第30章 確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
01確率振幅と2つの穴の実験
問い
壁に2つの
この
ポイント 第30章で
記号 | 意味 |
|---|---|
確率振幅(複素数). | |
確率 | |
2つの | |
状態,スピンの | |
基底 | |
ハミルトニアン行列,エネルギー(第5・6題材) | |
装置の | |
スピン1/2の | |
プランク定数 | |
位置と |
虚数単位は
考えてみる
電子の
3つの 実験
弾丸.弾丸は1個ずつ,か
です.どの
水の
です.
電子.検出器は1個ずつ「カチッ」と
初期状態は電子400個で,スクリーンの各点への検出が縞を作り始めている.右は検出確率の分布.実験を切り替えると,弾丸では確率の和,水の波では振幅の和の絶対値の2乗を比較できる.電子数を変えると,同じ検出列に点が1個ずつ積もる様子を確かめられる.再生は2400個で停止する.
量子力学の 基本の 規則
第29章では,この
法則 確率振幅の
粒子が
出発点 から出て 検出器 に着く 確率は,確率振幅と よぶ複素数 の絶対値の2乗 である.粒子が
に着く道すじが2通り以上 あり,どの 道すじを 通ったかが 原理的に 区別できないとき,振幅を 足す. , .どの
道すじを 通ったかが(装置に 残る 記録などで)区別できるとき,道すじごとの 確率を 足す. .
規則2から,両方の
で,水の
この
どちらの 穴を 通ったかを 見る
第29章で
大事なのは,縞を
では
不確定性原理
どちらの
法則 不確定性原理
同じ
が
標準偏差は,同じ
原子は なぜ潰れないか
古典的には,原子核の
問いに 戻る
弾丸は
ポイント ここまでの
確率は
複素数の 確率振幅の 絶対値の2乗 .道すじが
原理的に 区別できなければ 振幅を 足し,区別できれば 確率を 足す.縞を 消すのは,読まれなくても 残る 道すじの 記録である. 2つの
穴では . と が より十分 小さい とき縞の 間隔は .不確定性原理
は,道すじを見ながら縞を 見る ことを 禁じ,原子の 大きさも 決める.
022つの穴と不確定性の例題
本体の
例題
例題 1
静止した
2つの
道すじの 振幅を , と書く.両方を 開けた ときの 検出確率を,位相差 を使って 表せ. のとき,スクリーン上の 縞の 間隔を 求めよ. すき間2を
細くして にした.縞の 明る い 所と 暗い所の 検出確率の 比を 求めよ.また,縞を1周期に わたって 平均した 確率を で表せ.
電圧Vで加速した電子が,間隔dの2つのすき間のある壁から距離Lのスクリーンへ向かう.スクリーン中央をx=0とし,正のxを上向きにとる.2つのすき間から位置xへ至る道すじと,対応する振幅φ₁,φ₂を示す.
解答を見る
考え方 どちらの
なので
運動量は
,波長は である. と が より十分 小さい とき,道のりの 差は で (定数を除く). が 変わる間隔は
で,およそ
明る
い所は で ,暗い所は で .比は である. の1周期の平均は0なので,平均の 確率は になる.
確かめ:(3) の
例題 2
例題1の
運動量が
だけ変わった 電子に ついて,縞の 位置は の向きに いくらずれるか.そのずれは 縞の 間隔 の何倍か. すべての
電子が 光子を1個ずつ 散乱した とき,縞を 作る 項 は に変わる ことを 示せ.ここで である.2つの
すき間を 区別できる のとき,縞は どうなるか.また を よりずっと 長く すると 縞は どうなり,その とき道すじは 区別できるか.
すき間を出た電子に光源から波長λγの光を当てる.入射光子は右から左へ進み,散乱光子は右下へ出る一例を描く.電子の入射運動量pは右向き,横向きの変化qは正のx方向である上向きで,電子は少し上へ偏向する.右の2本の帯は散乱前とqが正の電子の縞の比較で,移動量の式や目盛りは付けていない.
解答を見る
考え方 横向きの
傾きは
なので,スクリーンでのずれは である.縞の間隔との 比は
で,位相に
は から の間に 一様に ばらつくので,干渉の 項を 平均すると
である.
なら で,ずれの幅が 縞の 間隔を 超える. なので,縞の濃淡は 元の 16 % 以下に 潰れ, が大きい ほど に近づく.逆に を よりずっと 長く すると は小さく, で縞は 戻る.この ときは 光で 見える 位置の 細かさ が より粗く,どちらの すき間か 区別できない.
確かめ:この
例題 3
水素原子の
とおく.
を最小に する と,そのときの エネルギーを 求め,数値を と で答えよ. 電子を,質量が
電子の 倍で電荷が 同じミュー粒子に 置き換えた 原子では, とエネルギーは それぞれ何倍に なるか.原子核の 質量は 十分 大きいと する. この
見積もりで 非相対論の 運動エネルギーを 使って よいか 確かめよ.
横軸は電子のいる範囲の半径a,縦軸はエネルギーE.正の運動エネルギーℏ²/(2ma²),負の位置エネルギー−e²/(4πε₀a),その和E(a)の概形を示す.和が最も低くなる位置に印を付け,数値の目盛りは付けていない.
解答を見る
考え方 閉じこめる
より
で,途中で
なので 倍( ほど), なので 倍になる. 運動エネルギーは
ほどで,電子の静止エネルギー と比べた 比 が十分 小さいので,非相対論で よい.速さに 直すと ( は運動エネルギー)である.ミュー粒子でも 運動エネルギーと 静止エネルギーが ともに 倍になるので,この 比は 同じである.
確かめ:得た
ポイント ここまでの
2つの
振幅の 和の 確率は .縞の平均は で,干渉は確率を 配り直すだけ. 縞の
間隔は ( と が より十分 小さい とき). 道すじを
光で 見るには が より短い 必要が あり,その とき 光子が 与える 運動量で 縞は 潰れる. 不確定性に
よる 運動エネルギーと クーロンの 位置エネルギーの つり合いで,原子の 大きさ とエネルギー ほどが見積もれる(ボーア模型と 同じ 値).
03電子の干渉と経路の観測の演習
同じ
演習 1
粒子を1個ずつ
経路の
記録が 残らない 場合と,経路を 完全に 区別する 記録が 残る 場合の 検出確率を 求めよ. 第2経路の
位相だけを 変えて とした場合も 求めよ.多数の 粒子の 検出確率が 同じなら,経路の 記録の 有無を 判定できるか.
粒子源から分かれた2経路が検出領域Dへ合流する.第1経路の振幅はφ₁=1/5,第2経路はφ₂=2i/5で,位相調整によりφ₂=−2/5に変える.
解答を見る
考え方
記録が
記録なしでは
.記録ありでも である.位相差が なので干渉項が0に なる. 記録なしでは
,記録ありでは のままである.したがって1つの 位相で 確率が 一致しても 判定できず,位相を 変えた 比較が 必要に なる.1個の 検出は 点状でも,繰り返した 分布に 干渉が 現れる.どの 確率も0と1の 間に あり,残りは 以外への検出に 対応する.
演習 2
間隔
を0から に変えた とき,同じ 番号の 明線は どちらへ,縞間隔の 何倍だけ動くか. 電子を
静止から 加速する 電圧を から に変え, を保つ.各電圧で の位置を 基準に した,位相挿入に よる 明線の 移動距離の 大きさは 何倍に なるか.両電圧で 非相対論的な 運動を 仮定し, , を使ってよい.
間隔dの2開口から距離Lのスクリーンへ向かう経路を示す.片経路に位相δを挿入し,スクリーン上の正のx方向を上向きに示す.
解答を見る
考え方
明線の
整数
に対して より, .縞間隔は なので, .負の 方向へ縞間隔の だけ動く.運動量は2倍,波長は
半分に なるので, も も半分に なる.縞間隔に 対する 割合は 変わらない.幾何学の 近似には と が十分 小さい こと,加速の 式には が十分 小さい ことが 必要であり, でも確かめる.
演習 3
等しい
計数 |
混合した
期待計数の 式を 作り, を推定せよ. 各計数には
それぞれ の幅が あると する. の推定値が 取りうる 範囲を,最大・ 最小計数の 比から 求めよ.記録を 読み出さなければ縞は 元へ 戻るか.
等しい強さの2経路が検出領域Dへ合流する.経路記録装置と位相差δの調整部を示す.全粒子の割合fに記録が残り,記録による損失はない.
解答を見る
考え方
記録の
割合で
重みを 付けて . , より .中間の位相でも と一致する. 最大計数を
,最小計数を と書くと .これは とともに増え, とともに減るので, , .両端とも中間計数の 幅とも 両立する.記録を 読まないだけでは 経路は 依然区別でき,縞は 元へ 戻らない.この 範囲は 与えた 計数幅に よる ものであり,信頼水準を 指定した 統計区間ではない.
演習 4
電子と
指定した
位置幅での の下限を それぞれ求め,2条件が 両立するか 調べよ. 電子に
ついて 速度幅の 条件を 保つなら,位置幅の 上限を 少なくともいくらまで 緩める 必要が あるか.
解答を見る
考え方
位置幅を
.電子の下限は .微粒子では である.要求する に比べ,電子では 両立しない.微粒子では 不確定性に よる 禁止は なく,等号を 満たす状態なら 両立する. なので,上限を少なくとも この 値まで 緩める 必要が ある.位置と 運動量の 積の 単位は で整合し, は十分小さく,非相対論的な 関係を 使える.
演習 5
質量
スクリーン上の
標準偏差 を で表し,最小に する と最小値を 求めよ. その
最適値の2倍の にした 場合の の倍率を 求めよ.飛行中の 横広がりを 近軸で 扱える 条件も 述べよ.
質量m,縦運動量pの粒子束を初期面から距離Lのスクリーンへ送る.初期面の横位置の標準偏差aを中心から片側の寸法で示す.
解答を見る
考え方
絞ると
飛行時間は
,横速度幅は .したがって . とおくと .正の停留点は で,両端では分散が 発散するので 最小である. , . では より, .狭くしすぎても広くしすぎても 最適から 外れる.近軸条件は が十分 小さい ことで,最適幅では その2乗が になる. は長さの2乗の 次元を 持ち,得た幅の 次元も 整合する.
