問いしるべ
問いから始める物理 振動

振動

第7章の章末問題

著者:柚木芹香

単振動,運動量保存,仕事とエネルギーを組み合わせ,つり合いの移動や接触・摩擦で運動が切り替わる問題に取り組みます.区間ごとに初期条件を選び,境目で位置と速度をつないで,停止や離脱の条件を確かめてください.特に断らない限り,ばね・糸・滑車の質量と空気抵抗は無視します.

演習 1

オリジナル ★★☆☆☆

傾斜角 α の滑らかな固定斜面に沿って,ばね定数 k の軽いばねを置き,上端を固定して下端に質量 m の物体をつなぐ.自然長からの伸び s を斜面下向きに測る.自然長で静かに放す.

  1. つり合いの伸び d,周期,最大の伸びを求めよ.

  2. 運動中の最大速さを求め,斜面角を変えると周期と最大速さがそれぞれどう変わるか述べよ.

固定斜面の上端にばねkを固定し,物体mをつなぐ.傾斜角はαで,座標sは斜面下向きに測る. 固定斜面の上端にばねkを固定し,物体mをつなぐ.傾斜角はαで,座標sは斜面下向きに測る.
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考え方 斜面に沿う重力は一定なので,つり合いを移すが変位に対する復元力の傾きを変えない.

  1. ms¨=mgsin⁡α−ks.d=mgsin⁡α/k とすれば X=s−d は mX¨=−kX に従う.ω=k/m,T=2πm/k.初期条件は X=−d,v=0 なので s=d(1−cos⁡ωt),最大の伸びは 2d.

  2. 最大速さは dω=gsin⁡αm/k.斜面角を増やすと初期のつり合いからの隔たりが大きくなるので最大速さは増すが,周期は変わらない.エネルギー式 mv2/2+ks2/2−mgssin⁡α=0 からも,s=d で速さ最大と確認できる.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

距離 D だけ離れた左右の壁の間に質量 m の物体を置く.左壁とのばねは定数 k,自然長 l,右壁とのばねは定数 3k,自然長 l である.物体は滑らかな水平面を動き,ばねは伸縮ともフックの法則に従う.左壁からの位置を x とする.

  1. つり合い位置と周期を求めよ.

  2. 物体を中央 x=D/2 で静かに放すときの振幅を求めよ.壁に衝突しない範囲の D,l を考える.

距離Dの二つの壁と物体mを左のばねk,右のばね3kでつなぐ.各ばねの自然長はl,物体の位置xは左壁から測る. 距離Dの二つの壁と物体mを左のばねk,右のばね3kでつなぐ.各ばねの自然長はl,物体の位置xは左壁から測る.
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考え方 両ばねの力を同じ右向き座標で足す.自然長や壁間隔はつり合い位置に影響するが,力の傾きはばね定数の和である.

  1. F=−k(x−l)+3k(D−x−l)=−4kx+3kD−2kl.よって x0=(3D−2l)/4.X=x−x0 なら mX¨=−4kX で,T=2πm/(4k) となる.

  2. X(0)=D/2−x0=(2l−D)/4,初速度0だから A=|D−2l|/4.D=2l では初めからつり合いで振動しない.D>2l では初め右へ,D<2l では初め左へ動く.両側のばねがあるからといって,中央が必ずつり合い位置になるわけではない.

演習 3

オリジナル ★★★☆☆

長さ L の単振り子をつるした箱が,時刻0までは静止していた.小球が鉛直線から小角 θ=a で静止した瞬間に,箱が一定の上向き加速度 g で運動を始める.切り替えに速度の跳びはなく,その後も加速度は一定とする.

  1. 切り替え後の角振動数と θ(t) を求めよ.

  2. 箱から見た最下点での速さを求め,箱が静止したままの場合と比べよ.

箱の天井につるした長さLの振り子が初期角aにある.箱の上向き加速度gを橙色で示す. 箱の天井につるした長さLの振り子が初期角aにある.箱の上向き加速度gを橙色で示す.
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考え方 加速する箱から見ると下向きの慣性力が加わる.初期の位置と速度は連続だが,運動方程式は変わる.

  1. 有効な下向き加速度は g+g=2g.接線方向に mLθ¨=−2mgθ なので ω=2g/L.θ(0)=a,θ˙(0)=0 より θ=acos⁡(2g/Lt).周期は静止時の 1/2 倍である.

