問いしるべ
問いから始める物理 電磁誘導と交流

電磁誘導と交流

第23章の発展問題

著者:柚木芹香

誘導と力学の連成,磁束の保存,結合回路の振動を,エネルギーの収支とともに調べます.LCはしご回路も各素子の回路の式から考え,波の公式は前提にしません.

演習 1

東京大 2001 前期(改題) ★★★★☆

質量 m,面積 S=ad,自己インダクタンス L>0,抵抗 R>0 の長方形コイルが,面を水平に保って鉛直に落ちます.下向きを z の正方向とし,磁場の成分を

Bx=−βx2,By=−βy2,Bz=B0+βz

とします.β>0 は一定で,a,d はそれぞれ x,y 方向の辺の長さです.コイルの中心は z 軸上,初め z=0,速度も電流も0です.回転を防ぐ案内は仕事をせず,空気抵抗は無視します.重力加速度の大きさは g です.

  1. 下向きの速度を v,上向きの磁場を作る電流を I とし,回路と運動の連立方程式を立てよ.磁気力は各辺について計算せよ.

  2. 終端速度を求め,減衰振動の条件を満たす場合の v(t) を求めよ.

  3. エネルギーの収支を示せ.また自己誘導を無視する近似の条件と,R=0 にした場合の運動を求め,長時間の極限との関係を説明せよ.

水平な長方形コイルの辺a,d,中心の下向き座標zと,磁場の各成分の向きを描く.上向きの磁場を作る正の電流と落下方向を示す. 水平な長方形コイルの辺a,d,中心の下向き座標zと,磁場の各成分の向きを描く.上向きの磁場を作る正の電流と落下方向を示す.
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考え方 磁束の変化が電流を作り,水平方向の磁場成分が鉛直の制動力を作る.自己誘導を残すと速度にも2階の方程式が生じる.

  1. 正の電流に対応する上向きの外部磁束は Φ=−S(B0+βz).b=βS とおけば起電力は −dΦdt=bv であり,LdIdt+RI=bv.x,y,z を右手系に取ると,y=d/2 の辺では電流が +x へ,By=−βd/4 により Fz=IaBy=−Iβad/4 となる.y=−d/2 の辺では電流が −x へ,By=βd/4 より Fz=−IaBy=−Iβad/4.x=a/2 の辺では電流が −y へ,Bx=−βa/4 より Fz=IdBx=−Iβad/4.x=−a/2 の辺では電流が +y へ,Bx=βa/4 より Fz=−IdBx=−Iβad/4.いずれも上向きである.Bz による水平な力は向かい合う辺で相殺する.合力は上向きに bI だから,

mdvdt=mg−bI,LdIdt+RI=bv.
  1. 定常値は I∞=mg/b,v∞=Rmg/b2.第1式から I=m(g−dvdt)/b を第2式へ代入すると

mLd2vdt2+mRdvdt+b2v=Rmg.

v−v∞∝est の根は s=−γ±iΩ,γ=R/(2L),Ω=b2/(mL)−γ2 であり,条件は mR2<4Lb2.v(0)=0,dvdt(0)=g を使うと

v(t)=v∞+e−γt[−v∞cos⁡Ωt+g−γv∞Ωsin⁡Ωt].

両方の根の実部が負だから,R>0 では終端値へ近づく.

  1. 回路の式に I,運動の式に v を掛けて加えると

ddt(12mv2+12LI2−mgz)=−RI2.

終端状態では mgv∞=RI∞2 である.自己誘導を無視した速度の緩和時間は tm=mR/b2,電流の緩和時間は τ=L/R だから,ϵ=τ/tm=Lb2/(mR2) が十分小さく,かつ t/τ が十分大きい範囲で I≈bv/R,v≈v∞(1−e−t/tm) が使える.

R=0 では初期値から LI=bz.したがって md2zdt2=mg−b2z/L.ωm=b/mL として,z∝est の根は ±iωm であり,

z=gωm2(1−cos⁡ωmt),v=gωmsin⁡ωmt.

抵抗0では往復し,終端速度は存在しない.R>0 で長時間待ってから R→0 とすると終端速度は0へ近づくが,先に R=0 とした速度には長時間の極限がない.近似を使うには,上の ϵ に加え,信号伝達時間と最短の応答時間の比が十分小さく,磁場の模型が移動範囲全体で成り立つことが必要である.

演習 2

オリジナル ★★★★☆

質量 m,一定の自己インダクタンス L の小さい超伝導リングが,摩擦のない直線ガイドに沿って外部コイルの軸を通ります.リングの向きと形は一定で,正の法線方向の外部磁束は

Φ(z)=Φ0[1+(z/a)2]3/2,Φ0>0

です.外部コイルは一定電流 Is に保ち,その自己インダクタンスは一定とします.相互インダクタンスは M(z)=Φ(z)/Is,リングに働く軸方向の力は F=IdΦdz としてよいものとします.リングは抵抗0の閉回路として扱い,初め z→−∞ で電流0,速度 u>0 です.

