問いしるべ
問いから始める物理 電磁誘導と交流

電磁誘導と交流

交流回路と共振の演習

著者:柚木芹香

複素振幅を実部へ戻してください.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

R=60Ω,C=12.5μF を直列にし,V(t)=V0cos⁡ωt,V0=10V,ω=1.0×103s−1 を加えます.定常状態とします.

  1. インピーダンスと複素振幅,実際の電流を求めよ.

  2. 電流の実効値,力率,平均消費電力を求めよ.

直列RC回路の電源と電流方向を示す. 直列RC回路の電源と電流方向を示す.
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考え方 複素振幅を実部へ戻す.

  1. Z=R+1/(iωC)=(60−80i)Ω.V^=V0 とすると

I^=1060−80iA=(0.060+0.080i)A

実部は I(t)=(0.060cos⁡ωt−0.080sin⁡ωt)A.

  1. Ie=|I^|/2=0.071A,力率は R/|Z|=0.60.P=Re⁡(V^I^∗)/2=0.30W=RIe2.星印は複素共役.C→∞ で位相差が消える.

演習 2

東京大 1990 後期(改題) ★★☆☆☆

実効電圧 100V の電源から理想変圧器と往復抵抗 R=10.0Ω の送電線を経て抵抗負荷へ送電します.受電電力は P=2.25kW,受電電圧は Vr,e=450V,巻数比は n=N2/N1.磁化電流は0とします.

  1. 送電電流,2次電圧,1次電流の実効値と,巻数比,線路の損失を求めよ.

  2. 負荷と巻数比を変え,同じ受電電力を受電電圧 150V で送るとき,送電線の損失は何倍になるか.

変圧器,往復の送電線,抵抗負荷と電圧の測定端を示す. 変圧器,往復の送電線,抵抗負荷と電圧の測定端を示す.
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考え方 受電電圧に電圧降下を足す.

  1. 回路の式は V^2=V^r+RI^2.全て実数に取れる.I2,e=P/Vr,e=5.00A,V2,e=450+10.0×5.00=500V より n=5.00.1次へ流入,2次から流出を正として V^2=nV^1,I^1=nI^2.したがって I1,e=25.0A,Ploss=RI2,e2=250W.

  2. I2,e=2250/150=15.0A となり,損失は 2.25kW,9倍である.損失は受電電圧の2乗に反比例する.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

理想電源から抵抗 R を経た出力端と接地の間に,C と負荷抵抗 R を並列につなぎます.入力は V0cos⁡ωt,出力は接地基準です.

  1. 出力と入力の複素振幅比 H と,ωRC=2 での実際の出力を求めよ.

  2. 出力の振幅が低周波極限の 1/2 になる遮断角振動数を求めよ.

直列抵抗と並列RC,接地と出力端を示す. 直列抵抗と並列RC,接地と出力端を示す.
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考え方 負荷を含めて並列合成する.

  1. 並列部分は Zp=(1/R+iωC)−1=R/(1+iωRC).分圧から

H=ZpR+Zp=12+iωRC

ωRC=2 なら H=(1−i)/4.実部へ戻すと Vout=V0cos⁡(ωt−π/4)/(22).

  1. |H|=1/4+ω2R2C2,低周波極限は 1/2 なので,4+ωc2R2C2=8 より ωc=2/(RC).無負荷の場合の2倍である.ω→∞ で出力は0になる.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

直列RLC回路に振幅 V0=4.50V 一定の交流電圧を加えます.電流の最大振幅は I0,max=0.100A,その 1/2 となる角振動数は表の値です.素子定数は一定,電源・計器の抵抗は0です.

測定点

ω(s−1)

低周波側

8.00×102

高周波側

1.25×103

  1. 共振角振動数,R,L,C を求めよ.

  2. Q=ω0L/R を求め,共振幅から読む値と比べよ.

直列RLC回路と両測定点を示す.頂点の周波数は記さない. 直列RLC回路と両測定点を示す.頂点の周波数は記さない.
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考え方 半電力点ではリアクタンスの絶対値は抵抗に等しい.

  1. Z=R+iX,X=ωL−1/(ωC) より I0=V0/R2+X2.最大値は X=0 で,R=V0/I0,max=45.0Ω.両側で X=∓R だから

Lω−2+Rω−−1/C=0,Lω+2−Rω+−1/C=0

差と代入から L(ω+−ω−)=R, ω−ω+=1/(LC)=ω02.したがって ω0=1.00×103s−1,L=0.100H,C=10.0μF.

  1. Q=1000×0.100/45.0=2.22.Δω=450s−1 より ω0/Δω=2.22.半電力幅の厳密な関係である.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

ブリッジのAD間に交流電源をつなぎます.ABは未知の抵抗 r とコイル L の直列,BDは R2,ACは R3,CDは R4 とコンデンサー C の並列です.BC間の検出器は平衡時に電流0です.

  1. 平衡条件から r,L を求めよ.

  2. (R2,R3,R4)=(200,300,600)Ω,C=0.50μF で r,L を求めよ.周波数を2倍にしても平衡するか.

四辺の素子,ADの電源,BCの検出器を示す. 四辺の素子,ADの電源,BCの検出器を示す.
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考え方 平衡時の枝の分圧を等置する.

  1. Dを電圧の基準とすると Z1=r+iωL,Z4=R4/(1+iωR4C).平衡は

V^R2Z1+R2=V^Z4R3+Z4

なので Z1Z4=R2R3,r+iωL=R2R3/R4+iωR2R3C.実部・虚部から r=R2R3/R4,L=R2R3C.

  1. r=100Ω,L=0.030H.周波数によらず平衡する.R2C の次元も H に一致する.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

内部抵抗 r>0,自己インダクタンス L のコイルと C を並列にし,V0cos⁡ωt を加えます.並列共振は電源の電圧と電流が同位相になる正の角振動数です.

  1. 共振角振動数と存在条件を求めよ.

  2. 共振時の各電流の複素振幅と平均電力を求めよ.

並列LCと内部抵抗,電源と各電流方向を示す. 並列LCと内部抵抗,電源と各電流方向を示す.
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考え方 逆数を足し,枝電流の虚部を打ち消す.

  1. I^=YV^ と置くと

Y=1r+iωL+iωC=rr2+ω2L2+i(ωC−ωLr2+ω2L2)

虚部0から r2+ωp2L2=L/C,ωp=1/(LC)−r2/L2.条件は r2C/L<1 である.

  1. V^=V0 として,共振条件から

I^L=V0(rCL−iωpC),I^C=iωpCV0,I^=rCLV0

P=Re⁡(V^I^∗)/2=V02rC/(2L).コイルの発熱も rV02/[2(r2+ωp2L2)]=P と一致する.ωp≈1/LC とするには,r2C/L が十分小さいことが必要である.また信号伝達時間 td に対し,ωtd が小さい集中定数近似である.

ポイント 教える人へ

  • 実部へ戻して位相を確かめる.

  • 実効値と振幅を電力で区別する.

  • 送電の比較で一定にした量を問う.

  • 負荷や抵抗による共振と遮断の変化を問う.