  2. 最下点の速さは Laω=a2gL.静止時の agL の 2 倍になる.切り替え後の箱の座標では一定の有効重力に対応するエネルギーを使えるが,実際の重力だけで作ったエネルギーを切り替え前後に保存させてはいけない.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

水平ばねの物体が x=Acos⁡ω0t,ω0=k/m で振動していた.右端 x=A に達した瞬間を新しい時刻0とし,抵抗 −bv を働かせる.γ=b/(2m)<ω0 とする.

  1. 切り替え後の x(t) を求めよ.

  2. 初めて原点を通る時刻を ω′=ω02−γ2 と逆正接で表せ.ただし,tan⁡α=c,0<α<π/2 を満たす角を α=arctan⁡c と書く(逆正接).

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考え方 減衰因子も微分すると速度に寄与する.静止から放しても単に Ae−γtcos⁡ω′t とはならない.

  1. x=e−γt(Ccos⁡ω′t+Dsin⁡ω′t) とおく.x(0)=A から C=A,v(0)=−γC+ω′D=0 より D=γA/ω′.

x=Ae−γt(cos⁡ω′t+γω′sin⁡ω′t)
  1. tan⁡ω′t=−ω′/γ で,最初の零点は第2象限にある.t={π−arctan⁡(ω′/γ)}/ω′.γ→0 の極限で t→π/(2ω0) となり,抵抗なしの四分の一周期に戻る.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

質量 m,ばね定数 k,抵抗係数 b>0 の系を角振動数 ω0=k/m の外力で駆動する.外力を十分長く加えると,変位の振幅は A になった.

  1. 必要な外力振幅 F0 を求めよ.

  2. 定常振動の1周期で抵抗が失わせるエネルギーと,Q=ω0/(2γ) を使った ΔE/(kA2/2) を求めよ.

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考え方 定常振動では外力が損失を補っている.同じ振幅の自由減衰振動が1周期で失う割合と,近似なしで同一視しない.

  1. 固有角振動数での振幅は A=F0/(bω0) なので F0=bω0A.速度は外力と同位相である.

  2. v=Aω0cos⁡ω0t より,損失は ΔE=bA2ω02T0/2=πbA2ω0.k=mω02,Q=mω0/b を使うと ΔE/(kA2/2)=2π/Q.この定常振動ではエネルギー kA2/2 は一定に保たれるので,割合が1を超えても矛盾しない.1周期に蓄積エネルギー以上の量が流入し,同量が散逸することを意味する.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

質量 m の2物体を,外側のばね k と結合ばね κ で左右の壁に結ぶ.基準角振動数を測ると ω1=Ω,ω2=3Ω であった.初め x1=a,x2=0,初速度0から放す.

  1. k,κ を求めよ.

  2. t=π/(2Ω) での位置と速度を求め,全エネルギーを初期値と比較せよ.

外側のばねkと結合ばねκの連成系で,左の物体だけをずらす.観測された基準角振動数はΩと3Ωである. 外側のばねkと結合ばねκの連成系で,左の物体だけをずらす.観測された基準角振動数はΩと3Ωである.
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考え方 基準振動数はばね定数の情報を含む.個々の物体が原点にあっても,全エネルギーが0になるとは限らない.

  1. k/m=Ω2,(k+2κ)/m=9Ω2 より k=mΩ2,κ=4mΩ2.

  2. x1=a(cos⁡Ωt+cos⁡3Ωt)/2,x2=a(cos⁡Ωt−cos⁡3Ωt)/2.指定時刻で両方0,微分して v1=aΩ,v2=−2aΩ.エネルギーは m(v12+v22)/2=5ma2Ω2/2.初めは外側のばねと結合ばねに (k+κ)a2/2=5ma2Ω2/2 が蓄えられ,同じである.

演習 7

東京大 2009 前期(改題) ★★★☆☆

鉛直なばね(定数 k)の上端に質量 m の受け皿を固定し,その上に質量 2m の小球を載せる.摩擦のない鉛直ガイドで横移動を防ぎ,両者の大きさは無視する.ばねが自然長の位置を y=0,上向きを正とする.接触したまま y=−3mg/k−A から静かに放す.

