回転と剛体
第8章の発展問題
著者:柚木芹香
★4・★5の
演習 1
質量
衝突直後の
重心速度と 角速度を 求めよ. 壁から
離れた 後に 再衝突が 起きないと 仮定して,滑りが 止まるまでの 時間と 速度を 求めよ.この 仮定が 滑り終了まで 成り 立つ範囲と,再衝突の 有無を 判定せよ.
水平床を右へ転がる円柱と右側の鉛直壁.衝突前のv₀,時計回りのω₀を描き,衝突後の向きは示さない.
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考え方 壁は
右向きと
時計回りを 正と する.反発係数より .壁の力積の トルクは0なので .接点の速度は であり,床の摩擦力は 右向きである. 滑り中は
, .したがって , , . なら左へ 転がり去り, なら停止する. なら最終的には 右へ 戻るが,再衝突が 滑り終了前かも 調べる 必要が ある.壁からの 変位は で,帰着時刻は . は に相当する.よって では上の は壁が なければ 得る 値であり,実際には その前に 再衝突する. は滑り終了と 帰着が 同時, は転がりに 移ってから 再衝突する. では壁から 離れず,単独の 自由な 滑り区間は 存在しない.
演習 2
質量
重心の
右向き加速度と,右向きを 正とした 摩擦力を 求めよ. 静止摩擦係数
で仮定の 成立条件を 表し,時間 までに力 がした 仕事を 求めよ.
外半径R,芯半径rの糸巻き.芯の右下の接点から右上へ出る糸と角β,力Fを描く.
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考え方 糸の
, , である.よって
と
と が条件である.接線方向の 糸の 速度は,重心の 寄与 と回転の 寄与 の和だから . を積分して
を
演習 3
質量
歳差角速度
とその 向きを 求めよ. 支点を
通り対称軸に 垂直な 軸の 慣性モーメントを とする.歳差に よる 角 運動量を 無視する 近似の 目安を 示し,自転が 遅くなった ときの 式の 限界を 述べよ.
固定支点Oから傾いたコマの軸,重心G,距離r,鉛直との角φ,自転ωの向きを描く.歳差の向きは示さない.
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考え方 一定の
鉛直上
向きの 単位ベクトルを とすると .一方,正の鉛直軸まわりの 歳差では .したがって .上から見て 反時計回りである.大きさだけで 計算しても,両辺の が消える. 歳差に
よる 対称軸に 垂直な 角速度は 程度である.よって が1より十分 小さい ことが 目安に なる.角度に よらず 十分な 条件は が1より十分 小さい ことである.自転が 遅くなると この 比が 大きくなり,角運動量を 対称軸方向だけに 置く 近似が 破れる. を まで延長してはいけない.また 任意の 初期条件で 傾き 一定に なるわけではなく,この 問題は ゆっくりした 定常歳差を 仮定している.
演習 4
固定された2つの
間隔2aのローラーと長板,重心位置x,内向きの表面速度を示す.初期状態で上面速度の向きが分かり,再生するとローラーの回転方向を確認できます.板の軌跡は表示しません.
接点の
垂直抗力を として 求め,板の 運動 と角振動数 を求めよ. , の瞬間に 両ローラーを 停止・ 固定する.停止操作は 板に 水平な 力積を 与えないと する.その後の 滑走距離 と最終位置 を求めよ. , , , として, と を比較せよ.全位相で 板が 転倒しない ことも 確かめよ.
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考え方 回転しない
鉛直方向の
加速度と 角加速度は0なので, ,重心まわりで .よって
ローラーの
摩擦は
では板は 左向きであり,固定された 両接点から 右向きの 摩擦を 受ける.合力は なので減速度の 大きさは 一定である.停止直前の 速さ から
,周期は . では , . では , である.滑走距離は中央通過時が 最大と なる.
支持条件は
演習 5
頂点Oを
円錐の断面と上下端h,3h,下端の接線方向初速u,上端の母線方向を示す.
高さ
での水平円 運動の 速さと 抗力を 求めよ. 一般の
運動で 円周方向速度を ,母線方向速度を とし,それぞれを で表せ.下端から 落ちず,上端からも 出ない の範囲を 求めよ. 上端から
飛び出すときの,接線と 速度のなす角 および自由飛行の最高点 を求めよ. , として, を実現する を逆算せよ.
