問いしるべ
問いから始める物理 電磁波(発展)

電磁波(発展)

電磁波の反射と透過の演習

著者:柚木芹香

場の振幅の比とエネルギーの比を区別してください.以下の媒質は非磁性・透明で吸収がなく,垂直入射では複素電場振幅 E^ に対する強さが I=nε0c|E^|2/2 となります.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

屈折率 n1=1.25 の媒質から n2=1.75 の媒質へ平面波を垂直に入射させます.境界を x=0,入射方向を正のx方向,電場方向をy方向とします.共通の時間因子 eiωt の実部をとり,入射・反射・透過の複素電場振幅を E^i,E^r,E^t とします.

  1. 接線成分の連続条件

E^i+E^r=E^t,n1(E^i−E^r)=n2E^t

から振幅比を求め,反射による位相の変化を答えよ.

  1. 反射率 R,透過率 T を求めよ.

x=0の境界の左に屈折率n_1,右にn_2の媒質を示す.入射と透過は正のx方向,反射は負のx方向に進む.進行方向を見やすくするため上下に分けて表示する. x=0の境界の左に屈折率n_1,右にn_2の媒質を示す.入射と透過は正のx方向,反射は負のx方向に進む.進行方向を見やすくするため上下に分けて表示する.
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考え方 反射波は進行方向が逆なので磁場の符号が反転する.強さを求めるときは屈折率の係数も含める.

  1. 第1式を第2式へ入れると (n1−n2)E^i=(n1+n2)E^r.従って E^r/E^i=−1/6,E^t/E^i=1−1/6=5/6.反射波の電場は境界で入射波に対して位相が π ずれる.

  2. R=|E^r/E^i|2=1/36,T=(n2/n1)|E^t/E^i|2=(7/5)(5/6)2=35/36.R+T=1 でエネルギー保存が成り立つ.透過振幅の2乗だけを透過率にすると,この保存則を満たさない.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

空気中の厚い平行ガラス板へ,エネルギー U0 の短い光パルスを垂直に入射させます.空気の屈折率は1,ガラスは n=1.50 です.各面の反射率は,どちら側から入射しても R=[(n−1)/(n+1)]2 です.板の厚さ d とパルスの時間幅 τ は cτ/(2nd) が十分小さく,各出射パルスは重なりません.

  1. 最初に裏面から出るパルスと,内部をさらに1往復して出るパルスのエネルギーを求めよ.

  2. 裏側に最終的に届く総エネルギーと,前側へ戻る総エネルギーを求めよ.

エネルギーU_0,時間幅τの短いパルスが,厚さd,屈折率nのガラス板に垂直に入る.板内の往復経路は重なりを避けて上下にずらし,矢印で進行方向を示す.前面で直接反射する光と内部から前側へ戻る光も,上下にずらした矢印で示す. エネルギーU_0,時間幅τの短いパルスが,厚さd,屈折率nのガラス板に垂直に入る.板内の往復経路は重なりを避けて上下にずらし,矢印で進行方向を示す.前面で直接反射する光と内部から前側へ戻る光も,上下にずらした矢印で示す.
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考え方 面を通過するたびにエネルギーへ 1−R,反射するたびに R を掛ける.

  1. R=0.0400.最初の出射は U1=(1−R)2U0≈0.922U0.追加の1往復で2回反射するため,次は U2=R2(1−R)2U0≈1.47×10−3U0.

  2. 等比級数の和は

Uback=(1−R)2U0∑j=0∞R2j=1−R1+RU0=1213U0

である.前側は直接反射した RU0 と,内部から戻る (1−R)2RU0/(1−R2) の和だから Ufront=2RU0/(1+R)=U0/13.両者の和は U0.パルスの分離には cτ/(2nd) が小さいという条件が必要である.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

空気から未知の透明媒質へ垂直に光を入れ,最初の境界の反射光だけを測りました.媒質の屈折率は n>1 で,検出値 Pdet は Pdet=RPin+b に従うとします.b は一定の背景電力です.入射電力の誤差は無視でき,検出値の誤差はそれぞれ 0.005mW 以下です.

Pin(mW)

Pdet(mW)

4.00

0.270

8.00

0.520

12.00

0.770

  1. 両端の点から R,b,n を求め,中点を確かめよ.R=[(n−1)/(n+1)]2 を使ってよい.

  2. R の最大誤差と,微分による n の誤差の1次評価を求めよ.

電力P_inを変えられる光源から未知媒質へ垂直に光を入れる.最初の境界から戻る反射光だけを検出器が受け,背景bも検出器へ入る.入射と反射の経路は上下に分けて表示する. 電力P_inを変えられる光源から未知媒質へ垂直に光を入れる.最初の境界から戻る反射光だけを検出器が受け,背景bも検出器へ入る.入射と反射の経路は上下に分けて表示する.
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考え方 背景を含む検出値をそのまま割らず,直線の傾きから反射率を決める.