  1. I(z) と有効な位置エネルギーを求め,リングが右側へ通過できる u の条件を求めよ.

  2. 通過できず反転する場合の反転位置を求めよ.

  3. その反転位置までに定電流電源がする仕事と,全磁場のエネルギー変化を求め,力学的エネルギーとの収支を示せ.さらに,通過速度のしきい値に一致した場合,中心へ有限時間で到達するか調べよ.

外部コイルの軸と直線ガイド,左から進むリングを描く.z=0,長さ尺度a,速度u,正の法線と外部電流I_sを示す. 外部コイルの軸と直線ガイド,左から進むリングを描く.z=0,長さ尺度a,速度u,正の法線と外部電流I_sを示す.
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考え方 保存するのは外部磁束と自己磁束の和である.外部電流を一定に保つ電源の仕事を含めると,リングの自己エネルギーが有効な位置エネルギーになる.

  1. 回路の式は ddt(LI+Φ)=0.初期値から LI+Φ=0,I=−Φ/L である.力は F=−ΦdΦdz/L=−ddz(Φ2/(2L)) だから,Ueff=Φ2/(2L) とおける.その最大値は中心で Φ02/(2L).したがって通過には

12mu2>Φ022L,u>uc=Φ0mL

が必要である.等号の場合は(3)で調べる.

  1. 0<u<uc では,反転時に Φ(zt)2/(2L)=mu2/2.磁束の式から [1+(zt/a)2]3=uc2/u2 なので,左側の反転位置は

zt=−a(ucu)2/3−1.
  1. 外部コイルにリングが与える鎖交磁束は MI.外部電流一定だから,電源の仕事は

Ws=∫Isd(MI)=Δ(ΦI)=−Φ(zt)2L=−mu2.

負号は電源がエネルギーを受け取ることを表す.外部コイルの自己エネルギーは一定だが,全磁場には相互項がある.初期状態との差は

ΔUmag=Δ(12LI2+ΦI)=−Φ(zt)22L=−12mu2.

ΔK=−mu2/2 と合わせると ΔK+ΔUmag=Ws となる.リングだけの自己エネルギーは増えており,それを全磁場のエネルギー変化と混同してはいけない.

u=uc で中心に近づくと,Φ2=Φ02[1+(z/a)2]−3≈Φ02[1−3(z/a)2].エネルギー保存から v≈3uc|z|/a なので,到達時間の積分は ∫dz/|z| を含んで発散する.中心に有限時間では達しない.この展開は |z|/a が十分小さい範囲で使い,集中定数近似には信号伝達時間 td と a/u の比 utd/a が十分小さいことが必要である.

演習 3

オリジナル ★★★★☆

同じ L,C をもつ2つの理想LC閉回路を磁気的に結合します.各回路では,指定した極板へ流れ込む電流を Ij=dqjdt とし,この正の電流どうしの相互インダクタンスを M,0<M<L とします.抵抗と電源はありません.初め q1=Q0>0,q2=0,電流はともに0です.

  1. 連立方程式を立て,2つの固有角振動数と q1(t),q2(t) を求めよ.

  2. M=3L/5 のとき,回路1の電荷と電流が同時に初めて0になる時刻を求め,そのとき全エネルギーが回路2だけにあることを示せ.

  3. 一般の M/L で同じ完全な移動が起こる条件を,2つの角振動数の比で表せ.弱結合でのうなりの時間尺度と比べ,包絡線が0になるだけでは完全な移動を保証しない理由を述べよ.

独立した2つのLC閉回路を並べ,巻き方向,M,指定極板のq_1,q_2と流れ込む電流を示す.初期電荷は回路1だけに記す. 独立した2つのLC閉回路を並べ,巻き方向,M,指定極板のq_1,q_2と流れ込む電流を示す.初期電荷は回路1だけに記す.
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考え方 電荷の和と差をそれぞれ単振動に分ける.完全なエネルギー移動には,電荷と電流が同時に0になる必要がある.

  1. 回路の式は

Ld2q1dt2+Md2q2dt2+q1C=0,Md2q1dt2+Ld2q2dt2+q2C=0.

q+=q1+q2,q−=q1−q2 とすると,(L+M)d2q+dt2+q+/C=0,(L−M)d2q−dt2+q−/C=0.est の特性方程式より根はそれぞれ ±iωs,±iωa,

ωs=1C(L+M),ωa=1C(L−M).

初期値は q+(0)=q−(0)=Q0,両方の時間微分は0だから,

q1=Q02(cos⁡ωst+cos⁡ωat),q2=Q02(cos⁡ωst−cos⁡ωat).
  1. M=3L/5 では ωa=2ωs.x=ωst とおけば q1=0 は cos⁡x+cos⁡2x=0,すなわち cos⁡x=1/2 または −1.一方 I1=−Q0ωs(sin⁡x+2sin⁡2x)/2=−Q0ωssin⁡x(1+4cos⁡x)/2.最初に両方が0となるのは x=π であり,

t∗=πωs=π8LC5.

