圧力は面を押す強さ,浮力は表面に働く力の合計です.水面,圧力を比べる高さ,液体に入っている体積を図で確かめてから式を立ててください.特に断らない限り,液体は静止し,水の密度は 𝜌w =1.0 ×103 kgm−3,𝑔 =9.8 ms−2 とします.空気の浮力,糸の体積,表面張力を無視します.
密度 8.0 ×102 kgm−3 の油を厚さ 0.25 m だけ水の上に重ねる.水中の圧力計は,境目から 0.40 m 下にある.液面の大気圧を 𝑝0 =1.0 ×105 Pa とする.
圧力計の位置の圧力を求めよ.
圧力計の小さな受圧面を水平から鉛直に回すと,圧力の値は変わるか.
[図:油と水の2層と圧力計]油と水の2層と圧力計を示す模式図.
解答を見る
考え方 境目で圧力は連続する.液面から計器まで,層ごとの圧力増加を足す.
𝑝 −𝑝0 =𝜌o𝑔 ×0.25 +𝜌w𝑔 ×0.40 =5880 Pa だから,𝑝 ≈1.06 ×105 Pa.計算の内訳を示すため桁を残した.圧力増加は約 5.9 ×103 Pa である.
同じ位置なら変わらない.静止した流体の圧力は面の向きによらず,力の向きだけが面に垂直な向きへ変わる.𝜌𝑔ℎ の単位は kgm−1s−2 =Pa.油の厚さを0にすれば水だけの式に戻る.
質量 𝑚 =0.12 kg,外側の断面積 𝑆 =4.0 ×10−4 m2 の密閉した細長い円筒を,鉛直に浮くように下端へおもりを内蔵した密度計として使う.液体に沈む部分の長さを 𝑑 とする.外側は一様な円筒形で,長さは 0.50 m.
密度 𝜌 と 𝑑 の関係を求めよ.水と密度 8.0 ×102 kgm−3 の液体での 𝑑 を計算せよ.
密度に等間隔の目盛りをつけると,円筒上でも等間隔になるか.
[図:鉛直に浮く円筒の密度計]鉛直に浮く円筒の密度計を示す模式図.
解答を見る
考え方 液体を押しのける体積は 𝑆𝑑.液体の密度が変わっても密度計の重さは変わらない.
𝜌𝑆𝑑𝑔 =𝑚𝑔 より 𝑑 =𝑚/(𝜌𝑆).水では 𝑑 =0.30 m,もう一方では 𝑑 =0.375 m ≈0.38 m.どちらも円筒の長さ未満で,液面から上に出る部分がある.
𝑑 は 𝜌 の逆数に比例するので等間隔にならない.d𝑑d𝜌 = −𝑚/(𝑆𝜌2) だから,密度が大きい側ほど目盛りの間隔は狭い.𝑚/(𝜌𝑆) は長さの次元をもち,密度が大きい液体では浅く沈むという直感とも合う.
同じ固体をばねばかりでつり,空気中では 2.94 N,水に完全に沈めると 1.96 N,未知の液体に完全に沈めると 2.16 N を示した.固体は容器に触れず,液体を吸収しない.
固体の体積と密度を求めよ.
未知の液体の密度を求めよ.
[図:同じ固体を3つの環境でつる]同じ固体を3つの環境でつるを示す模式図.
解答を見る
考え方 水中の目盛りは重力から浮力を引いた値である.固体の体積は変わらないので,目盛りの減少の比が液体の密度の比になる.
質量は 𝑚 =2.94/9.8 =0.300 kg.𝜌w𝑉𝑔 =2.94 −1.96 =0.98 N より 𝑉 =1.0 ×10−4 m3.したがって 𝜌s =𝑚/𝑉 =3.0 ×103 kgm−3.
𝜌/𝜌w =(2.94 −2.16)/(2.94 −1.96) =0.78/0.98 より 𝜌 ≈8.0 ×102 kgm−3.力の比は無次元である.目盛りが空気中と等しければ,この模型では液体の密度は0となる.水中でも張力が正なので,糸はたるまない.
体積 𝑉 =2.0 ×10−3 m3,密度 𝜌s =6.0 ×102 kgm−3 の球を水に全部沈め,球から容器の底への鉛直な糸で止める.球の下面には水が回り込み,球は底に触れない.
糸の張力を求めよ.
糸を切った直後の球の加速度を求めよ.水の抵抗と,球の加速に伴って周囲の水を動かす効果は無視する模型とする.
