問いしるべ
問いから始める物理 振動

振動

第7章の発展問題

著者:柚木芹香

★4・★5の発展問題で,周期を決める積分,空間的に変わる復元力,共鳴,移動する装置や反復衝突を扱います.モデルと近似の次数を示し,運動が切り替わる瞬間の位置・速度・力を区別して,公式を導くところから取り組んでください.特に断らない限り,ばね・糸・滑車の質量,空気抵抗,摩擦は無視します.

演習 1

オリジナル ★★★★☆

長さ L の単振り子を,鉛直から角 0<θ0<π だけ傾けて静かに放す.抵抗はない.

  1. エネルギー保存から周期の積分表示を導け.

  2. q=sin⁡(θ0/2),sin⁡(θ/2)=qsin⁡u と変数変換し,θ0 の2次までの補正 T≈T0(1+θ02/16) を導け.T0=2πL/g とする.2倍角の公式 cos⁡θ=1−2sin2⁡(θ/2),|z| が1より十分小さいときの (1−z)−1/2≈1+z2,∫0π/2sin2⁡udu=π4 を使ってよい.

  3. 振れ角3°,10°での周期増加率を求めよ.角度は計算時にradへ直す.

長さLの振り子について転回角θ₀と途中の角θを示す.高さの基準を最下点に置く.周期補正の結果は示さない. 長さLの振り子について転回角θ₀と途中の角θを示す.高さの基準を最下点に置く.周期補正の結果は示さない.
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考え方 転回点で速度が0になるため,そのままの積分を展開すると端点の扱いが難しい.変数変換で積分区間を固定してから展開する.

  1. mL2θ˙2/2=mgL(cos⁡θ−cos⁡θ0) より

T=4L2g∫0θ0dθcos⁡θ−cos⁡θ0

となる.係数4は,最下点から一方の転回点までが全周期の四分の一であることによる.

  1. cos⁡θ−cos⁡θ0=2q2cos2⁡u,dθ=2qcos⁡udu/1−q2sin2⁡u.したがって

T=4Lg∫0π/2du1−q2sin2⁡u

である.(1−z)−1/2=1+z/2+⋯,∫0π/2sin2⁡udu=π/4 を使い,T=T0(1+q2/4+⋯).q2=θ02/4 に4次以上の項を足したものだから,T≈T0(1+θ02/16) を得る.振れ角が大きいほど周期は増すが,この打ち切り式の適用は θ0 が十分小さい範囲である.

  1. 3°は π/60rad で,θ02/16≈0.0001713,約0.017 %.10°は π/18rad で,約0.001904,すなわち0.19 %である.力の小角近似の誤差 θ02/6 と周期の誤差は係数が異なる.

演習 2

オリジナル ★★★★☆

半径 R,一様密度の自転しない球形の地球を考える.地表の重力加速度は g である.中心から距離 d<R のところを通る直線状の細いトンネルを掘り,入口から物体を静かに放す.トンネルは滑らかで物体を直線上に拘束し,空気抵抗はない.球対称な殻の内側でその殻の重力は0であることを使ってよい.

  1. トンネルの中点から測る座標 s の運動方程式を導け.

  2. 反対側の地表へ達する時間と最大速さを求めよ.直径を通る場合と比べよ.

半径Rの球を弦に沿って貫くトンネル.中心Oとトンネル中点Hの距離がdで,中点から入口に向かって座標sを測る. 半径Rの球を弦に沿って貫くトンネル.中心Oとトンネル中点Hの距離がdで,中点から入口に向かって座標sを測る.
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考え方 内部の重力の大きさは中心からの距離に比例する.そのトンネル方向成分だけが加速に寄与する.

  1. 地球の質量を M とすると,半径 r 内の質量は Mr3/R3.内部の重力加速度は −GMr/R3=−(g/R)r.トンネル方向へ射影して s¨=−(g/R)s を得る.垂直方向の力は案内の抗力が打ち消す.

  2. 半弦長は a=R2−d2.s=acos⁡ωt,ω=g/R と書けるから,反対側への時間は半周期 πR/g で d によらない.最大速さは中点で aω=g(R2−d2)/R.直径の場合の gR より小さい.R=6.4×106m,g=9.8ms−2 なら所要時間は約 2.54×103s,約42分である.実際の地球の密度分布にはこの一様密度モデルをそのまま当てはめられない.

演習 3

オリジナル ★★★★☆

自由な弱減衰系で,隣り合う同方向の転回点の変位の大きさを an,an+1 とする.ω0=k/m,γ=b/(2m)<ω0,Q=ω0/(2γ) とする.

