確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
確率振幅の積と和の演習
著者:柚木芹香
連続する
演習 1
粒子源の
と出力 の確率を 求めよ. 中間経路の
完全な 記録を 残すと,確率は いくらに なるか.経路1を たどる 確率と,経路1を 経て に達する 確率も 区別して 求めよ.
粒子源sから中間経路1,2を経てDへ至る.sから1は√3/2,sから2はi/2,1からDは1/2,2からDはi√3/2の振幅を持つ.
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考え方
1本の
.したがって .確率の積を 足しても,この 打ち消しを 表せない. 記録が
ある 場合は .経路1をたどる 確率は ,経路1を経て に達する 確率は である.位相を含む振幅は 無次元であり,求めた 確率も 無次元に なる.
演習 2
粒子を
と吸収確率を 求め,和を 確かめよ. の場合,透過した 粒子だけを 選んだ ときの の確率を 求めよ.また, を変えた際に が完全に0に なる を求めよ.
等しい振幅1/√2で分岐した経路2に透過係数g e^{iδ}の透過部を置く.吸収先,再結合部,出力D,Eを示す.
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考え方
入射粒子あたりの
, より
透過確率は
,透過確率は より,条件つき確率は .最小値は で だから,0になるのは だけである.位相調整だけでは振幅の 大きさの 不一致を 補えない. では出力は 各 ,吸収は となり,片経路だけの 結果と 一致する.
演習 3
等間隔の
記録なし | 中心ごとの | |
|---|---|---|
各列を
, のどちらで 表せるか 決め,係数を 求めよ. の期待計数も 求めよ. 記録なしの
列だけを で割って 一定に なる 理由と,記録ありで 振幅を 足せない 理由を 述べよ.
等間隔に並ぶN個の散乱中心について,指定方向で同位相となる記録なしの散乱と,中心ごとに異なる内部記録が残る散乱を並べる.
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考え方
同位相の
記録なしは
,記録ありは .他の2行にも同じ 係数が 当ては まる. では順に , である.各中心の
振幅を とすれば,記録なしは ,記録ありは である.記録を読まなくても 最終状態が 異なるので 干渉しない. 則は指定方向の 狭い 検出領域での 弱い 散乱の 模型であり,全方向の 確率を 倍する主張ではない.多重散乱を 無視するには,全散乱確率が1より 十分 小さい 必要が ある.
演習 4
一列の
検出確率を
で表し, の値も 求めよ. とする.全く 記録の ない 場合と 比較し, および での確率を 求めよ.
N=Mq個の散乱中心を隣接するq個ずつM組に分ける.組の番号だけを記録し,隣り合う中心の位相差αを示す.
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考え方
組の
組
の振幅は . が の整数倍で ない とき,和は なので
なので同位相で ,記録なしでは . では組の 和が より, .記録なしでは で幾何級数の 和が0だから .組間の打ち消しが 失われる.検出領域への 確率と して 扱うには が1より十分 小さい 範囲を 選ぶ.
演習 5
3経路の
の範囲で 初めの 検出確率が0と なる をすべて 求めよ. 求めた
位相で2つの 操作後の 検出確率を それぞれ求め,な ぜ 同じに ならないか 説明せよ.入射粒子あたりの 確率で 比較する こと.
3経路が共通の検出領域Dへ至る.位相は順に0,α,2αで,第3経路に遮断板または記録装置を置く.
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考え方
遮断は
全振幅は
. より .遮断後は
.記録後は経路1,2の 和と 経路3の 確率を 足すので .記録の場合には 第3経路の 粒子も 検出される ため,遮断の2倍に なる.全経路の 最大値 が1以下になる 振幅なら 確率と して 矛盾しない.
ポイント 教える
ブラケットの
右側を 出発状態,左側を 到着状態と して 読み取らせる. 吸収が
ある 場合,入射粒子あたりと 透過粒子あたりの 確率を 区別させる. 記録が
区別する 範囲を 囲ませ,囲みの 内外で 足す量を 説明させる. 指定方向の
散乱強度と,全散乱確率の 規格化を 混同させない.