問いしるべ
問いから始める物理 力と運動の法則

力と運動の法則

第4章の章末問題

著者:柚木芹香

運動方程式,束縛条件,摩擦を組み合わせ,接触・滑り・離脱で運動が切り替わる問題に取り組みます.物体ごとの自由体図と座標軸を整え,位置と速度を区間の境目で引き継ぎながら,解が成立する条件を確かめてください.

演習

演習 1

オリジナル ★★☆☆☆

水平な机の上に質量 3.0kg の物体 A がある.A は糸1で机の端の滑車を通して物体 B(1.0kg)につながれ,B は垂れ下がっている.A と机の静止摩擦係数は 0.40,動摩擦係数は 0.30,糸と滑車は軽く,滑車は滑らかとする.

机上のAから滑車を介してBを吊るす.小問2でBの下にCを追加する配置を示す. 机上のAから滑車を介してBを吊るす.小問2でBの下にCを追加する配置を示す.
  1. 初め静止している.A は動き出さないことを示せ.

  2. B の下に糸2で物体 C(0.50kg)をつなぐ.A は動き出すか.動き出すなら,加速度と糸1,糸2の張力を求めよ.

  3. 動いている途中で糸2を切る.その直後の A の加速度と糸1の張力を求め,(1) の結果と比べよ.

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A が受ける最大静止摩擦力は 0.40×3.0×9.8=11.76N,動摩擦力は 0.30×3.0×9.8=8.82N である.

  1. A を引く力は B の重さ 9.8N で,11.76N より小さいので,A は動かない.静止摩擦力は 9.8N である.

  2. B と C の重さの和は 1.5×9.8=14.7N で,11.76N より大きいので動き出す.糸が伸びないので,A,B,C の加速度の大きさ a は共通.全体の運動方程式(A の右向き,B,C の下向きを正)は

(3.0+1.0+0.50)a=1.5×9.8−8.82 ⟹ a=5.884.5≈1.3ms−2

A について T1−8.82=3.0a,よって T1≈12.7N.C について 0.50×9.8−T2=0.50a,よって T2=0.50(9.8−1.307)≈4.2N である.

  1. 糸2を切ると,A と B だけで 4.0a′=9.8−8.82,a′=0.245ms−2(加速が続く).糸1の張力は T1′=1.0×(9.8−0.245)≈9.6N.(1) では B だけでは動き出さなかったが,動いていれば動摩擦力 8.82N が B の重さより小さく,加速を続ける.動き出す条件と動き続ける条件は違う.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

十分に長いベルトコンベアが,傾き θ=20∘ で斜め上向きに速さ V=2.0ms−1 で動いている.ベルトと荷物の静止摩擦係数は 0.60,動摩擦係数は 0.50.荷物を静かに置く.

傾きθのベルトが斜め上向きに速さVで動く.荷物を静かに置く位置と上端までの距離を示す. 傾きθのベルトが斜め上向きに速さVで動く.荷物を静かに置く位置と上端までの距離を示す.
  1. 荷物がベルトに対して滑っている時間と,その間に荷物が進む距離,ベルトに対して滑る距離を求めよ.

  2. 置いた点から斜面に沿って 6.0m 離れた上端に着くまでの時間を求めよ.

  3. 静止摩擦係数が 0.30,動摩擦係数が 0.25 だったらどうなるか.

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g=9.8ms−2,sin⁡20∘=0.342,cos⁡20∘=0.940.

  1. 荷物はベルトより遅いので,動摩擦力は上向きに働く.上向きを正にして

ma=μ′mgcos⁡θ−mgsin⁡θ ⟹ a=9.8(0.50×0.940−0.342)≈1.25ms−2

速さが V になるまでの時間は t1=V/a≈1.6s,進む距離は V2/(2a)≈1.6m.この間ベルトは Vt1≈3.2m 進むので,ベルトに対して約 1.6m 滑る.

