問いしるべ
問いから始める物理 力と運動の法則

力と運動の法則

空気抵抗の演習

著者:柚木芹香

抵抗力の単位から始めて,終端速度,水平投射,投げ上げへと進みます.解く前に v∞ と τ を式で書き,極端な場合(t→0,t→∞,k→0)で答えを検算してください.

演習

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆
  1. 線形抵抗 F=kv の係数 k の単位を,kg と s で表せ.2乗抵抗 F=cv2 の c の単位も,kg と m で表せ.

  2. v∞=mg/k と τ=m/k の単位が,それぞれ速さと時間になっていることを確かめよ.

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  1. N=kgms−2 より,k=F/v の単位は kgs−1,c=F/v2 の単位は kgm−1 である.

  2. mgk の単位は kgms−2kgs−1=ms−1,mk の単位は kgkgs−1=s である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

半径 1.0cm の鉄球(密度 7.9gcm−3)と,同じ半径の丸めた紙の玉(平均の密度 0.20gcm−3)を空気中で落とす.2乗抵抗の係数 c は形と大きさだけで決まるので,両者で等しく c=9.0×10−5kgm−1 とする.

  1. 2つの終端速度を求めよ.

  2. 抵抗が効き始める落下距離の目安は v∞2/g である.高さ 2.0m から落とすとき,空気抵抗が大きく効くのはどちらか.

同じ大きさの鉄球と紙の玉に働く重力と抵抗を示す.矢印の長さは力の比を表さない. 同じ大きさの鉄球と紙の玉に働く重力と抵抗を示す.矢印の長さは力の比を表さない.
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  1. 体積は 43π(1.0×10−2)3=4.19×10−6m3.質量は鉄が 3.3×10−2kg,紙が 8.4×10−4kg である.v∞=mg/c より

v∞,鉄≈60ms−1,v∞,紙≈9.6ms−1
  1. 目安の距離は,鉄が約 3.7×102m,紙が約 9.4m である.2.0m は鉄の目安よりずっと短く,鉄球はほぼ自由落下である.紙は,自由落下の速さ 2gh=6.3ms−1 でも抵抗が重力の約4割に達するので,空気抵抗が大きく効き,鉄球より遅れて着地する.

演習 3

オリジナル ★★★☆☆

質量 m=0.050kg の小球を,十分高い所から水平に速さ v0=10ms−1 で投げる.速さに比例する抵抗 F=−kv,k=0.10kgs−1 が働く.水平方向を x,鉛直下向きを y とする.

  1. x(t) を求め,水平に進める距離の上限を求めよ.

  2. y(t) を求め,軌道の式 y(x) を導け.

  3. t=1.0s での x,y を求めよ.

高い位置から水平に初速度v₀で投げる小球を示す.軌道と水平到達距離は問題で求めるので描かない. 高い位置から水平に初速度v₀で投げる小球を示す.軌道と水平到達距離は問題で求めるので描かない.
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抵抗は速度に比例するので,成分ごとに独立に扱える.τ=m/k=0.50s,v∞=gτ=4.9ms−1 である.

  1. dvxdt=−vx/τ より vx=v0e−t/τ.積分して

x(t)=v0τ(1−e−t/τ)

t→∞ で x→v0τ=mv0/k=5.0m.

  1. y 方向は静かに落とした場合と同じで,y(t)=v∞[t−τ(1−e−t/τ)].X=x/(v0τ) とおくと e−t/τ=1−X,t=−τln⁡(1−X) なので

y=−v∞τ[ln⁡(1−X)+X]

1≫X では −ln⁡(1−X)≈X+12X2 なので y≈g2v02x2,抵抗のないときの放物線に一致する.X→1 で y→∞ となり,軌道は x=v0τ を漸近線とする.

  1. e−2=0.135 より x=5.0×0.865≈4.3m,y=4.9×(1.0−0.50×0.865)≈2.8m である.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

球形の雨粒(半径 r,水の密度 ρw=1.0×103kgm−3)が,F=12Cρa(πr2)v2 の抵抗を受けて落下する.ρa=1.2kgm−3,C=0.50 とする.

  1. 終端速度 v∞ を r の式で表し,r=1.0mm の値を求めよ.

  2. r=2.5mm では v∞ は何倍になるか.

半径rの雨粒の重力と空気抵抗,進行方向から見た断面積πr²を示す. 半径rの雨粒の重力と空気抵抗,進行方向から見た断面積πr²を示す.
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  1. m=43πr3ρw,c=12Cρaπr2 を v∞2=mg/c に代入して

v∞=8ρwgr3Cρa

r=1.0×10−3m のとき v∞2=8×103×9.8×10−33×0.50×1.2≈43.6,v∞≈6.6ms−1.

  1. v∞∝r なので 2.5≈1.6 倍(約 10ms−1).大きな雨粒ほど速いが,増え方はゆるやかである.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

地面から小球を鉛直上向きに初速 v0 で投げ上げる.速さに比例する抵抗 F=kv が働く.上向きを正,τ=m/k,v∞=gτ とする.

  1. 速度 v(t) を求めよ.

  2. 最高点に達するまでの時間 T を求めよ.また k→0 の極限で T→v0/g となることを確かめよ.|ε| が1より十分小さいとき ln⁡(1+ε)≈ε である.

  3. v0=20ms−1,τ=1.0s のときの T を求め,抵抗がない場合と比べよ.

上昇中の小球では重力mgと抵抗kvが下向きに働く.上向きの速度を青で示す. 上昇中の小球では重力mgと抵抗kvが下向きに働く.上向きの速度を青で示す.
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  1. 上昇中は重力 mg も抵抗 kv も下向きなので mdvdt=−mg−kv,すなわち dvdt=−(v+v∞)/τ である.u=v+v∞ とおくと dudt=−u/τ,u(0)=v0+v∞ なので

v(t)=(v0+v∞)e−t/τ−v∞
  1. 最高点で v=0,すなわち e−T/τ=v∞v0+v∞.対数をとって

T=τln(1+v0v∞)

ε=v0/v∞ が1より十分小さいとき,ln⁡(1+ε)≈ε−12ε2 で,τ/v∞=1/g より T≈v0g(1−v02v∞)→v0g となり,抵抗のない結果に一致する.

  1. v∞=9.8ms−1 より T=1.0×ln⁡3.04≈1.1s.抵抗がなければ v0/g≈2.0s で,上昇時間はほぼ半分になる.

ポイント 教える人へ

  • 「終端速度に達する」は曖昧である.e−t/τ は有限の時間では0にならないこと,τ の何倍で何割に達するかを数で示す.

  • 変数分離でつまずく場合は,u=v∞−v の置き換えが入口になる.最後に「微分して元の式に戻るか」を確かめさせる.

  • 確かめには,m を2倍にしたとき v∞ と τ がどう変わるかを答えさせる.検算は「t→0 で自由落下に戻るか」「t→∞ で v∞ になるか」の2つである.