回転と剛体
第8章の章末問題
著者:柚木芹香
力の
演習 1
同じ速さ
大小の車輪と,リム半径R,ハブ半径a,進行速度vを示す.
滑らずに
転がる 車輪の,車軸まわりの 角運動量を 求めよ. A,Bそれぞれの
角運動量の 範囲を 数値で 評価し,小径車輪は 角速度が 大きいから 角 運動量も 大きい,と いう 説明を 検討せよ.
解答を見る
考え方 質量の
, より,
これは
なので は とともに増える.Aは 〜 ,Bは 〜 である.Bの角速度は ,Aは約 だが,慣性モーメントの減少の 方が 効く. なら となり,次元も 質量×長さ²÷時間で 正しい.
演習 2
質量
鉛直下向きの
安定位置の まわりの 微小 振動の 周期を 求めよ. 棒を
水平に して 静かに 放した とき,鉛直下向きを 通過する 角速度を 求めよ.
Oを支点とする棒M,lと下端の小球m.水平の初期位置を破線,鉛直下向きの位置を実線で示す.
解答を見る
考え方 慣性モーメントと
軸の
まわりの .鉛直からの角を とすると .微小角で線形化して . では一様棒, では長さ の単振り子の 周期へ 近づく. 棒の
重心は ,小球は 下がる.したがって より .この計算は 大角度でも 成り 立ち,微小 振動の 近似を 使っていない.軸の 反力の 作用点は 動かず,仕事は0である.
演習 3
滑らかな
破断までの
時間と 回転角を 求めよ. 破断までに
力 がした 仕事を 求め,運動エネルギーの 変化と 比べよ.
Oを中心とする半径rの円,小球m,接線方向の力Fと初速度v₀を描く.
解答を見る
考え方 接線方向の
から .半径方向では なので,破断時の速さは .よって .回転角は である.与えられた初期条件に より 時間と 角度は 正に なる. 力は
移動方向に 沿うので .運動エネルギーの増加と 一致する.破断前の 張力は 変位に 垂直で 仕事を しない.破断した後は 円軌道の 拘束が 消えるので,この 式を そのまま 使って 円運動を 延長してはいけない.
演習 4
質量
床と
壁から 受ける 力を 求めよ. 許される
の範囲を 求め,人が 下端に いても 立て かけられない 条件,上端まで 登れる 条件を 分けて 述べよ.
壁と床にはしごを立てかけ,下端Aからsの位置に人2Mを置く.全長lと角θを示す.
解答を見る
考え方 下端Aの
床の
垂直抗力は .壁の力を とすると, だから .床の摩擦力は 壁へ 向かい,大きさ である. より .これと の共通範囲が 答えである. なら下端でも 不可能, なら右辺が 登れる 限界, なら上端まで 可能である.等号の 状態は 滑り出す直前の 限界を 含む.
演習 5
半径
付着直後の
角速度を 求めよ. 水平
運動と 回転に 関する 運動エネルギーの 損失を 求めよ.鉛直方向の 衝突損失は 数えない.
回転する水平円板を上から見た図と,縁へ鉛直に落ちる粘土mの側面小図を示す.
解答を見る
考え方 保存するのは
軸の
反力と 鉛直力は 軸まわりの トルクを 与えない.したがって より .軸には外力の 力積が 働くので,全水平 運動量の 保存を 仮定する 必要は ない. 初めの
対象エネルギーは ,最後は .差は である.付着の過程は 非弾性であり,角運動量が 保存しても 運動エネルギーは 保存しない.落下高さが 与えられていないため,鉛直 運動の 損失まで 含む総損失は 決められない.
演習 6
半径
を で表せ. 質量が
すべて 軸から 距離 以下にある 場合,測定値が 満た すべき範囲と,必要な 静止摩擦係数を 求めよ.
傾きθの斜面に車輪M,Rを描き,静止から測る走行距離sを寸法線で示す.
解答を見る
考え方 加速度は
と合わせて .質量と半径の 絶対値を 知らなくても,質量分布を 表す無次元量 が求まる. より .したがって .下限は質量が 軸に 集中する 理想的な 極限である.必要な 摩擦は , より .測定が範囲外なら,滑り,転がり抵抗,初速度などの 仮定を 見直すべきであり,負の を物性と して 採用してはいけない.
演習 7
長さ
右支持具が
水平な管のA,D,重心G,C,Bと支持具,およびAを軸に回す実験を示す.
と重心位置 を測定距離から 求めよ. Aまわりの
慣性モーメントを 全質量で 割った 量 を求め,小球の 位置を 復元せよ.
