりの モーメントを 求めよ.
答え:(1)
練習 2. 原点の
答え:(1)
例題
例題 1
長さ
水平な板,支点 P,左端の子と右端の子を描き,左端から支点までの距離と板の長さを寸法線で示す.
を求めよ. 支点が
板に 及ぼす力を 求めよ.また,左端の まわりでも 確かめよ.
解答を見る
考え方 回転しない
P の
まわりで,子A(左,距離 )は反時計回り,板の 重心(右へ )と子B(右へ )は時計回りに モーメントを もつ.
より
鉛直方向の
つり合いから,支点の 力は (上向き).左端の まわりでは と が等しく,つり合う.
例題 2
質量
壁,水平な棒,端 B のおもり,B から壁へ斜め上に伸びる糸(30^{\circ})を描く.ちょうつがい O に向きが未知の力を点線の矢印で示す.
糸の
張力を 求めよ. ちょうつがいが
棒に 及ぼす力の 水平成分と 鉛直成分を 求めよ. 糸が
耐えられる 張力が までのとき,つるせる おもりの 質量の 最大値を 求めよ.
解答を見る
考え方 O の
O の
まわりで,張力の 鉛直成分 (腕 )は反時計回り,棒の 重力(腕 )とおもりの 重力(腕 )は時計回りである.
より
水平方
向:張力の 壁に 向かう 成分 を打ち消すため,ちょうつがいの 力は (壁から離れる 向き).鉛直方向: より (上向き). おもりを
とすると,O の まわりで . で . .
例題 3
長さ
壁に立てかけたはしごと,下端から s の位置の人を描き,床と壁からの力,はしごと人の重力を示す.
人が
下端から の位置まで 登った とき,壁からの 垂直抗力 を求めよ. は
しごが 滑らずに 人が 登れる 最大の を求めよ. 人がは
しごの 上端まで 登っても 滑らないためには,静止摩擦係数が いくら以上であれば よいか.
解答を見る
考え方 下端 A の
鉛直方向:
.水平方向: .A のまわりの 腕の 長さは, が ,はしごの 重力が ,人の重力が .
より
滑らない
条件 に入れると, .よって (はしごの 長さの 約0.7倍). とすると . より .
ポイント ここまでの
モーメントは
(反時計回りが正).腕の 長さを 使う ときは 回る 向きで 符号を 決める. 合力が
なら,モーメントの和は 点の 選び方に よらない. 未知の
力が 多く 通る 点(支点,ちょうつが い,は しごの 下端)を 選ぶと,式が 簡単に なる.
06剛体のつり合いの演習
力の
演習 1
水平な
反時計回りを
正と して,力の モーメント を求めよ. 同じ
作用点で 同じ 大きさの 力を 加える とき,モーメントの 大きさの 最大値を 求めよ.また,力を 作用線上で 移しても モーメントが 変わらない 理由を 示せ.
水平な棒のOから0.30 mの作用点と,30°右上向きの力20 Nを描く.
解答を見る
考え方 棒に
鉛直成分は
.したがって である.正の値は 棒を 反時計回りに 回す 向きである ことを 示す.力の 大きさ20を そのまま 掛けると,棒に 沿う 成分まで 数えてしまう. 棒に
垂直な 上 向きまたは 下向きの 力なら,腕が 最大の となり,大きさは .作用線上の移動 は力と 平行なので,トルクの 変化 は0である.棒に沿って 作用点を 動かす 操作とは 異なり,移動先でも 力の 作用線を 同じに 保つことが 条件である.
演習 2
長さ
A,Bから
受ける 力 を求めよ. 小物体を
板上の 任意の 位置 に移すときの 両反力を 求め,板が 支持点から 離れない ことを 確かめよ.
両端A,Bで支える板と,Aからl/4の小物体2M,板の重心Gを描く.
解答を見る
考え方 Aの
Aの
まわりで だから .合力0より なので .小物体に近い側の 支持点ほど 大きな 力を 受け持つ. 同じ
手順で , .両者の和は 常に である. ではどちらも 以上で,上向きの 反力だけで つり合える.小物体が 端に 来ても,板自身の 重さが 反対側の 反力を 正に 保つ.式から 負の 反力が 出た 場合には,下から 支えると いう 条件に 反し,その 接触を 保つ静止状態は 存在しないと 判断する.
演習 3
水平面内に
合力と
原点Oの まわりの 合モーメントを 求めよ. 任意の
点A のまわりでも 計算し,この2力だけで 静止し続けられるかを 説明せよ.
剛体の上側に右向きF,下側に左向きFを描き,作用線の間隔dと原点Oを示す.
解答を見る
考え方 逆向きの2力の
合力は
.上側は ,下側も なので である.どちらの力も 時計回りに 回すため,モーメントは 相殺しない.重心は 加速しないが,回転の 変化は 起こり得る. Aに
対する 上側の 位置は ,下側は .合モーメントは となり, は消える.したがって 支点を 選び直しても回す効果を 消せず,この2力だけで 静止し続ける ことは できない.固定具が 静止を 保つなら,固定具は 別に 反対向きの モーメントを 及ぼしている.
演習 4
幅
静止中の
垂直抗力の 作用線が,底面中央から 右へ 移る 距離を 求めよ. 滑り出す力と
転倒を 始める 力を 求め,どちらが 先に 起きるかを 判定せよ.
幅b,高さhの直方体と床,高さyの右向き力Fを描く.垂直抗力の位置は描かない.
解答を見る
考え方 床の
鉛直方向で
,水平方向で左向きの 摩擦力は .底面中央Oのまわりで,摩擦力の モーメントは0である.垂直抗力の 作用点を 右へ とすると ,したがって .重力はOを通る ため,この 式に 現れない. 摩擦の
限界は .転倒の限界は から . なら先に滑り, なら先に転倒する.等号なら 同時に 限界へ達する.後者では 右下の 縁を 軸と する 重力の 復元モーメント と,押す力のモーメント の比較でも 同じ 結果に なる.これは 最初に 動き出す条件であり,動き出した後の 運動を 静止の 式で 追ってはいけない.
ポイント 教える
モーメントの
記号には 点の 添字を 付け,垂直抗力の 記号と 区別させる. 未知の
力が 消える 点を 選ばせた 後,別の 点でも 結果を 検算させる. 摩擦力を
初めから 最大値に 置かず,つり合いに 必要な 値を 求めさせる. 接触力の
符号と 作用点の 範囲は,式と 同じく 物理的な 条件である.
07固定軸のまわりの回転
問い
質量
質量 M,半径 R の円板と細い輪を並べて描く.縁の同じ位置に接線方向の力 F が働いている.
考えてみる
並進
けれども
回転の 運動方程式
軸の
剛体は
定義 慣性モーメントと
剛体の
で
である.
並進の
固定軸(紙面に垂直)のまわりを回る剛体を,質点 m_i の集まりとして描く.軸から各質点までの距離 r_i と,角速度 \omega,接線方向の速度の向きを示す.