小球2mを受け皿mに載せた初期状態.破線はばねが自然長のときの受け皿の高さ. 小球2mを受け皿mに載せた初期状態.破線はばねが自然長のときの受け皿の高さ.
  1. 接触中の y(t) と小球が受ける抗力 N を求め,分離する振幅の条件を述べよ.

  2. 分離時の速さを V,分離後の時間を τ とする.両者の位置を求めよ.受け皿の単独の周期を P とすると,再衝突が 2P 後となるために必要な V,A はいくらか.途中の接触がないことは位置の差のグラフで確認してよいものとする.

  3. m=0.10kg,k=40Nm−1,g=9.8ms−2 で P,V,A を求めよ.位置の記録から,接触中の区間を見分ける基準も述べよ.

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考え方 接触中は全質量で振動し,分離は上の球を押す抗力がゼロになるときである.分離後は同じ初期位置・速度から異なる運動を始める.

  1. Ω=k/(3m) とおくと,y=−3mg/k−Acos⁡Ωt.小球の式 2my¨=N−2mg に全体の式 3my¨=−ky−3mg を代入して N=−2ky/3 を得る.したがって y=0 を上向きに通過するとき分離し,条件は A>3mg/k である.等号ではその点で速度もゼロで,有限時間の分離は起こらない.分離時には V2=Ω2[A2−(3mg/k)2].

  2. ω=k/m,P=2π/ω とおけば,受け皿と小球の位置は

y1=−gω2+gω2cos⁡ωτ+Vωsin⁡ωτ,y2=Vτ−12gτ2.

τ=2P では y1=0 なので V=gP.よって

A=gω29+12π2.

途中を確認するには s=ωτ とし,差を g/ω2 で割った D(s)=2π(s−sin⁡s)−s2/2+1−cos⁡s を描く.0<s<4π で正,s=4π でゼロとなる.小球が常に上にあり,これが最初の再衝突である.

  1. P=0.314s,V=3.08ms−1,A=0.277m.接触区間は位置も傾きも一致する有限の区間であり,単に2曲線が交わる衝突の瞬間とは区別する.この区間では y≤0 も必要である.g/ω2 は長さ,gP は速さの次元をもち,分離条件とも整合する.

演習 8

東京大 2008 前期(改題) ★★★☆☆

滑らかな水平面上の質量 m の箱を静止から出発させ,時刻 T に距離 L の地点を通過させる.到着時に停止させる必要はない.右向きの力だけを使い,0≤F(t)≤F0 とする.

上段は力Fで押す箱.下段は圧縮ばねで押す箱で,自然長の端が通過点に一致する. 上段は力Fで押す箱.下段は圧縮ばねで押す箱で,自然長の端が通過点に一致する.
  1. 一定の力を加え続ける方法と,自然長の位置が通過点となるばねを L 圧縮して放す方法について,必要な力またはばね定数,到着速度,仕事を求めよ.

  2. 力の上限のもとで実行可能となる条件と,仕事を最小にする力の時間変化を求めよ.最小になる理由も説明せよ.

  3. m=2.0kg,L=1.2m,T=2.0s,F0=3.0N で3方法の仕事を比較せよ.

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考え方 速度のグラフの面積を固定し,終速度を小さくする.負の仕事は許されないので,早く加速して長く等速で進むことが有利になる.

  1. 一定加速では F=2mL/T2,v(T)=2L/T,W=2mL2/T2.ばねでは x=L(1−cos⁡ωt) の最初の x=L が T だから,ωT=π/2.したがって k=mπ2/(4T2),v(T)=πL/(2T),W=mπ2L2/(8T2).それぞれ最大力 2mL/T2,kL が F0 以下である必要がある.

  2. a0=F0/m とすると,最大到達距離は a0T2/2.実行可能条件は F0≥2mL/T2 である.終速度 vf を固定した任意の運動で v(t)≤min(a0t,vf) だから,この上限どおりのグラフが最大の距離を与える.従って所定の距離を最小の vf で達成する方法は,時間 tc まで F0,以後ゼロとする方法である.

L=a0tc(T−tc/2),tc=T−T2−2L/a0,Wmin=12ma02tc2.
  1. 一定加速の仕事は 1.44J,ばねは 0.888J,最適法は tc=0.451s,Wmin=0.457J.各最大力は 1.20N,1.48N,3.0N で実行可能である.F0 を限りなく大きくすると vf→L/T,Wmin→mL2/(2T2) となり,速度グラフの面積からの下限に一致する.

