確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
第30章のまとめ
著者:柚木芹香
この
出発点
出発点 | 内容 |
|---|---|
振幅の | 確率は |
時間変化の | 振幅は |
対称性 | 回転で |
相互作用の | ハミルトニアン行列の |
法則と 定義
法則 確率振幅の
は から出発して に見つかる 振幅で,確率は .右が出発,左が 到着. 続けて
起こる 過程は 振幅を 掛け,区別できない 経路は 振幅を 足す.粒子が 必ずどれか1つを 通る 中間の 状態の 組では .区別できるか
どうかは,光子・原子核の スピン・ 装置まで 含めた 世界の 全部の 最終の 状態が,経路ごとに 違うかで 決まる.記録を 誰かが 読むか どうかには 関係しない. 経路を
ふさぐと その 振幅が0に なり,残りの 経路は 干渉する.経路を 記録すると,その 経路は 他と 干渉しなくなる.
法則 不確定性原理
同じ
定義 基底の
ある
法則 同種粒子の
粒子を
入れ替えただけで 同じ 最終状態に 至る2つの 過程の 振幅 , は,ボース粒子なら ,フェルミ粒子なら で組み合わせる.スピンや 内部の 状態など 何か1つでも 違えば 確率を 足す. スピンが
整数の 粒子は ボース粒子,半整数の 粒子は フェルミ粒子(スピンと 統計の 関係). ボース粒子が
個いる状態に もう1個が 入る 確率は,誰もいない ときの 倍.パウリの
排他律:2つの 同種の フェルミ粒子は,スピンも 含めて 同じ 状態に 入れない.
法則 振幅の
エネルギー
の定常状態では で,確率は変わらない.観測に かかわるのは エネルギーの 差. 一般には
.全確率が保たれる ために ハミルトニアン行列は エルミート . を満たす固有ベクトルが 定常状態で,固有値が その エネルギー.
公式
公式 干渉と
2つの
経路: .縞を平均すると で,干渉は確率を 配り直すだけ. 2つの
スリット: と が より十分 小さい とき,経路差 ,縞の間隔 .一部の
電子だけに 記録が 残る(記録の 残る 確率 )とき: ,縞の見え方 .等間隔の
位相の 和: .位相がそろうと ,山の幅は に比例し,で たらめな 位相では 平均 .ブラッグの
条件 .記録の残らない 散乱は に比例する 山,スピン反転の 散乱は に比例して 方向に よらない.
公式 光子の
吸収の
回数 ,放出の回数 . の分が 自発放出, の分が 誘導放出.反転分布 で光が 強まる(レーザー). ボース分布
,モードの数 .プランクの
式 . が より十分 小さいと 等分 配則に 戻る. ,波長で数えたピーク .
公式 スピン1/2の
軸のまわりに 傾けた装置の 基底: , . が傾けた 装置の に出る 確率は で, の平均は 古典的な に一致する. 軸のまわりの 角 の回転: , . 回すと状態は 倍.全体の位相は 測れず,相対位相だけが 干渉に 現れる. , .横向きの状態を 表すために 振幅は 複素数でなければならない. 確率を
保つ変換は ユニタリ行列で,列が 規格化されて 互いに 直交する.
公式 物質波
ド・ブロイの
関係: , , , .粒子の
上で 位相は .位相速度
,群速度 .ポテンシャルの
段差では と境界に 沿った 運動量が 保たれ, .磁場の
中の スピン1/2の 歳差 .
公式 2状態系
対称な2状態
:定常状態 ,エネルギー .片方から始めると で,振動数 で行き来する. エルミートな2×2行列
の固有値 は実数.電場の 中の アンモニアでは .振動する
外場との 共鳴 で .磁場の
中の スピン1/2: .
公式 無限個の
と
なりへ移る 振幅 をもつ原子の 列で, とおくと,シュレーディンガー方程式 .水素原子
.定常状態は とスピンで 区別され,同じ に 個.不確定性に
よる 見積もり は,ボーア模型の半径と 一致する.
各題材の 問いへの 答え
確率振幅と2つの
穴の 実験:弾丸は 確率が 足し算で 縞は できず,水の 波は 振幅が 足し算で 縞が できる.電子は1個ずつ粒と して 着くが,どの 穴を 通ったか 区別できない 限り振幅が 足し算に なり,分布は 水の 波と 同じ縞に なる.どちらの 穴かを 調べると 記録が 残って 確率が 足し算に なり,縞は 消える. 振幅の
結合 規則:スピンが 反転しない 散乱では 結晶が 元の ままなので 個の振幅を 足し,ブラッグの 条件の 方向にだけ 倍の鋭い山が できる.スピンが 反転する 散乱では,散乱した 原子核の スピンに「どこで 散乱したか」の 記録が 残るので 確率を 足し,どの 方向にも に比例する 平らな 散乱に なる. 同種粒子と
スピンと 統計:2つの アルファ粒子は 区別できないので,入れ替えた2つの 過程の 振幅を 足す.ボース粒子で では2つの振幅が 等しく,確率は で,印の付いた 粒子の のちょうど2倍に なる.スピンの そろった 電子なら,その 方向には1個も 来ない. スピンと
回転:銀の 原子の スピンは,どの 方向で 測っても2つの 値しかとらない.装置の 向きを 決めると,その 向きの 基底 , のどちらかに,振幅の 絶対値の2乗の 確率で 出る.だから ビームは2本に 分かれる.ばらばらな 向きに 見えるのは, と の混合だからである. 振幅の
時間変化と 物質波:定常状態の 振幅は で回り,確率は 変わらないが 位相は 変わる.回る 速さその ものは 見えず,エネルギーの 差が 確率の 振動と して 見える.止まっている 粒子の 振幅を ローレンツ変換すると,波長 の物質波 が現れ,その 波束は 粒子の 速さで 進む. 2状態系と
ハミルトニアン行列:アンモニア分子の 窒素は 上か 下かに 決まっていない.定常状態は 上と 下の 対称な 重ね合わせ( )と反対称な 重ね合わせ( )で,どちらも上下に 半分ずつの 確率で いる.窒素を 上に 置いて 始めると,振動数 で上と 下を 行き来する. 全体
像:干渉,光子の エネルギー,ド・ブロイ波長,不確定性原理,飛び飛びの 準位,吸収と 放出,統計,化学結合,停留作用の 原理は,振幅の 規則・ 時間変化の 形・対称性と いう 共通の 枠組みから 出る.基底を 連続に 並べると シュレーディンガー方 程式に なり,粒子の 生成と 消滅を 扱う 場の 量子論でも,過程ごとの 振幅を 足して2乗すると いう 規則は 変わらない.
この 章で 使った 数学
複素数の
極形式と 位相, の干渉の 項,等比数列の 和. 確率の
規格化と 条件つきの 確率,標準偏差. 2×2行列の
積,ユニタリ行列. 固有値と
固有ベクトル( ),連立1階微分方程式の 解き方. を満たす関数,テイラー展開,波数 空間での モードの 数え方.