確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
物質波の位相と速さの例題
著者:柚木芹香
本体の
ポイント 数学の
振幅
例題
例題 1
質量
ローレンツ変換
を使って,K での 振幅の 位相を と で表せ. K で
時刻を 止めた とき,位相が 変わる距離(波長)を 式と 数値で 求めよ. K で
見た 位相速度を 求め,光の 速さと 比べよ.この 結果が 相対論と 矛盾しない 理由を 述べよ.
上段はK′で同じ時刻t′に見た中性子と位相の模式図で,同じ向きの位相の矢印が並ぶ.下段はKで同じ時刻tに見た図で,中性子は右へ速さvで動き,位相の矢印はxが増すと反時計回りに回る.位相が1回転する距離を未知の波長λで示す.
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考え方 同じ出来事に
位相は
である.ここで
を止めると, が 増えたとき なので . なので として よく
である.結晶の
位相が
一定の 点は 一定 を満たして 進むので,位相速度は
で,光の
確かめ:
例題 2
質量
2つの
和の 絶対値の2乗(見つかる 確率に 比例する 量)を 求め,その 山が 進む速さを , で表せ. を使って, の極限で(1)の 速さが 粒子の 速さ に等しい ことを 示せ. 電子の
運動量が のとき,位相速度と 群速度を それぞれ を使って 表し,その 積を 求めよ. 非相対論で
とする場合と, を省いて とする場合で,位相速度と 群速度が どう 変わるかを 述べよ.
上の2段は運動量p₁とp₂の波の実部,下段はその和の実部である.緑の破線が包絡線を示す.群速度と位相速度の矢印は,包絡線の山と細かい山が進む向きを示す模式的な矢印である.
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考え方 2つの
共通の
因子を くくり出すと
である.山(
を で微分して . , を入れると
である.
なら なので, ,位相速度は である.積は で,これは によらず である.群速度は
で, に加える 定数に よらない.位相速度は, を含めると (光より速い),省くと で,まったく違う 値に なる.位相速度は エネルギーの 基準で 変わる 観測できない 量で,観測できる 確率の 山の 速さ(群速度)は 基準に よらない.
確かめ:
例題 3
運動エネルギー
真空中と
金属中の 電子の 波長を 求めよ. ビームが
表面の 法線と をなして 入射する とき,金属中で 法線となす角を 求めよ. 逆に,金属中で
運動エネルギー の電子が 表面から 真 空へ 出る とき,出られる 入射角の 範囲を 求めよ.
真空から金属表面へ,法線とθ1=45°をなす電子のビームが入る.金属中では法線に近づく向きθ2へ曲がり,波面の間隔は真空のλ1より短いλ2になる.ポテンシャルは真空で0,金属中で−U0.θ2と波長の数値は入れていない.
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考え方 定常状態なので,角振動数
非相対論で
よい( は電子の 静止エネルギー よりずっと 小さい). で, では
である.エネルギーの
である.
表面に
沿った 成分が そろうので . なので
である.ポテンシャルエネルギーの
金属中で
入射角 の電子が 真空に 出ると である.真空側への流れが あるには が必要なので,限界角 として, なら出られる.限界角では 真空側の 法線方向の 運動量が0で,それより 斜めに 当たると 全反射のように 金属の 中へ 戻る.
確かめ:古典力学で
ポイント ここまでの
止まって
見える 系の 位相 をローレンツ変換すれば, , と がそろって 出る. 位相速度
は光より 速くても よく,エネルギーの 基準で 変わる.確率の 山は 群速度 で進み,それが 粒子の 速さである. ポテンシャルの
段差では と運動量の 境界に 沿った 成分が 保たれ, になる.