光子と電子の波
束縛状態の例題
著者:柚木芹香
本体の
計算を
です.
例題
例題 1
電子を
準位
を で求めよ. の状態に ある 電子が 低い 準位へ 移る とき,放出される 光子の 波長を すべて 求めよ.遷移の 選択則(遷移の 可否を 決める 規則)は 考えず,途中の 準位を 経由する 場合も 含める. から への遷移で 波長 の赤い 光が 出るように するには,箱の 幅を いくらに すれば よいか.
幅Lの箱の中ではU=0で,電子の質量はmである.例題の設定L=0.60 nmと,準位E₁,E₂,E₃を描く.3→2,3→1,2→1の放出による遷移を下向きの矢印で示す.
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考え方
準位は
である. , となる.箱の 幅に 合わせて 有効数字は2桁と し,途中の 計算では 丸める 前の 値を 使う. から下る 遷移は , と, の後の の3種類である.光子のエネルギーは それぞれ , , だから,波長は
である.
より
である.
確かめ:
例題 2
ある
光を
吸収して,詰まった 一番上の 準位の 電子が,空いている 一番下の 準位へ 移る ときに 吸収する 光の 波長 を, で表せ. , の色素で を求めよ. 鎖を
伸ばして , にすると, はどう 変わるか.
長さLの鎖状分子を1次元の箱に置き換え,偶数N個の電子を下から2個ずつ詰める.準位はn=1からn=N/2+1までを模式的に描き,中間の準位は省略する.n=N/2から空いたn=N/2+1への吸収を上向きの矢印で示す.
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考え方
準位の
差は
である.
と
だから,丸める前の 値を 使うと である.黄から橙の 光を 吸うので,残りの 光で 色素は 青っぽく 見える. , である.鎖を伸ばすと 吸収は 長い 波長へ 移る.
確かめ:(1) の
例題 3
水素原子の
と
を最小に する を とする. と を文字で 表し,数値を 求めよ. 古典的には
電子は 陽子に 落ちるはずなのに,そうならないのは なぜか. の各項の への依存から 説明せよ. 電子の
速さ を見積もり,非相対論の 式を 使って よいか 確かめよ.
横軸は半径r,縦軸はエネルギーで,青は運動エネルギーℏ²/(2mr²),緑の破線はポテンシャルエネルギー−ke²/r,赤はその和E(r)である.3本の曲線を共通の尺度で描く.和が最小になる位置を r = a,最小値を E(a) と記す.数値は描かない.
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考え方
運動エネルギーは
より
である.
と
を小さく すると,ポテンシャルエネルギーは で下がるが,運動エネルギーは で増える. が十分 小さい 所では の項が 勝つので, は増加に 転じる.電子を 陽子の 近くに 閉じこめる ほど 運動量の 広がりが 大きくなり,エネルギーの 損に なる.したがって,基底状態の 広がりは となり,原子核へ 際限なく 縮むことは ない. で, である. が十分 小さいので,運動エネルギーに を使ってよい.
確かめ:
ポイント ここまでの
電子の
箱では で,遷移の波長は .波長は に比例する. 電子が2個ずつ詰まった
箱では,吸収は 一番上の 詰まった 準位から 一番下の 空いた 準位への 遷移で,鎖が 長いほど 長い 波長の 光を 吸う. 運動エネルギー
とクーロンの ポテンシャルエネルギーの 和を 最小に すると,原子の 大きさ 程度とエネルギー 程度が出る. 見積もりの
あとは,非相対論の 条件(エネルギーが より十分 小さい, が十分 小さい)を 確かめる.