原子の総合演習
光子と物質のやりとり
著者:柚木芹香
第29章の
総合演習 1
光電子の
仕事関数
次に
静止した自由な金属膜へ光が右向きに入射する.反射光と放出電子は左向きである.膜の質量Mと電気容量Cを示す.
,放出電子数 ,電子1個の速さと 運動量を 求めよ.入射光の 電力が 同じなら,光子の エネルギーを 変えても は同じか. が一定の 場合に ついて 答えよ. 膜が
受ける 光だけの 力積と,電子放出も 含めた 力積を 求め,パルス直後の 膜の 速度を 計算せよ.膜の 並進エネルギーを 無視できる 精度で,膜に 残る 内部エネルギー増分を 求めよ.電子を 取り去る 仕事 が内部に 蓄えられると すると,残りの 熱エネルギーは いくらか. 最後に
帯電の 影響を 入れる.膜の 正電荷と 電位を 求め,電子の 脱出に 必要な 追加エネルギーが に比べて 小さい ことを 確かめよ.同じ膜に 当てる 光子数を 増す場合,帯電を 無視する 条件と,電子が 出なくなる 光子数の 目安を 求めよ.膜を 含む系全体に ついて,電子の 反動が 光だけの 力積より 大きくても 運動量保存に 反しない 理由を 述べよ.
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考え方
光電流が
毎秒の
入射光子数は だから, となる.したがって
電子の
一定の
吸収される
光子は 個で,1個あたり の力積を 与える.反射される 光子は 個で,1個あたり を与える.光だけでは
電子が
膜の
電子の
電子が
出る たびに 膜に 正電荷が 残る. , だから,最後に出る 電子の 追加脱出エネルギーは 程度. との比は である.一般に
が
膜の
総合演習 2
散乱光と
静止した
静止電子に光子が+x向きに入射し,散乱光子は+y側へ出る.EとE′は測定値,φとθは未知の角であり,角度は模式的に描いている.
エネルギー・
運動量保存から を導け.測定値から 散乱角 ,電子の運動エネルギー ,反跳方向の角 を求めよ. 電子の
運動量と 速さを 求め, を運動エネルギーと する 近似の 誤差を 調べよ.この 事象だけから 電子の 静止エネルギーを 測定するには,光子の エネルギー以外に 何を 独立に 測れば よいか. を独立に 測り, を得たとする. の誤差を 無視して,静止エネルギーの 推定値と 不確かさを 求めよ.この 角度分解能で 標的の 有効散乱粒子が 電子より1 %重いと 判別できるか.また,同じ に対し または となったら,何を 再検討すべきか.
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考え方
標的の
光子の
運動量は エネルギーを で割った ものである.電子の 成分は
したがって
左辺の
電子の
相対論では
である.全エネルギーは だから
したがって
であり,真の
分母は
なので,推定値は .一次の誤差伝播では
不確かさに
総合演習 3
同じ
内部の2準位の
励起原子Sと基底原子Aは初め静止している.光子はSからAへ進む.別枠に準位差Δと,Aに与える速度uの正方向を示す.
放出光子の
エネルギー と,静止原子Aが吸収するのに 必要な エネルギー を厳密に 求めよ. として 差の 主要項を 求め,反跳エネルギー で表せ. 原子Aに
光子の 進行方向の 速度 を与える.Aの 静止系で 見た 光子エネルギーを 一次まで として,吸収の 中心を 一致させる の向きと 大きさを 求めよ.原子の 一次元熱 運動の 速さの 標準偏差を としたとき,この 速さと 等しくなる 温度も 求めよ. 励起状態の
寿命を とし,線幅の エネルギー尺度を と見積もる.放出中心と 吸収中心の 差が この 幅より 大きい ことを, と で判定せよ.反跳差を 観測するには,熱運動と 寿命に どの 条件が 必要か.原子が 非常に 重い支持体と 一体で 反動するとした 場合の 極限とも 比較せよ.
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考え方
内部準位差は
Sの
静止系で エネルギー保存は .光子を左辺へ移して2乗すると
吸収後の
両方の
より
Aは
より,幅は順に , .いずれも反跳差より 大きい.したがって,この 尺度の 範囲では 中心の ずれが あると いうだけで 吸収を 禁じる ことは できない.反跳差を 分離するには,少なくとも
が