ポイント 教える
確率が
一致する1つの 測定だけで,干渉の 有無を 決められるか 問いかける. 経路記録を
読まない ことと,記録が 存在しない ことを 区別させる. 計数の
和・ 差が 表す量を 説明させ,誤差幅の 端で 検算させる. 不確定性の
幅を 標準偏差と して 扱い,近軸条件を 運動量の 比で 確認させる.
04振幅の結合規則
問い
中性子の
考えてみる
前の
困るのは「区別できる」の
ブラケットの 記法
ある
と
振幅を 掛ける,振幅を 足す
法則 振幅の
続けて
起こる 過程: から中間の 状態 を通って へ行く 振幅は,それぞれの 区間の 振幅の 積 である.区別できない
別の 経路:同じ 出発の 状態から 同じ 到着の 状態へ 行く 経路が 複数あり,どれを 通ったかが 最終の 状態に 残らないなら,全体の 振幅は 各経路の 振幅の 和である. 中間の
状態 が,粒子が必ずどれか1つを 通る 組に なっているなら
1は
2つの スリットを 書き直す
2つの
です.粒子源が
で,経路差が
粒子源sからスリット1または2を通り,スクリーンの同じ点xに着く.矢印はsからxへ向かい,各区間に振幅⟨1|s⟩,⟨x|1⟩,⟨2|s⟩,⟨x|2⟩を示す.
区別できるとは
前の
と
ポイント 区別できる
規則2の「最終の
似た
結晶に よる 散乱
結晶に
です.間隔
(ブラッグの
間隔dの原子の面に,中性子が面に対する角θで左上から入り,同じ角θで右上へ散乱される.下の面を通る経路の余分な長さは入射側と散乱側でそれぞれd sin θとなり,合計は2d sin θである.
スピンが
で,方向に
スピンが反転しない散乱はブラッグの条件を満たす角で鋭い山をもち,山の高さはN²|φ|²に比例する.スピンが反転する散乱はどの角でも平らで,強さはN|φ′|²に比例する.2つの散乱を別々の曲線で示す模式図である.
この
同じ 粒子どうしの 散乱へ
「最終の
問いに 戻る
スピンが
ポイント ここまでの
は から出発して に見つかる 振幅で,確率は である.続けて
起こる 過程は 振幅を 掛け,区別できない 経路は 振幅を 足す. .区別できるか
どうかは,世界の 全部を 含めた 最終の 状態が 経路ごとに 違うかで 決まる. 記録の
ない 結晶 散乱は ブラッグの 条件 で に比例する 山を 作り,記録の 残る スピン反転の 散乱は に比例して 方向に よらない.
05複素数の振幅の和と規格化
本体の
定理 数学の
複素数は
が
最後の
練習1
答え
等間隔の 位相の 和
結晶の
定理 数学の
(
1つ目の
初期状態はN=6,α=π/6で,青い長さ1の矢印をαずつ反時計回りに継ぎ足す.橙の矢印S_Nは始点から終点への和である.スライダーとボタンでαを変えられ,α=0では一直線で長さN,α=2π/Nでは閉じてS_N=0になる.
この
練習2
答え 公式では
確率の 規格化
中間の
例えば
例題
例題 1
静止した
に着く 確率 を で表せ. と は より十分 小さいと する. 電子の
波長と,スクリーン上の 縞の 間隔を 求めよ.
粒子源sは2つのスリットから等距離にある.スリットの間隔はd,スクリーンまでの距離はLである.中央の正面を位置0とし,位置xへの経路の長さをr₁,r₂とする.配置は模式図である.
解答を見る
考え方 2つの
で,極形式の和の 公式より
スリット1を
運動量は
,波長は .明るい縞は すなわち だから,間隔は ,約 である.
確かめ:
例題 2
間隔
を で表し,スピンが 反転しない 散乱の 確率 と,反転する散乱の 確率 を求めよ. , , , とする. で最初に 主極大(すべての 振幅の 位相が そろう 山)が 現れる 角 と,そこでの を求めよ.また, から を増やして 最初に となる 角までの 角の 幅を 求めよ.
間隔aの原子核の列に,下から中性子が垂直に入る.j=1とj=2で散乱され,遠方の検出器へ角θで向かう2本の道を示す.入射側の道のりはそろい,出ていく側の差は橙の区間a sin θである.
解答を見る
考え方 反転しない
入射は
列に 垂直なので 入射側の 道のりは そろい,出ていく 側で 隣どうしの 道のりが 違う.よって .等間隔の位相の 和の 公式から
山は
すなわち . で , .そこで だから
最初の0は
確かめ:山の
例題 3
2つの
に着く 確率 を求めよ. 縞の
見え方 を で表せ.
2つのスリットのすぐ後ろに光を当てる.図はスリット1を出た電子が光子を散乱した一例で,光子は光源から電子へ進み,散乱後に1側の検出器へ入る.電子の2つの経路は同じスクリーンの点xへ向かう.
解答を見る
考え方 到着の
散乱しなかった
場合の 振幅は,各経路の 振幅に 散乱しない 振幅を 掛けて 足す.散乱しない 確率が なので,その確率は .記録が残った 場合は2つの 到着の 状態が 違うので,確率は .足して
, より .
確かめ:
ポイント ここまでの
振幅の
積では 大きさが 掛かり 位相が 足される. には干渉の 項 が加わる. 位相が
ずつずれた 個の振幅の 和の2乗は で,位相がそろうと ,山の幅は に比例し,で たらめな 位相では 平均 になる. 必ず
どれかに なる 中間の 状態の 確率の 和は1で,失われる 粒子が あれば 残りが 失われる 確率に なる.条件つきの 確率は 条件の 確率で 割る. 記録が
一部の 場合だけ残る ときは,到着の 状態ごとに 振幅を 足してから 確率を 足す.縞の 見え方は 記録の 残らない 割合で 決まる.
06確率振幅の積と和の演習
連続する
演習 1
粒子源の
と出力 の確率を 求めよ. 中間経路の
完全な 記録を 残すと,確率は いくらに なるか.経路1を たどる 確率と,経路1を 経て に達する 確率も 区別して 求めよ.
粒子源sから中間経路1,2を経てDへ至る.sから1は√3/2,sから2はi/2,1からDは1/2,2からDはi√3/2の振幅を持つ.
解答を見る
考え方
1本の
.したがって .確率の積を 足しても,この 打ち消しを 表せない. 記録が
ある 場合は .経路1をたどる 確率は ,経路1を経て に達する 確率は である.位相を含む振幅は 無次元であり,求めた 確率も 無次元に なる.
演習 2
粒子を
と吸収確率を 求め,和を 確かめよ. の場合,透過した 粒子だけを 選んだ ときの の確率を 求めよ.また, を変えた際に が完全に0に なる を求めよ.
等しい振幅1/√2で分岐した経路2に透過係数g e^{iδ}の透過部を置く.吸収先,再結合部,出力D,Eを示す.
解答を見る
考え方
入射粒子あたりの
, より
透過確率は
,透過確率は より,条件つき確率は .最小値は で だから,0になるのは だけである.位相調整だけでは振幅の 大きさの 不一致を 補えない. では出力は 各 ,吸収は となり,片経路だけの 結果と 一致する.
演習 3
等間隔の
記録なし | 中心ごとの | |
|---|---|---|
各列を
, のどちらで 表せるか 決め,係数を 求めよ. の期待計数も 求めよ. 記録なしの
列だけを で割って 一定に なる 理由と,記録ありで 振幅を 足せない 理由を 述べよ.
等間隔に並ぶN個の散乱中心について,指定方向で同位相となる記録なしの散乱と,中心ごとに異なる内部記録が残る散乱を並べる.
解答を見る
考え方
同位相の
記録なしは
,記録ありは .他の2行にも同じ 係数が 当ては まる. では順に , である.各中心の
振幅を とすれば,記録なしは ,記録ありは である.記録を読まなくても 最終状態が 異なるので 干渉しない. 則は指定方向の 狭い 検出領域での 弱い 散乱の 模型であり,全方向の 確率を 倍する主張ではない.多重散乱を 無視するには,全散乱確率が1より 十分 小さい 必要が ある.
演習 4
一列の
検出確率を
で表し, の値も 求めよ. とする.全く 記録の ない 場合と 比較し, および での確率を 求めよ.
N=Mq個の散乱中心を隣接するq個ずつM組に分ける.組の番号だけを記録し,隣り合う中心の位相差αを示す.
解答を見る
考え方
組の
組
の振幅は . が の整数倍で ない とき,和は なので
なので同位相で ,記録なしでは . では組の 和が より, .記録なしでは で幾何級数の 和が0だから .組間の打ち消しが 失われる.検出領域への 確率と して 扱うには が1より十分 小さい 範囲を 選ぶ.
演習 5
3経路の
の範囲で 初めの 検出確率が0と なる をすべて 求めよ. 求めた
位相で2つの 操作後の 検出確率を それぞれ求め,な ぜ 同じに ならないか 説明せよ.入射粒子あたりの 確率で 比較する こと.
3経路が共通の検出領域Dへ至る.位相は順に0,α,2αで,第3経路に遮断板または記録装置を置く.
解答を見る
考え方
遮断は
全振幅は
. より .遮断後は
.記録後は経路1,2の 和と 経路3の 確率を 足すので .記録の場合には 第3経路の 粒子も 検出される ため,遮断の2倍に なる.全経路の 最大値 が1以下になる 振幅なら 確率と して 矛盾しない.
ポイント 教える
ブラケットの
右側を 出発状態,左側を 到着状態と して 読み取らせる. 吸収が
ある 場合,入射粒子あたりと 透過粒子あたりの 確率を 区別させる. 記録が
区別する 範囲を 囲ませ,囲みの 内外で 足す量を 説明させる. 指定方向の
散乱強度と,全散乱確率の 規格化を 混同させない.
07同種粒子とスピンと統計
問い
2つの
考えてみる
重心系では,2つの
左では粒子1,右では粒子2が角θの検出器Dへ進む.入射する2粒子の矢印は中心へ,出射する2粒子の矢印は互いに反対向きに描く.振幅はそれぞれf(θ),f(π−θ)である.番号は過程を比べるための仮の印である.
