万有引力と天体
第10章の発展問題
著者:柚木芹香
★4・★5の
演習 1
質量
合体直後の
速さと 失われる 運動エネルギーを 求めよ. 合体後の
軌道の 近点距離を 求め,地表と 接触しない 条件を 示せ.
同じ円速度をもつ2つの速度ベクトルが角βをなす.合体後の速度は示さない.
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考え方 衝突では
円速度を
, とする.対称な2速度の 平均は 角の 二等分線を 向き,大きさは .初めの運動エネルギーの 和は ,合体後は なので,損失は .両速度は
ともに 衝突点の 半径に 垂直で,平均も 垂直である. だから衝突点は 新軌道の 遠点.単位質量当たりの エネルギーは より .したがって .接触しない条件は ,すなわち .等号は地表に 接する 場合である. では合体速度と角運動量が0へ 近づき,直線落下の 極限と なる.
演習 2
質量
重心からの
距離と, と全質量の 関係を 求めよ. から各質量を 求めよ.距離 を片方の 軌道半径と して よいか.
重心Cの両側に2恒星を置く.星間距離dは両者の軌道半径の和である.比の解答は描かない.
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考え方 両星が
, より , .角速度 として,星1の 運動方 程式は .代入して ,すなわち . なので, .全質量 とおけば , .それぞれの半径は , であり, ではない. は相対 運動の 円の 半径で,その 運動に 対して 全質量を 用いた ケプラー則が 成り 立つ.
演習 3
恒星の
恒星系での
単位質量当たりの エネルギー増加を 求めよ. それを
最大に する と,そのときの 出射速度を 求めよ.エネルギーの 供給源を 説明せよ.
惑星系で同じ速さの入射・出射速度と,恒星系への変換に加える惑星速度を示す.
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考え方 惑星系では
恒星系の
速度は .したがって .最大は
で .出射速度は ,入射の速さは である.探査機が得た エネルギーは 惑星の 公転の エネルギーに 由来し,有限の 探査機質量を 考えれば 惑星が ごく わずかに 減速する.惑星速度 一定と いう 近似は,その 微小変化を 無視した ものである.実際に 可能な 偏向角には 惑星半径などの 制限が あり,この 最大値は 問題で 指定した 理想的な 範囲内の 結論である.
演習 4
半径
と,放出直後の両機の 速度を 求めてください. 子機が
脱出する ための の下限を 求めてください. 母船が
逆行せず,小惑星 表面にも 接しない 条件を 平面の領域と して 表してください.この 条件と(2)が 両立する の範囲を 示してください. , , , で,最小脱出放出時の と母船の 近点高度を 求めてください.
円軌道上の放出点で接線方向へ分かれる母船と子機.横軸α,縦軸sの空の座標枠も添え,安全領域を記入できるようにする.
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考え方 放出の
円
運動より .子機と母船の 速度を とすれば , .したがって
子機の
単位質量当たりの エネルギーは .これが0以上なら脱出するので .等号は無限遠で 速さが0と なる 放物線である.母船の 反跳が ある ため,子機だけを 固定台から 打ち出す計算とは 異なる. とおく.逆行しない枝 では放出点が 遠点である.近点を ,近点速度を とすると, と
を
横軸
が
, ,質量比の上限は なので可能である. , , . より高度は となる. では , では安全な 放出余地が 消えると いう 極限も 合う.
演習 5
自転しない
最初の
打上げ速度と 円軌道速度 を求めてください. 捕獲直後の
速さ と,近点での速さ を求め, を示してください. 岩石の
質量を 逆算し,捕獲で 熱や 変形に 変わった エネルギーも 求めてください. 船内で
岩石を ばねに つけて 質量を 確かめる 方法と,主な 誤差要因を 説明してください.
円軌道上のPに逆向きから近づく岩石と,捕獲後の遠点P・近点Q.添図に岩石とばねを描く.
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考え方 打上げ,短い
鉛直上昇の
エネルギー保存から .最高点では速度0であり,接線方向へ を与える. 逆向きの
岩石の 捕獲で 速さが 下がる ため,Pが 遠点と なる. と,単位質量当たりのエネルギー保存
を
ここで
岩石の
質量を とすれば .よって
捕獲前後で
校正済みの
ばね定数 のばねに 岩石を つけ,小振幅で 振動させて 周期 を測る.船体を 十分重い 固定端と みなせれば で,重さを量る 必要は ない.支持側の 質量が 無視できなければ 測れるのは 換算質量なので 補正する.ばね自体の 有効質量,ばね定数の 校正,周期の 読取り,空気抵抗,船体の 振動が 主な 誤差と なる.軌道の 潮汐の 影響を 無視できる ほど 短い 周期の 装置を 選ぶ.