  1. 速さが V に達すると,必要な静止摩擦力は mgsin⁡θ=0.342mg で,最大値 0.564mg 以下なので,荷物はベルトと一緒に動く.残りの 4.4m を速さ V で進み,2.2s かかる.全体で 3.8s.

  2. a=9.8(0.25×0.940−0.342)≈−1.05ms−2.負なので荷物は運ばれず,斜面を滑り落ちる(μ<tan⁡θ=0.364 だから運べない).

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

トラックが荷台に荷物を載せて,速さ 18ms−1 で走っている.時刻 0 から一定の大きさ 6.0ms−2 で減速する.荷物は荷台に対して静止していて,運転席側の壁から後ろへ d の距離にある.荷物と荷台の静止摩擦係数は 0.50,動摩擦係数は 0.40 である.

トラックの荷台に荷物がのり,荷物の右側(運転席側)に壁がある.荷物と壁の間隔をdとする.トラックは右向きに走る(青い矢印). トラックの荷台に荷物がのり,荷物の右側(運転席側)に壁がある.荷物と壁の間隔をdとする.トラックは右向きに走る(青い矢印).
  1. d=3.0m のとき,荷物が壁にぶつかるまでの時間と,ぶつかる直前の荷台に対する荷物の速さを求めよ.

  2. 荷物が壁にぶつからずにすむ d の条件を求めよ.トラックは止まったあともその場にとどまる.

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考え方 荷物は動摩擦力だけで減速し,トラックのほうが強く減速するので,荷台に対して前へ進む.

  1. 静止摩擦力による減速は最大 μg=4.9ms−2 で,6.0 はそれを超えるので滑る.荷物の減速は μ′g=3.92ms−2.荷台に対する前向きの加速度は 6.0−3.92=2.08ms−2 で,d=12×2.08t2 より t=6.0/2.08≈1.7s.トラックは 18/6.0=3.0s で止まるので,まだ走っている.荷台に対する速さは 2.08×1.7≈3.5ms−1.

  2. トラックは 182/(2×6.0)=27m で止まる.荷物は減速度 3.92ms−2 のまま 182/(2×3.92)≈41.3m 進んで止まる.荷台に対する前進は全部で 41.3−27≈14.3m なので,d>14m ならぶつからない.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

質量 m=2.0kg,体積 V=4.0×10−4m3 の固体Aを,水槽の上の軽くなめらかな定滑車を通る糸で,空気中のおもりB(質量 mB=1.0kg)とつなぐ.Aは水中に完全に沈み,底にも水面にも達しない.水の密度は ρ=1.0×103kgm−3,g=9.8ms−2.周囲の水を加速させる効果と流れによる抵抗を無視し,運動中も浮力は ρVg とする模型である.

  1. 静止から放したときの加速度の向きと大きさ,糸の張力を求めよ.

  2. Aの質量と体積をそのままに,液体の密度だけを変える.Aの下降から上昇へ運動が変わる境目の密度を求めよ.Aが下降する区間の式を密度の関数で書き,慣性質量も m−ρV に変えてよいか説明せよ.

水中の固体と空気中のおもりを示す模式図. 水中の固体と空気中のおもりを示す模式図.
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考え方 水中では重力と浮力の差が下向きの駆動力になるが,加速度に掛ける質量はAの質量そのものである.

  1. Aの下向き,Bの上向きを正にとる.ma=mg−ρVg−T,mBa=T−mBg より a=(m−mB−ρV)g/(m+mB).代入すると a=1.96ms−2≈2.0ms−2 で,Aは下がる.T=mB(g+a)=11.76N≈12N.張力は正で,糸は張っている.

  2. 境目は m−mB−ρV=0,ρ=(m−mB)/V=2.5×103kgm−3.これより小さい密度なら(1)の式で下降し,大きければ符号が反転して上昇する.m−ρV は重力と浮力の差を g で割った量で,物体の慣性質量ではない.分母を m+mB−ρV にしてはいけない.ρ→0 では普通の定滑車の式へ戻る.(m−mB−ρV)/(m+mB) は無次元なので,加速度の単位も合う.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

なめらかな水平面上の板B(M=4.0kg)の上に物体A(m=2.0kg)がのっている.AとBの間の静止摩擦係数は 0.30,動摩擦係数は 0.20 である.AとBは,右の壁に固定した軽くなめらかな滑車に通した水平な糸でつながれている.Bを水平左向きの力 F で引く.