粒子に
入れ替えた 過程の 振幅
2つの
法則 同種粒子の
同種粒子の2つの
であり,その
「同じ
アルファ粒子は
と
電子は
スピンと 統計
どの
ポイント スピンと
スピンが
この
ボース粒子は 集まりやすい
ボース粒子の
2つの
同じ
法則 ボース粒子の
ある
誘導放出と レーザー
光子は
法則 吸収と
準位差
である.比例係数
光が
左は光子1個の吸収で原子が下の準位から上へ移る過程,中は入射光子なしで原子が上から下へ移り光子1個を出す過程,右は入射光子と同じモードの光子をもう1個出す誘導放出である.右の2つの出射光子は平行な右向きの矢印で表す.塗った丸は遷移前,白抜きの丸は遷移後の原子を表す.
黒体放射の スペクトル
第18章では,黒体の
温度
です.壁の
定理 ボース分布(光子の
温度
である.
次に,振動数が
です.
法則 プランクの
温度
である.
振動数が
全体の
です.積分の
と
初期温度はT = 4000 Kである.横軸は振動数ν,縦軸は振動数の幅あたりのエネルギー密度u(ν)であり,青の実線がプランクの式,橙の破線が等分配則の式である.下の小図は低い振動数を同じ縦軸の単位で拡大したものである.温度を上げると山が高く右へ動く.低い振動数では2つの曲線がほぼ一致し,高い振動数では等分配則の曲線が枠の外へ増え続ける.
フェルミ粒子と パウリの 排他律
フェルミ粒子の
法則 パウリの
2つの
原子の
物質が
問いに 戻る
2つの
ポイント ここまでの
同種粒子を
入れ替えただけの 過程は 区別できず,振幅を 組み合わせる.ボース粒子は ,フェルミ粒子は で組み合わせる.スピンなど 何か1つでも 違えば,確率を 足す. 整数スピンの
粒子は ボース粒子,半整数スピンの 粒子は フェルミ粒子である(スピンと 統計の 関係). ボース粒子は,
個いる状態に 入る 確率が 倍になる.光子では,これが 誘導放出と レーザーを 生む. 光子の
平均の 数 とモードの 数 から,プランクの式と シュテファン・ボルツマン定数が 出る. フェルミ粒子は
同じ 状態に2個入れない(パウリの 排他律).これが 周期表と 物質の 硬さを 決める. 同種アルファ粒子の
散乱は,振幅を足すので,区別できる 粒子の ちょうど2倍に なる.
08同種粒子と光子の統計の例題
本体の
例題
例題 1
同じ
で,印の付いた 区別できる 粒子,アルファ粒子(スピン0),スピンの そろっていない 電子の ビームどうしに ついて,検出確率の 比を 求めよ.電子の 両ビームは 無偏極で,2粒子の スピンに 相関は ないと する. で同じ3つの 場合の 確率を の何倍かで 求め,区別できる 粒子に 対する 比を 求めよ.
左右から粒子1と粒子2が同じ速さで入射する.検出器Dは粒子1の入射方向から角θにある.実線は粒子1がDへ,粒子2が反対側へ行く過程,破線はその入れ替えである.π−θは反対側へ出る粒子1の入射方向から測る散乱角である.線は見分けやすくずらした模式的な道すじである.
解答を見る
考え方
検出器に
2つの
である.
では .区別できる粒子は ,アルファ粒子は ,電子は .比は
である.
では , .
同じ
区別できる
確かめ:アルファ粒子の
例題 2
1つの
温度
の熱放射の 中で,波長 の可視光の モードと,振動数 のマイクロ波(アンモニア分子の 遷移)の モードの 平均光子数を 求め,誘導放出と 自発放出の どちらが 主に なるかを 答えよ. 温度
の熱平衡に ある 原子の 集団(準位差は 波長 に対応)に,光子数 のモードの 光を 通す.上下の 準位の 縮退度は 等しいと する.この 光は 強められるか.強めるには をどうすれば よいか.
解答を見る
考え方
平均光子数は
.可視光では
なので
で,
その
モードへの 光子の 正味の 増加は 単位時間に
である.熱平衡では
確かめ:
例題 3
プランクの
波長が
と の間に ある 放射の エネルギー密度 を求めよ. が最大に なる 波長 について, を求めよ. の方程式は,くり返し代入で 数値的に 解いてよい. , , とする. が最大に なる 振動数 を求め, で と を比べよ.
同じ温度の黒体放射について,上は波長の幅あたりのエネルギー密度u_λ(λ),下は振動数の幅あたりのu(ν).山の位置にλ_maxとν_maxを付け,上のグラフにはc/ν_maxも示す.c/ν_maxはλ_maxより長い側にあり,一致しない.数値は入れてない.縦軸の尺度は上下で異なる.
解答を見る
考え方
同じ
より .したがって
である.
とすると, は定数倍を 除いて である. と は1対1なので, が最大に なる を探せばよい.
これは
は定数倍を 除いて ( )で,同じ計算で . から始めて , , , , と収まる. なので, では
一方
確かめ:2つの
ポイント ここまでの
同種粒子の
散乱では,検出器に 入る 粒子を 入れ替えた 過程の 振幅を 組み合わせる.スピンの そろっていない 電子は,スピンが 同じ 場合と 反対の 場合の 確率を 平均する. では,区別できる粒子,スピン0の ボース粒子,スピンの そろっていない 電子の 確率の 比が になる. 誘導放出と
自発放出の 比は モードの 光子数で,室温では 可視光で ほぼ0,マイクロ波で 数百である.光を 強めるには 反転分布が 要る. プランクの
式から,波長で 数えたピークの 条件 と が出る.振動数で 数えたピークとは 位置が 違う.
09同種粒子の散乱と状態の占有の演習
交換した
演習 1
2粒子を
区別できる
粒子,同種ボース粒子,同種フェルミ粒子の 検出確率と,その 比を 求めよ. 経路を
区別する 標識を 付けると,交換に よる 干渉は 残るか.
2本の入射経路から検出器D,Eへ至る2組の経路を示す.実線の組の振幅a=1/10と破線の組の振幅b=1/20は,それぞれ2粒子の過程全体の振幅である.
解答を見る
考え方
区別できる
区別できる
場合は .ボース粒子は ,フェルミ粒子は .したがって比は順に である.標識から
検出器への 対応が 分かれば 最終状態が 異なり,確率は となる.標識を 読み取らなくても,その 情報が 残る 限り 干渉しない.検出器を 指定した 事象なので,確率に 余分な 係数2を 付けない.
演習 2
温度
吸収と
放出の つり合いから を求めよ. 体積
の空洞で,中心 振動数 ,幅 の狭い帯域の モード数は である. , の場合の 平均光子数を 求め,帯域を 狭いと する 条件を 述べよ.
解答を見る
考え方
放出の
より, .整理して である.帯域内で
モード密度と 占有数を 一定と 近似すると, . と が十分 小さい ことが 必要である. と は無次元であり,低温の 極限では 占有数が0へ 近づく.
演習 3
状態数の
反転分布
の条件と,微小な 光が 増幅される 条件を 区別して 求めよ. , のとき,増幅に 必要な を求めよ.自発放出が 存在するだけで 増幅すると いえるか.
上下2準位の励起率w,緩和率γと,上準位・下準位の原子数Nᵤ,Nₗを示す.共振器内のモード光子数はn,光子損失率はκnである.
解答を見る
考え方
原子の
, より,反転分布は .増幅には が必要である. とおくと, で . では有限の 励起率で この 条件を 満たせない. .自発放出は光の 種を 供給するが,増幅係数を 正に するとは 限らない.損失を0に すると 条件は 反転分布だけに なり整合する.占有数を 固定する 近似は,誘導遷移率 が より十分 小さい 段階に 限る.
演習 4
入力
区別できる
粒子,ボース粒子,フェルミ粒子の,両出力に1個ずつ届く 確率を 求めよ. ボース粒子の
両方が に入る 確率と,両方が に入る 確率を 求め,規格化を 確かめよ. での同時検出確率も 比較せよ.
入力A,Bから出力D,Eへの1粒子の接続を示す.A→DとB→Eは√τ,A→EとB→Dはi√(1−τ)である.
解答を見る
考え方
直接過程と
直接過程は
,交換過程は .区別できる場合は .ボース粒子は ,フェルミ粒子は .両方が
に入る 振幅は ,確率は . も同じなので,全確率は .フェルミ粒子は同じ 完全な 状態には 入れず,両方が 同じ 出力に 入る 確率は0である. で1個ずつ届く確率は 順に .ボース粒子の同時検出が0に なるのは であり,位相と到着状態が そろうと いう 前提も 必要である.
演習 5
電子を1個ずつ
を求め,残る 値でも 確かめよ. を求めよ.軌道準位1つに2電子を 入れる ことが,排他律と 矛盾しない 理由も 述べよ.
等間隔の軌道準位Eⱼ=E₀+jΔを空のまま示す.各軌道にスピンの異なる2状態の空枠を置く.Δの数値と電子の占有は示さない.
解答を見る
考え方
低い
整数
について, , .最初の値から , .軌道が変わる 差 より . を代入すると 残る にも一致する. 第7電子は
に入るので .全エネルギーは .異なるスピンは 別の 完全な 状態なので 排他律に 反しない.追加エネルギーを7個目まで 足しても 同じ値に なる.
ポイント 教える
粒子を
交換しても 同じ 事象か,内部状態まで 含めて 問いかける. 軌道が
同じことと,スピンも 含めた 完全な 状態が 同じ ことを 区別させる. 自発放出,誘導放出,損失を
それぞれ式の 項に 対応させる. 追加エネルギーの
差の 交互性から,排他律と 反発の 寄与を 説明させる.
10スピンと回転
問い
銀の
考えてみる
磁気モーメント
ここで
シュテルン・ゲルラッハの 装置と フィルター
銀の
不均一な
左から来た銀原子のビームが,とがった上の磁極と溝のある下の磁極の間を通る.装置 S はビームを上下に分け,右のガラス板に |+⟩ と |−⟩ の2か所の跡を作る.点線の縦長の枠は古典的に予想される連続した帯.磁極の形と軌道は模式的に示す.
ここで,3台目として S を
定義 基底の
ある
互いに
重ならない: ( ), .漏れが
ない:どんな 状態 も,どれかの出口に 必ず出る. .どんな
振幅も 基底を 経由して 書ける: .