円板と 輪の 回転の しやすさ
縁に
いろいろな 慣性モーメント
一様な物体の
物体 | 軸 | |
|---|---|---|
細い | 中心を | |
円板(円柱) | 中心を | |
細い | 中心を | |
細い | 端を | |
球 | 中心を | |
薄い | 中心を |
平行軸の
です.重心を
と
重心 G を通る軸と,距離 d だけ離れた平行な軸を描く.剛体の質点 m_i について,重心軸からの距離と平行軸からの距離を矢印で示す.
回転の 運動エネルギー
各質点の
です.並進の
滑車の 質量を 考える
質量
です.糸が
です.滑車の
実体振り子
水平な
微小
ポイント ここまでの
固定軸の
まわりの 回転の 運動方 程式は ( ).慣性モーメント は,軸から遠い 質量ほど 大きく 効く. 回転の
運動エネルギーは .平行軸の定理は .糸を
巻いた 円板に おもりを つるすと,円板の 質量は 加速度を 倍にする.実体振り子の 周期は,微小 振動では .問いの
答え:円板の ほうが 速く 回り出す.同じトルクでは で, は の半分だから,角加速度は2倍に なる.
08慣性モーメントの積分計算と例題
前の
数学の 道具
定理 数学の
連続した物体の
細い
である.
円板(半径
である.
左に棒の微小部分(位置 x,幅 dx),右に円板の細い輪(半径 r,幅 dr)を描く.
練習 1. 長さ
練習 2. 内半径
答え:練習 1 は
練習 3. (1) 軸から
答え:(1)
例題
例題 1
質量
おもりの
加速度の 大きさを 求めよ. 両側の
糸の 張力 , を求めよ.
円板の滑車に掛けた糸と,右に m_1,左に m_2 のおもり.m_1 が下がる向きに加速度 a,滑車の角加速度 \alpha,糸の張力 T_1,T_2 を示す.
解答を見る
考え方 おもりそれぞれに
が下がる 向きを 正と する.
第3式は
滑車の
, である. で, と一致する.両側の 張力が 違うから こそ,滑車が 回り出す.
例題 2
質量
微小
一端を軸で支えた棒が鉛直から角 \theta だけ傾いた図.重心 G,軸から重心までの距離 d=l/2 と重力 Mg を示す.
解答を見る
考え方 実体振り子の
端の
長さ
例題 3
質量
解答を見る
軸を z 軸とする球を,軸に垂直な薄い円板(高さ z,厚さ dz,半径 \sqrt{R^2-z^2})に切った図.
考え方 球を
軸を
ここで
ポイント ここまでの
慣性モーメント
は,軸からの距離が 同じ 微小部分を 選んで 足す.棒の 中心は ,円板は ,球は ,薄い球殻は .滑車の
質量は,おもりの 加速度に として 効く.両側の 張力の 差が 滑車を 回す. 実体振り子の
周期は,微小 振動では .棒の端で 支えると,長さ の単振り子と 同じ 周期に なる.
09固定軸のまわりの回転の演習
慣性モーメントを
演習 1
軽い棒の
慣性モーメントと
角加速度を 求めよ. 時間
後の角速度,回転角,運動エネルギーを 求めよ.
Oの左へaにm,右へ2aに2mを置いた軽い棒.正のトルクτ₀を曲線矢印で示す.
解答を見る
考え方 軸からの
.右の小球の 寄与は 左の8倍である. , より .軸は重心を 通っていないが,固定軸の 運動方 程式は この 軸の まわりの を用いればよい. 初めの
角度を0にとると , .運動エネルギーは .一定トルクの仕事 も同じ値に なる.角度を 回転数で 数えた 場合は,1回転を として ラジアンに 直してから 仕事を 計算する.
演習 2
質量
Oの
まわりの 慣性モーメントを 求めよ. 同じ棒を
端で 支えた 場合と 比べ,同じトルクを 加えた ときの 角加速度の 比を 求めよ.重力の トルクは 無視できる 向きに 装置を 置く.
長さlの棒と中心G,Gからl/4の軸O,端の軸Aを示す.軸は紙面に垂直である.
解答を見る
考え方 平行軸の
重心まわりでは
.よって .軸が重心から 離れる ため, であり,端の軸の よりは小さい. 同じトルクを
とすると , .したがって .慣性モーメントの比の 逆数に なっている.な お「同じ力」だけでは この 比較は できない.軸から 力の 作用線までの 距離が 異なればトルクも 変わる ため,力の 大きさと 腕の 長さを 合わせて 調べる 必要が ある.
演習 3
慣性モーメント
停止時間と
停止までの 回転角を 求めよ. ブレーキが
奪った エネルギーと,停止までの 平均の 散逸仕事率を 求めよ.
解答を見る
考え方 停止前に
より .これが0になる 時刻は .角速度は直線的に 減るので,回転角は である.回転数なら となる. 奪った
エネルギーは 初めの 運動エネルギー .仕事からも と求まる.平均の 散逸仕事率は .瞬間の散逸仕事率は なので,停止に近づく ほど 小さくなる.トルクが 一定でも 仕事率が 一定とは 限らない.ブレーキが 車に した 仕事 その ものは 負であり,ここでの は失われた エネルギーの 正の 大きさである.
演習 4
慣性モーメント
おもりの
加速度と 左右の 張力を 求めよ. 右の
おもりが 高さ だけ下がったときの 速さを,エネルギーから 求めて(1)と 照合せよ.
固定滑車I,Rと左のm,右の2mを描く.右のおもりの落下距離hを示す.
解答を見る
考え方 糸の
右側の
下向き加速度を とし,左右の 張力を とする. , , .足し合わせて .張力は , となる. なら である.右が
下がる間に左は 上がるので,全位置エネルギーの減少は .共通の速さを とすれば .よって となり 一致する.滑車の 重心は 動かないため,滑車自身の 並進エネルギーは 加えない. なら で,左右の張力は 等しくなる.
演習 5
質量
周期を
の関数で 表せ. 周期を
最小に する と最小周期を 求めよ(必要なら を使ってよい).重心 その ものを 支えれば 周期が 最小に なる,と いう 考えの 誤りを 説明せよ.
支点Oの下側に重心Gがある傾いた棒.OG=d,全長l,鉛直からの微小角θを示す.
解答を見る
考え方 軸を
で,回転の運動方 程式は .微小角で とすると, である.ここでの周期は 微小振幅の 極限であり,大きな 振幅に そのまま 使う ことは できない. 根号内の
を微分すると . の前で 負,後で 正だから ここが 最小で,許された 範囲にも 含まれる. より . では重力の 復元トルクが 消える 一方,慣性モーメントは に残るので 周期は 発散する. ではそもそも 重力に よる 振り子運動に ならない.
ポイント 教える
慣性モーメントには,どの
軸に ついての 量かを 言葉で 添えさせる. 角加速度と
角速度,トルクと 仕事率の 違いを 確認する ことが 重要である. 滑車の
張力差を,回転を 加速する 原因と して 説明させる. 最適化では,数式の
極値が 許された 範囲に 入るかまで 確かめさせる.
10剛体の平面運動
問い
長さ
壁と床に沿って滑るはしごを示す模式図.
考えてみる
両端の
は
並進と 回転に 分ける
どの2点の
剛体の
スライダーの前半で基準点を並進し,後半でその点のまわりに回す.AとBを選び直しても最終配置と回転角は同じになる.初期状態は移動前.