なめらかな水平面上の板Bの上に物体Aがのる.Aの右側から水平に出た糸は右の壁に固定した滑車を回り,Bの右側につながる.Bを水平左向きの力F(赤い矢印)で引く. なめらかな水平面上の板Bの上に物体Aがのる.Aの右側から水平に出た糸は右の壁に固定した滑車を回り,Bの右側につながる.Bを水平左向きの力F(赤い矢印)で引く.
  1. A,Bが動き出すのは F がいくら以上のときか.

  2. F=30N で動いているときの加速度の大きさと糸の張力を求めよ.

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考え方 Bが左へ動くとAは右へ動く.Aに働く摩擦力はBに対する相対運動を妨げる向きで,Bに働く摩擦力はその反作用である.

  1. 動き出す直前は静止摩擦力が最大で,Aに左向きに f=0.30mg,糸の張力は T=f.Bについて F=T+f=2f.よって F=2×0.30×2.0×9.8≈12N 以上で動く.

  2. 動摩擦力は f′=0.20×2.0×9.8=3.92N.糸が伸びないので加速度の大きさ a は共通.Aは右向きに T−f′=ma,Bは左向きに F−T−f′=Ma.足して

a=F−2f′M+m=30−7.846.0≈3.7ms−2,T=f′+ma≈11N

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

質量 m の小球を地面から鉛直上向きに初速 v0 で投げる.空気抵抗の大きさは cv2(v は速さ)で,vt=mg/c とおく.

左は上昇中の小球.速度vは上向き(青)で,重力mgと抵抗cv2はどちらも下向き(赤).右は下降中の小球.速度vは下向き(青),重力mgは下向き,抵抗cv2は上向き(赤). 左は上昇中の小球.速度vは上向き(青)で,重力mgと抵抗cv2はどちらも下向き(赤).右は下降中の小球.速度vは下向き(青),重力mgは下向き,抵抗cv2は上向き(赤).
  1. 上昇中の運動方程式を,高さ x と速さ v の関係(dvdt=vdvdx)として書き,最高点の高さ H を求めよ.積分には ∫vdv1+v2/vt2=vt22ln⁡(1+v2vt2)+C(右辺を微分すれば確かめられる)を使ってよい.

  2. 落下して地面に戻るときの速さ v1 が,1v12=1v02+1vt2 を満たすことを示せ.0≤v<vt で ∫vdv1−v2/vt2=−vt22ln⁡(1−v2vt2)+C である.

  3. vt=20ms−1,v0=30ms−1 のとき,H と v1 を求め,抵抗がない場合と比べよ.

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考え方 時間を使わずに,位置で積分する.上昇と下降で抵抗の向きが逆になる.

  1. 上向きを正として mvdvdx=−mg−cv2,すなわち vdvdx=−g(1+v2vt2).x=0 の v0 から最高点の 0 まで積分して

∫v00vdv1+v2/vt2=−gH ⟹ H=vt22gln⁡(1+v02vt2)
  1. 最高点から下向きに y をとると vdvdy=g(1−v2vt2).積分して −vt22ln⁡(1−v12vt2)=gH.(1) の H を入れると 1−v12vt2=vt2vt2+v02,よって v12=v02vt2v02+vt2 となる.

  2. H=40019.6ln⁡3.25≈24m,v1=30×201300≈17ms−1.抵抗がなければ 46m,30ms−1 なので,どちらもほぼ半分になる.vt→∞ で v1→v0 となり,検算になる.

演習 7

オリジナル ★★★☆☆

傾き θ=40∘ の粗い斜面上に質量 2.0kg の物体を置く.静止摩擦係数は μ=0.30 である.斜面に向かう水平な力 F を加えて静止させたい.