3つ目は,前の
傾けた 装置への 振幅
性質3から,どんな
のように,4つの
1つ目は,確率の
状態の
の
法則 スピン1/2の
と
な
360°回すと 符号が 変わる
上の
全体に
意味が
初期状態は θ = 0 で,2つの経路の位相がそろい,出口 A の計数が100 %,B が0 %.スライダーで片方の経路のスピンだけを y 軸のまわりに0から4πまで回せる.2πではスピンの矢印が元の向きに戻る一方で振幅が −1 倍となり,出口の明暗が入れ替わる.4πでは振幅と計数が元に戻る.2つの経路を等分し,回転以外の位相差を0とした模式図.出口ではスピンを区別せず数える.
軸の まわりの 回転と 横向きの 状態
装置を
です.2つの
に
混合と 重ね合わせ
炉から
無偏極の
スピン1の 場合(結果だけ)
窒素の
各列の2乗の
適用条件
ここでは
問いに 戻る
銀の
ポイント ここまでの
スピン1/2の
粒子は,どの 方向で 測っても の2つの結果だけを とる.装置ごとの 基底 で,どんな状態も2つの 振幅で 表せる. 軸のまわりに 傾けた装置の 基底は , . 回すと状態は 倍になる.全体の 位相は 測れないが,干渉計で 一方だけ回すと 相対位相と して 現れる. 軸のまわりの 回転は 位相 を付ける. , .無偏極の
ビームは 重ね合わせではなく 混合で,成分ごとの 確率を 割合で 重み付けして 足す.
112×2 行列と回転の変換
本体の
定理 数学の
状態
2つの
行列
先に
状態の 回転を 行列で 書く
本体の
です.
回転を
で,ほかの
本体の
確率を 保つ変換
複素数の
です.特に
定理 数学の
行列
ときで,その
短い
です.
基底を 取り替える
本体の
です.装置を
練習1
練習2
答え 練習1:
例題
例題 1
最後まで
通る 確率 を求め, の値を 示せ. が大きい とき はどうなるか.最後に 出てくる 状態は 何か.
左から |+⟩ のビームが入り,1台目,2台目,途中を省略して N−1 台目,N 台目のフィルターを順に通る.k 台目の向きは y 軸のまわりに kπ/N だけ傾けてある.各台の − の出口を赤い遮断印でふさぎ,+ の出口を次の台へつなぐ.測定方向を上の矢印で模式的に示し,最後の台を入射状態の測定方向と逆向きにする.出口名は各台の基底に対する +,−.
解答を見る
考え方
1台目までの
振幅も .各台は独立に 選別するので,確率は 掛け算に なり
が1より十分 小さい とき で, .よって で, で1に近づく.最後の 台は なので,出てくる状態は である.
確かめ:
例題 2
全体の
位相を 除いて となる ことを 示せ. を 方向の装置で 測って に出る 確率を 求め,本体の 節の と比べよ. と直交する 状態を 求め,それが 向き のスピンである ことを 確かめよ.
初期状態は φ = π/3.左の xy 平面に状態 |+φ⟩ の向きを青い矢印で,右の複素平面に振幅の比 ψ−/ψ+ を緑の点で示す.φ のスライダーを動かすと,矢印と点が正の x 軸,正の実軸から同じ角だけ反時計回りに回る.点は単位円上にあり,原点からの向きがスピンの矢印と対応する.
解答を見る
考え方
全体の
.確率は である.2つのスピンの 向きのなす角は なので, 軸のまわりに 傾けた 場合の と同じ形に なる.どの 軸の まわりに 傾けても,確率は 向きのなす角だけで 決まる. とすると . なので で,逆向きのスピンである.
確かめ:(2) で
例題 3
スピン1/2の
, , の各方向の 装置で 測った とき, に出る 確率を それぞれ求めよ. 各方向で
の確率から の確率を 引いた値を とする. を計算し,この 状態が 何を 意味するか 述べよ.
解答を見る
考え方
: . : で,確率は . : の振幅の 複素共役は なので .確率は . , , .
確かめ:
ポイント ここまでの
状態は
振幅の 列で,変換は2×2 の 行列で 表す.先に 行う 操作を 右に 書き,順序を 入れ替えない. , .回転を続けると 角が 足され, 回すと になる. 確率を
保つ変換は ユニタリ行列で,列が 規格化されて 互いに 直交する. 装置を
傾けて測る ことは,状態を 回して元の 装置で 測る ことと 同じ. どんな
スピン1/2の 状態も,ある 向きを 向いたスピンの である.
12スピンの測定と回転の演習
装置の
演習 1
スピン1/2の
最初の
フィルターを 通る 個数の 期待値を 求めよ. 次の
装置の の出口に 来る 個数の 期待値と,入射集団に 対する 割合を 求めよ.
無偏極の16000個をz方向の正のフィルターへ送り,負の出口を閉じる.続いてθ=2π/3の装置で分析する.最後の出口には状態名だけを示す.
解答を見る
考え方 最初の
確率は
なので 個である. , .絶対値の2乗から確率は ,個数は 個,割合は である.最後の2出口の和が 個となり,最初の 選別に よる 減少と 整合する.
演習 2
中間装置の
だけを通すと き,最後まで 通る 確率と,それを 最大に する 角を 求めよ. 中間装置の2本を,経路の
記録も 相対位相の 変化も 残さず 再結合する ときの 確率を 求めよ. 中間装置で
両結果を 記録し,全粒子を 最後の 装置へ 送る 場合の 確率を 求めよ.記録は 読み出さなくても 残っているとします.
初期状態は|+⟩で,最後はzの負だけを通すフィルターである.中間の角θの装置について,正だけの選別,記録なしの再結合,両結果の記録を別々の配置に示す.
解答を見る
考え方 中間の2経路が
とおく. , より通過確率は .最大値は ,角は である.負の
中間経路では , .2経路の振幅の 和は なので通過確率は0である. 記録が
残る 経路の 確率を 足すと である. ではすべて0で,中間装置を 入れただけで 必ず透過が 増えるわけではない ことも 確かめられる.
演習 3
ある
0.600 | 0.400 | 0.200 |
を の1次式にし, を求めよ. の予測値を 求めよ.同じ模型で 中間の 測定値が だったなら,両端の測定値と 両立するか.
割合qの|+⟩と残りの|−⟩からなる混合集団を角θの分析装置へ送る.入射個数を別に数え,正の出口の検出器に効率ηを付す.
解答を見る
考え方 混合の2成分には
真の
通過確率は .よって
両端の
に代入して .両端が同じなら 中間は 必ず なので, とは両立しない.一定効率の 混合模型を 見直す 必要が ある.推定値が に入ることも 確かめられる.
演習 4
状態を
で
両操作が
任意の 状態の 確率の 和を 保つ ことを 示せ. に対して, の後に を作用させる 場合と,逆順の 場合の 最終状態を 求めよ. にある 確率で 順序を 区別せよ.
zとyの回転軸を示す.|+⟩に対してRᵧ(π/2)とR𝓏(π/2)を逆順に作用させる2配置を並べ,各配置の最後にy方向の正を選別する分析装置を置く.
解答を見る
考え方 先に
入力を
とすると, の出力は .2成分の絶対値の2乗の 和は,交差項が 消えて . は各成分に 絶対値1の 因子を 掛けるので 同じ和を 保つ. の後に なら出力列は で,状態は .したがって確率は1である.逆順なら . への振幅は ,確率は である.全体の位相は 確率に 影響しないが,順序は 相対位相を 変える.いずれも 出力の 確率の 和は1である.
演習 5
を求め, を比較せよ. 回転後の
ビームだけを 取り出して スピンを 測る 場合と 比べ, 回転の符号を どう 検出しているか 説明せよ.
初期状態|+⟩を等しい2経路に分け,一方にRᵧ(θ)を作用させる.他の位相差は0にそろえる.再結合器の出口A,Bを示す.
解答を見る
考え方 各出口の
とおけば,Aの成分は ,Bは .したがって , . では となり , では となり . は単位行列である. 単独の
状態 と はすべての スピン測定で 同じ 確率を 与える.干渉計では 一方だけの 符号変化が2経路間の 相対位相 となる ため検出できる. である.この理想化には,経路間の 位相の 揺らぎの 幅が1より 十分 小さい ことが 必要である.
ポイント 教える
フィルターの
通過確率と,通過後の 集団に 対する 確率を 分けて 問います. 途中の
記録を 読まない ことと,記録が 存在しない ことの 違いを 説明させます. 行列の
作用順序を 列に 掛けて 確かめ,全体の 位相と 相対位相を 区別させます. 測定値が
合わない ときは,混合の 割合と 検出効率の どちらを 変えればよいかを 考えさせます.
13振幅の時間変化と物質波
問い
エネルギーの
考えてみる
前の
素朴に「何も
定常状態の 振幅
外から
です.時間を
法則 定常状態の
エネルギー
のように,角振動数
エネルギーの
と
のように,角振動数
動いている 粒子の 振幅
止まっている
で,
この
を
です.
に
定理 ド・ブロイの
エネルギー
で,その
である.
初期値V/c = 0.60では,等位相線は右上がりになり,同時刻に位相が1回転する距離λ = h/pが現れる.V/cを0にすると等位相線は水平になる.世界線x = Vtと等位相線はミンコフスキー計量で直交する.
位相の
波束の 速さ
1つの
です.
と
初期状態では,少しずつ運動量の違う波を重ねた波束の実部を青,包絡線を緑の破線で示す.再生または時刻スライダーで,細かい山が包絡線より速く右へ進む.運動量の広がりを大きくすると波束の幅が狭くなる.
ポテンシャルの 中の 位相
ポテンシャルエネルギー
です.これは
左のU = 0の領域から右のU > 0の領域へ進む物質波.右側では運動量p₂が小さく波長λ₂が長いため,進む向きは法線から遠ざかる.波面は進む向きに垂直で,境界に沿った波面の間隔は共通である.橙の区間はその1間隔を示す.