演習 9

東京大 2007 前期(改題) ★★★☆☆

水平に張った軽い糸の両端の間隔は 2a,張力は一定の S である.中央の質量 m の小片は,糸と垂直な水平方向 x に動ける.|x|/a は十分小さいとする.小片には +x 向きに速さ U で動くベルトを押し付ける.押付け力は N,静止摩擦係数は μ で,動摩擦は無視できる模型である.相対速度ゼロで静止摩擦が足りれば,小片はベルトとともに動く.

上から見た図.小片は糸の端を結ぶ線に垂直に動く.押付け力Nは紙面に垂直. 上から見た図.小片は糸の端を結ぶ線に垂直に動く.押付け力Nは紙面に垂直.
  1. 復元力を −Kx と書き,K と角振動数 ω を求めよ.

  2. 同行から滑りに移る位置を s>0 とする.s と振幅 B,次に同行が始まる位置を求めよ.

  3. q=ωs/U とおき,一周期の時間を求めよ.必要なら,tan⁡α=c,0<α<π/2 を満たす角を α=arctan⁡c と書いてよい.N を増すと周期はどうなるか.ω=10s−1,U=0.10ms−1 で,s=0.010m とその2倍の場合を比較せよ.

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考え方 同行中は等速,滑っている間は単振動である.位置と速度をつないで,次に速度がベルトと一致する位相を探す.

  1. 左右の糸による力の和は −2Sx/a だから,K=2S/a,ω=K/m.

  2. 同行に必要な摩擦は Kx.限界 Ks=μN より s=μN/K.滑り開始を t=0 とすれば x=scos⁡ωt+(U/ω)sin⁡ωt,従って B=s2+(U/ω)2.次に x˙=U となる位置は −s であり,そこで必要な静止摩擦 −Ks は限界内なので同行に移る.

  3. α=arctan⁡q とすれば,滑りの位相の進みは 2π−2α.同行では −s から s まで 2s/U かかるので,

Tc=2π−2arctan⁡q+2qω.

dTcdq=2q2/[ω(1+q2)]>0 だから,押付け力を増すと周期は長くなる.数値は q=1,2 に対して Tc=0.671,0.807s,振幅は 0.0141,0.0224m.q→0 では周期が 2π/ω に戻る.振幅が a に比べて十分小さい範囲でこの近似を使う.

演習 10

東京大 2003 前期(改題) ★★★☆☆

滑らかな水平面で左から台車A(質量 3m),B(質量 m)を定数 k の自然長のばねで結び,Aを左の壁に接して置く.右から質量 m/3 のCが速さ u で来てBと弾性衝突する.右向きを正とし,衝突時間は振動周期より十分短いとする.

左から壁,A,ばね,B,入射するCの順に並ぶ. 左から壁,A,ばね,B,入射するCの順に並ぶ.
  1. 衝突直後のB,Cの速度,ばねの最大圧縮量,Aが壁から離れるまでの時間を求めよ.

  2. 離れた後の重心速度,相対運動の角振動数,最大伸びを求めよ.壁に接している間と離れた後で,系A+Bの保存量はどう違うか.

  3. BがCに追いつかないことを,速度の上限で確かめよ.m=0.20kg,k=20Nm−1,u=0.80ms−1 で最大圧縮量と最大伸びを評価せよ.

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考え方 最初の衝突,Aが壁に押付けられる半周期,外力のない2体振動を分ける.

  1. 運動量保存と相対速度の反転から vB=−u/2,vC=u/2.Aは圧縮ばねから左向きに押され,壁に留まる.ω=k/m とおくと最大圧縮量は u/(2ω),自然長に戻って壁から離れる時刻は td=π/ω.このとき vA=0,vB=u/2.

  2. 重心速度は V=u/8,換算質量は μr=3m/4,相対角振動数は ωr=k/μr=2ω/3.離脱後の時間を τ とすると伸びは r=[u/(2ωr)]sin⁡ωrτ で,最大伸びは 3u/(4ω).壁に接している間は外からの力積があるため運動量は保存しないが,壁の作用点は動かずエネルギーは保存する.離れた後は両方が保存する.