傾きθの粗い斜面(右上がり)の上に物体がある.重力mgは鉛直下向き,垂直抗力Nは斜面に垂直,摩擦力fは斜面に沿い,斜面へ向かう水平な力Fは右向きに描く.摩擦力の向きはFの大きさで変わる. 傾きθの粗い斜面(右上がり)の上に物体がある.重力mgは鉛直下向き,垂直抗力Nは斜面に垂直,摩擦力fは斜面に沿い,斜面へ向かう水平な力Fは右向きに描く.摩擦力の向きはFの大きさで変わる.
  1. F の最小値と最大値を求めよ.tan⁡φ=μ となる角 φ を使って表すとどうなるか.

  2. 斜面が急で,どんなに強く押しても物体がずり上がらなくなる θ の条件を求めよ.

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考え方 F が小さいとずり落ち,大きいとずり上がる.どちらも静止摩擦力が最大になる境目である.

  1. 垂直抗力は N=mgcos⁡θ+Fsin⁡θ.ずり落ちる境目では摩擦力が上向きで Fcos⁡θ+μN=mgsin⁡θ.よって

Fmin=mgsin⁡θ−μcos⁡θcos⁡θ+μsin⁡θ=mgtan⁡(θ−φ)

ずり上がる境目では摩擦力が下向きで Fcos⁡θ=mgsin⁡θ+μN.よって

Fmax=mgsin⁡θ+μcos⁡θcos⁡θ−μsin⁡θ=mgtan⁡(θ+φ)

tan⁡φ=0.30 より φ≈16.7∘ で,Fmin=19.6tan⁡23.3∘≈8.4N,Fmax=19.6tan⁡56.7∘≈30N である.

  1. Fmax の式で分母が 0 以下,すなわち cos⁡θ≤μsin⁡θ(tan⁡θ≥1/μ)なら上限はない.tan⁡θ≥1/0.30≈3.3 より θ≥73∘ である.このとき押す力が強くなるほど斜面への押しつけも強くなり,摩擦力が追いつく.

演習 8

東京大 2004 前期(改題) ★★★☆☆

水平な上面をもつ質量 M のくさび台が,右下がりの滑らかな斜面を姿勢を変えずに滑る.斜面角は θ,上面の幅は d である.上面右端に質量 m の小物体を置き,両者を静止から放す.右端から左へ長さ ℓ の区間だけが粗く,残りは滑らかである.粗面の静止摩擦係数を μ,動摩擦係数を μ′ とする.空気抵抗を無視し,右向きを x,下向きを y とする.

右端の小物体mを台Mとともに静止から放す.上面右側の長さℓだけが粗面である. 右端の小物体mを台Mとともに静止から放す.上面右側の長さℓだけが粗面である.
  1. 小物体が台と一体で動ける μ の条件を求めよ.

  2. 滑る場合について,粗面区間での台の斜面方向の加速度 q,小物体の垂直抗力 N,台に対する小物体の左向き加速度 b を求めよ.

  3. M=2m,θ=30∘,μ=1/(23),μ′=1/(43),d=0.60m,ℓ=0.20m,g=10ms−2 とする.粗面を出る時刻と台の左端を離れる時刻を求め,離脱までの地上から見た軌跡を区間ごとに式で表せ.小物体の初期位置を原点とする.

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考え方 台と小物体の鉛直加速度は接触中には等しいが,水平加速度は滑れば異なる.小物体の摩擦力は右向き,台が受ける反作用は左向きである.

  1. 一体なら斜面方向の加速度は gsin⁡θ.小物体について f=mgsin⁡θcos⁡θ,N=mg−mgsin2⁡θ=mgcos2⁡θ なので,f≤μN より μ≥tan⁡θ である.指定値はこの条件を満たさず,左へ滑る.