紙面に
法則 剛体の
剛体の
である(
加速度の
瞬間回転中 心
ポイント 瞬間回転中心の
各点の
速度は,I と その 点を 結ぶ 線分に 垂直で,大きさは である.速度の
向きが わかっている2点で,それぞれ速度に 垂直な 直線を 引く.2本の 交点が I である. 2本の
直線が 平行で 交わらない ときは,その 瞬間 で,剛体は並進している.
I は
問いのは
初期角は55°.角を変えると瞬間回転中心I,両端と中点の速度方向,中点がたどる円弧を見比べられる.矢印は倒れる向きの速度を表す.
座標でも
滑らずに
ポイント ここまでの
剛体の
平面 運動は,基準点の 並進と,その 点の まわりの 回転に 分けられる.角速度は 基準点の 選び方に よらない. 各点の
速度は ,加速度は (接線の項と 向心の 項). 速度が0の
点が 瞬間回転中 心 I.2点の 速度に 垂直な 直線の 交点と して 作図でき,各点の 速度は I からの 線分に 垂直で,I からの 距離に 比例する.I は 固定軸ではない. 問いの
答え:は しごの 各点は,I(壁と 床の 角の 向かい側の 頂点)からの 線分に 垂直な 向きに 動く.真ん中の 点は,壁と 床の 交わる 点を 中心と する 半径 の円弧を 描く. 力と
トルクで 運動を 決める 話は,次の 題材「転がり」と 第9章で 扱う.
11平面での外積と瞬間回転中心
前の
定理 数学の
である.これは
もう
速度の
と
瞬間回転中心を
である.作図で
練習 1. 反時計回りに
答え:
練習 2. 半径
答え:
例題
例題 1
長さ
瞬間回転中
心 I の 位置と,は しごの 角速度を 求めよ. 上端 A と,は
しごの 真ん中の 点 M の 速度を 求めよ. 上端 A の
加速度を 求めよ.
速度を求めるはしごの配置を示す模式図.
解答を見る
考え方 両端の
B を
通る 鉛直線と A を 通る 水平線の 交点は .IB なので .B から A へのベクトル は,倒れるにつれて の向きへ 寝ていくので,回転は 反時計回りで である.B を
基準点に し, を使うと
で,A は
速さは
と
同じく IB は A の 高さ に等しいので,どの 瞬間も ( )である.これを微分し, だから
B の
例題 2
半径
円板の
角速度を 求めよ. 時刻
に床に 接していた 円周上の 点 P は,円板が 時計回りに 角 だけ回ったとき,中 心から 見て の所に ある.P の 速度と 速さを 求め,P と 接点を 結ぶ 線分に P の 速度が 垂直な ことを 確かめよ.必要なら を使ってよい. 接点に
ある 円板の 点の 加速度を 求めよ.
転がる円板の円周上の点を示す模式図.
解答を見る
考え方 中心を
接点は
中心から . なので,接点の速度は .これが0だから ,すなわち時計回りに である. なので
速さは
P の
が一定で なので,向心の項だけが 残る. .接点の点は,速度は0でも,上 向きに の加速度を もつ.
ポイント ここまでの
:紙面に垂直な 角速度との 外積は,ベクトルを 反時計回りに90度回して 倍する.2回回すと .瞬間回転中心は,2点の
速度に 垂直な 直線の 交点(2本が 平行なら,その 瞬間は 並進).座標では .は
しごの 真ん中の 点は 円の 接線の 向きに 動き,転がる 円板の 縁の 点は サイクロイドを 描いて 速さ で動く. 瞬間回転中心に
ある点は,速度が0でも 加速度は0とは 限らない(転がる 円板の 接点は 上向きに ).
12剛体の平面運動の演習
ここでは
演習 1
半径
角速度の
大きさと,円板の 頂点および床との 接点の 速度を 求めよ. 円板の
右端と 左端の 点の 速度を 成分で 表し,それぞれの 速さを 求めよ.
床上の円板の中心G,頂点A,接点P,右端B,左端Cと,中心の右向き速度vを示す.各点の速度の答えは描かない.
解答を見る
考え方 各点の
滑らない
条件から 角速度の 大きさは (時計回りなので ).頂点の回転に よる 速度は 右向き なので,地面から見た 速度は .接点では回転に よる 速度が 左向きなので になる.ただし 同じ 物質点が 床に 居続けるわけではなく,時間が 進むと 別の 点が 接点に なる. 右端の
回転に よる 速度は ,左端では .よって地面から 見ると 右端は ,左端は で,速さはいずれも である.どちらの速度も,接点Pから その 点へ 引いた 線分と 垂直に なる.瞬間回転中心と いう 見方でも 方向と 大きさを 確かめられる.
演習 2
平面内を
Bの
速度と 加速度を 成分で 求めよ. 瞬間回転中
心Iの,Aに 対する 位置を 求めよ.
剛体上の2点AとBを示す模式図.
解答を見る
考え方 Aを
だから, .加速度は . .ここへ速度の 式を 代入すると になる. は速度, と はともに 加速度の 次元である.
演習 3
長さ
Bの
速度と 棒の 角速度を 求めよ.有限の 位置に 瞬間回転中心は あるか. 点Cは
棒のAからBへ 向かって の位置に ある.Cの 速度を 求めよ.また,棒の 向きは 時間とともに 変わるか.
平行レールに沿う棒を示す模式図.
解答を見る
考え方 距離一定の
Bの
速度を とすると, より .速度の式の 成分でも より .棒はその 瞬間に 並進しており, なら速度が0の 点は なく,有限の 瞬間回転中心は ない. だからCも の速度である.両端が レール上に ある 限り,鉛直方向の 間隔 と棒の 長さが 一定なので,水平間隔の 大きさも で一定.棒の 向きは 変わらず,並進を 続ける.各点の 速度差が0である ことは,どの2点の 距離も 変わらない 条件と 合う.
演習 4
半径
車輪の
角速度と 角加速度を 求めよ. その
瞬間に 接触している 車輪の 物質点Pの 速度と 加速度を 求めよ. 地上から
見た 瞬間回転中 心Iの,Gに 対する 位置を 求めよ.
動くベルト上の車輪を示す模式図.
解答を見る
考え方 滑らない
より .したがって , . で時計回りである. , .物質点は次の 瞬間に ベルトから 上へ 離れていくので,鉛直加速度が あってよい.接点の 位置を 追う ことと,同じ 物質点を 追う ことは 違う. . ならIは接点より 下に ある. では床上の 転がりの 式に 戻る. は加速度の 次元であり, では回転が 止まって 有限のIは なくなる( の場合).
演習 5
クランクOAの
Bの
位置 と速度を で表せ.必要なら を使ってよい. でBが瞬間的に 止まる ことを 確かめよ. で,Bの速度と 連接棒の 角速度を 求めよ. で連接棒は 瞬間的に 並進する ことを 示し,この ときのBの 加速度を 求めよ.
角φを操作すると,クランクOAと連接棒AB,水平に動くピストンBの配置を見比べられる.初期角は60°.速度や加速度の答えは表示しない.