なめらかに
磁場の 中の スピンの 歳差
スピン1/2 の
時刻0に
です.全体の
で
古典的に
初期値B/B₀ = 1,ω₀t = π/3で,スピンは+xから時計回りにπ/3だけ回り,|+ₓ⟩に見つかる確率は0.75である.再生または時刻スライダーで歳差と確率の変化を追える.磁場Bを大きくすると回転が速くなり,確率の振動の周期が短くなる.
問いに 戻る
エネルギー
ポイント ここまでの
定常状態の
振幅は で回り,確率は 変わらない.観測に かかわるのは エネルギーの 差で,重ね合わせた 状態の 確率は で振動する. 静止した
粒子の をローレンツ変換すると となり, , , が出る.位相は に等しい. 波束の
群速度 は粒子の 速さに 等しい. ポテンシャルの
中では が一定で が変わり,境界では . が1波長の間で ゆっくり変わる ときだけ軌道の 考えが 使える. 磁場の
中の スピン1/2 は 角速度 で歳差する.
14物質波の位相と速さの例題
本体の
ポイント 数学の
振幅
例題
例題 1
質量
ローレンツ変換
を使って,K での 振幅の 位相を と で表せ. K で
時刻を 止めた とき,位相が 変わる距離(波長)を 式と 数値で 求めよ. K で
見た 位相速度を 求め,光の 速さと 比べよ.この 結果が 相対論と 矛盾しない 理由を 述べよ.
上段はK′で同じ時刻t′に見た中性子と位相の模式図で,同じ向きの位相の矢印が並ぶ.下段はKで同じ時刻tに見た図で,中性子は右へ速さvで動き,位相の矢印はxが増すと反時計回りに回る.位相が1回転する距離を未知の波長λで示す.
解答を見る
考え方 同じ出来事に
位相は
である.ここで
を止めると, が 増えたとき なので . なので として よく
である.結晶の
位相が
一定の 点は 一定 を満たして 進むので,位相速度は
で,光の
確かめ:
例題 2
質量
2つの
和の 絶対値の2乗(見つかる 確率に 比例する 量)を 求め,その 山が 進む速さを , で表せ. を使って, の極限で(1)の 速さが 粒子の 速さ に等しい ことを 示せ. 電子の
運動量が のとき,位相速度と 群速度を それぞれ を使って 表し,その 積を 求めよ. 非相対論で
とする場合と, を省いて とする場合で,位相速度と 群速度が どう 変わるかを 述べよ.
上の2段は運動量p₁とp₂の波の実部,下段はその和の実部である.緑の破線が包絡線を示す.群速度と位相速度の矢印は,包絡線の山と細かい山が進む向きを示す模式的な矢印である.
解答を見る
考え方 2つの
共通の
因子を くくり出すと
である.山(
を で微分して . , を入れると
である.
なら なので, ,位相速度は である.積は で,これは によらず である.群速度は
で, に加える 定数に よらない.位相速度は, を含めると (光より速い),省くと で,まったく違う 値に なる.位相速度は エネルギーの 基準で 変わる 観測できない 量で,観測できる 確率の 山の 速さ(群速度)は 基準に よらない.
確かめ:
例題 3
運動エネルギー
真空中と
金属中の 電子の 波長を 求めよ. ビームが
表面の 法線と をなして 入射する とき,金属中で 法線となす角を 求めよ. 逆に,金属中で
運動エネルギー の電子が 表面から 真 空へ 出る とき,出られる 入射角の 範囲を 求めよ.
真空から金属表面へ,法線とθ1=45°をなす電子のビームが入る.金属中では法線に近づく向きθ2へ曲がり,波面の間隔は真空のλ1より短いλ2になる.ポテンシャルは真空で0,金属中で−U0.θ2と波長の数値は入れていない.
解答を見る
考え方 定常状態なので,角振動数
非相対論で
よい( は電子の 静止エネルギー よりずっと 小さい). で, では
である.エネルギーの
である.
表面に
沿った 成分が そろうので . なので
である.ポテンシャルエネルギーの
金属中で
入射角 の電子が 真空に 出ると である.真空側への流れが あるには が必要なので,限界角 として, なら出られる.限界角では 真空側の 法線方向の 運動量が0で,それより 斜めに 当たると 全反射のように 金属の 中へ 戻る.
確かめ:古典力学で
ポイント ここまでの
止まって
見える 系の 位相 をローレンツ変換すれば, , と がそろって 出る. 位相速度
は光より 速くても よく,エネルギーの 基準で 変わる.確率の 山は 群速度 で進み,それが 粒子の 速さである. ポテンシャルの
段差では と運動量の 境界に 沿った 成分が 保たれ, になる.
15確率振幅の時間発展と物質波の演習
定常状態の
演習 1
一様な
時刻
の状態と 各成分の 確率を 求めよ. にある 確率と 周期を 求めよ.両エネルギーに 定数 を加えると 結果は 変わるか.
時刻0の状態(√3|+⟩+|−⟩)/2を一様磁場内で時間tだけ発展させる.磁場内の与えられたエネルギーと,zまたはxを選ぶ分析装置を示す.
解答を見る
考え方 別の
状態は
位相の
とおくと振幅は .2乗から ,周期は である. は全体の 位相だけを 変える. では時間変化が 消える.
演習 2
電子を
波長を
式と 数値で 求めよ. 非相対論の
式 による 波長の 過大評価の 割合と 近似条件を 求めよ.
解答を見る
考え方 全エネルギーから
より .したがって . なので ,2桁では .非相対論では
.比は で,約26 %大きい.近似には が必要だが,比は である. では2つの波長の 比は1に 近づく.
演習 3
0.0100 | |
0.0200 | |
0.0300 |
振幅の
時間発展から と を求めよ. 表から
を推定し,中央の 値も 確かめよ.
x方向の正に準備した状態を,z方向の磁場B+B_bの中で時間tだけ発展させ,再びx方向を分析する.残留磁場と磁気モーメントの推定値は示さない.
解答を見る
考え方 相対位相を
とおく.状態は . への振幅は だから , である. とすれば, , .したがって , .中央の値も 直線上に ある. の次元は 振動数である.
演習 4
非相対論的な
位相から
屈折の 関係を 導き, の を求めよ. 領域2へ
進める 入射角の 条件を 求めよ.
領域1のU₁=0,領域2のU₂=3.0 eVと幅dの移行領域を示す.法線はx方向,境界はy方向で,入射角θ₁=π/6は法線から測る.屈折後の線は描かない.
解答を見る
考え方 時間方向と
より .任意の で位相が つながるには ,すなわち が必要である. なので , .高い の側で 法線から 遠ざかる. より .上端では法線速度が0なので,領域2へ 進むには が必要である.軌道近似には,法線方向の 波長 と の比が 十分 小さい ことが 必要で, の近傍では 破れる.
演習 5
質量
距離
の検出器への 到着時刻の 差を 求め, で評価せよ. Aの
運動量成分が にあるとします. として,両端の 到着時刻の 差を1次まで 求めよ. で(1)の差と 比べよ.
同時に同じ位置から放つ波束A,Bの中心運動量mc,2mcと距離Lを示す.別枠にAの運動量成分p_A±δpを示す.到着時刻と群速度の値は描かない.
解答を見る
考え方 時刻の
なので . だから差は .Bの方が 早く 着く. を微分すると . で だから,両端の時刻差は .中心間の 差の 約 倍である.近似には が必要で,初期 空間幅の 影響は 別に 加わる. で となる.
ポイント 教える
別の
基底で 確率が 変わる 理由を 問います. 近似条件を
無次元量で 述べさせます. 切片と
傾きの 物理的意味を 確かめます. 進行方向と
到着時刻を,位相と 群速度から 説明させます.
162状態系とハミルトニアン行列
問い
アンモニア分子
考えてみる
古典的に
量子力学では,粒子は
振幅の 時間変化を 決める 行列
窒素が
短い
と
法則 振幅の
基底
に
です.これが
でなければなりません.このような
アンモニア分子の2つの 準位
アンモニアに
2つの
したがって,エネルギーの
ポイント アンモニア分子の
どちらも,窒素が
山を
左は水素の三角形の面に対して窒素が上にある基底|1⟩と,下にある基底|2⟩.右は結合Aが0のときのE₀と,A>0のときの上の準位E₀+A,|I⟩および下の準位E₀−A,|II⟩を示す.間隔は2Aである.
窒素を
で,確率は
初期状態は基準の結合A_refとAが等しく,P₁=cos²(At/ℏ)とP₂=sin²(At/ℏ)を示す.t=0ではP₁=1,P₂=0である.スライダーでAを変えると,固定した時間軸上で行き来の周期が変わる.青の実線がP₁,橙の破線がP₂で,和は常に1である.
この
電場の 中の 分子と 共鳴
窒素が
と
選んだ
です.電場は2つの
と
で,アンモニアの
です.上の
上の
ほかの2状態系
同じ形の
水素分
子イオン :1個の電子が,陽子1の 近くに いる 状態と 陽子2の 近くに いる 状態.電子が 陽子の 間を 移る 振幅 があると,対称な 状態の エネルギーが だけ下がる. は陽子が 近いほど 大きいので,この エネルギーの 下がりが 陽子どうしを 引き寄せ,化学結合に なる(演習4). ベンゼン
:二重結合の位置が 異なる2つの 構造.どちらか 一方ではなく,2つの 重ね合わせに なる ことで,エネルギーが 下がって 安定に なる.染料の 分子にも2つの 構造の 間で 電子が 移る ものが あり,準位の 差 が可視光の エネルギーに 当たるので 色が 付く. 磁場の
中の スピン1/2:基底 で,磁気モーメントの大きさを とすると
と
2状態系で
問いに 戻る
アンモニア分子の
ポイント ここまでの
基底に
いる 振幅は に従う.全確率が 保たれる ために,ハミルトニアン行列は エルミート .対称な2状態
では,定常状態は ,エネルギーは .移る振幅が 準位を に分ける. 片方から
始めると, で行き来する. 振動する
外場は 定常状態の 間を つなぎ,共鳴 で遷移が 起こる.メーザー・レーザー・光の 吸収・磁気共鳴の 仕組み. 水素分
子イオンの 結合,ベンゼンの 安定性,スピンと 磁場も 同じ2状態系で 表せる.