[図:底につないだ水中の球]底につないだ水中の球を示す模式図.
解答を見る
考え方 浮力が重力より大きいので,糸が下向きに球を引いている.切った直後には,その力だけがなくなる.
上向きを正にすると 𝜌w𝑉𝑔 −𝜌s𝑉𝑔 −𝑇 =0.よって 𝑇 =(𝜌w −𝜌s)𝑉𝑔 =7.84 N ≈7.8 N.
𝑚 =𝜌s𝑉 =1.2 kg だから 𝑎 =𝑇/𝑚 ≈6.5 ms−2,鉛直上向きである.一般式は 𝑎 =𝑔(𝜌w/𝜌s −1).密度が等しければ張力も加速度も0になる.実際の液体では周囲の水も動くため,(2)は指定した模型での値である.
断面積が両脚とも 𝑆 =2.0 ×10−4 m2 のU字管に水を入れ,初めの水面を同じ高さにする.左脚へ,水と混ざらない油(密度 𝜌o =7.5 ×102 kgm−3)を体積 60 cm3 だけ注ぐ.両端は大気に開いており,管は十分に長い.
左脚の水と油の境目が下がる距離と,右脚の水面が上がる距離を求めよ.
左の油面と右の水面の高低差を求め,どちらが高いか答えよ.
[図:油を注ぐ前後のU字管]初めの水面と,左脚へ注ぐ油を示す.注いだ後の液面の高さは図に入れていない.
解答を見る
考え方 同じ高さの水の圧力を等置するだけでなく,水の体積が変わらない条件も使う.
油の柱の高さは ℎ =60 ×10−6/𝑆 =0.30 m.左の境目が 𝑥 下がると,両脚の断面積が等しいので右の水面は 𝑥 上がる.境目の高さの圧力は,左では 𝑝0 +𝜌o𝑔ℎ,右では 𝑝0 +𝜌w𝑔(2𝑥) である.よって 𝑥 =𝜌oℎ/(2𝜌w) =0.1125 m ≈0.11 m.両方ともこの距離だけ動く.
油面は初めの高さより ℎ −𝑥,右の水面は 𝑥 上なので,高低差は ℎ −2𝑥 =ℎ(1 −𝜌o/𝜌w) =0.075 m.油面が高い.重力加速度は消え,密度の比と長さだけが残る.密度が等しければ高低差は0で,液面がそろう.
質量 𝑚 =0.50 kg,体積 𝑉 =1.0 ×10−3 m3 の小さな球を水中に完全に沈め,水槽の左右の底に固定した2本の糸で静止させる.糸が球から下向きに延び,左の糸は鉛直と 30∘,右の糸は鉛直と 60∘ をなす.球は壁と底に触れない.
左右の糸の張力を求めよ.
液体の密度を徐々に下げるとき,同じ配置でつり合える密度の下限を求めよ.
[図:下向きの2本の糸で止める球]下向きの2本の糸で止める球を示す模式図.
解答を見る
考え方 重力と浮力の差を,2本の糸の鉛直成分で支える.水平成分は互いにつり合う.
左右の張力を 𝑇1,𝑇2 とすると,𝑇1sin30∘ =𝑇2sin60∘,𝑇1cos30∘ +𝑇2cos60∘ =(𝜌w𝑉 −𝑚)𝑔 =4.9 N.第1式より 𝑇1 =√3𝑇2 で,第2式は 2𝑇2 =4.9.したがって 𝑇1 =2.45√3 ≈4.2 N,𝑇2 =2.45 ≈2.5 N.両方とも正なので,仮定した糸の向きと合う.
糸は押せないので 𝜌𝑉 −𝑚 ≥0 が必要.下限は 𝜌 =𝑚/𝑉 =5.0 ×102 kgm−3.等号では両張力が0で,張った糸で配置を保つにはこれより大きい密度が要る.下限より低いと球は沈み,この配置では静止できない.張力は (𝜌𝑉 −𝑚)𝑔 に比例し,単位も力になる.
ポイント 教える人へ
圧力計の向きを変える問いで,圧力と力の向きを区別できるか確かめる.
浮力の体積は,物体全体か沈んだ部分かを毎回指さして答えさせる.
U字管では,同じ高さの圧力の条件と,水の体積の条件を別々に説明させる.
糸の張力が負になったら,数値をそのまま採用せず,糸がたるむ条件へ戻らせる.