問いしるべ
問いから始める物理 力と運動の法則

力と運動の法則

作用と反作用の演習

著者:柚木芹香

作用と反作用の見分け方と,系の取り方を使う演習です.力を見つけたら,必ず「だれがだれに及ぼす力か」を言ってから式を立ててください.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

質量 7.0kg のボウリングの球が,質量 1.5kg のピンに当たった.衝突している間,球がピンに及ぼす力と,ピンが球に及ぼす力は,どちらが大きいか.また,衝突後にピンのほうが大きくはじかれるのはなぜか.衝突中に両者に働く力の大きさを F として,加速度の大きさの比を求めよ.

衝突直前の球とピンを示す.衝突中の力や加速度の大小は描かない. 衝突直前の球とピンを示す.衝突中の力や加速度の大小は描かない.
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第3法則により,2つの力は常に大きさが等しい.どちらが大きいということはない.

ピンが大きくはじかれるのは,同じ大きさ F の力を受けても,質量が小さいと加速度が大きくなるからである.球の加速度の大きさは F/7.0,ピンの加速度の大きさは F/1.5 なので,比は

aピン:a球=F1.5:F7.0=7.0:1.5≈4.7:1

である.ピンの加速度は球の約 4.7 倍である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

水平な机の上に,本が静止している.次の (a)〜(d) の2つの力の組は,「つり合い」「作用と反作用」「そのどちらでもない」のどれか.

机と本,その下の地球を示す.力の組の分類に相当する矢印は描かない. 机と本,その下の地球を示す.力の組の分類に相当する矢印は描かない.

(a) 本に働く重力 と 机が本を押す力
(b) 机が本を押す力 と 本が机を押す力
(c) 地球が本を引く力 と 本が地球を引く力
(d) 本に働く重力 と 本が机を押す力
また,この机ごと本をエレベーターに載せて上向きに加速させているとき,(a) と (b) の2力の大きさの関係はどうなるか.

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(a) つり合い.どちらも本に働く力で,大きさが等しく向きが逆(加速度が 0)である.
(b) 作用と反作用.机と本という別々の物体の間の力で,対になっている.
(c) 作用と反作用.重力は地球と本の間の相互作用で,対になっている.
(d) どちらでもない.向きは同じ(どちらも下向き)で,働く物体も違い(本と机),力の種類も違う.静止しているときは大きさが等しくなるが,それは (a) のつり合いと (b) の作用反作用を組み合わせた結果にすぎない.

上向きに加速させているときは,本に働く合力が上向きなので,(a) の2力はつり合わず,机が本を押す力のほうが重力より大きい.一方,(b) の2力は作用反作用なので,加速していても大きさは等しい.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

なめらかな水平な床の上に,質量 M=40kg の台車があり,質量 m=60kg の人が台車の上に立っている.人は台車の上で滑らないように,台車に対して静止したまま,床に固定された壁を水平に押す.押す力は F=100N で一定で,腕が伸びきるまでの 0.40s の間だけ押すとする.

  1. 押している間の,人と台車の加速度の大きさと向きを求めよ.

  2. 押している間,人と台車の間にはたらく水平方向の力(摩擦力)の大きさを求めよ.

  3. 押し終わって 5.0s 後には,壁と接触していた位置から約何 m 離れているか.

台車上の人が壁を押す.接触点の作用と反作用を描き分ける. 台車上の人が壁を押す.接触点の作用と反作用を描き分ける.
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考え方 人が壁を押すと,反作用として壁が人を押し返す.壁は床に固定されているので,この力が,人と台車に働く外力になる.

  1. 壁が人を押し返す力は,大きさが F=100N で,壁から離れる向きである.人と台車を1つの系とみると,床がなめらかなので,水平方向の外力はこの力だけである.

a=FM+m=10040+60=1.0ms−2

で,向きは壁から離れる向きである.

  1. 台車に働く水平方向の力は,人から受ける摩擦力 f だけである.Ma=f より f=40×1.0=40N である.確かめると,人の運動方程式は ma=F−f で,60×1.0=100−40 となり成立する.

  2. 押している間の変位は 12×1.0×0.402=0.080m,押し終わる瞬間の速さは 1.0×0.40=0.40ms−1 である.その後は力が働かないので,等速直線運動をする.5.0s の間に進む距離は 0.40×5.0=2.0m である.合計で 0.080+2.0≈2.1m 離れている.

ポイント 教える人へ

  • 問いかけ:「押し合う2人が受ける力は等しいのに,なぜ打ち消し合わないのか」「手と壁は本当に触れているのか」と問い,どちらの物体に働く力かを矢印の根元で示させる.2人それぞれの自由体図に分けて描かせると,効果的である.原子の図を見せて,接触力の対が原子の組の対の足し合わせであることを言葉で説明させるとよい.

  • つまずき:「作用反作用は同じ物体に働いて打ち消し合う」という誤解,および「重力と垂直抗力は作用反作用の関係」という誤解が多い.加速しているエレベーターの例で,つり合いは崩れるが作用反作用は崩れないことを確かめる.

  • 確かめ方:任意の2物体を描いて,「この力の反作用はどの物体のどんな力か」を答えさせる.次に,系の取り方によって,同じ力が内力にも外力にもなることを説明できれば,理解できている.