非慣性系
遠心力の演習
著者:柚木芹香
回転系で
演習 1
水平な
円盤の
系での 遠心力の 大きさと 向きを 求めよ. 地上と
円盤の 両方で 水平な 力の 式を 書き,摩擦力と 遠心力が 作用反作用の 対でない 理由を 述べよ.
円盤上で静止する物体の二つの見方.図中の記号と条件は「地上 S」「r」「O」「ω」「円盤 S'」である.
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考え方 地上では
で,回転軸から外向きである.この 距離は 円周に 沿う 長さではなく,軸へ 下ろした 垂線の 長さである. 外向きを
正と し,内向き摩擦の 大きさを とすれば,地上では ,円盤では .どちらも を与える.摩擦力の 反作用は 物体が 円盤へ 及ぼす外 向きの 力で,円盤に 作用する.遠心力は 同じ物体に 加える 見かけの 力であり,相互作用の 相手を 持たない.つり合う 二力だからと いって 作用反作用とは 限らない.
演習 2
水平円盤と
滑らない
角速度の 最大値を 求めよ. のときに 静止できる 最大半径と,質量を2倍に した 場合の 変化を 求めよ.角速度を 変える 途中の 運動は 扱わない.
静止摩擦のある円盤.図中の記号と条件は「r」「O」「ω」「接触面:μ」である.
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考え方 回転系で
鉛直方向では
.水平のつり合いに 必要な 摩擦は なので, .したがって である.限界より小さな 角速度では 摩擦は 最大値に 達していない. .質量が2倍なら遠心力と 最大摩擦力が ともに2倍と なり,半径の 限界は 変わらない.回転数を 増やしている 最中には 接線方向にも 摩擦が 必要なので,この 定常状態の 条件だけでは 判定できない.また 滑り 始めた 後には 相対速度が 生じ,遠心力だけの つり合いの 式を 使い続ける ことは できない.
演習 3
鉛直軸の
壁からの
垂直抗力と 摩擦力を 求めよ. 物体が
ずり落ちない 最小角速度を 求めよ. , , のとき数値を 示せ.
回転円筒の内壁の物体.図中の記号と条件は「mg」「R」「ω」「鉛直断面:床の支えなし」である.
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考え方 垂直抗力と
回転系で
半径方向の つり合いから .鉛直方向では摩擦が 重力を 支えるので,上 向きに である.地上で見ても,内向きの が円運動の 向心力を 担い,鉛直加速度は0なので 同じ結果と なる. より .最小値は である.回転を速める ほど 抗力が 増え,摩擦の 上限が 増すため支えられる.水平円盤では 摩擦が 円運動を 担ったが,ここでは 抗力が 円運動を 担う.同じ が現れても,力の 役割は 接触面の 向きに よって 違う.
演習 4
半径
水面が
となる ことを 示せ. 体積保存から
を求め,底全体が 水で 覆われる 角速度の 条件を 求めよ.
回転前後の液面を調べる.図中の記号と条件は「回転軸」「ω」「静止時の水面」「静止時」「」「回転後:形は未知」「h₀」「r,z」「容器の半径 R,水量は一定」である.
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考え方 自由表面は
単位質量当たりの
有効ポテンシャルは .表面で と置けば 指定の 式を 得る.遠心力の ポテンシャルは 外側ほど 低くなるので 負号であり,水面は 外側ほど 高くなる.圧力が 一定と いう 条件は 自由表面に 対する 条件で,水中の すべての 点が 等ポテンシャルと いう 意味ではない. 半径
から の輪の 面積は なので,水の体積は
である.よって
演習 5
地球を
地表で
静止する 物体の 遠心加速度を,球面の 外向き法線と 赤道向き接線に 分解せよ. 有効重力の
大きさと,つり下げた糸の 中心方 向からの ずれ角 を1次まで求めよ. , , , で評価せよ.
地球表面での成分の向き.図中の記号と条件は「自転軸」「P」「λ」「R」「R cos λ」「外向き法線」「赤道向き」である.
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考え方 遠心力は
軸からの
距離は .遠心加速度の法線 成分は ,接線成分は である.後者は北半球では 赤道へ 向かう.極では 軸からの 距離が0となり,両成分とも 消える. , より . なので,重力の減少は 約 , である.糸は中心方 向から 赤道側へ 傾く.この 見積もりは 球形モデルに 対する 結果であり,実際の 地球の 形や 内部の 密度分布の 効果を 含めてはいない.
ポイント 教える
遠心力の
距離は 軸からの 距離であり,球の 中心からの 距離と 区別させる. 向心力と
いう 名前を 新しい 独立した 力と して 追加させない. 摩擦が
支える 方向と 抗力が 支える 方向を 接触面から 判断させる. 液面の
積分定数と 適用範囲を,体積保存と 底への 接触から 確認させる.