  2. s=sin⁡θ,c=cos⁡θ と略記する.小物体は mqs=mg−N,max=μ′N を満たす.台の斜面方向には Mq=Mgs+Ns−μ′Nc だから,

q=(M+m)gs−μ′mgcM+ms2−μ′msc,N=m(g−qs),b=qc−μ′(g−qs).

ここでは q=44/7ms−2,N/m=48/7ms−2,ax=43/7ms−2,b=183/7ms−2 となり,N>0,b>0 も確かめられる.

  1. 粗面を出る時刻を t1 とすれば bt12/2=ℓ より t1=2ℓ/b≈0.300s.そのときの相対速度の大きさは w=bt1 である.滑らかな区間では q0=(M+m)gs/(M+ms2)=20/3ms−2,b0=q0c となる.残りの時間 τ は d−ℓ=wτ+b0τ2/2 の正の根,すなわち

τ=w2+2b0(d−ℓ)−wb0≈0.207s

であり,離脱時刻は t1+τ≈0.507s となる.粗面上では x=axt2/2,y=qst2/2 なので軌跡は直線である.滑らかな区間では σ=t−t1 として,

x=12axt12+axt1σ,y=12qst12+qst1σ+12q0sσ2.

水平速度は一定になり,軌跡は下向きに曲がる放物線となる.離脱位置は約 (0.106,0.408)m,直前の速度は約 (0.297,1.63)ms−1 である.境目では位置と速度は連続し,加速度だけが変わる.ℓ→0 なら初めから水平速度が0の鉛直運動になることも,式から確かめられる.

演習 9

東京大 1998 前期(改題) ★★★☆☆

重力を無視できる宇宙空間で,半径 R の円筒形居住区が一定角速度 ω>0 で回っている.断面を外から見て反時計回りとする.内壁上の物体が壁から受ける垂直抗力の大きさを,質量の g∗ 倍にしたいと考える.小物体の大きさは無視する.

円筒の右端Pから中心向きに発射する.外部の慣性系では壁の接線速度も初速度に加わる. 円筒の右端Pから中心向きに発射する.外部の慣性系では壁の接線速度も初速度に加わる.
  1. 必要な ω を求めよ.壁と同じ角速度で回り,半径 R/3 の場所に固定された足場では,物体を支える力は質量の何倍か.

  2. 点 P=(R,0) から,壁に対して中心向きに速さ u で球を発射する.発射後は力が働かない.外から見た位置と,次に壁に当たる時刻 tc を求めよ.

  3. u=ωR,R=90m,g∗=10ms−2 の場合,球は発射装置から見て回転方向の前後どちらに当たるか.壁に沿った距離も求めよ.

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考え方 壁に乗っている間は円運動,離れた後は等速直線運動である.球の初速度には,発射前から持っていた接線方向の速度も含まれる.

  1. mω2R=mg∗ より ω=g∗/R.半径 R/3 では加速度が ω2R/3=g∗/3 なので,支える力は mg∗/3 である.

  2. 初速度は (−u,ωR).したがって x=R−ut,y=ωRt となる.壁の条件 x2+y2=R2 から,t=0 以外の解は

tc=2Ruu2+ω2R2.

これは長さ÷速さの次元をもつ.u→0 では接線方向へ出ようとして直ちに壁に接触するので,tc→0 も妥当である.

  1. ω=1/3s−1,u=30ms−1,tc=1/ω=3.0s.衝突点は (0,R) で,外から見た偏角は π/2.同じ時間に発射装置は ωtc=1 ラジアン進むため,球は装置より回転方向の前方へ R(π/2−1)≈51m 離れた場所に当たる.球の経路は弦であり,装置の経路は円弧なので,両者の角度を別々に計算する必要がある.

演習 10

東京大 1986 前期(改題) ★★★☆☆

質量 M の台車に質量 m の荷物を載せ,荷物に結んだ糸を水平から角 θ だけ上向きに引く.床と台車の摩擦はなく,荷物と台車の静止摩擦係数は μ である.糸の張力は調節でき,台車は静止から右へ進む.速度上限を V とし,ゴールでは停止する必要はない.