解答を見る
考え方 ABの
Aは
. とおくと .微分して . では両項が0で,ピストンの 折返点(死点)である. ,Aの鉛直速度は .Bの鉛直速度が0だから,連接棒の 角速度 . を用いると, , .Bは左へ 進み,連接棒は 時計回りに 回る. なので ,AとBの速度は ともに で瞬間的に 並進する.ただし角加速度は で0ではない.Aの加速度は だから, .鉛直成分は .速度0と加速度0,角速度0と 角加速度0を それぞれ区別する. は速度, は加速度の 次元である.
演習 6
長さ
と棒の 角速度を 求めよ. Bの
加速度を レールに 沿う 成分で 求めよ.
交差するレールに沿う棒を示す模式図.
解答を見る
考え方 速度の
より . 成分は なので .Bの
加速度を とする.Aの 加速度は0.加速度の 式と 棒方向との 内積を とると .原点へ向かう 加速度である.ここで はその 瞬間だけの 関係なので, が一定だから としてはいけない. は加速度の 次元を もち, では回転も 加速度も0へ 近づく.
ポイント 教える
速度は
ベクトルで 足し,各成分を 計算してから 速さを 求めさせる. 移動する
ベルトでは,接点の 速度と 地上から 見た 瞬間回転中心を 区別させる. クランクの
角速度と 連接棒の 角速度を 同じ 記号に しない.死点や 並進の 瞬間でも 加速度が 残る ことを 問いかける. 瞬間だけ
成り 立つ式を,時間を 通して 成り 立つ式と して 微分していないか 確かめる.
13転がり
問い
同じ
傾き \theta の斜面の上端に,円板・球・輪を並べて描く.どれも半径 R,質量 M.斜面の下端に着く順番はまだ書かない.
考えてみる
もし斜面が
前の
並進と 回転の 運動方程式
前の
法則 剛体の
質量
である.
滑らずに 転がる 条件
半径
です.これが滑らずに
この
転がる円板の速度分布.中心,頂点,接点,円周上の数点で,重心の速度 v,回転による速度,その合成を矢印で示す.接点では0,頂点では 2v,各点の速度は接点を中心とする円の接線方向を向く.
前の
と
斜面を 転がる物体
傾き
斜面を転がる球に働く力.重力 Mg(重心から鉛直下向き),垂直抗力 N(接点から斜面に垂直),摩擦力 f(接点から斜面に沿って上向き)を描く.斜面に沿った正の向きと,回転の向きも示す.
重心の
です.摩擦力だけが
です.質量
物体 | 加速度 | |
|---|---|---|
球 | ||
円板 | ||
輪 |
摩擦の 役割
静止摩擦力
です.斜面の
回転軸の 向きが 変わる とき(歳差)
高速で
です.ここで
支点Oを固定した軸対称のコマが,ほぼ一定の傾きで遅く歳差する.自転が十分速く,角運動量は近似的に軸方向を向く.重力のトルクは紙面の奥向きで,角運動量の向きを変える.
ポイント ここまでの
剛体の
平面 運動を 力で 決める ときは,基準点を 重心に とり,重心の 並進( )と,重心まわりの回転( )に分ける.運動エネルギーは .滑らずに
転がる 条件は,進む 向きと 回転の 正の 向きを 合わせて , .接点の速度は0で,前の 題材で 見た とおり,接点が 瞬間回転中心である. 斜面を
転がる物体の 加速度は ( ).この斜面では 静止摩擦力は 仕事を せず,力学的エネルギーは 保存する. 問いの
答え:球,円板,輪の 順に 着く.質量や 半径には 依らず, が小さい物体ほど 速い.
14転がりの束縛条件と例題
滑らずに
数学の 道具
定理 数学の
束縛条件の
と
エネルギーの
である.重心に
練習 1. 質量
答え:
練習 2. (1) 質量
答え:(1) 重心の
例題
例題 1
質量
重心の
加速度の 大きさと,球の 角加速度を 求めよ. 摩擦力の
大きさと,必要な 静止摩擦係数の 最小値を 求めよ.
傾き 30^\circ の斜面を転がる球.重力 Mg,垂直抗力 N,斜面に沿って上向きの静止摩擦力 f を描く.
解答を見る
考え方 重心の
斜面に
沿って 下向きを 正と する. , , より .よって
.垂直抗力は だから, ( と同じ)である.
例題 2
質量
加速度の
糸を軸に巻いたヨーヨーと,上で固定された糸.重力 Mg が重心に,張力 T が糸のほどける点に働く.軸の半径 r と外半径 R を示す.
解答を見る
考え方 糸の
下向きを
だから
例題 3
水平な
転がり始めるまでの
時間と,その ときの 速さを 求めよ. 中
心より だけ高い位置を 突くと,突いた 直後から 滑らずに 転がった. を求めよ.
台の上の球を水平に突くキューの図.(1) は中心の高さを,(2) は中心より b だけ上を突く.球に働く動摩擦力 f の向きも示す.
解答を見る
考え方 滑っている間は,一定の
進む
向きを 正と する.摩擦力は 逆向きで, , .よって
である.
突いた
ときの 力積を とすると, , . より ,すなわち である.
ポイント ここまでの
滑らずに
転がる 条件 を微分して , .運動エネルギーは,重心の
と重心まわりの 回転 の和に 分かれる. 斜面を
転がる 球は .ヨーヨーは .初めに
回転していない 一様な 球が,水平な 粗い床の 上で 滑りから 転がりに 変わる とき, になる(円板なら ,輪なら で,物体の形と 初めの 回転で 変わる).
15転がりの演習
重心の
演習 1
質量
加速度と
摩擦力を 求めよ. 必要な
静止摩擦係数の 最小値と,高さ 下がったときの 速さを 求めよ.
傾きθの斜面上に円柱M,Rを描き,重心の落下高さhを示す.摩擦の向きは描かない.
解答を見る
考え方 斜面下向きの
, , なので .したがって , .正の値なので 仮定した 向きで よい.重力と 垂直抗力は 重心の まわりの トルクを 持たない. と より .エネルギー保存は なので .摩擦係数が最小値未満なら 滑りが 生じ,この 解答の 束縛条件は 使えない.また 摩擦が 働いていても,静止した 斜面上の 接点の 速度は0なので,摩擦力に よる 全仕事は0である.
演習 2
質量
各物体の
重心が 上がる 最大高さを 求めよ. 上昇中の
摩擦力の 向きを 説明し,最高点で 回転だけが 残らない 理由を 述べよ.
上り斜面に入る球と輪を別々の小図に描き,どちらにも斜面上向きの初速度v₀を示す.
解答を見る
考え方 同じ
とすれば 初めの エネルギーは .よって .球は なので ,輪は なので .輪のほうが 高く 上がる.下りの 競走で 球が 速いこととは 初期条件が 違う. 摩擦力は
斜面上 向きである.上昇する 回転を 減らすトルクを 与え,並進の 減速と 回転の 減速を 対応させる.摩擦を 除けば 重力は 重心を 減速させるが 回転を 減らせず,接点は 斜面下向きに 滑ろうと する.最高点でも が成立するので, なら .その瞬間にも 斜面下向きの 加速度は 残り,続いて 転がり下りる.