  3. vB=V+(3/4)r˙=u/8+(3u/8)cos⁡ωrτ≤u/2=vC.壁から離れるまでにもCとの間隔は正となり,以後縮まらない.また vA=(u/8)(1−cos⁡ωrτ)≥0 で壁への再衝突もない.最大圧縮量は 0.040m,最大伸びは 0.0346m.後者が小さいのは重心運動に残るエネルギーがあるためで,ばねのエネルギーへの全変換は起こらない.

演習 11

東京大 1999 前期(改題) ★★★☆☆

質量 M の台に半径 R の円弧レールを固定し,質量 m の小球を摩擦なく滑らせる.台も水平な床上を摩擦なく動ける.台の最下点の水平位置を X,球の地上での水平位置を x,相対変位を q=x−X とする.初め X=0,q=b から両者を静かに放し,b/R は十分小さいとする.

台Mの最下点の位置Xと球の位置xを地上から測る.初期相対変位はb. 台Mの最下点の位置Xと球の位置xを地上から測る.初期相対変位はb.
  1. 台を固定したときの周期 P0 を求めよ.

  2. 自由に動くときの周期 P と,x,X の振動中心・振幅を求めよ.

  3. m=0.30kg,R=0.40m,g=9.8ms−2 で P/P0=2/3 と測定された.台の質量と両周期を求めよ.

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考え方 小振動では球の高さは q2/(2R).水平重心が動かない条件で,運動エネルギーを相対変位だけで表す.

  1. 復元力は −mgq/R,従って P0=2πR/g.

  2. mx+MX=mb から,X=m(b−q)/(M+m),x=(mb+Mq)/(M+m).運動エネルギーの2次までの部分は μrq˙2/2,μr=mM/(m+M) である.鉛直速度の2乗は4次の微小量なので省ける.ポテンシャルは mgq2/(2R) だから

P=2πMR(M+m)g,q=bcos⁡(2πt/P).

x,X の中心はともに mb/(M+m),振幅はそれぞれ Mb/(M+m),mb/(M+m).両者は逆位相である.

  1. M/(M+m)=2/3 より M=2m=0.60kg.P0=1.27s,P=1.04s.M→∞ では台の振幅がゼロ,P→P0 となる.自由な台では相対運動の慣性が小さくなるため周期が短い.

演習 12

東京大 1994 前期(改題) ★★★☆☆

傾斜角 θ のベルト上の質量 m の小片を,斜面上方の固定端から伸びる定数 k のばねでつなぐ.伸び z は斜面下向きを正とする.ベルトは下向きに速さ U で動く.摩擦係数は静止が μ,動摩擦が μ′ である.

斜面上方の固定点と小片をばねで結ぶ.ベルトは斜面下向きに動く. 斜面上方の固定点と小片をばねで結ぶ.ベルトは斜面下向きに動く.
  1. 小片が地上に対して静止できる伸び z0 を求めよ.

  2. z=z0 で小片に下向きの速度 U を与える.ベルトと同行した後,伸び zs で滑り始めた.zs から μ を逆算する式を求め,その後の最大伸びと,z0 に初めて戻る速さを求めよ.

  3. m=0.20kg,k=20Nm−1,g=9.8ms−2,sin⁡θ=0.60,cos⁡θ=0.80,U=0.12ms−1,μ′=0.25,zs=0.098m で数値を求めよ.

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考え方 摩擦の向きは地上での速度でなくベルトに対する速度で決まる.同行中だけ静止摩擦の限界を用いる.

  1. 地上で静止した小片はベルトより遅いため,下向きに動摩擦を受ける.従って kz0=mg(sin⁡θ+μ′cos⁡θ).

  2. 同行には f=kz−mgsin⁡θ の下向き摩擦が必要で,kzs=mg(sin⁡θ+μcos⁡θ).よって μ=[kzs/(mg)−sin⁡θ]/cos⁡θ.d=zs−z0,ω=k/m とおくと,滑り始めから z−z0=dcos⁡ωt+(U/ω)sin⁡ωt.最大伸びは z0+d2+(U/ω)2,中心に戻る速さは ω2d2+U2 である.この区間では速度が U より小さいので動摩擦の向きは変わらない.