  1. 対数減衰率 Λ=ln⁡(an/an+1) を求め,Q を Λ で表せ.

  2. 転回点から次の同方向転回点までのエネルギー損失割合を求め,弱い抵抗で 2π/Q になることを示せ.

  3. Q=20 で厳密値と近似値を比較せよ.

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考え方 転回点では速度が0なのでエネルギーは変位の2乗で決まる.同方向の転回点の間隔は減衰周期である.

  1. T′=2π/ω02−γ2 だから Λ=γT′=π/Q2−1/4.逆に Q=(π/Λ)2+1/4.弱い抵抗なら Q≈π/Λ である.

  2. En=kan2/2 より En+1/En=e−2Λ.損失割合は 1−e−2Λ である.Q が十分大きい場合,Λ≈π/Q,1−e−2Λ≈2Λ なので 2π/Q を得る.近似には1周期での損失が小さいことが必要となる.

  3. Λ=π/399.75≈0.15713,厳密値は 1−e−0.31426≈0.2697,約27.0 %.近似値は 2π/20≈0.3142,約31.4 %である.周期の変化が小さくても,指数関数を1次で打ち切る誤差は無視できるとは限らない.

演習 4

東京大 2000 後期(改題) ★★★★☆

右上がりで傾斜角 θ の長い斜面の上方に,水平レールを設ける.質量を無視できる台車から,鉛直方向だけに伸縮する定数 k のばねを下げ,先端に質量 m の小球を固定する.ガイドも質量を無視でき,ばねは鉛直な力だけを小球に伝える.台車は小球と同じ水平位置を保つ.小球が重力とばね力だけでつり合う高さを y=0 とし,この水平線と斜面の交点を原点に,地上の右向きを x,上向きを y とする.

初め台車を固定し,斜面上の y=A>0 に小球を静止させる.時刻ゼロで固定を外する.斜面とレールは十分長く,球は床や装置の端に当たらないとする.

初めは小球が斜面上の高さAにあり,台車を固定している.ばねは常に鉛直. 初めは小球が斜面上の高さAにあり,台車を固定している.ばねは常に鉛直.
  1. 斜面に接している間の y(t) と抗力 N(t) を求め,離脱時刻を求めよ.

  2. 離脱時の水平・鉛直速度を求め,離脱後の位置を表せ.ばねは離脱後も小球につながっている.

  3. 再び斜面に触れるかを判定し,鉛直位置の時間グラフの接続の特徴を述べよ.m=0.20kg,k=20Nm−1,A=0.12m,sin⁡θ=0.60,cos⁡θ=0.80 で,離脱時刻・速度・離脱後の鉛直振幅を求めよ.

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考え方 重力とばね力の和を,つり合い高さから測って −ky と書く.斜面の抗力は引くことができないので,接触解の抗力がゼロになるところで自由な運動へ切り替える.

  1. 斜面上向きの距離を s とすれば y=ssin⁡θ.接線方向の式は ms¨=−kysin⁡θ である.従って ω=k/m とおくと y¨=−ω2sin2⁡θy,初期条件から

y=Acos⁡(ωsin⁡θt),N=kycos⁡θ.

法線方向には直線斜面のため加速度がなく,上式の N が必要になる.0<θ<π/2 では,初めて y=0 に達する

td=π2ωsin⁡θ

で離脱する.その先まで接触解を延ばすと N<0 を要求するので許されない.

  1. 接触中は x=ycot⁡θ だから,離脱時の速度は vx=−Aωcos⁡θ,vy=−Aωsin⁡θ.位置は原点であり,離脱後の時間を τ=t−td とすると,

x=−Aωcos⁡θτ,y=−Asin⁡θsin⁡ωτ.

水平方向には力がなく,鉛直方向では my¨=−ky が続く.放物運動にしてしまうと,接続されたばねの力を落としてしまう.

  1. 小球の鉛直位置と,同じ x にある斜面の高さとの差は

y−xtan⁡θ=Asin⁡θ(ωτ−sin⁡ωτ).

z>0 では z−sin⁡z>0 だから,離脱後は常に斜面より上にあり,再接触しない.鉛直位置のグラフは最初の余弦の4分の1周期から,振幅 Asin⁡θ,角振動数 ω の正弦曲線につながる.接続点で位置・速度は連続し,加速度も両側でゼロである.