演習 3
質量
重心の
加速度と 摩擦力を 求めよ. 滑らないための
の条件を 静止摩擦係数 で表し,中心が 距離 進む間のエネルギー収支を 示せ.
水平床上の円柱と,中心Gに作用する右向きの力Fを描く.摩擦力の向きは示さない.
解答を見る
考え方 中心に
摩擦を
左向きに とおくと , , .よって , で,摩擦は左向きである.もし摩擦が なければ 中心だけが 加速し,円柱は 回転を 始めずに 右へ 滑る.摩擦力は その 接点の 相対 運動を 抑える 向きに 働いている. より ,すなわち .静止から距離 進むと .全運動エネルギーは となり,外力 の仕事に 等しい.並進には ,回転には が配分される.摩擦に よる 並進と 回転への 寄与は 互いに 相殺し,摩擦力の 全仕事は0と なる.
演習 4
質量
滑りが
止まるまでの 時間と,その ときの 重心の 速さを 求めよ. 失われた
力学的エネルギーを 求め,滑りが 止まった 後の 摩擦力を 答えよ.
床に置かれた円柱の初速度v₀と初期角速度ω₀=0を示す.接点と中心Gを明示する.
解答を見る
考え方 滑っている間は
摩擦は
左向きに なので , .接点の速度は で, に0になる.その とき , .接点の速度は この 時刻まで 正であり,摩擦の 向きを 途中で 変える 必要は ない. 初めは
,最後は .したがって損失は .摩擦係数は滑る 時間を 変えるが,この 損失には 現れない.滑りが 止まった 後は 水平外力が なく, , , を同時に 満たすのは である.したがって一定 速度で 転がり続け,摩擦力は0と なる.
ポイント 教える
滑りが
ある 区間と ない 区間を,接点の 相対速度で 区切らせる. 上り斜面でも
摩擦が 上向きに なる 理由を,回転の 減速から 説明させる. 摩擦の
全仕事と,並進エネルギーだけの 変化を 混同させない. 転がっている
ことだけを 根拠に,摩擦力が 必ず存在すると 考えさせない.
16第8章の章末問題
力の
演習 1
同じ速さ
大小の車輪と,リム半径R,ハブ半径a,進行速度vを示す.
滑らずに
転がる 車輪の,車軸まわりの 角運動量を 求めよ. A,Bそれぞれの
角運動量の 範囲を 数値で 評価し,小径車輪は 角速度が 大きいから 角 運動量も 大きい,と いう 説明を 検討せよ.
解答を見る
考え方 質量の
, より,
これは
なので は とともに増える.Aは 〜 ,Bは 〜 である.Bの角速度は ,Aは約 だが,慣性モーメントの減少の 方が 効く. なら となり,次元も 質量×長さ²÷時間で 正しい.
演習 2
質量
鉛直下向きの
安定位置の まわりの 微小 振動の 周期を 求めよ. 棒を
水平に して 静かに 放した とき,鉛直下向きを 通過する 角速度を 求めよ.
Oを支点とする棒M,lと下端の小球m.水平の初期位置を破線,鉛直下向きの位置を実線で示す.
解答を見る
考え方 慣性モーメントと
軸の
まわりの .鉛直からの角を とすると .微小角で線形化して . では一様棒, では長さ の単振り子の 周期へ 近づく. 棒の
重心は ,小球は 下がる.したがって より .この計算は 大角度でも 成り 立ち,微小 振動の 近似を 使っていない.軸の 反力の 作用点は 動かず,仕事は0である.
演習 3
滑らかな
破断までの
時間と 回転角を 求めよ. 破断までに
力 がした 仕事を 求め,運動エネルギーの 変化と 比べよ.
Oを中心とする半径rの円,小球m,接線方向の力Fと初速度v₀を描く.
解答を見る
考え方 接線方向の
から .半径方向では なので,破断時の速さは .よって .回転角は である.与えられた初期条件に より 時間と 角度は 正に なる. 力は
移動方向に 沿うので .運動エネルギーの増加と 一致する.破断前の 張力は 変位に 垂直で 仕事を しない.破断した後は 円軌道の 拘束が 消えるので,この 式を そのまま 使って 円運動を 延長してはいけない.
演習 4
質量
床と
壁から 受ける 力を 求めよ. 許される
の範囲を 求め,人が 下端に いても 立て かけられない 条件,上端まで 登れる 条件を 分けて 述べよ.
壁と床にはしごを立てかけ,下端Aからsの位置に人2Mを置く.全長lと角θを示す.
解答を見る
考え方 下端Aの
床の
垂直抗力は .壁の力を とすると, だから .床の摩擦力は 壁へ 向かい,大きさ である. より .これと の共通範囲が 答えである. なら下端でも 不可能, なら右辺が 登れる 限界, なら上端まで 可能である.等号の 状態は 滑り出す直前の 限界を 含む.
演習 5
半径
付着直後の
角速度を 求めよ. 水平
運動と 回転に 関する 運動エネルギーの 損失を 求めよ.鉛直方向の 衝突損失は 数えない.
回転する水平円板を上から見た図と,縁へ鉛直に落ちる粘土mの側面小図を示す.
解答を見る
考え方 保存するのは
軸の
反力と 鉛直力は 軸まわりの トルクを 与えない.したがって より .軸には外力の 力積が 働くので,全水平 運動量の 保存を 仮定する 必要は ない. 初めの
対象エネルギーは ,最後は .差は である.付着の過程は 非弾性であり,角運動量が 保存しても 運動エネルギーは 保存しない.落下高さが 与えられていないため,鉛直 運動の 損失まで 含む総損失は 決められない.
演習 6
半径
を で表せ. 質量が
すべて 軸から 距離 以下にある 場合,測定値が 満た すべき範囲と,必要な 静止摩擦係数を 求めよ.
傾きθの斜面に車輪M,Rを描き,静止から測る走行距離sを寸法線で示す.
解答を見る
考え方 加速度は
と合わせて .質量と半径の 絶対値を 知らなくても,質量分布を 表す無次元量 が求まる. より .したがって .下限は質量が 軸に 集中する 理想的な 極限である.必要な 摩擦は , より .測定が範囲外なら,滑り,転がり抵抗,初速度などの 仮定を 見直すべきであり,負の を物性と して 採用してはいけない.
演習 7
長さ
右支持具が
水平な管のA,D,重心G,C,Bと支持具,およびAを軸に回す実験を示す.
と重心位置 を測定距離から 求めよ. Aまわりの
慣性モーメントを 全質量で 割った 量 を求め,小球の 位置を 復元せよ.
解答を見る
考え方 支持具の
最初の
交代時に で,モーメントのつり合いから である.したがって .次の交代時には だから, .両式より
後の
重心の
落下距離は なので .よって . と を使い, とおけば,
計算すると
演習 8
半径
球殻の子午面と緯度λ,射出地点の位置ベクトル,紙面に垂直な東向きの力積を示す.
射出直後の
球殻の 角運動量の 成分と,回転軸の傾き を求めよ. とする. , , , , で評価し,赤道と 北極から 射出する 場合と 比較せよ.