172×2行列の固有値と連立微分方程式
本体の
固有値と 固有ベクトル
定理 数学の
正方
を
である.2×2行列
行列式が0の
エルミート行列
です.根号の
ポイント 固有ベクトルは
エルミート行列の
練習1
練習2
答え 練習1:
連立1階微分方 程式を 解く
定理 数学の
の固有値 と規格化した 固有ベクトル を求める. 初めの
状態を と分ける.係数は など(直交性から).それぞれに
位相を 付けて 足す.
1つの
ハミルトニアン行列が
また,状態
例題
例題 1
アンモニア分子の2つの
本体の
節の を で求めよ. 窒素を
上に 置いた 状態から 始めて,初めて 下に いる 確率が1に なる 時刻を 求めよ. 温度
の ( )と を比べ,熱平衡での2つの 準位の 分子の 数の 比を 見積もれ.
解答を見る
考え方 準位の
.途中で丸めずに 計算すると, . より . . で,上と下の 準位の 数の 比は ,ほぼ1である.
確かめ:(2) の
例題 2
磁気モーメントの
定常状態と
その エネルギーを 求めよ. に にあった 粒子が,時刻 に で見つかる 確率を 求めよ. 磁気モーメントの
大きさが 電子と 同じ の粒子に ついて, , のとき,初めて スピンが 下向きに なる 時刻を 求めよ.
z軸は上向き,一様な磁場Bはx軸の正の向き.t=0のスピンは+zの|+⟩で,その後x軸のまわりを回って−zの|−⟩になる.右の円はx軸の正の側から見た回転で,Bは手前向き,+zから+yを経て−zへ時計回りに進む.時刻の数値は入れていない.
解答を見る
考え方 アンモニアの
練習1と
同じく, がエネルギー , がエネルギー .これは 方向の上向き・下向きの 状態で,磁場の 向きの スピンの エネルギーが 低いことと合う. 本体の
節と 同じく . より
確かめ:
例題 3
アンモニア分子に,窒素の
2つの
準位の エネルギーを 求めよ. が よりずっと 小さい 場合と,ずっと 大きい 場合で,準位が にどう 依存するかを 述べよ. 電場の
強さが 場所 によって 変わる とき, が よりずっと 小さい 範囲で,上の 準位の 分子が 受ける 方向の力を 求めよ.どちらの 向きに 押されるか.
左は与えられた行列成分.右は横軸が電場の強さℰ,縦軸がエネルギー.2つの準位はℰ=0でE₀±Aから水平に始まり,電場が強い所では破線の直線E₀±pℰに近づく.力の向きと準位の式の数値は入れていない.
解答を見る
考え方 行列式から
より
が よりずっと 小さい とき, より で,ずれは に比例する. が よりずっと 大きい ときは で, に比例する.この とき固有ベクトルは ほぼ か で,窒素は上か下に 決まり,ふつうの 双極子のように ふるまう. 上の
準位の 位置エネルギーは なので
上の
確かめ:(2) の
ポイント ここまでの
を満たす固有ベクトルが 定常状態,固有値 がその エネルギー.固有値は から求める. エルミートな2×2行列の
固有値は で必ず実数.異なる 固有値の 固有ベクトルは 直交する. は,初めの状態を 固有ベクトルに 分け,それぞれに を掛けて 足せば 解ける.1成分の2階の 方程式に 直しても よい. 平均エネルギーは
.外場に
よるずれは,結合 より小さいうちは2乗で,大きくなると1乗で 効く.
182状態系の準位と遷移の演習
準位の
演習 1
2地点間を
と に行列を 掛け,エネルギーと 規格化した 定常状態を 求めよ. から出発した ときの と,最初の完全移 行時刻を 求めよ.
場所1,2に対応する直交基底|1⟩,|2⟩を示す.各対角成分はE₀で,2地点の結合は−Aである.固有準位と遷移時刻は描かない.
解答を見る
考え方 定常状態に
行列を
掛けると それぞれ , .したがって のエネルギーは , は である. より
よって
演習 2
外場中で
行列式から
準位と その 間隔を 求めよ. 下の
定常状態の 振幅比 を求めよ. でどちらの 場所の 確率が 大きいか. が十分 小さい 場合の 準位間隔を2次まで 求めよ. を使ってよいとします.
外場中の2基底の対角成分E₀+δ,E₀−δと結合−Aを同じ高さの箱に示す.δの符号に応じた準位の大小は描かない.
解答を見る
考え方 対角差と
なので, とおけば .準位間隔は ,外場で広がる. は単位行列である. 下の
準位では より . なら なので場所2の 確率が 大きい. .2次の補正に 対する 捨てた項の 比は 程度で, が必要である.
演習 3
未知の2状態系で
とおき,連立方 程式から を導け. 測定値から
を推定せよ.最大値が1未満なのは が小さいためか.
P₂対tの座標に初期点(0,0)と,測定された最初の最大t_m=2.0×10⁻¹¹ s,P_m=0.64を示す.測定点を結ぶ曲線は描かない.
解答を見る
考え方 周期と
, .後式を微分すると .両式を代入して .初期条件は なので , . より .丸める前の を用いて, , . なら, は周期だけを 変える. であり,粒子は失われていない.
演習 4
水素分
とします.正の
下の
準位と 平衡距離の 有無を 求めよ. 平衡距離と
結合 エネルギーを 数値で 求めよ.分離した 極限を 基準とします.上の 準位にも 極小は あるか.
距離Rの2陽子と左右に局在する電子基底を示す.対角成分E₀+2A₀x²,反発項2A₀x²,結合−A₀x,x=e^{−R/a}は問題で与えられた成分である.
解答を見る
考え方 下の
対称な
状態の エネルギーは . より .停留点は , .そこで なので安定である. , .結合エネルギーは 正の .上の準位は , で,極小はない.遠方で 両準位は に戻る.
演習 5
静磁場に
とします.
と変数を 変え,行列を 求めよ. , とおき, にある 確率を 求めよ. 共鳴時の
最初の 完全移 行時刻を 求めよ. での最大確率も 求めよ.
時刻0の|+⟩を,静磁場とそれに垂直な面で回転する磁場の領域へ入れる.磁場を緑の矢印で示し,回転の角振動数ωとz方向の分析を付す.
解答を見る
考え方 回転する
代入すると
, .行列は である. より . なので .位相の絶対値は1なので
共鳴では
, ,最初の完全移行は .指定のずれでは なので最大値は .この行列に 対して 厳密で, の小ささは 不要である. なら遷移は 起こらず, の次元は 角振動数である.
ポイント 教える
基底と
定常状態,周期と 移行時刻を 区別させます. 対角差が
最大確率に どう 現れるか 問います. 周期と
振幅から 模型を 決めさせます. 完全移行の
条件と 模型の 限界を 問います.
19確率振幅から見た量子力学の全体像
問い
この
事実から 規則へ
第13章で
前の | この |
|---|---|
光や | 区別できない |
光子の | 定常状態の |
ド・ブロイ波長 | 振幅の |
不確定性原理(第29章) | どちらの |
飛び飛びの | ハミルトニアン行列の |
光の | 振動する |
誘導放出,プランクの | ボース粒子の |
パウリの | フェルミ粒子の |
化学結合 | 電子が |
停留作用の | 作用で |
逆に,この
振幅の
規則:確率は 振幅の 絶対値の2乗.区別できない 経路は 足し,続けてたどる 経路は 掛ける. 時間変化の
形:振幅は に従い, はエルミート. 対称性:回転で
振幅が どう 変わるか(スピン),ローレンツ変換で 位相が どう 変わるか(ド・ブロイの 関係),同じ 粒子の 入れ替えで 振幅が どう 変わるか(統計). 相互作用の
中身:ハミルトニアン行列の 具体的な 成分.
力学の
2つの 状態から 無限個の 状態へ
この
一直線に
です.原子の
法則 シュレーディンガー方
が
左右に等間隔bの原子列を描き,ある時刻に実数である振幅C_nを符号付きの棒の高さで示す.左は粗い原子列,右は同じ位置の範囲でbを小さくした原子列である.棒の先は滑らかな関数ψ(x)をなぞり,位置はx=nbである.
この
水素原子の 量子数
3次元の
と
定常状態は,3つの
個あります.
場の 量子論へ
同じ
相対論と
場の
ポイント ここまでの
干渉,光子,ド・ブロイ波長,準位,吸収と
放出,統計,化学結合は,振幅の 規則・ 時間変化の 形・対称性と いう 共通の 枠組みから 出る.物理の 中身と して 残るのは ハミルトニアンの 成分. と
なりへ移る 振幅を もつ基底を 連続に 並べると,シュレーディンガー方 程式に なる.移る 振幅が 運動エネルギーを 与える. 水素原子の
定常状態は とスピンで 区別され,同じ に 個ある.回転の対称性と パウリの 排他律から 周期表が 出る. 粒子の
生成と 消滅を 扱う 場の 量子論でも,過程ごとの 振幅を 足して2乗すると いう 規則は 変わらない.
20第30章の章末問題
振幅の
演習 1
スピン1/2の
各ビームを
方向に分析した ときの2出口の 確率を 求めよ.この 測定だけで 準備法を 区別できるか. 方向の正の 出口の 確率を 求めよ.Aの2成分を 両方とも 倍する場合と, の成分だけを 倍する場合も 比較せよ.
Aは(|+⟩+i|−⟩)/√2への重ね合わせの準備,Bは|+⟩と|−⟩を半数ずつ別々に準備した混合である.各ビームでzまたはyを分析軸に選ぶ.出口には状態名だけを示す.
解答を見る
考え方
重ね合わせでは
Aでは
, なので両出口とも .Bでも各準備の 半数ずつが 対応する 出口へ 行き,両方 である.この測定だけでは 区別できない. Aでは
より確率は1.Bでは だから,平均も である.A全体を 倍すると射影振幅も 倍となり,確率は1の まま.第2成分だけを 反転すると となる.直交する2出口の 確率の 和は 常に1であり,全体の 位相と 相対位相の 違いを 確かめられる.
演習 2
経路
です.スピン以外に
スピンを
区別せずに 数えた を求めよ. かつ の同時確率と, の粒子だけを 選んだ ときの の確率を 求めよ.後者の 最大値と 最小値から,縞の 鮮明度 を求めよ.反対の スピンの 組も 合わせると 縞が 消える 理由を 述べよ.