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考え方 軸まわりの
円の
半径は .抗力の水平成分と 鉛直成 分から , であり, , となる. 重力も
抗力も 鉛直軸まわりの トルクを もたない.したがって ,すなわち .抗力は仕事を しないので
下端で
上限では
したがって
上端で
, ,全速さは .ゆえに
母線の
演習 6
軽い
傾いた棒の両端質点と,鉛直軸上の上下の軸受を示す.
上側質点が
側にある 瞬間の 各質点の 水平力と,Oまわりの 合トルクを 求めよ. 上下の
軸受が 軸に 及ぼす水平力を 求め, , , , , で評価せよ.
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考え方 地上から
上下の
質点の 方向の力は それぞれ , .高さは なので,合トルクは 方向に
上下の
軸受の 成分を とすると, , .よって , .各力の大きさは であり,軸受が受ける 力は それぞれ逆向きである. でも でもこの 偶力は 消える. の次元は 力に なる.
演習 7
椅子を
枠の固定脚Pと重心G,着地姿勢での距離b,c,その後の水平滑走を示す.
着地直前の
角速度と,着地後の 水平速度を 求めよ. 着地後の
滑走距離を 求め, , , , , , で評価せよ.
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考え方 落下中の
だから, , .重心の水平速度は .着地時の水平力積が0なので,この 成分だけが そのまま 残る. より
数値は
演習 8
半径
旋回する輪を進行方向から見て,内向きの傾きθと接点,重心,軸の向きを示す.
地面からの
力の 鉛直・ 水平成分を 求め,重心まわりの トルクと を等置して 傾きを 求めよ. , , , で評価し, を2倍にした 場合と 比べよ.
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考え方 力の
地面の
力は 上向き ,内向き .重心から接点への ベクトルは 外向き成分 ,下向き成分 をもつ.角 運動量が 向きを 変える 方向を 正にとると,トルクは となる.角 運動量の 水平成分 が角速度 で向きを 変えるから,
係数2の
,半径を2倍にすれば . で,歳差の角速度と 自転角速度の 比も この 程度である. なら傾きは0に 近づく.ここで は既に 転がっている 輪の 速さであり,滑りながら 着地した ときの 初速から エネルギー保存で 求めてはいけない.
演習 9
高速回転子の
回転子と間隔dの軸受,自転軸に垂直な揺動軸と平行な揺動軸を示す.
軸受が
作る 偶力の モーメントと,各軸受の 付加荷重の 最大値を 求めよ. ,毎分 回転, , , で数値を 求めよ.揺動軸を 自転軸と 平行に した 場合も 比較せよ.
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考え方 一定なのは
と置けば, .したがって偶力の モーメントの 大きさは ,各軸受の最大荷重は
最大に
, . , .揺動軸が自転軸と 平行なら 自転角 運動量の 向きは 変わらず,この ジャイロ荷重は0である.その 場合に 自転速度を 変える ための 駆動トルクは,ここでの 付加荷重とは 別である. なら付加荷重は0で,式の 次元は 力に なる.
演習 10
鉛直な
円筒内壁を走る台車の平面図と,重心から壁までb離れた側面図を示す.
水平走行する
速さ と比 の関係を 求めよ. 滑り
落ちないための の範囲を 求めよ. , , , , , , とし, のときの 速さと,回転子を 増速する 倍率 に許される 範囲を 求めよ.
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考え方 重力を
鉛直方向の
つり合いから 摩擦力は ,法線力は向心力 .重心まわりのトルクは である.回転子の角運動量 が角速度 で向きを 変えるので,
に代入すると
演習 11
長さ
最初に左端Aが当たる姿勢φと,次に右端Bが当たる姿勢−φ,重心の高さの基準を示す.
最初の
衝突直前の 重心の 下降速度を ,床の力積を として,衝突直後の 上向き重心速度 と時計回り角速度 を求めよ. 必要な
を求め, , で評価せよ.2度目までに 別の 接触が ない ことも 確認せよ.