解答を見る
考え方 追加の
,荷物への力積は なので,球殻への角力積は .したがって
, .赤道では傾きは0で 自転が 遅くなる.北極では , となる. なら傾きも0であり,正接の 分子・分母は いずれも 角運動量の 次元を もつ.
演習 9
車体の
前進する車体の重心高h,車軸間隔d,前後ばねと路面からの力を側面図に示す.
地上の
慣性系で 並進と 回転の 式を 立て,前後の 荷重 を求めよ. 制動前からの
前下がり角の 増分 と,後輪が浮かない 条件を 求めよ. , , , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 水平力は
路面の
制動力の 合計は ,鉛直方向は .重心まわりでは だから,
荷重増分
により,前は 沈み,後ろは 上がる.したがって
数値は
演習 10
摩擦なく
台と円板の絶対角α,β,両者の差θを上から見て示す.
円板と
台の 絶対角を として,相対角 の運動方程式と 周期を 求めよ. 台を
固定した 周期を , としたとき,自由な 台での 周期と,固定台用の 目盛りで 実時間1時間を 測った 表示を 求めよ.
解答を見る
考え方 2つの
, より
また
, .表示は周期の 個数に 比例するので, ,約74秒進む. なら . の次元は トルクであり, は時間²に なる.
演習 11
人と
最下点でのlからsへの短縮と,折返点での復元を,支点を共通にして示す.
一連の
操作後の 角振幅を 求めよ. 逆に,初め距離
で最下点で へ伸ばし,折返点で へ戻す場合を 比較せよ. , , として 数値を 求めよ.
解答を見る
考え方 操作中は
最下点で
.小振動では ,短縮後の振幅は だから,
折返点では
逆操作では
.倍率はそれぞれ , ,角振幅は , . ならどちらも 倍率1で,倍率が 無次元であることも 確かめられる.
演習 12
半径
右へ動く車輪と逆回転,接点の滑り,左向きの摩擦力を示す.
滑り停止時刻と
その ときの 速度を 求め,前進・静止・後退の 条件を 分類せよ. , , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 摩擦の
初め
なので摩擦は 左向き.滑り中は , である.よって
, , で後退する.失われる エネルギーは .速度の結果に がないのは,摩擦力が 弱いほど 長く 作用する ためである.ただし では滑りは 止まらない.
演習 13
水平面で
球の中心から高さbの打点へ水平力積Jを加える様子を示す.
打撃直後に
滑らず転がる 打点を,球と 円柱に ついて 求めよ. その
打点での 並進・回転の 運動エネルギーを 求め, , , で両者を 比較せよ.
解答を見る
考え方 並進への
, より は .球は中心の 上,円柱は 上である.いずれも表面上で 実現できる 高さである. , .指定の打点では となる. , ,並進エネルギーは両者とも ,回転エネルギーは球 ,円柱 .同じ力積でも仕事は 同じとは 限らない. なら回転エネルギーは0であり, の次元は エネルギーである.
演習 14
質量
この
瞬間のBとGの 速度,板の 角速度を 求めよ. Bの
加速度と 板の 角加速度を 求めよ. 板の
全運動エネルギーを 求めよ.Bの 速度を と得ても,Bの 加速度を0と できない 理由を 説明せよ.
2本のレールに拘束された正方形板を示す模式図.
解答を見る
考え方 2点の
Bの
速度を とすると .したがって , .中点Gは .瞬間回転中心は で,A,Bの速度の 垂線の 交点にも なる. Aの
加速度は0.Bの 加速度もレールの ため0だから , . 成分は .Bは上へ 動いているが,下向きに 加速する. より .Bの速さがAの 速さに 等しいのは,ABが45°を なすこの 瞬間だけである.次の 瞬間には 配置が 変わり,同じ 等式を 微分できない. は加速度, はエネルギーの 次元である. では速度,加速度,エネルギーが すべて0へ 近づく.
17第8章の発展問題
★4・★5の
演習 1
質量
衝突直後の
重心速度と 角速度を 求めよ. 壁から
離れた 後に 再衝突が 起きないと 仮定して,滑りが 止まるまでの 時間と 速度を 求めよ.この 仮定が 滑り終了まで 成り 立つ範囲と,再衝突の 有無を 判定せよ.
水平床を右へ転がる円柱と右側の鉛直壁.衝突前のv₀,時計回りのω₀を描き,衝突後の向きは示さない.
解答を見る
考え方 壁は
右向きと
時計回りを 正と する.反発係数より .壁の力積の トルクは0なので .接点の速度は であり,床の摩擦力は 右向きである. 滑り中は
, .したがって , , . なら左へ 転がり去り, なら停止する. なら最終的には 右へ 戻るが,再衝突が 滑り終了前かも 調べる 必要が ある.壁からの 変位は で,帰着時刻は . は に相当する.よって では上の は壁が なければ 得る 値であり,実際には その前に 再衝突する. は滑り終了と 帰着が 同時, は転がりに 移ってから 再衝突する. では壁から 離れず,単独の 自由な 滑り区間は 存在しない.
演習 2
質量
重心の
右向き加速度と,右向きを 正とした 摩擦力を 求めよ. 静止摩擦係数
で仮定の 成立条件を 表し,時間 までに力 がした 仕事を 求めよ.
外半径R,芯半径rの糸巻き.芯の右下の接点から右上へ出る糸と角β,力Fを描く.
解答を見る
考え方 糸の
, , である.よって
と
と が条件である.接線方向の 糸の 速度は,重心の 寄与 と回転の 寄与 の和だから . を積分して
を
演習 3
質量
歳差角速度
とその 向きを 求めよ. 支点を
通り対称軸に 垂直な 軸の 慣性モーメントを とする.歳差に よる 角 運動量を 無視する 近似の 目安を 示し,自転が 遅くなった ときの 式の 限界を 述べよ.
固定支点Oから傾いたコマの軸,重心G,距離r,鉛直との角φ,自転ωの向きを描く.歳差の向きは示さない.
解答を見る
考え方 一定の
鉛直上
向きの 単位ベクトルを とすると .一方,正の鉛直軸まわりの 歳差では .したがって .上から見て 反時計回りである.大きさだけで 計算しても,両辺の が消える. 歳差に
よる 対称軸に 垂直な 角速度は 程度である.よって が1より十分 小さい ことが 目安に なる.角度に よらず 十分な 条件は が1より十分 小さい ことである.自転が 遅くなると この 比が 大きくなり,角運動量を 対称軸方向だけに 置く 近似が 破れる. を まで延長してはいけない.また 任意の 初期条件で 傾き 一定に なるわけではなく,この 問題は ゆっくりした 定常歳差を 仮定している.
演習 4
固定された2つの
間隔2aのローラーと長板,重心位置x,内向きの表面速度を示す.初期状態で上面速度の向きが分かり,再生するとローラーの回転方向を確認できます.板の軌跡は表示しません.
接点の
垂直抗力を として 求め,板の 運動 と角振動数 を求めよ. , の瞬間に 両ローラーを 停止・ 固定する.停止操作は 板に 水平な 力積を 与えないと する.その後の 滑走距離 と最終位置 を求めよ. , , , として, と を比較せよ.全位相で 板が 転倒しない ことも 確かめよ.