経路1に|+⟩,経路2に|−⟩が付いた干渉計を示す.第2経路に位相φを挿入し,再結合後のD,Eをそれぞれ角θのスピン分析器へ送る.
解答を見る
考え方
同じ
の規格化前の スピン状態は , は .したがって で,位相に依存しない. とおく.同時振幅は だから
と
演習 3
1粒子の
最終状態と を求めよ.すべての 粒子で とする 時間の 条件を 求めよ. 操作前と
操作後の 準位差が それぞれ で, の場合の を求めよ.2つの 操作区間の 間に エネルギーの 共通の 定数が 変わるだけなら,結果は 変わるか.
x方向の正の状態の準備,自由発展時間t₁,交換操作X,自由発展時間t₂,x方向の分析を時間順に示す.t₁とt₂の関係や最終状態は示さない.
解答を見る
考え方
途中で
操作直前は
.交換後にさらに 発展させると
だから,
最終的な
相対位相に 関係する 量は なので, .共通エネルギーの変更は 全体の 位相しか 変えず,確率は 変わらない.理想的な 交換操作の 近似には,操作時間 に対して が十分 小さい ことが 必要であり,準位差の 時間 変動まで 常に 打ち消せるわけではない.
演習 4
損失の
入力状態 | ||||
|---|---|---|---|---|
全体の
位相を 選んで を正の 実数と し, を復元せよ.第3列だけでは 何が 決まらないか. 必ず出口
に来る 規格化した 入力状態を 求めよ.第1,2列の 確率だけを 使って「入力の を確率で 混ぜる」模型を 作ると,第3,4列を 説明できるか.
4種類の既知入力を切り替えて未知の分析装置へ送る.重ね合わせ入力の負の成分には×1または×iを与える.分析装置の2出口D,Eを示す.
解答を見る
考え方
位相を
最初の2列から
. とおけば,第3列は ,第4列は である.したがって , . と一致する.第3列だけでは 虚部の 符号が 決まらず,互いに 複素共役な2つの 候補が 残る. とすれば,振幅は ,確率も1である.確率で混ぜる 模型は どちらの 試験入力にも を予測し,表と 合わない.復元には 入力の 相対位相が 既知であることが 必要であり,復元した 状態の 規格化も で確かめられる.
演習 5
直交する2状態
とします.
最終的な
を求め, とする の条件を 述べよ. (1)で
となる に固定したまま,発展時間が にずれた 場合, の先頭の 項を 求めよ.最初の の直後に の記録を 残す 場合には,位相を 調整して にできるか.
初期状態|1⟩にUを作用させ,時間Tの領域で発展させる.状態2の振幅に位相φを挿入し,同じUをもう一度作用させた後に1,2を測定する.
解答を見る
考え方
2つの
とおく.1回目の出力は ,位相挿入後は .最後の出力は である. とすれば, , . , は整数,と すれば になる. 位相挿入を
固定したまま 時間が ずれると になる. より .記録が残る 場合,最初の 各状態の 確率は ,そこから最後に2へ 行く 確率も なので, である.位相では変えられない.小さな 時間ずれの 近似には が十分 小さい ことが 必要で,厳密な 式では である.
演習 6
相互作用を
4つの1電子状態の
エネルギーを 求め,2電子の 基底状態の 占有を によって 場合分けせよ.切り 替わる 磁場も 求めよ. 全エネルギー
と全磁気モーメント を求めよ.切り 替わりの 前後で,左側に ある 電子数の 期待値は 変わるか.
左右の局在基底|L⟩,|R⟩の対角成分E₀と結合−Aを示す.共通の一様磁場Bを緑で示し,各局在基底で選べる2つのスピン状態を示す.電子の占有と固有準位の大小は描かない.
解答を見る
考え方
軌道の
対称軌道
は ,反対称軌道 は である.スピンも含めた エネルギーは , , , .最も低い に1電子を入れる.第2電子は の符号から, では , では に入る. で両配置が 縮退する. では . では .境界でエネルギーは 連続だが 微分は 一意でなく,縮退状態の 準備に よって 磁気モーメントが 変わる.どちらの 軌道も 左側の 確率は なので,左側の電子数の 期待値は 両配置とも1である.同じ 軌道に 反対スピンを 入れる ことは 排他律に 反しない. の次元は 磁場であり,温度0で 相互作用を 無視した 模型の 結論である.
演習 7
2状態系を
とおき,切り 替え後の エネルギー測定で を得る 確率を 求めよ. 外場が
する 平均の 仕事と,新しい 最低エネルギーから 測った 平均の 余剰エネルギーを 求めよ. が十分 小さい とき,余剰エネルギーと 上準位の 確率を 先頭の 次数まで 求めよ.
切り替え前の対角成分0,0と切り替え後のδ,−δを並べる.結合はともに−Aである.切り替え直後も準備した|s⟩=(|1⟩+|2⟩)/√2のままであることを示す.
解答を見る
考え方
急な
行列式は
だから,新しいエネルギーは .初期列 を代入すると ,したがって である.測定確率を とすれば, , より
と
切り
替え前の エネルギーも なので,平均の仕事は0.ただし新しい 最低エネルギーは に下がり,余剰エネルギーは である. とおけば, , だから,余剰エネルギーは , .近似条件は であり,急な切り 替えには 切り 替え時間 に対して も十分 小さい ことが 必要である. で余剰も 上準位の 確率も0に 戻る.
演習 8
同じ
各組の
振幅を 求め,全体の を速い 振動と 遅い 因子の 積で 表せ.振動の 振幅が 初めて 消える 時刻と,初めて 元の 大きさに 戻る 時刻を 求めよ. とする とき,(1)の2つの 時刻で を求めよ.最初の 時刻以後,振動の 振幅が 永久に0に なると いう 模型と 区別する 測定を 提案せよ.
各分子を|1⟩に準備し,半数ずつを結合−(A+b),−(A−b)の一定環境へ送る.所属する環境は途中で変わらず,全体で共通の状態2の検出を行う.
解答を見る
考え方
別々に
結合を
と書けば,方程式は , .初期条件 を満たす解は である. を代入し,2集団を 平均すると
と
では遅い 因子が0なので . では遅い 因子が ,速い因子が なので である. 付近で計数の 時間変化を 調べ,振動の 復元を 確かめれば 永久消失の 模型を 排除できる.所属の 違いを 読まない ことは,各分子の 時間発展が 失われた ことを 意味しない. が小さいので 速い 振動と 包絡の 区別が できるが,求めた 確率の 式自体は この 小ささを 使わず, で単一の 振動に 戻る.
演習 9
質量
全ポテンシャル
と力を 求め, の安定性が 変わる を求めよ. の安定な 平衡位置を 求めよ. における 原点の まわりの 小振動の 角振動数を 求め, でも復元力が 残るか 調べよ. を使ってよい.
機械的な拘束に沿うx軸と原点0を示す.位置xにある質量mの粒子の内部状態の対角成分αx,−αxと一定の結合−Aを示す.機械的な位置エネルギーはKx²/2である.
解答を見る
考え方
行列の
行列式
より下の エネルギーは , .したがって
である.原点の
原点以外の
停留点では なので, .実数となる 条件は である. より,ここでは ,よって安定. では と近似でき, .一方,原点の近くで 展開すると
なので,
21第30章の発展問題
2状態系の
演習 1
2種類の
と
を検出する 確率を 求め, とおいて超相対論的な 近似で 表せ.最初の 最大と なる 距離も 求めよ. , , , のとき,最大確率と 最初の 最大の 距離を 評価せよ. 各成分は
長さ の波束で, とします.分散による 波束の 広がりは 無視し,飛行時間を と近似します.波束の 分離が 無視できる 条件と,エネルギー幅 による 位相の 幅が 無視できる 条件を 導け.(2)の 距離で , とすると,それぞれの 条件を 満たすか.
時刻0,位置0に種類aを準備する.質量成分1,2の初期波束は同じ位置にあり,それぞれの初期長さはσ_xである.2成分を区別しない検出器を距離Lに置く.波束の成分は説明のため上下に分けて示す.
解答を見る
考え方
定常状態の
共通の
時間の 位相を 除いた 検出振幅は
だから,
と
だから最大確率は . である. より,分離距離は .したがって が十分 小さい ことが 必要である.相対位相の 大きさを とすれば, も十分 小さくなければならない.最初の 最大では なので,位相幅は .分離は ,長さに対する 比は で,両方とも小さい.運動量の 展開には 各 が十分 小さいと いう 別の 前提が 必要であり,質量差だけから この 前提を 検証する ことは できない. で振動が 消え,位相の 引数も 無次元である.
演習 2
測定しない
場合の 最終状態と,採用される 履歴の 入射粒子あたりの 確率 を求めよ. で とする 極限を 調べよ. とし,途中で2と 判定された 粒子も 捨てずに 同じ 測定を 続ける 場合,最後に1と 判定される 確率を 求めよ.これが と違う 理由を 述べよ. , とします. が十分 小さい 場合, を最大に する と最大確率を 近似的に 求めよ. で近似値を 求め,近傍の 整数を 厳密な 式で 比較せよ. , を使ってよい.
時間0からTまでにN回の測定を等間隔で行い,最後の測定もTに含める.各測定に生存効率ηを付す.すべて状態1となる採用履歴を実線,途中で状態2となる履歴を破線で示す.
解答を見る
考え方
連続した
連立方
程式から , となる.したがって .測定しなければ で状態は となる.各間隔 で1を得る 確率は なので
である.
1回ごとの
反転確率を とする.測定 回後の状態1の 確率を とすれば, .よって , から
と
大きい
で .連続変数として 微分すると より
である.指定値では
演習 3
中性K中間子の
入射粒子あたりの
,生存確率と崩壊確率を 求めよ.崩壊せずに 残った 粒子だけに 対する の条件付き確率を, の形に せよ. になる 時刻を 求めよ.長時間後の 条件付き確率と,粒子が 全く 失われない2状態系との 違いを 述べよ. を等しい 微小な 率 で識別できる 検出器を 置き,全時間の 期待計数を , とします. は十分小さく,検出に よる 生存への 影響を 無視します.計数の 非対称度 を求め,寿命が 等しい 極限も 調べよ. , を使ってよい.
