問いしるべ
問いから始める物理 振動

振動

連成振動の演習

著者:柚木芹香

同じ向きの座標軸で各物体の変位を書き,結合ばねの伸びを確かめてください.和と差で分けた運動を,最後に個々の物体の位置と速度へ戻しましょう.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

左右の壁と質量 m の2物体を外側のばね k でつなぎ,物体間をばね κ でつなぐ.つり合いではどのばねも自然長であり,変位 x1,x2 はともに右向きを正とする.

  1. x1=a,x2=a と x1=a,x2=−a の各場合に,結合ばねの伸びを求めよ.

  2. 同位相と逆位相の基準角振動数を求めよ.

同じ質量mの二つの物体と三本のばね.外側はk,中央はκ.変位x₁とx₂はともに右向きを正とする. 同じ質量mの二つの物体と三本のばね.外側はk,中央はκ.変位x₁とx₂はともに右向きを正とする.
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考え方 結合ばねの右端の変位から左端の変位を引く.左端だけが右へ動けば,結合ばねは短くなる.

  1. 伸びは x2−x1 なので,同位相では0,逆位相では −2a である.負の伸びは圧縮を意味する.結合ばねが物体1に及ぼす力は κ(x2−x1),物体2への力はその反対になる.

  2. 同位相では結合ばねの力が0だから mx¨1=−kx1,ω1=k/m.逆位相では x2=−x1 を代入して mx¨1=−(k+2κ)x1,ω2=(k+2κ)/m.逆位相では結合ばねも変形するので,振動数は大きくなる.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

演習1の系で m=0.50kg,k=8.0Nm−1,κ=5.0Nm−1 とする.x1(0)=a,x2(0)=−a,両物体の初速度0で放す.

  1. q+=x1+x2,q−=x1−x2 の初期条件と時間変化を求めよ.

  2. 各物体の位置と,初めて両方がつり合い位置を通る時刻を求めよ.

三本ばねの系で,左の物体は基準位置から右へa,右の物体は左へaずらされている.初速度はともに0である. 三本ばねの系で,左の物体は基準位置から右へa,右の物体は左へaずらされている.初速度はともに0である.
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考え方 位置だけでなく速度の和と差も初期条件に含める.一方の基準振動だけを励起すれば,2つの振動数の混合は起こらない.

  1. ω1=4.0rads−1,ω2=6.0rads−1.初期条件は q+(0)=0,q˙+(0)=0,q−(0)=2a,q˙−(0)=0.したがって q+=0,q−=2acos⁡6t となる.

  2. x1=(q++q−)/2=acos⁡6t,x2=(q+−q−)/2=−acos⁡6t.最初の同時通過は 6t=π/2,すなわち t=π/12≈0.26s.このとき変位はともに0だが,速度は −6a と +6a であり,静止したわけではない.全エネルギーが運動エネルギーになっている.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

演習1の系をすべてつり合い位置に置き,時刻0に物体1だけへ右向きの短い力積 J を加える.力積中の変位は無視できる.

  1. q+,q− の初速度を求めよ.

  2. ω1=k/m,ω2=(k+2κ)/m を使って x1(t),x2(t) を求めよ.結合を0にした極限も調べよ.

三本ばねの系がつり合い位置にあるとき,左の物体だけに右向きの力積Jを加える.赤矢印は力積を表す. 三本ばねの系がつり合い位置にあるとき,左の物体だけに右向きの力積Jを加える.赤矢印は力積を表す.
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考え方 初めに片方だけへ速度を与える操作も,同位相と逆位相の両方の運動を含む.正弦型の解を重ねる.

  1. 運動量変化から v1(0)=J/m,v2(0)=0.したがって q˙+(0)=q˙−(0)=J/m で,初期位置は両方0である.

  2. q+=Jsin⁡ω1t/(mω1),q−=Jsin⁡ω2t/(mω2) なので

x1=J2m(sin⁡ω1tω1+sin⁡ω2tω2),x2=J2m(sin⁡ω1tω1−sin⁡ω2tω2)

である.κ→0 では両角振動数が ω=k/m に一致し,x1=Jsin⁡ωt/(mω),x2=0 となる.結合がなければ運動が他方へ伝わらないことを確かめられる.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

演習1の系で x1(0)=a,x2(0)=0,初速度はともに0とする.ω¯=(ω1+ω2)/2,Δ=(ω2−ω1)/2>0 とおく.

  1. 解を積の形に直せ.

  2. x1 の包絡因子が初めて0になる時刻 t∗ と,その瞬間の x1,v1 を求めよ.この時刻に必ず物体1が静止するか.

左の物体だけを右へaずらし,右の物体をつり合い位置に保つ.両物体を同時に静かに放す初期状態である. 左の物体だけを右へaずらし,右の物体をつり合い位置に保つ.両物体を同時に静かに放す初期状態である.
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考え方 変位の包絡因子が0でも,その因子の時間微分は0とは限らない.積を微分して速度を確かめる.

  1. q+=acos⁡ω1t,q−=acos⁡ω2t だから,和積の公式より x1=acos⁡Δtcos⁡ω¯t,x2=asin⁡Δtsin⁡ω¯t である.

  2. Δt∗=π/2 より t∗=π/(2Δ)=π/(ω2−ω1).x1(t∗)=0 だが,微分すると v1(t∗)=−aΔcos⁡ω¯t∗ で一般には0ではない.また x2(t∗)=asin⁡ω¯t∗ で,瞬間の変位が必ず a になるわけでもない.弱結合で Δ/ω¯ が小さいと,残る速度は通常の速度尺度 aω¯ に比べて小さい.そこで「ほぼ静まる」と表現できるが,包絡線と実際の軌道は区別が必要である.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

壁につながれていない質量 m と 2m の2物体を,自然長 l0,ばね定数 κ のばねで結ぶ.水平な一直線上で抵抗なく動き,位置は x1<x2 とする.

  1. 重心 R=(x1+2x2)/3 と伸び r=x2−x1−l0 の運動方程式を求めよ.

  2. 重心が静止し,初めの伸びが a,相対速度が0のとき,r(t) と各物体の振幅を求めよ.

質量mと2mの物体を自然長l₀のばねκで結ぶ.壁はなく,位置x₁とx₂は同じ右向きの座標で測る. 質量mと2mの物体を自然長l₀のばねκで結ぶ.壁はなく,位置x₁とx₂は同じ右向きの座標で測る.
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考え方 質量が違う場合,単純な位置の和ではなく質量を重みにした重心を使う.内力は重心運動を変えない.

  1. mx¨1=κr,2mx¨2=−κr.加えると 3mR¨=0.加速度の差をとると r¨=−3κr/(2m) となる.重心は等速で,伸びは角振動数 Ω=3κ/(2m) の単振動である.

  2. r=acos⁡Ωt.x1=R−2(l0+r)/3,x2=R+(l0+r)/3 だから,各つり合い位置からの変位は −2acos⁡Ωt/3 と acos⁡Ωt/3.振幅は 2a/3 と a/3 で,軽い方が大きく動く.位置の平均は振動しても重心は固定され,両物体の運動量は常に打ち消し合う.

ポイント 教える人へ

  • 結合ばねの伸びの符号を,両端の変位から決めさせる.

  • 和と差の初期位置だけでなく初速度も書かせる.

  • 包絡線が0になることと,瞬間の速度が0になることを分ける.

  • 質量が異なる場合は重心と相対座標を使う理由を問う.