解答を見る
考え方 回転しない
鉛直方向の
加速度と 角加速度は0なので, ,重心まわりで .よって
ローラーの
摩擦は
では板は 左向きであり,固定された 両接点から 右向きの 摩擦を 受ける.合力は なので減速度の 大きさは 一定である.停止直前の 速さ から
,周期は . では , . では , である.滑走距離は中央通過時が 最大と なる.
支持条件は
演習 5
頂点Oを
円錐の断面と上下端h,3h,下端の接線方向初速u,上端の母線方向を示す.
高さ
での水平円 運動の 速さと 抗力を 求めよ. 一般の
運動で 円周方向速度を ,母線方向速度を とし,それぞれを で表せ.下端から 落ちず,上端からも 出ない の範囲を 求めよ. 上端から
飛び出すときの,接線と 速度のなす角 および自由飛行の最高点 を求めよ. , として, を実現する を逆算せよ.
解答を見る
考え方 軸まわりの
円の
半径は .抗力の水平成分と 鉛直成 分から , であり, , となる. 重力も
抗力も 鉛直軸まわりの トルクを もたない.したがって ,すなわち .抗力は仕事を しないので
下端で
上限では
したがって
上端で
, ,全速さは .ゆえに
母線の
演習 6
軽い
傾いた棒の両端質点と,鉛直軸上の上下の軸受を示す.
上側質点が
側にある 瞬間の 各質点の 水平力と,Oまわりの 合トルクを 求めよ. 上下の
軸受が 軸に 及ぼす水平力を 求め, , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 地上から
上下の
質点の 方向の力は それぞれ , .高さは なので,合トルクは 方向に
上下の
軸受の 成分を とすると, , .よって , .各力の大きさは であり,軸受が受ける 力は それぞれ逆向きである. でも でもこの 偶力は 消える. の次元は 力に なる.
演習 7
椅子を
枠の固定脚Pと重心G,着地姿勢での距離b,c,その後の水平滑走を示す.
着地直前の
角速度と,着地後の 水平速度を 求めよ. 着地後の
滑走距離を 求め, , , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 落下中の
だから, , .重心の水平速度は .着地時の水平力積が0なので,この 成分だけが そのまま 残る. より
数値は
演習 8
半径
旋回する輪を進行方向から見て,内向きの傾きθと接点,重心,軸の向きを示す.
地面からの
力の 鉛直・ 水平成分を 求め,重心まわりの トルクと を等置して 傾きを 求めよ. , , , で評価し, を2倍にした 場合と 比べよ.
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考え方 力の
地面の
力は 上向き ,内向き .重心から接点への ベクトルは 外向き成分 ,下向き成分 をもつ.角 運動量が 向きを 変える 方向を 正にとると,トルクは となる.角 運動量の 水平成分 が角速度 で向きを 変えるから,
係数2の
,半径を2倍にすれば . で,歳差の角速度と 自転角速度の 比も この 程度である. なら傾きは0に 近づく.ここで は既に 転がっている 輪の 速さであり,滑りながら 着地した ときの 初速から エネルギー保存で 求めてはいけない.
演習 9
高速回転子の
回転子と間隔dの軸受,自転軸に垂直な揺動軸と平行な揺動軸を示す.
軸受が
作る 偶力の モーメントと,各軸受の 付加荷重の 最大値を 求めよ. ,毎分 回転, , , で数値を 求めよ.揺動軸を 自転軸と 平行に した 場合も 比較せよ.
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考え方 一定なのは
と置けば, .したがって偶力の モーメントの 大きさは ,各軸受の最大荷重は
最大に
, . , .揺動軸が自転軸と 平行なら 自転角 運動量の 向きは 変わらず,この ジャイロ荷重は0である.その 場合に 自転速度を 変える ための 駆動トルクは,ここでの 付加荷重とは 別である. なら付加荷重は0で,式の 次元は 力に なる.
演習 10
鉛直な
円筒内壁を走る台車の平面図と,重心から壁までb離れた側面図を示す.
水平走行する
速さ と比 の関係を 求めよ. 滑り
落ちないための の範囲を 求めよ. , , , , , , とし, のときの 速さと,回転子を 増速する 倍率 に許される 範囲を 求めよ.
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考え方 重力を
鉛直方向の
つり合いから 摩擦力は ,法線力は向心力 .重心まわりのトルクは である.回転子の角運動量 が角速度 で向きを 変えるので,
に代入すると
演習 11
長さ
最初に左端Aが当たる姿勢φと,次に右端Bが当たる姿勢−φ,重心の高さの基準を示す.
最初の
衝突直前の 重心の 下降速度を ,床の力積を として,衝突直後の 上向き重心速度 と時計回り角速度 を求めよ. 必要な
を求め, , で評価せよ.2度目までに 別の 接触が ない ことも 確認せよ.
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考え方 反発係数1は
, .Aの衝突後の 上向き速度は であり,反発条件はこれが に等しい ことである.したがって
姿勢が
から になる 時間は .両衝突で重心高は なので, ,すなわち .両式と から
数値は
演習 12
半径
初期回転軸と鉛直の角φ,球の接点,水平・鉛直の角速度成分を示す.
滑り停止時の
速度,角速度の 各成分と 大きさを 求めよ. , , , として, と を比較せよ.滑り停止までの 時間も 求めよ.
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考え方 接点の
初めの
接点速度は の 成分をもつので,摩擦は 向き.力積を とすれば , , .停止条件 から
ほかの
では , , ,角速度の大きさは . ではそれぞれ , , , . なので停止時間は , となる. なら初めから 接点は 滑らず,球は その場で 自転し続ける.垂直成分が 残っても 点接触での 滑りなし条件と 矛盾しない.
演習 13
球が
壁に正面入射する球と,壁の接点の下向き速度,上向きの摩擦力積を示す.
跳ね返り速度の
水平・ 鉛直成分と,水平からの 跳ね 上がり角 を求めよ. 一様な
球 , について, と を比較せよ.薄い 球殻 にすると,角度が 飽和する 摩擦係数は どう 変わるか.
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考え方 法線方向の
法線方向の
力積の 大きさは ,反発後の水平速度は .上向き力積を とすると , .壁の接点の 鉛直速度は
これが0に
飽和の
一様な
球では . なら , . なら , で飽和する.薄い 球殻では ,飽和角は となる. なら鉛直速度0で 正面へ 戻る.正接と 閾値は ともに 無次元である.
演習 14
質量
Aで
角 に達した ときの 角速度を 求めよ. Bで
同じ角に 達した ときの 角速度と 重心速度を 求めよ. Bで
下端が 床を 離れない ことを 確かめ,水平に なる 直前の 上端の 速さをA,Bで 比較せよ.
左に下端固定の棒A,右に滑らかな床へ下端を置いた棒B.鉛直からの初期角θ₀と途中の角θを示す.