数値は td=0.262s,vx=−0.96ms−1,vy=−0.72ms−1,鉛直振幅 0.072m.離脱時の全運動エネルギーは mA2ω2/2=kA2/2 で初期の振動エネルギーに等しい.離脱後も水平と鉛直のエネルギーの和がこの値を保つ.θ→0 で離脱までの時間が発散するのは,水平面では接線方向の復元力がなくなるためである.

演習 5

東京大 2003 後期(改題) ★★★★☆

水平な搬送台の位置を X(t) とする.台には質量 M の枠を固定し,その中で質量 m の測定子が摩擦なく水平に動く.枠と測定子を定数 k のばねで結び,ばねの自然長からの右向きの変位を q とする.地上から見た測定子の位置は,定数の位置差を除いて X+q である.t=0 では全て静止し q=0 である.

搬送台の加速度を,0<t<H で a>0,H<t<2H でゼロ,t>2H で再び a とする.ω=k/m,H=π/ω とし,切替時に台の速度は連続とする.

枠Mの中の測定子mとばねを示す.下段は台に指定した加速度であり,測定結果ではない. 枠Mの中の測定子mとばねを示す.下段は台に指定した加速度であり,測定結果ではない.
  1. 地上での運動方程式から q の式を導き,0≤t≤3H の記録 q(t) を求めよ.記録から台の加速度を復元する式も示せ.

  2. 台の速度を全区間で表し,t=3H までの移動距離を求めよ.

  3. 最初の区間で,台が加速度計全体(枠・測定子・ばね)にした仕事を求めよ.枠を固定せず摩擦だけで載せる場合,最初の区間で滑らない静止摩擦係数の条件を求めよ.

  4. m=0.10kg,M=0.30kg,k=10Nm−1,a=0.50ms−2,g=9.8ms−2 で,H,移動距離,仕事,摩擦係数の下限を求めよ.

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考え方 測定子の地上加速度は X¨+q¨ である.台の加速度が切り替わっても,ばねの伸びと測定子の相対速度は連続する.仕事は地上での全エネルギーの増加と照合する.

  1. 測定子に働く水平力は −kq だけなので m(X¨+q¨)=−kq.従って

q¨+ω2q=−X¨,X¨=−q¨−ω2q.

慣性力という新しい力を持ち込まず,地上の式から導ける.c=a/ω2 とすると,最初の区間は q=−c(1−cos⁡ωt).t=H では q=−2c,q˙=0 である.第二の区間で s=t−H とおけば q=−2ccos⁡ωs.t=2H では q=2c,q˙=0.第三の区間で r=t−2H とおけば q=−c+3ccos⁡ωr.単なる振幅ではなく,中心と相対加速度の両方から台の加速度を読む必要がある.

  1. 速度は順に at,aH,aH+a(t−2H) である.各区間の距離は aH2/2,aH2,3aH2/2 だから,全距離は 3aH2=3π2a/ω2.速度は常に非負なので変位と道のりは等しい.

  2. 台が枠に及ぼす力を F とすると,枠の式は Ma=F+kq,従って F=Ma−kq.最初の区間では F=(M+m)a−macos⁡ωt である.台の仕事は作用点である枠の速度 at を用いて

W=∫0HFatdt=12(M+m)a2H2+2ma2ω2.

終点では枠も測定子も速度 aH,ばねの伸びは −2a/ω2.運動エネルギーとばねエネルギーの和からも同じ値が得られる.後の項を落とすと,測定子が内部に蓄えるエネルギーを見逃す.

固定を外しても同じ運動をするには,床と枠の間の摩擦がこの F を供給できればよい.F の最大値は (M+2m)a,床の抗力は (M+m)g なので,条件は μ≥(M+2m)a/[(M+m)g].これは最初の区間だけの条件である.

  1. H=0.314s,全距離 0.148m,仕事 0.00543J,μ≥0.0638.c=0.0050m なので記録の振幅は順に 0.0050,0.010,0.015m である.仕事の各項は質量×速さの2乗の次元をもち,a→0 なら振動・移動・仕事が全てゼロになる.

演習 6

東京大 2004 後期(改題) ★★★★☆

下り階段に沿って,質量 3m の水平な小板を,定数 k の鉛直ばねで支える.隣の板との水平間隔は w,つり合い位置の高さの差は h である.各板は鉛直にだけ動く.板は十分狭く,球は板の中心でだけ瞬間的に衝突するものとする.球と板の衝突は鉛直方向に弾性衝突であり,水平速度は変化しない.球の大きさは無視する.