  3. z0=0.0784m,μ=0.50,d=0.0196m.最大伸びは 0.101m,中心通過の速さは 0.230ms−1.d→0 なら振幅は U/ω,通過速さは U となる.摩擦による一定力は中心を変えるが,角振動数は変えない.

演習 13

東京大 1993 前期(改題) ★★★☆☆

軽い定滑車にかけた伸びない糸で,質量 m と 2m のおもりをつなぐ.軽い側の下端を,定数 k のゴムひもで床に結ぶ.軽い側の上向き変位を x とし,ゴムが自然長になる位置をゼロとする.ゴムの張力は x>0 で kx,x≤0 でゼロである.滑車・床との衝突は起こらないものとする.

左側mの下に床へつながるゴムを付ける.右側は2m. 左側mの下に床へつながるゴムを付ける.右側は2m.
  1. つり合いの位置 a と,ゴムが張っている区間の角振動数 ω を求めよ.

  2. x=4a から静かに放す.ゴムが最初にたるむ時刻・速度,最も低い位置を求めよ.

  3. 全周期と,そのうちゴムの張力がゼロとなる時間の割合を求めよ.m=0.10kg,k=30Nm−1,g=9.8ms−2 で評価せよ.

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考え方 2つのおもりは同じ速さで動くので慣性に寄与する質量は 3m.ゴムがたるんでも,重い側が引くため等加速度運動が続く.

  1. 2つの運動方程式から糸の張力を消すと 3mx¨=mg−kx.従って a=mg/k,ω=k/(3m).

  2. 張っている間は x=a+3acos⁡ωt.cos⁡α=−1/3,0<α<π を満たす角を α とおけば,たるみ始めは t1=α/ω,速度は −8aω.その後の時間を τ とすると,x¨=g/3=aω2 だから

x=−8aωτ+12aω2τ2.

τ=8/ω で最下点 xmin=−4a に達する.同じ x=0 に戻るまでの時間は 28/ω.

  1. 張っている区間の往復は 2α/ω なので,全周期は P=(2α+28)/ω,たるむ時間の割合は 8/(α+8).数値は a=0.0327m,t1=0.191s,たるみ始めの速度は −0.924ms−1,最下点は −0.131m,P=0.948s,割合は 0.597(約60 %).糸の張力は 2m(g−x¨) である.全区間で x¨≤g/3 なので張力は 4mg/3 以上で正となり,糸の拘束と矛盾しない.時間の式の係数は無次元である.

演習 14

東京大 1985 前期(改題) ★★★☆☆

滑らかな水平面で,質量 m の台車Aが速さ u で右に進み,静止した質量 2m の台車Bに付いたばねの左端に触れる.定数 k のばねは圧縮中だけ力を伝え,自然長に戻るとAから離れる.台車本体同士は衝突しない.最初の接触を t=0 とする.

AがBの左側のばねの端に初めて触れた状態.圧縮量δは自然長から短くなった量. AがBの左側のばねの端に初めて触れた状態.圧縮量δは自然長から短くなった量.
  1. 圧縮量 δ(t),最大圧縮量,接触時間を求めよ.

  2. 接触中の各台車の速度と,離れた後の速度を求め,直接の弾性衝突と比較せよ.

  3. 最大圧縮時にばねへ蓄えられるエネルギーは入射エネルギーの何倍か.m=0.30kg,k=80Nm−1,u=0.60ms−1 で接触時間と最大圧縮量を求めよ.

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考え方 接触中の重心速度は一定で,相対運動だけがばねのエネルギーに変わる.

  1. 換算質量 μr=2m/3 を使うと μrδ¨=−kδ.ω=k/μr とおけば δ=(u/ω)sin⁡ωt で,0≤t≤π/ω に適用する.最大圧縮量は u/ω,接触時間は tc=π/ω.

  2. 重心速度は u/3,vA−vB=δ˙=ucos⁡ωt だから,

vA=u3+2u3cos⁡ωt,vB=u3−u3cos⁡ωt.

離れた後は vA=−u/3,vB=2u/3 の等速運動となる.直接の弾性衝突でも運動量保存と相対速度の反転から同じ結果を得るが,この模型では有限の接触時間が求まる.

  1. 最大のばねエネルギーは μru2/2=mu2/3,入射エネルギー mu2/2 の 2/3 である.残りは重心の運動エネルギーである.数値は ω=20s−1,tc=0.157s,最大圧縮量 0.030m.k→∞ で接触時間と圧縮量はゼロに近づくが,終速度は変わらない.

