問いしるべ
問いから始める物理 運動を記述する

運動を記述する

加速度の演習

著者:柚木芹香

加速度の符号とグラフの対応,向きだけが変わる運動の加速度を確かめます.

演習

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

x-t グラフが,0≤t≤3s で x=t2[m],3≤t≤6s で x=9+6(t−3)[m] である.v-t グラフと a-t グラフを求めよ.

問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない. 問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
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0〜3 s:v=dxdt=2t,a=dvdt=2ms−2.t=3 で v=6ms−1.
3〜6 s:v=6ms−1(一定),a=0.

v-t は原点から傾き 2 で直線的に増え,t=3 以降は水平.v は t=3 でつながっている(x の傾きに飛びがないため).a-t は,a=2 が t=3 で 0 に飛ぶ階段状.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

位置が x=2t2−8t[m] の物体について,v と a を求め,t=1s,2s,3s のそれぞれで,加速と減速のどちらかを答えよ.

問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない. 問題で与えられたxと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
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v=4t−8[ms−1],a=4ms−2(一定).
t=1:v=−4,a=4 で異符号なので減速(負の向きに進みながら速さが減る).t=2:v=0(折返し).t=3:v=4,a=4 で同符号なので加速.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

位置が x=Acos⁡ωt(A,ω は正の定数)で表される運動の速度 v と加速度 a を求めよ.また,a が x を使って a=−ω2x と書けることを示し,この式の意味を述べよ.

x軸上の振動の範囲と原点を示す.速度と加速度は描かない. x軸上の振動の範囲と原点を示す.速度と加速度は描かない.
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連鎖律と (cos⁡θ)′=−sin⁡θ より

v=dxdt=−Aωsin⁡ωt,a=dvdt=−Aω2cos⁡ωt

Acos⁡ωt=x なので a=−ω2x.

意味:加速度は,原点からのずれ x に比例し,常に原点向き(x と逆符号)である.x>0 では a<0 で原点へ戻され,x<0 では a>0 でやはり原点へ戻される.この形の運動を単振動といい,第4章以降で力の法則と結びつく.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

速さ 15ms−1 で東へ走る車が,3.0 s かけて曲がり,速さ 15ms−1 のまま東から北へ 60∘ だけ向きを変えた.

曲がる前後の速さ15 m s⁻¹の速度を共通の始点から描く.二つの向きの角は60°. 曲がる前後の速さ15 m s⁻¹の速度を共通の始点から描く.二つの向きの角は60°.
  1. この間の平均加速度ベクトルの大きさと向きを求めよ.

  2. 速さが一定の運動では,加速度(瞬間)は速度に垂直であることを,v2=vx2+vy2 を時間で微分して示せ.

  3. ブレーキを踏みながら曲がるとき,加速度は,速度に垂直な向きからどちら側に傾くか.

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  1. 東を x,北を y の正の向きとして,v1=(15,0),v2=(15cos⁡60∘, 15sin⁡60∘)=(7.5, 13.0).Δv=(−7.5, 13.0)ms−1 なので

a¯=Δv3.0=(−2.5, 4.3)ms−2

大きさは 2.52+4.32≈5.0ms−2.向きは x 軸から約 120∘(北から西へ約 30∘).これは v1 と v2 の中間の向き(30∘)に垂直で,曲がる側(左)を向く.

  1. v2=vx2+vy2 の両辺を t で微分する.連鎖律より左辺は 2vdvdt,右辺は 2vxax+2vyay=2v⋅a.よって

dvdt=v⋅av

速さが一定なら dvdt=0 なので v⋅a=0,すなわち a⟂v.

    1. の式から,速さが減る(dvdt<0)とき v⋅a<0.したがって a は,垂直な向き(曲がる側)に加え,速度と逆向きの成分ももつ.曲がる側を向いたまま,後ろ側に傾く.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

物体の位置ベクトルが r=(3cos⁡ωt, 2sin⁡ωt)[m],ω=2.0rads−1 で表される(楕円上の運動).

x方向の半径3 m,y方向の半径2 mの楕円と,中心から点への位置ベクトルを示す. x方向の半径3 m,y方向の半径2 mの楕円と,中心から点への位置ベクトルを示す.
  1. 速度 v と加速度 a を求めよ.

  2. a=−ω2r を示せ.この運動の加速度は一定か.

  3. 加速度の大きさが最大・最小になる位置と,その値を求めよ.

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  1. 成分ごとに連鎖律で微分して

v=(−3ωsin⁡ωt, 2ωcos⁡ωt),a=(−3ω2cos⁡ωt, −2ω2sin⁡ωt)
  1. a=−ω2(3cos⁡ωt, 2sin⁡ωt)=−ω2r.加速度は常に原点(楕円の中心)を向くが,大きさ ω2|r| と向きは時間とともに変わるので,一定ではない.等加速度運動の公式は使えない.

  2. |a|=ω2|r|=ω29cos2⁡ωt+4sin2⁡ωt.|r| は,長軸の端 (±3,0) で最大,短軸の端 (0,±2) で最小である.したがって最大は 4.0×3=12ms−2((±3,0) のとき),最小は 4.0×2=8.0ms−2((0,±2) のとき).

ポイント 教える人へ

  • 問いでは,電車で押される向きを実際に思い出して答えさせ,「速さが同じカーブでも押されるのはなぜか」と重ねて尋ねる.ここから「加速度は速度の変化の割合で,速度はベクトル」へ導く.

  • つまずきやすいのは,「a>0 なら加速」と決めつけることと,「速さが一定なら加速度は0」と思うことである.前の節の例題2で,速度の差をベクトルとして計算させる.

  • 連鎖律は,sin⁡3t の微分で 3 が出る理由を,「3t が t の3倍の速さで進むから」と言葉で説明させると定着する.

  • 確かめには,v-t グラフを描かせて,傾きから a-t グラフを作れるかを見る.