確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
第30章の発展問題
著者:柚木芹香
2状態系の
演習 1
2種類の
と
を検出する 確率を 求め, とおいて超相対論的な 近似で 表せ.最初の 最大と なる 距離も 求めよ. , , , のとき,最大確率と 最初の 最大の 距離を 評価せよ. 各成分は
長さ の波束で, とします.分散による 波束の 広がりは 無視し,飛行時間を と近似します.波束の 分離が 無視できる 条件と,エネルギー幅 による 位相の 幅が 無視できる 条件を 導け.(2)の 距離で , とすると,それぞれの 条件を 満たすか.
時刻0,位置0に種類aを準備する.質量成分1,2の初期波束は同じ位置にあり,それぞれの初期長さはσ_xである.2成分を区別しない検出器を距離Lに置く.波束の成分は説明のため上下に分けて示す.
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考え方
定常状態の
共通の
時間の 位相を 除いた 検出振幅は
だから,
と
だから最大確率は . である. より,分離距離は .したがって が十分 小さい ことが 必要である.相対位相の 大きさを とすれば, も十分 小さくなければならない.最初の 最大では なので,位相幅は .分離は ,長さに対する 比は で,両方とも小さい.運動量の 展開には 各 が十分 小さいと いう 別の 前提が 必要であり,質量差だけから この 前提を 検証する ことは できない. で振動が 消え,位相の 引数も 無次元である.
演習 2
測定しない
場合の 最終状態と,採用される 履歴の 入射粒子あたりの 確率 を求めよ. で とする 極限を 調べよ. とし,途中で2と 判定された 粒子も 捨てずに 同じ 測定を 続ける 場合,最後に1と 判定される 確率を 求めよ.これが と違う 理由を 述べよ. , とします. が十分 小さい 場合, を最大に する と最大確率を 近似的に 求めよ. で近似値を 求め,近傍の 整数を 厳密な 式で 比較せよ. , を使ってよい.
時間0からTまでにN回の測定を等間隔で行い,最後の測定もTに含める.各測定に生存効率ηを付す.すべて状態1となる採用履歴を実線,途中で状態2となる履歴を破線で示す.
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考え方
連続した
連立方
程式から , となる.したがって .測定しなければ で状態は となる.各間隔 で1を得る 確率は なので
である.
1回ごとの
反転確率を とする.測定 回後の状態1の 確率を とすれば, .よって , から
と
大きい
で .連続変数として 微分すると より
である.指定値では
演習 3
中性K中間子の
入射粒子あたりの
,生存確率と崩壊確率を 求めよ.崩壊せずに 残った 粒子だけに 対する の条件付き確率を, の形に せよ. になる 時刻を 求めよ.長時間後の 条件付き確率と,粒子が 全く 失われない2状態系との 違いを 述べよ. を等しい 微小な 率 で識別できる 検出器を 置き,全時間の 期待計数を , とします. は十分小さく,検出に よる 生存への 影響を 無視します.計数の 非対称度 を求め,寿命が 等しい 極限も 調べよ. , を使ってよい.
種類Kを準備し,時間tの伝播中の成分S,Lに寿命τ_S,τ_Lを付す.崩壊せずに残る粒子を種類K,K̄で分析し,崩壊した粒子の行き先も示す.
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考え方
崩壊は
状態は
で,検出振幅は と . とおくと
である.生存確率は
と
は なので, .よって .長時間では の割合が 減り,残った 粒子は ほぼ だけになって,条件付き確率は 両種類とも へ近づく.実際には 入射粒子あたりの 両確率は0へ 減る.粒子が 失われない 系では 振動の 振幅が 一定だが,ここでは 寿命の 違いが 干渉する2振幅の 大きさを 不均等に する. 和と
差を 先に 積分すると, , .したがって
である.
演習 4
外から
です.光子の
における 非負の 定常解 を求め,定常解が 一つである ことを 示せ. の1を省いた 模型の しきい 値 と比べ,厳密な 定常解が でも になる 理由を 述べよ. 出力仕事率を
求め,エネルギーの 収支を 確かめよ. が十分 大きい とき, の光子数と,しきい値の 変化が 丸くなる 励起率の 幅の 尺度を 見積もれ. 定常解の
まわりで とし,1次の 方程式を2×2行列で 書け.定常解が 安定である ことを 示せ.最後に, が十分 大きい 領域で,微小なずれが 振動しながら減衰する 条件を 近似的に 求めよ.
率Rで上準位へ原子を供給する.選んだモードへの放出BN(n+1),その他の緩和γN,下準位の原子の取り除き,共振器の光子数nと出力κnを示す.定常値やしきい値は描かない.
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考え方
原子数を
光子の
定常条件から .原子の式に 代入すると
と
である.右辺の
出力は
.定常条件 より で,この準位差に ついて 供給と 損失が つり合う. では ,よって . とすれば 二次式は . が 程度の領域では, が と同程度に なるのは も 程度のときである.したがって 丸まりの 幅の 尺度は ,しきい値に対する 比は となる. と略記し, を使うと
である.
である.
演習 5
ベンゼンの6地点を
を
定常状態の
振幅を , とおき,環を 閉じる 条件から 許される を求めよ.各 に対する2×2行列を 作り,6つの 軌道エネルギーと 縮退の 数を 求めよ. 6電子を
低い 準位から 詰めた 全電子エネルギーと,最低の 空の 準位までの エネルギー差を 求めよ.この 模型では 最高の 占有準位から 最低の 空の 準位への 光に よる 遷移が 許されるとし,吸収の 最長波長を 表せ. 機械的な
エネルギーも 含め, が安定と なる 条件を 求めよ.不安定な 場合の 平衡の を厳密に 求めよ.最後に , が十分 小さい 場合の と吸収波長の 変化を 先頭の 次数まで 求めよ.実際の ベンゼンの 構造に ついて,この 模型だけから どこまで 結論できるかも 述べよ.
a₀,b₀,a₁,b₁,a₂,b₂の順に6地点を環状に並べる.−A₁の結合を実線,−A₂を破線で区別する.各地点の対角成分はE₀で,電子の占有と平衡変形は描かない.
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考え方
環の
添字を3進めても
同じ 地点だから .異なる候補は である.定常状態の共通の 時間因子 を含めて 代入すると
を
とおく. では なので,最低の に2電子,次の2軌道 に計4電子が 入る.したがって
である.最高の
からの全エネルギーの 変化は
である.微分すると
と