糸は台車ではなく上の荷物mに結ばれている.床との摩擦はなく,荷物と台車の間に静止摩擦が働く. 糸は台車ではなく上の荷物mに結ばれている.床との摩擦はなく,荷物と台車の間に静止摩擦が働く.
  1. 荷物が台車から浮かず,滑らずに動ける最大加速度 a0 を求めよ.

  2. 距離 D のゴールまでの最短時間を,速度上限に達する場合と達しない場合に分けて求めよ.

  3. M=3.0kg,m=2.0kg,μ=0.50,sin⁡θ=3/5,cos⁡θ=4/5,g=10ms−2,V=4.0ms−1 とし,D=2.0m と 12m の最短時間を求めよ.

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考え方 台車を直接加速するのは摩擦力である.張力を増すと水平方向の駆動力が増える一方,荷物の垂直抗力は減る.

  1. 台車に働く右向き摩擦力を f とすると Ma=f,荷物には ma=Tcos⁡θ−f,N=mg−Tsin⁡θ.したがって T=(M+m)a/cos⁡θ であり,f≤μN より

a≤a0=μmgM+μ(M+m)tan⁡θ.

この上限では N=Ma0/μ>0 なので浮き上がらない.μ→0 で a0→0 となるのは,荷物を引いても台車に力が伝わらないからである.

  1. 任意の時刻に v(t)≤min(a0t,V).初めから最大加速度を使う運動はこの上限を実現するため,距離の積分も最大になり,到達時間が最小になる.切替時刻は ts=V/a0,切替距離は Ds=V2/(2a0) である.

tmin={2D/a0D≤Ds,D/V+V/(2a0)D≥Ds.

切替前は v=a0t,x=a0t2/2,切替後は v=V,x=Ds+V(t−ts) である.等速区間では張力を0にすればよい.両式は D=Ds で一致する.

  1. a0=80/39≈2.05ms−2,Ds=3.9m.よって短距離では約 1.4s,長距離では約 4.0s(丸める前は 3.975s)となる.

演習 11

東京大 1980 前期(改題) ★★★☆☆

水平な昇降台の上に小物体を置く.台は鉛直上向きを正として,静止から次の速度で動く.g=10ms−2,T=0.40s とし,初期の台の高さを0にする.空気抵抗を無視する.

vA(t)={2gt0≤t≤T,2g(2T−t)T≤t≤2T,0t≥2T.
台の速度はTまで直線的に増え,2Tで0に戻り,その後0のままである.小物体は初め台に接している. 台の速度はTまで直線的に増え,2Tで0に戻り,その後0のままである.小物体は初め台に接している.
  1. 接触中の垂直抗力を調べ,離脱時刻を求めよ.

  2. 離脱後の小物体の位置と最高点の高さを求めよ.

  3. 台との最初の再接触時刻を求め,減速中に再接触していないことも確かめよ.衝突後の運動は扱わない.

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考え方 台は押せるが引けない.接触を仮定して負の抗力が必要になった時点で自由落下へ切り替え,その後は位置の一致を調べる.

  1. 0<t<T では N−mg=2mg より N=3mg.T<t<2T に接触を仮定すると N−mg=−2mg から N=−mg となり不可能である.したがって t=T に離れ,その位置は gT2,速度は 2gT である.速度は連続なので,切替時に余分な速度を与えてはいけない.

  2. s=t−T とおくと,小物体は yB=gT2+2gTs−gs2/2.最高点は s=2T,高さは 3gT2=4.8m となる.

  3. 0<s<T の台の位置は yA=gT2+2gTs−gs2 なので,間隔は yB−yA=gs2/2>0.t≥2T では台は yA=2gT2 に止まる.そこで yB=2gT2 を解くと s=(2±2)T だが,小さい根は s<T で,静止した台の式を使える区間にない.採用するのは t=(3+2)T≈1.8s(丸める前は約 1.766s)である.すべての高さが gT2,時間が T に比例し,次元も一致する.