解答を見る
考え方 支持具の
最初の
交代時に で,モーメントのつり合いから である.したがって .次の交代時には だから, .両式より
後の
重心の
落下距離は なので .よって . と を使い, とおけば,
計算すると
演習 8
半径
球殻の子午面と緯度λ,射出地点の位置ベクトル,紙面に垂直な東向きの力積を示す.
射出直後の
球殻の 角運動量の 成分と,回転軸の傾き を求めよ. とする. , , , , で評価し,赤道と 北極から 射出する 場合と 比較せよ.
解答を見る
考え方 追加の
,荷物への力積は なので,球殻への角力積は .したがって
, .赤道では傾きは0で 自転が 遅くなる.北極では , となる. なら傾きも0であり,正接の 分子・分母は いずれも 角運動量の 次元を もつ.
演習 9
車体の
前進する車体の重心高h,車軸間隔d,前後ばねと路面からの力を側面図に示す.
地上の
慣性系で 並進と 回転の 式を 立て,前後の 荷重 を求めよ. 制動前からの
前下がり角の 増分 と,後輪が浮かない 条件を 求めよ. , , , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 水平力は
路面の
制動力の 合計は ,鉛直方向は .重心まわりでは だから,
荷重増分
により,前は 沈み,後ろは 上がる.したがって
数値は
演習 10
摩擦なく
台と円板の絶対角α,β,両者の差θを上から見て示す.
円板と
台の 絶対角を として,相対角 の運動方程式と 周期を 求めよ. 台を
固定した 周期を , としたとき,自由な 台での 周期と,固定台用の 目盛りで 実時間1時間を 測った 表示を 求めよ.
解答を見る
考え方 2つの
, より
また
, .表示は周期の 個数に 比例するので, ,約74秒進む. なら . の次元は トルクであり, は時間²に なる.
演習 11
人と
最下点でのlからsへの短縮と,折返点での復元を,支点を共通にして示す.
一連の
操作後の 角振幅を 求めよ. 逆に,初め距離
で最下点で へ伸ばし,折返点で へ戻す場合を 比較せよ. , , として 数値を 求めよ.
解答を見る
考え方 操作中は
最下点で
.小振動では ,短縮後の振幅は だから,
折返点では
逆操作では
.倍率はそれぞれ , ,角振幅は , . ならどちらも 倍率1で,倍率が 無次元であることも 確かめられる.
演習 12
半径
右へ動く車輪と逆回転,接点の滑り,左向きの摩擦力を示す.
滑り停止時刻と
その ときの 速度を 求め,前進・静止・後退の 条件を 分類せよ. , , , , , で評価せよ.
解答を見る
考え方 摩擦の
初め
なので摩擦は 左向き.滑り中は , である.よって
, , で後退する.失われる エネルギーは .速度の結果に がないのは,摩擦力が 弱いほど 長く 作用する ためである.ただし では滑りは 止まらない.
演習 13
水平面で
球の中心から高さbの打点へ水平力積Jを加える様子を示す.
打撃直後に
滑らず転がる 打点を,球と 円柱に ついて 求めよ. その
打点での 並進・回転の 運動エネルギーを 求め, , , で両者を 比較せよ.
解答を見る
考え方 並進への
, より は .球は中心の 上,円柱は 上である.いずれも表面上で 実現できる 高さである. , .指定の打点では となる. , ,並進エネルギーは両者とも ,回転エネルギーは球 ,円柱 .同じ力積でも仕事は 同じとは 限らない. なら回転エネルギーは0であり, の次元は エネルギーである.
演習 14
質量
この
瞬間のBとGの 速度,板の 角速度を 求めよ. Bの
加速度と 板の 角加速度を 求めよ. 板の
全運動エネルギーを 求めよ.Bの 速度を と得ても,Bの 加速度を0と できない 理由を 説明せよ.
2本のレールに拘束された正方形板を示す模式図.
解答を見る
考え方 2点の
Bの
速度を とすると .したがって , .中点Gは .瞬間回転中心は で,A,Bの速度の 垂線の 交点にも なる. Aの
加速度は0.Bの 加速度もレールの ため0だから , . 成分は .Bは上へ 動いているが,下向きに 加速する. より .Bの速さがAの 速さに 等しいのは,ABが45°を なすこの 瞬間だけである.次の 瞬間には 配置が 変わり,同じ 等式を 微分できない. は加速度, はエネルギーの 次元である. では速度,加速度,エネルギーが すべて0へ 近づく.