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考え方 Aは
, とおく.失われた位置エネルギーは .Aでは端の まわりの 慣性モーメントが なので となる. Bには
水平外力が なく,初め静止していたので 重心の 水平速度は 常に0である. より .全運動エネルギーは だから
である.角速度は
とし,(2)の エネルギー式を 時間微分すると .これを に代入すると
と
演習 15
慣性モーメント
小球が
半径 に来た ときの 円板の 角速度を 求めよ. 半径
に達する 直前の 半径方向速度と,溝が 小球に 及ぼす接線方向の 力を 求めよ.必要なら,回転する 半径に 沿って 動く 質点の 加速度の,半径方向成分が ,それに垂直な 成分が であることを 使ってよい.
水平円板を上から見て,Oからの直線溝,初期半径aの小球m,外側の位置b,初期回転ω₀を描く.
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考え方 溝は
小球の
接線速度は なので,全角運動量は .初期値を とすれば .軸の反力は 軸まわりの トルクを 持たない. 半径方向速度を
とする.溝の 力は 接触する 両物体間で エネルギーを 移すだけなので,系全体では
である.したがって
演習 16
質量
直後の
角速度と,軸から 系への 水平力積を 求めよ. 軸の
水平力積が0と なる を求めよ. 付着後の
最大振れ角 を決める 式と,その 範囲内で 折り返す条件を 求めよ.
上端Oでつった棒M,lと,Oからbの点へ水平速度uで衝突する粘土mを描く.
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考え方 衝突中はOの
とおくと ,つまり .直後の棒の 重心速度は 右向き ,粘土は右向き である.したがって軸の 右向き力積は .鉛直速度は衝突前後とも0なので,この 近似での 軸の 鉛直力積は0である. に代入すると .粘土に関する 項が 消え, を得る.この 位置でのみ,軸で 支えられた 系でも 衝突中の 全水平 運動量が 保存する.一般の 位置では,軸の 力積を 落とした 運動量保存式は 使えない. 衝突直後の
エネルギーは .角 まで上がる 位置エネルギーは なので,両者を等置する.有限時間で に折り返す条件は である.等号では理想的には 真上へ 漸近し,それより 大きければ真上を 通過する.衝突時の 損失は であり,衝突前から振り 上がりまで 一括して エネルギー保存と してはいけない.
18第8章のまとめ
この
定義と 法則
法則 角
原点に
対する 質点の角 運動量 ,トルク(力のモーメント) .外積の大きさは (平行四辺形の面積)で,向きは から へ回す右ねじの向きである. 運動方
程式から .トルクが0なら角 運動量は 保存する. 力が
常に 原点に 向かう(中 心力)なら で は一定.面積速度 が一定に なる(ケプラーの 第2法則). 質点系では,内力が
質点を 結ぶ 直線の 向きなら 内力の トルクは 打ち消し合い,全角 運動量の 変化は 外力の トルクだけで 決まる.
法則 剛体の
剛体が
つり合う 条件は,外力の 合力が ,任意の点の まわりの 外力の モーメントの 和が0である こと.平面での モーメントは (反時計回りが正)で,垂直抗力 とは区別する. 力の
モーメントは,力の 作用線上で 力を 動かしても 変わらない.大きさが 等しく 逆向きで 作用線が 違う2力(偶力)は,合力が0でも モーメントを 持つ. 重力は,物体全体では
重心に 働く1つの 力と して 扱える.
法則 固定軸の
慣性モーメント
.回転の運動方程式 ( ).回転の
運動エネルギー ,角運動量 .平行軸の
定理 .実体振り子(微小
振動)の 周期 .
法則 剛体の
剛体の
平面 運動は,基準点 の並進と, のまわりの 回転に 分けられる.角速度 は基準点の 選び方に よらない. から点 P への ベクトルを ,角速度ベクトルを (反時計回りが正)と すると, , . .速度が0の
点が瞬間回転中 心 I.2点の 速度に 垂直な 直線の 交点で,各点の 速度は I からの 線分に 垂直で I からの 距離に 比例する.I は 固定軸ではなく,I に ある点の 加速度は0とは 限らない.
法則 転がり
剛体の
運動を 力で 決める ときは,重心の 並進 と,重心のまわりの 回転 に分ける.運動エネルギーは .滑らずに
転がる 条件は,進む 向きと 回転の 正の 向きを 合わせて , .接点は瞬間回転中心で,その 速度は0である. 静止した
斜面を 滑らずに 転がる 場合,静止摩擦力は 接点で 仕事を せず,重力以外の 仕事や 空気抵抗などの 散逸を 無視すれば,力学的エネルギーが 保存する. 支点が
固定された 軸対称の コマが 速く 自転し,傾きを ほぼ 一定に 保って 遅く 歳差する とき,歳差の 角速度は ( は自転軸まわりの 慣性モーメント, は自転の 角速度).
手順
ポイント 剛体の
運動の
種類を 決める.つり合い,固定軸の まわりの 回転,平面 運動(転がりを 含む)の どれかを 見分ける.速度の 関係だけを 問われたら,瞬間回転中心を 探す. 物体に
働く 力を すべて 図に 描く.作用点を 正しく 置く ことが,トルクの 計算の 前提である. つり合いなら,合力0と
モーメント0を 立てる.モーメントの 中心は,未知の 力が 多く 通る 点を 選ぶと 式が 減る. 回転の
運動方程式 では,軸(または重心)を 決めて,トルクの 符号を 回転の 向きで 統一する. 滑らずに
転がるなら ,糸がほどけるなら糸の 点の 速度で 結ぶ.滑るなら 動摩擦力を 使う. 力が
不明の ときは,角運動量の 保存や エネルギー保存が 使えないかを 考える.極端な 場合(質量が0, など)で検算する.
主な 公式
, , , ,慣性モーメント:輪
,円板 ,球 ,棒の中心 ,棒の端 平面
運動: ,瞬間回転中心 斜面を
転がる 物体: ( )
各節の 問いへの 答え
角
運動量と トルク:フィギュアスケートの 選手が 腕を 縮めると,外から 回転を 妨げる トルクが ほぼ無いので が保存し, が小さくなった 分だけ が大きくなる.質点で 半径が 半分に なれば は ,角速度は4倍になる. 剛体の
つり合い:は しごが 滑らない 条件は,合力0と モーメント0の 連立で 決まり,床の 摩擦力が 最大摩擦力以下である ことから,寝かせられる 限界の 角度が 出る.なめらかな 壁に 立てかけた 一様なは しごでは,床との 角を ,床との静止摩擦係数を として, のとき 滑らない( なら ).固定軸の
まわりの 回転:質量と 半径が 同じなら,輪 ,円板 で,同じトルクなら円板の 角加速度が2倍に なる.円板の ほうが 速く 回り出す.質量が 軸の 近くに ある ほど回しやすい. 剛体の
平面 運動:倒れていくは しごの 各点は,瞬間回転中 心(壁と 床の 交点 O の 向かい側の,長方形の 頂点)からの 線分に 垂直な 向きに 動く.真ん中の 点は O を 中心と する 半径 の円弧を 描く. 転がり:斜面を
転がる 順は,球,円板,輪である. で, は球が ,円板が ,輪が1である.質量や半径には 依らない.
この 章で 使った 数学
外積(定義,成分,右ねじ,微分,紙面に