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考え方 反発係数1は
, .Aの衝突後の 上向き速度は であり,反発条件はこれが に等しい ことである.したがって
姿勢が
から になる 時間は .両衝突で重心高は なので, ,すなわち .両式と から
数値は
演習 12
半径
初期回転軸と鉛直の角φ,球の接点,水平・鉛直の角速度成分を示す.
滑り停止時の
速度,角速度の 各成分と 大きさを 求めよ. , , , として, と を比較せよ.滑り停止までの 時間も 求めよ.
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考え方 接点の
初めの
接点速度は の 成分をもつので,摩擦は 向き.力積を とすれば , , .停止条件 から
ほかの
では , , ,角速度の大きさは . ではそれぞれ , , , . なので停止時間は , となる. なら初めから 接点は 滑らず,球は その場で 自転し続ける.垂直成分が 残っても 点接触での 滑りなし条件と 矛盾しない.
演習 13
球が
壁に正面入射する球と,壁の接点の下向き速度,上向きの摩擦力積を示す.
跳ね返り速度の
水平・ 鉛直成分と,水平からの 跳ね 上がり角 を求めよ. 一様な
球 , について, と を比較せよ.薄い 球殻 にすると,角度が 飽和する 摩擦係数は どう 変わるか.
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考え方 法線方向の
法線方向の
力積の 大きさは ,反発後の水平速度は .上向き力積を とすると , .壁の接点の 鉛直速度は
これが0に
飽和の
一様な
球では . なら , . なら , で飽和する.薄い 球殻では ,飽和角は となる. なら鉛直速度0で 正面へ 戻る.正接と 閾値は ともに 無次元である.
演習 14
質量
Aで
角 に達した ときの 角速度を 求めよ. Bで
同じ角に 達した ときの 角速度と 重心速度を 求めよ. Bで
下端が 床を 離れない ことを 確かめ,水平に なる 直前の 上端の 速さをA,Bで 比較せよ.
左に下端固定の棒A,右に滑らかな床へ下端を置いた棒B.鉛直からの初期角θ₀と途中の角θを示す.
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考え方 Aは
, とおく.失われた位置エネルギーは .Aでは端の まわりの 慣性モーメントが なので となる. Bには
水平外力が なく,初め静止していたので 重心の 水平速度は 常に0である. より .全運動エネルギーは だから
である.角速度は
とし,(2)の エネルギー式を 時間微分すると .これを に代入すると
と
演習 15
慣性モーメント
小球が
半径 に来た ときの 円板の 角速度を 求めよ. 半径
に達する 直前の 半径方向速度と,溝が 小球に 及ぼす接線方向の 力を 求めよ.必要なら,回転する 半径に 沿って 動く 質点の 加速度の,半径方向成分が ,それに垂直な 成分が であることを 使ってよい.
水平円板を上から見て,Oからの直線溝,初期半径aの小球m,外側の位置b,初期回転ω₀を描く.
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考え方 溝は
小球の
接線速度は なので,全角運動量は .初期値を とすれば .軸の反力は 軸まわりの トルクを 持たない. 半径方向速度を
とする.溝の 力は 接触する 両物体間で エネルギーを 移すだけなので,系全体では
である.したがって
演習 16
質量
直後の
角速度と,軸から 系への 水平力積を 求めよ. 軸の
水平力積が0と なる を求めよ. 付着後の
最大振れ角 を決める 式と,その 範囲内で 折り返す条件を 求めよ.
上端Oでつった棒M,lと,Oからbの点へ水平速度uで衝突する粘土mを描く.
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考え方 衝突中はOの
とおくと ,つまり .直後の棒の 重心速度は 右向き ,粘土は右向き である.したがって軸の 右向き力積は .鉛直速度は衝突前後とも0なので,この 近似での 軸の 鉛直力積は0である. に代入すると .粘土に関する 項が 消え, を得る.この 位置でのみ,軸で 支えられた 系でも 衝突中の 全水平 運動量が 保存する.一般の 位置では,軸の 力積を 落とした 運動量保存式は 使えない. 衝突直後の
エネルギーは .角 まで上がる 位置エネルギーは なので,両者を等置する.有限時間で に折り返す条件は である.等号では理想的には 真上へ 漸近し,それより 大きければ真上を 通過する.衝突時の 損失は であり,衝突前から振り 上がりまで 一括して エネルギー保存と してはいけない.