演習 15

東京大 1982 前期(改題) ★★★☆☆

質量 m のおもりを定数 k のゴムひもで天井からつるし,その静止位置を下向き座標 x=0 とする.おもりの下にも定数 k/2 のゴムを取り付け,最初は自然長で下端を保持する.上のゴムの初めの伸びは a=mg/k である.下端を下向きに b>0 動かす.ゴムは伸びているときだけ張力を生じる.

下端を初期位置からbだけ下げる操作.初期には下のゴムは自然長である. 下端を初期位置からbだけ下げる操作.初期には下のゴムは自然長である.
  1. 下端をゆっくり動かした場合のおもりの変位と仕事 Ws を求めよ.

  2. おもりが動く暇のないほど短時間に下端を b 動かす極限で,仕事 Wf を求めよ.その後下端を固定したときの x(t) を求め,Wf−Ws の行方を説明せよ.

  3. m=0.20kg,k=20Nm−1,b=0.060m で仕事の差と振動周期を求めよ.

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考え方 下端の変位を s とすると,下のゴムの伸びは s−x.操作する端の仕事と,おもりへの仕事を混同しない.

  1. 力のつり合いは −kx+(k/2)(s−x)=0,従って x=s/3.手が引く力は (k/2)(s−x)=ks/3 だから,Ws=∫0b(ks/3)ds=kb2/6.最終変位は b/3.

  2. 急操作中は x=0 とみなせるので Wf=∫0b(ks/2)ds=kb2/4.固定後は mx¨=−(3k/2)(x−b/3) より,ω=3k/(2m),x=(b/3)(1−cos⁡ωt).範囲は 0≤x≤2b/3 で,下のゴムの伸びは少なくとも b/3>0,上も常に伸びている.従って区間途中で式を切り替える必要はない.振動エネルギーは (1/2)(3k/2)(b/3)2=kb2/12=Wf−Ws である.

  3. Ws=0.012J,Wf=0.018J,差は 0.0060J,周期は 0.513s.b→0 で仕事も振幅もゼロとなる.急操作をしても,質量ゼロのゴムに有限の伸びを与えるこの極限では,おもりの速度に瞬間的な跳びはない.

演習 16

東京大 1981 前期(改題) ★★★☆☆

粗い水平面上の質量 m の物体を定数 k のばねで壁につなぐ.自然長からの伸びを x とする.静かに放す実験では |x|≤d なら止まり続け,|x|>d なら動き始めた.別の実験で x0=4.2d から放すと,最初に速度がゼロになる位置は x1=−3.0d であった.

初期位置4.2dから左へ動き,最初の速度ゼロは−3.0dで観測された. 初期位置4.2dから左へ動き,最初の速度ゼロは−3.0dで観測された.
  1. 静止・動摩擦係数 μ,μ′ を求めよ.

  2. その後の速度ゼロの位置を順に求め,何回目で止まり続けるかを述べよ.初期時刻は回数に含めない.

  3. 停止までの時間と全行程を求めよ.m=0.50kg,k=50Nm−1,d=0.020m,g=9.8ms−2 で評価せよ.

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考え方 滑っている間の中心は動摩擦でずれ,速度ゼロの瞬間ごとに静止摩擦が支えられるかを調べる.

  1. 静止の限界から μ=kd/(mg).初めの半往復のエネルギー収支は k(x02−x12)/2=μ′mg(x0−x1) だから,μ′mg/k=(x0+x1)/2=0.60d,従って μ′=0.60μ.

  2. 左向きに滑る区間の振動中心は +0.60d,右向きなら −0.60d.中心に関して出発点を反転すると次の速度ゼロの位置になる.従って x1=−3.0d,x2=1.8d,x3=−0.60d.最後は |x3|<d なので,3回目で止まり続ける.それ以前は静止摩擦の限界を超える.

  3. 各区間は πm/k かかるため,全時間は 3πm/k.全行程は (7.2+4.8+2.4)d=14.4d である.数値は μ=0.204,μ′=0.122,時間 0.942s,全行程 0.288m.μ′mgL=k(x02−x32)/2 でも同じ行程となる.静止後には kx32/2 のばねエネルギーが残り,全てが摩擦熱になるわけではない.