まず質量 m の球Aを投射し,静止した各板に同じ入射鉛直速度 −v で衝突しながら下らせる.その後,質量 ηm の球Bを逆向きに投射し,振動中の各板からエネルギーを受け取って上らせることを考える.Bは各板に同じ振動位相で当たり,各衝突直前のBの鉛直速度も同じとする.

板のつり合い位置を描く.Aは右下へ進み,その後Bが左上へ進む. 板のつり合い位置を描く.Aは右下へ進み,その後Bが左上へ進む.
  1. 各板にAが与えるエネルギーから,Bが上り続けられるための η の必要条件を予測せよ.

  2. Aの入射速さ v,衝突間隔 Δ,水平速度,板の振動振幅を求めよ.

  3. Bの衝突間隔を T とする.同じ位相で当たるための T の条件,Bの衝突前後の鉛直速度,衝突直前に板が持つべき速度 U を求めよ.振動板がその速度をとれる条件も述べよ.

  4. m=0.10kg,h=0.15m,w=0.30m,g=9.8ms−2,η=1/2 とする.板の周期を P=2Δ とする k を選び,T=Δ で上る運動が可能かを位相まで含めて確かめよ.

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考え方 球が一段進む間のエネルギー収支,瞬間的な弾性衝突,板の振動位相を別々に調べ,最後に同時に満たせるかを確かめる.必要なエネルギーがあるだけでは位相条件までは保証されない.

  1. Aは毎回同じ速度で入射するので,一段下る間に減る重力のエネルギー mgh を,各板に渡している.Bは一段につき ηmgh を得なければならない.各板に蓄えられた振動エネルギーを全て受け取っても mgh なので,必要条件は η≤1 である.これは十分条件とは限らない.

  2. Aの衝突直後の鉛直速度は v/2,板は −v/2.次の衝突までに高さが h 下がるから v2=(v/2)2+2gh,従って

v=8gh3,Δ=3v2g=6hg,u=wΔ.

ω=k/(3m) とおく.板はつり合い位置で初速 −d,d=v/2 を受けるので,Aの通過からの時間を s として変位 z=−(d/ω)sin⁡ωs,速度 −dcos⁡ωs,振幅 d/ω.振動エネルギーは 3md2/2=mgh で,(1)の収支と一致する.

  1. Aが上の板から下の板へ進むのに Δ,Bが下の板から上の板へ進むのに T かかる.したがってBが出会う板の「Aの通過からの経過時間」は一段ごとに T+Δ 増える.同じ位相の条件は

T+Δ=jP,P=2πω,j=1,2,…,T>0.

同じ位相なら板の変位も同じなので,衝突点間の高さの差はやはり h.Bの衝突前後の鉛直速度を b−,b+ とすると,b−=b+−gT,h=b+T−gT2/2.従って b−=h/T−gT/2,b+=h/T+gT/2.水平速度は上り向きに大きさ w/T である.

弾性衝突の式 b+=[(η−3)b−+6U]/(η+3) に代入すると

U=hT+ηgT6,U後=hT−ηgT6.

U>0 だから板は上昇中でなければならない.実現には U≤d が必要で,この不等式を満たせば −dcos⁡ϕ=U の位相を選べる.また U−b−=gT(η+3)/6>0 なので板が下から球に近づく衝突となる.板から失われる運動エネルギーは (3m/2)(U2−U後2)=ηmgh.衝突の瞬間には位置は変わらず,ばねのエネルギーも変わらない.

  1. Δ=0.303s,v=1.98ms−1,d=0.990ms−1,u=0.990ms−1.P=2Δ にするには k=3m(π/Δ)2=32.2Nm−1.板の振幅は 0.0955m.T=Δ は j=1 の位相条件を満たす.h=gΔ2/6 から U=gΔ/4=0.742ms−1=(3/4)d で,必要な速度を実現できる.例えば cos⁡ϕ=−3/4 を満たす位相 ϕ≈2.42rad に当たるよう,Bの投射時刻と位置を選べばよい.全ての板に同じ位相で当たる.

Bは b−=−0.990ms−1 で入射し,b+=1.98ms−1 で上昇する.選んだ位相での板の変位は −0.0632m だが,隣の板でも同じなので段差は変わらない.板は球の通過先以外では十分狭いという仮定を使っている.U の2項はいずれも速さの次元で,Bが得るエネルギー 0.0735J はAが残す 0.147J より小さい.エネルギー条件と位相条件がともに満たされた.