種類Kを準備し,時間tの伝播中の成分S,Lに寿命τ_S,τ_Lを付す.崩壊せずに残る粒子を種類K,K̄で分析し,崩壊した粒子の行き先も示す.
解答を見る
考え方
崩壊は
状態は
で,検出振幅は と . とおくと
である.生存確率は
と
は なので, .よって .長時間では の割合が 減り,残った 粒子は ほぼ だけになって,条件付き確率は 両種類とも へ近づく.実際には 入射粒子あたりの 両確率は0へ 減る.粒子が 失われない 系では 振動の 振幅が 一定だが,ここでは 寿命の 違いが 干渉する2振幅の 大きさを 不均等に する. 和と
差を 先に 積分すると, , .したがって
である.
演習 4
外から
です.光子の
における 非負の 定常解 を求め,定常解が 一つである ことを 示せ. の1を省いた 模型の しきい 値 と比べ,厳密な 定常解が でも になる 理由を 述べよ. 出力仕事率を
求め,エネルギーの 収支を 確かめよ. が十分 大きい とき, の光子数と,しきい値の 変化が 丸くなる 励起率の 幅の 尺度を 見積もれ. 定常解の
まわりで とし,1次の 方程式を2×2行列で 書け.定常解が 安定である ことを 示せ.最後に, が十分 大きい 領域で,微小なずれが 振動しながら減衰する 条件を 近似的に 求めよ.
率Rで上準位へ原子を供給する.選んだモードへの放出BN(n+1),その他の緩和γN,下準位の原子の取り除き,共振器の光子数nと出力κnを示す.定常値やしきい値は描かない.
解答を見る
考え方
原子数を
光子の
定常条件から .原子の式に 代入すると
と
である.右辺の
出力は
.定常条件 より で,この準位差に ついて 供給と 損失が つり合う. では ,よって . とすれば 二次式は . が 程度の領域では, が と同程度に なるのは も 程度のときである.したがって 丸まりの 幅の 尺度は ,しきい値に対する 比は となる. と略記し, を使うと
である.
である.
演習 5
ベンゼンの6地点を
を
定常状態の
振幅を , とおき,環を 閉じる 条件から 許される を求めよ.各 に対する2×2行列を 作り,6つの 軌道エネルギーと 縮退の 数を 求めよ. 6電子を
低い 準位から 詰めた 全電子エネルギーと,最低の 空の 準位までの エネルギー差を 求めよ.この 模型では 最高の 占有準位から 最低の 空の 準位への 光に よる 遷移が 許されるとし,吸収の 最長波長を 表せ. 力学的エネルギーも
含め, が安定と なる 条件を 求めよ.不安定な 場合の 平衡の を厳密に 求めよ.最後に , が十分 小さい 場合の と吸収波長の 変化を 先頭の 次数まで 求めよ.実際の ベンゼンの 構造に ついて,この 模型だけから どこまで 結論できるかも 述べよ.
a₀,b₀,a₁,b₁,a₂,b₂の順に6地点を環状に並べる.−A₁の結合を実線,−A₂を破線で区別する.各地点の対角成分はE₀で,電子の占有と平衡変形は描かない.
解答を見る
考え方
環の
添字を3進めても
同じ 地点だから .異なる候補は である.定常状態の共通の 時間因子 を含めて 代入すると
を
とおく. では なので,最低の に2電子,次の2軌道 に計4電子が 入る.したがって
である.最高の
からの全エネルギーの 変化は
である.微分すると
と
22第30章のまとめ
この
出発点
出発点 | 内容 |
|---|---|
振幅の | 確率は |
時間変化の | 振幅は |
対称性 | 回転で |
相互作用の | ハミルトニアン行列の |
法則と 定義
法則 確率振幅の
は から出発して に見つかる 振幅で,確率は .右が出発,左が 到着. 続けて
起こる 過程は 振幅を 掛け,区別できない 経路は 振幅を 足す.粒子が 必ずどれか1つを 通る 中間の 状態の 組では .区別できるか
どうかは,光子・原子核の スピン・ 装置まで 含めた 世界の 全部の 最終の 状態が,経路ごとに 違うかで 決まる.記録を 誰かが 読むか どうかには 関係しない. 経路を
ふさぐと その 振幅が0に なり,残りの 経路は 干渉する.経路を 記録すると,その 経路は 他と 干渉しなくなる.
法則 不確定性原理
同じ
定義 基底の
ある
法則 同種粒子の
粒子を
入れ替えただけで 同じ 最終状態に 至る2つの 過程の 振幅 , は,ボース粒子なら ,フェルミ粒子なら で組み合わせる.スピンや 内部の 状態など 何か1つでも 違えば 確率を 足す. スピンが
整数の 粒子は ボース粒子,半整数の 粒子は フェルミ粒子(スピンと 統計の 関係). ボース粒子が
個いる状態に もう1個が 入る 確率は,誰もいない ときの 倍.パウリの
排他律:2つの 同種の フェルミ粒子は,スピンも 含めて 同じ 状態に 入れない.
法則 振幅の
エネルギー
の定常状態では で,確率は変わらない.観測に かかわるのは エネルギーの 差. 一般には
.全確率が保たれる ために ハミルトニアン行列は エルミート . を満たす固有ベクトルが 定常状態で,固有値が その エネルギー.
公式
公式 干渉と
2つの
経路: .縞を平均すると で,干渉は確率を 配り直すだけ. 2つの
スリット: と が より十分 小さい とき,経路差 ,縞の間隔 .一部の
電子だけに 記録が 残る(記録の 残る 確率 )とき: ,縞の見え方 .等間隔の
位相の 和: .位相がそろうと ,山の幅は に比例し,で たらめな 位相では 平均 .ブラッグの
条件 .記録の残らない 散乱は に比例する 山,スピン反転の 散乱は に比例して 方向に よらない.
公式 光子の
吸収の
回数 ,放出の回数 . の分が 自発放出, の分が 誘導放出.反転分布 で光が 強まる(レーザー). ボース分布
,モードの数 .プランクの
式 . が より十分 小さいと 等分 配則に 戻る. ,波長で数えたピーク .
公式 スピン1/2の
軸のまわりに 傾けた装置の 基底: , . が傾けた 装置の に出る 確率は で, の平均は 古典的な に一致する. 軸のまわりの 角 の回転: , . 回すと状態は 倍.全体の位相は 測れず,相対位相だけが 干渉に 現れる. , .横向きの状態を 表すために 振幅は 複素数でなければならない. 確率を
保つ変換は ユニタリ行列で,列が 規格化されて 互いに 直交する.
公式 物質波
ド・ブロイの
関係: , , , .粒子の
上で 位相は .位相速度
,群速度 .ポテンシャルの
段差では と境界に 沿った 運動量が 保たれ, .磁場の
中の スピン1/2の 歳差 .
公式 2状態系
対称な2状態
:定常状態 ,エネルギー .片方から始めると で,振動数 で行き来する. エルミートな2×2行列
の固有値 は実数.電場の 中の アンモニアでは .振動する
外場との 共鳴 で .磁場の
中の スピン1/2: .
公式 無限個の
と
なりへ移る 振幅 をもつ原子の 列で, とおくと,シュレーディンガー方程式 .水素原子
.定常状態は とスピンで 区別され,同じ に 個.不確定性に
よる 見積もり は,ボーア模型の半径と 一致する.
各題材の 問いへの 答え
確率振幅と2つの
穴の 実験:弾丸は 確率が 足し算で 縞は できず,水の 波は 振幅が 足し算で 縞が できる.電子は1個ずつ粒と して 着くが,どの 穴を 通ったか 区別できない 限り振幅が 足し算に なり,分布は 水の 波と 同じ縞に なる.どちらの 穴かを 調べると 記録が 残って 確率が 足し算に なり,縞は 消える. 振幅の
結合 規則:スピンが 反転しない 散乱では 結晶が 元の ままなので 個の振幅を 足し,ブラッグの 条件の 方向にだけ 倍の鋭い山が できる.スピンが 反転する 散乱では,散乱した 原子核の スピンに「どこで 散乱したか」の 記録が 残るので 確率を 足し,どの 方向にも に比例する 平らな 散乱に なる. 同種粒子と
スピンと 統計:2つの アルファ粒子は 区別できないので,入れ替えた2つの 過程の 振幅を 足す.ボース粒子で では2つの振幅が 等しく,確率は で,印の付いた 粒子の のちょうど2倍に なる.スピンの そろった 電子なら,その 方向には1個も 来ない. スピンと
回転:銀の 原子の スピンは,どの 方向で 測っても2つの 値しかとらない.装置の 向きを 決めると,その 向きの 基底 , のどちらかに,振幅の 絶対値の2乗の 確率で 出る.だから ビームは2本に 分かれる.ばらばらな 向きに 見えるのは, と の混合だからである. 振幅の
時間変化と 物質波:定常状態の 振幅は で回り,確率は 変わらないが 位相は 変わる.回る 速さその ものは 見えず,エネルギーの 差が 確率の 振動と して 見える.止まっている 粒子の 振幅を ローレンツ変換すると,波長 の物質波 が現れ,その 波束は 粒子の 速さで 進む. 2状態系と
ハミルトニアン行列:アンモニア分子の 窒素は 上か 下かに 決まっていない.定常状態は 上と 下の 対称な 重ね合わせ( )と反対称な 重ね合わせ( )で,どちらも上下に 半分ずつの 確率で いる.窒素を 上に 置いて 始めると,振動数 で上と 下を 行き来する. 全体
像:干渉,光子の エネルギー,ド・ブロイ波長,不確定性原理,飛び飛びの 準位,吸収と 放出,統計,化学結合,停留作用の 原理は,振幅の 規則・ 時間変化の 形・対称性と いう 共通の 枠組みから 出る.基底を 連続に 並べると シュレーディンガー方 程式に なり,粒子の 生成と 消滅を 扱う 場の 量子論でも,過程ごとの 振幅を 足して2乗すると いう 規則は 変わらない.
この 章で 使った 数学
複素数の
極形式と 位相, の干渉の 項,等比数列の 和. 確率の
規格化と 条件つきの 確率,標準偏差. 2×2行列の
積,ユニタリ行列. 固有値と
固有ベクトル( ),連立1階微分方程式の 解き方. を満たす関数,テイラー展開,波数 空間での モードの 数え方.