演習 6
半径
遠方での
相対軌道の ずれを とし,接触できる 最大値 を2体問題から求めてください. 1個に
注目した 衝突率が となる 理由を 説明し,平均待ち時間を と で求めてください.
相対軌道の遠方のずれbと,接触時の中心間距離2R.
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考え方 重力が
換算質量は
.すれすれ接触時の相対速さを とすると,エネルギー保存から ,角運動量保存から .したがって
時間
に相対 運動が 掃く 体積は なので,そこにある 相手の 平均個数は .遭遇が独立で 率が 一定と いう 模型では 平均待ち時間は となる.全体の 対の 数を 数えるのではないので,ここに は付けない. , より,低速の場合 , .高速の場合 , . の単位は である.低速極限の増大は 孤立した2体近似の 範囲での 結果である.
演習 7
半径
Bが
周に少し 足りない 角度を 進む間に 会う「内側の 楕円」の 周期と 長半径を 求めてください. Aが1周だけ余計に
遅れる「外側の 楕円」では,Bが 周に少し 足りない 角度を 進んで 会います.その 周期と 長半径を 求めてください. 各計画で
上限を 守る 最小の 整数 と会合時間を 求め,比較してください.
同一円上のAと前方のB,位相差φ,Aの位置における接線方向の噴射.
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考え方 位置だけでなく
Bの
位相条件 より , .最初に減速すると 噴射点が 遠点と なる. 同様に
より , .こちらは最初に 加速し,噴射点が 近点と なる. 噴射点速度は
なので,各噴射量は .帰還時の速さも 同じで,2回の 噴射量の 大きさは 等しい.内側は で と上限を 超え, なら で足りる.会合時間は .近点は で衝突しない.
外側では
演習 8
中
推力の
大きさ と速度の 微分方 程式を 求めてください. 円軌道速度
への到達時間と,速度 までに残る 質量の 割合を 求めてください.積分 を使えます. のとき, までの時間と 残存質量割合を 求めてください.乗員が 受ける 座席からの 力を 乗員質量で 割った 荷重加速度の 最大値と,それを 以下にする 角度条件も 求めてください.
一定半径を進むロケット,前方外向きの推力と後方内向きの排気,角φ.
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考え方 半径一定でも
, なので
変数分離して
時間は
,所要時間は ,残存割合は .荷重加速度は重力を 除いた 加速度 であり,始動時に最大の となる.上限条件は ,すなわち . では必要荷重が 発散し, では推力が0に なる. が時間, が無次元と いう 次元も 合う.
演習 9
質量
衝突後の
速度の 接線成分と 動径成分を 求めてください. 束縛軌道に
ついて 遠点と 近点の 差を 厳密に 求め, の一次近似を 導いてください. は固定して 展開します. 数値を
比較してください.天体の 半径は とし,衝突後の 周回軌道は 天体を 横切らない ものとします.
円軌道の衛星に半径内向きの粒が付着する直前の速度ベクトル.
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考え方 衝突点は
運動量の
成分保存より , . , , とおく.エネルギーは なので が束縛条件で, .単位質量当たりの角運動量は .転回点では動径速度0だから, を解くと
, .厳密式は ,一次式は で,一次式が約0.077 %大きい.比較用に 桁を 多く 残したが,入力の 精度では どちらも である.近点は約 で天体の 外に ある. で差は0となり, でも接線速度低下に よる 楕円化は 残る.
演習 10
半径
発射台が
表面に 到達する 条件を 求めてください. 到達する
ときの 速度と,局所水平面に 対して 下向きになす角 を求めてください. , , , , で計算し,子機割合を に変えると 衝突するかを 比較してください.
発射台の放出点と表面到達点,局所水平線から下向きに測る入射角γ.軌道は模式的に描く.
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考え方 エネルギーで
放出点が
遠点で,エネルギーと 角運動量から 近点は .したがって ,すなわち が表面到達の 条件である.等号は 接するだけで,真に 内向きに 衝突する 条件は 不等号を 厳しくした ものとなる. 表面速度を
とすると
動径成分は
では で衝突する. , , . なら , となり 衝突しない.後者に 入射角の 式だけを 代入しても 実在する 角は 得られない.境界では , ならほぼ鉛直に 落ち, となる.
演習 11
水平な
線密度
の無限直線から 距離 の点の 重力を,軸方向の 座標 に関する 積分で 導いてください.断面内の 線を 重ね合わせると,一様円柱の 外部重力は 中心軸に を集めた 場合と 等しくなる 結果を 使えます. 掘削に
よる 周期の 相対変化を 求めてください. 掘削前に
正しく 動いていた 時計が,実時間 の間に 何秒進むか,または 遅れるかを 評価してください.
地表の振り子と深さhの坑道断面,半径a.添図で軸方向の微小線要素と距離を示す.