演習 7

オリジナル ★★★★★

質量 m の浮ひょうが密度 ρ の液体に鉛直に浮く.つり合い時の水面を原点とし,浮ひょうに固定した上向き座標 z で,水面近くの断面積は S(z)=S0(1+αz) とする.液面は十分広く,抵抗と液体の慣性を無視し,案内で傾きを防ぐ.下向き変位を y とする.

  1. 浮力の変化と運動方程式を,y2 の項まで求めよ.

  2. 先頭の小振動周期を求めよ.さらに振幅尺度 a に対し |α|a が十分小さいとき,y=acos⁡ω0t+αa2(C+Dcos⁡2ω0t) の形を代入し,C,D を決めよ.基本振動の余弦・正弦の追加項は a と時刻原点へ吸収する.

  3. 周期平均した位置がつり合い位置からずれる理由を説明せよ.

水面近くで上ほど太くなる浮ひょう.つり合い水面の断面積S₀,物体に固定した上向き座標z,下向き変位yを示す. 水面近くで上ほど太くなる浮ひょう.つり合い水面の断面積S₀,物体に固定した上向き座標z,下向き変位yを示す.
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考え方 押し下げると新たに沈む部分の断面積を積分する.復元力の非対称性は,基本振動に平均変位と2倍の周波数成分を生む.

  1. 水面が物体座標で z=y に移るので,排除体積の増分は ∫0yS(z)dz=S0(y+αy2/2).つり合い時の浮力は mg だから

my¨=−ρgS0(y+αy22)

である.負の y に対しても同じ符号付き積分が使える.

  1. ω02=ρgS0/m,T0=2πm/(ρgS0).式を y¨+ω02y=−αω02y2/2 とし,右辺には先頭解だけを入れる.右辺は −αω02a2(1+cos⁡2ω0t)/4.左辺の補正項は αa2ω02(C−3Dcos⁡2ω0t) なので C=−1/4,D=1/12 となる.この次数では基本周波数の補正は必要ない.

  2. 平均は ⟨y⟩=−αa2/4.α>0 なら下へ押した側で復元力が強くなるため,運動は上側に偏る.平均の運動方程式からも ⟨y⟩+α⟨y2⟩/2=0,⟨y2⟩≈a2/2 として同じ結果になる.断面積の式が有効な範囲を往復し,常に S(z)>0 であることが必要である.

演習 8

オリジナル ★★★★★

mx¨+bx˙+kx=F0cos⁡ωt の定常振動について,b>0,ω>0 とする.ω0=k/m,γ=b/(2m) を使う.

  1. 吸収される平均仕事率 P(ω) を求め,最大となる角振動数を示せ.

  2. P が最大値の半分になる2つの正の角振動数 ω−,ω+ を求め,幅 Δω=ω+−ω− と Q の関係を導け.

  3. 変位振幅の最大点と比べ,幅を「振幅が半分になる幅」と呼べない理由を述べよ.

物体mをばねkと抵抗装置bにつなぎ,外力F₀ cos ωtの角振動数ωを変える.応答曲線や共鳴幅の解答は図示しない. 物体mをばねkと抵抗装置bにつなぎ,外力F₀ cos ωtの角振動数ωを変える.応答曲線や共鳴幅の解答は図示しない.
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考え方 定常状態で吸収仕事率は抵抗の散逸率と等しい.変位ではなく速度の2乗を平均すると,幅の定義を厳密に扱える.

  1. 変位振幅 A=F0/(k−mω2)2+b2ω2 より

P=12bω2A2=F022b4γ2ω2(ω02−ω2)2+4γ2ω2

である.最後の分数は1以下で,ω=ω0 のとき1だから Pmax=F02/(2b).

  1. 半値条件は (ω02−ω2)2=4γ2ω2.低い方では ω02−ω−2=2γω−,高い方では ω+2−ω02=2γω+ なので

ω−=ω02+γ2−γ,ω+=ω02+γ2+γ

となる.従って Δω=2γ,Q=ω0/Δω がこの仕事率の半値全幅について厳密に成り立つ.両端の幾何平均は ω0 だが,算術平均はそれより大きい.

  1. 変位の最大点は ωr=ω02−2γ2 で,これは ω02>2γ2 のときだけ正の値をもつ.仕事率の半値は速度振幅の 1/2 倍に対応する.弱い抵抗で共鳴付近の ω をほぼ一定とみなす場合に限り,変位振幅の 1/2 倍の幅にも近似できる.変位振幅が半分となる幅は別の量である.