  1. R=(0.770−0.270)/(12.00−4.00)=0.0625,b=0.270−0.0625×4.00=0.020mW.s=R=0.25 とおくと s=(n−1)/(n+1) より n=(1+s)/(1−s)=5/3≈1.67.中点の予測は 0.0625×8.00+0.020=0.520mW で一致する.

  2. 差の最大誤差は 0.010mW だから ΔR=0.010/8.00=0.00125.dnds=2/(1−s)2,dsdR=1/(2s) より Δn≈ΔR/[s(1−s)2]=0.0089,約0.009である.ΔR/R=0.020 が小さく,1次近似はよい.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

屈折率 n1=1.20 の媒質から n2=1.60 の媒質へ光を入れます.入射面に平行な電場をp偏光,垂直な電場をs偏光とします.ブルースター角では

tan⁡θB=n2n1,Rp=0,Rs=(n12−n22n12+n22)2

となります.入射光は両偏光に強さを等分しています.

  1. θB と反射光全体の強さの割合,反射光の電場の向きを求めよ.

  2. 媒質2から媒質1へ入れる場合のブルースター角 θB′ を求め,θB+θB′ を示せ.

境界と法線,入射光と反射光を示す.入射面は紙面である.入射角の記号θ_Bを記し,角度は模式的に示す.p,sの電場方向を書き込む余白を添える. 境界と法線,入射光と反射光を示す.入射面は紙面である.入射角の記号θ_Bを記し,角度は模式的に示す.p,sの電場方向を書き込む余白を添える.
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考え方 p偏光が反射されなくても,s偏光まで反射されないわけではない.

  1. θB=arctan⁡(4/3)≈53.1∘.Rs=(−7/25)2=49/625=0.0784 なので,全入射強さに対する反射の割合は (Rp+Rs)/2=0.0392,約3.9 %である.反射光はs偏光だけとなり,電場は入射面に垂直である.

  2. tan⁡θB′=3/4 より θB′≈36.9∘.両角が0と π/2 の間にあり,tan⁡(π/2−θB)=1/tan⁡θB=3/4 だから θB+θB′=π/2.正の屈折率を交換すると2つの角が補い合う.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

空気のすき間を隔てて,同じ厚いガラス板を N 枚並べ,光を垂直に入れます.吸収はなく,全ての多重反射を集めます.異なる経路は強さを足して扱えるとします.1枚の板全体の透過率と反射率を t=(1−R)/(1+R),ρ=1−t とし,R は各面の反射率です.N 枚全体の透過率は TN,反射率は 1−TN です.

  1. N 枚の後に1枚加えるとき,間の往復を足して TN+1 を求めよ.1/TN−1 の漸化式から TN を導け.

  2. R=0.0400 で,総透過率を0.80以上に保てる最大枚数を求めよ.単に tN とする計算との違いを説明せよ.

N枚の板をひとまとめにした板群と,追加する1枚を示す.板群の透過率T_Nと追加する板の透過率t,反射率ρを記す.間の往復経路を上下にずらし,進行方向を矢印で示す. N枚の板をひとまとめにした板群と,追加する1枚を示す.板群の透過率T_Nと追加する板の透過率t,反射率ρを記す.間の往復経路を上下にずらし,進行方向を矢印で示す.
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考え方 最後の板で反射された光は,前の板群で再反射されて再び透過を試みる.

  1. 最初の透過は TNt,1往復ごとの係数は (1−TN)ρ だから

TN+1=TNt1−(1−TN)(1−t),1TN+1−1=(1TN−1)+(1t−1)

となる.T1=t より 1/TN−1=N(1/t−1)=2NR/(1−R),従って TN=(1−R)/[1+(2N−1)R].

  1. TN=12/(12+N)≥0.80 より N≤3,最大3枚である.tN は板群の間を戻る経路を除外し,3枚では (12/13)3≈0.787 と過小評価する.R→0 で TN→1,大きい N では TN は 1/N に比例する.経路間の干渉を無視できるという模型の範囲での結論である.

ポイント 教える人へ

  • 境界の磁場条件で,反射波の符号が変わる理由を問います.

  • 振幅比から透過率へ直す際に,屈折率の係数を含めさせます.

  • 背景のある測定では,原点からの比と直線の傾きを区別させます.

  • 板の多重反射は,どの経路まで数えたかを図で説明させます.