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考え方 穴の
対称な
軸方向成分は 相殺され,線へ 向かう 成分は
与えられた
振り子の
長さが 同じなら . が小さいので .周期は長くなる. 実時間
に時計が 示す時間は だから,遅れは .1日に約3.55ミリ秒遅れる. や で影響が 消える.有限長の 坑道なら端の 効果を 考慮する 必要が あり,この 数値は 無限円柱模型での 評価である.
演習 12
動かない天体(質量
双曲線軌道の
離心率 ,近点距離 ,偏向角 を で表せ. , , , のとき,偏向角と 近点での 速さを 求め,天体へ 衝突しない ことを 確かめよ.
遠方の入射直線から中心Oまでの距離bと,入射方向と出射方向の間の角δを示す.縮尺は模式的.
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考え方 遠方で
, , .軌道の式から , . とおけば である.近点方向から 測る 角を とすれば,遠方では .入射速度は遠方の 位置ベクトルと 反対を 向くので, , .よって
, , . なので衝突しない.エネルギー保存より . でも確かめられる. は無次元で, では .小さい での は,中心天体の表面に 当たらないと いう 条件内でのみ 意味を もつ.
演習 13
質量
と, , としたときの の軌道の 方程式を 一次近似で 求めよ. 連続する2つの
近点の 間の 角 を求め,近点の 向きが1動径周期ごとに 進むか 戻るか 答えよ.ずれの 角を 度で 計算せよ.
逆二乗でない中心力の近点を示す模式図.
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考え方 軌道の
円
運動の 式 より .軌道の式へ を入れると (プライムは 微分). であり, だから .よって .連続する
最大値の 間は .1周の との差は で,近点は戻る 向きに 移る.ここで 比較しているのは1動径周期ごとの 近点で,1周する 間の 振動数は である.一次近似の は有理数でないので,この 近似の 軌道は 有限回の 動径周期で 閉じない.有限の 振幅まで 厳密に 同じずれとは 主張していない. は長さの 次元で,角の 周期は 無次元に なる.
演習 14
半径
Aの
総速度増分を で表せ. Bの
総速度増分を の関数で 表し, の極限をAと 比較せよ.有限時間の 燃料最小解まで 証明した ことに なるか.
Aは近点rと遠点16rの楕円.Bは同じ焦点と共通遠点bをもつ2楕円.各パネル内では同じ縮尺で描く.
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考え方 同じ
第1の
楕円の 長半径は .近点速度は ,遠点速度はその16分の1,外円速度は である.よって
と
最初の
噴射は .共通遠点で,第1楕円の速度は ,第2楕円では であり,差だけ加速する.第2楕円の近点速度は で,最後はこれを に減速する.したがって
である.極限は
演習 15
質量
重心を
原点に した回転座標で,つり合いの 正確な 式を 書け. と が小さいと して,主要項から を求めよ.この 点は 単に2つの 重力が 打ち消す点か.
重い天体と軽い天体の間に試験粒子Pがあり,軽い天体からの距離をsとする.
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考え方 ラグランジュ点では
重い天体は
,軽い天体は にあり, .粒子の位置は なので,右向きを正と して
と
第1項を
まで展開すると,定数項は 遠心項の と消える.残りは .主要項では .この結果から が小さいと いう 仮定も 確かめられる.重力の 単純な つり合いなら は概ね となり,別の 点である.また,この 式は つり合い 位置の 計算であって,そこから ずれた 軌道の 安定性の 証明ではない.
演習 16
半径
全質量
と内部の 重力加速度 を求め, が最大と なる 半径を 求めよ. 無限遠基準の
内部ポテンシャル を求め,中心を 通る 細いトンネルで 地表から 静かに 放した物体の 中心での 速さを 求めよ.
密度ρ/ρ₀はr/Rに対して1から0へ直線的に減る.重力の分布は解答として求める.
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考え方 まず
.よって , .微分して より最大は .その値は ,表面値 の 倍である. と を用いる.
と
演習 17
質量
の場合の 軌道を で解き,束縛された 軌道の 連続する 近点の 角度差を 求めよ.積分定数を 使ってよい. のとき,1動径周期ごとの 近点の 進む角を 度で 求めよ. 無限遠を
基準とする 実効ポテンシャルを 求め, で安定な 円軌道が ない 理由を 説明せよ.
逆二乗でない中心力の近点を示す模式図.
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考え方 距離の3乗に
より . なら
束縛された
. では ,ずれが消え,逆二乗の 力の 楕円軌道へ 戻る. だから . では に極小が ある. なら で停留点が なく, で .遠心項が引力の の位置エネルギーを 上回れず,安定な 円軌道を 作れない. と はともに の次元を もち, は無次元である.原点付近の 特異性まで 現実の 物体を 表すとは 限らない.