このとき q2=−Q0,I2=0.保存エネルギー

U=q12+q222C+L2(I12+I22)+MI1I2

は全て回路2の静電エネルギー Q02/(2C) である.

  1. a=ωst,b=ωat とすると q1=0 から cos⁡b=−cos⁡a,したがって sin2⁡b=sin2⁡a.I1=0 は ωssin⁡a+ωasin⁡b=0 であり,ωs≠ωa なので両方の正弦は0でなければならない.ゆえに a=nπ,b=pπ で,余弦が逆符号になるには n,p の偶奇が異なる必要がある.完全な移動の条件は,ωa/ωs が,既約分数にしたとき分子と分母の偶奇が異なる有理数となることである.

k=M/L が十分小さいと ωa−ωs≈k/LC.q1=Q0cos⁡[(ωa−ωs)t/2]cos⁡[(ωa+ωs)t/2] の包絡線は tb=π/(ωa−ωs) で初めて0になる.しかし微分すると,そこに I1=−Q0(ωa−ωs)cos⁡[(ωa+ωs)tb/2]/2 が一般に残る.弱結合の近似条件は k が十分小さいことで,包絡線による「ほぼ移動」と完全な移動は区別する.

演習 4

IPhO 1987 第3問(改題) ★★★★★

同じ理想コイル L とコンデンサー C を使い,右へ無限に続くはしご回路を作ります.各節点と共通の帰線との間に C,隣接節点の間に L をつなぎます.入力端から最初の節点までだけは L/2 です.回路を遠方まで駆動した後の応答を扱い,遠方から入力へ戻るエネルギーはないものとします.この条件は各コイルに微小な正の抵抗を加え,無限回路の定常状態を取った後に抵抗を0へ近づけることで選ぶものとします.

  1. 入力インピーダンスを Z0 として,自己相似性から Z0 を求めよ.入力の平均電力が正になる角振動数の範囲を求めよ.

  2. 節点 n の電圧の複素振幅を V^n とします.隣接節点への倍率 λ=V^n+1/V^n が一定の応答について,回路の式から λ を求めよ.(1)の範囲内では λ=e−iθ,0<θ<π と表し,その範囲を超える場合は振幅が右へ減る根を選べ.

  3. ある節点間のコイルを2つの L/2 に分け,その中点より右の回路を外して,中点と帰線の間に抵抗をつなぎます.(1)の範囲内の指定周波数で,同じ左側の応答を保つ抵抗を求めよ.この抵抗を周波数によらない L/C で近似したときの相対差の先頭項を求めよ.

入力側のL/2と,節点ごとのC,節点間のL,帰線を描く.右端には続くことを示す省略記号を置き,切断するコイルの中点を記す. 入力側のL/2と,節点ごとのC,節点間のL,帰線を描く.右端には続くことを示す省略記号を置き,切断するコイルの中点を記す.
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考え方 回路の右側を同じ入力インピーダンスで置き換える.無限回路で正の実部が現れるのは,入力したエネルギーが遠方へ運ばれる応答を選ぶためである.

  1. 最初の L/2 の後には,C と,さらに L/2 を経て同じ回路へ入る枝が並列にある.したがって

Z0=iωL2+[iωC+1iωL/2+Z0]−1.

A=iωL/2 とおき整理すると,(Z0−A)[iωC(Z0+A)+1]=Z0+A.ゆえに iωC(Z02−A2)=2A=iωL だから

Z02=LC−ω2L24.

0<ω<ωc=2/LC では,正の抵抗からの極限により Z0=L/C−ω2L2/4>0 を選ぶ.入力電圧の振幅を V0 とすれば P=V02/(2Z0)>0.ω>ωc では Z0=iω2L2/4−L/C となり,P=Re⁡(V^I^∗)/2=0.ω=ωc では入力インピーダンスが0になるため,有限振幅の理想電圧源では有限電流の応答を持たず,端点は別扱いである.

  1. 節点 n へ左から流れ込む電流は (V^n−1−V^n)/(iωL),右へ流れ出す電流は (V^n−V^n+1)/(iωL).差がコンデンサー電流 iωCV^n だから

V^n+1−2V^n+V^n−1=−ω2LCV^n,λ+λ−1=2−ω2LC.

ω<ωc では λ=e−iθ を代入して,cos⁡θ=1−ω2LC/2,すなわち ω=2sin⁡(θ/2)/LC.負の位相を選ぶと右へ平均電力を運ぶ.実際に V^n+1=e−iθV^n,右向きの電流 I^=(1−e−iθ)V^n/(iωL) から

12Re⁡(V^nI^∗)=|V^n|2sin⁡θ2ωL>0

となる.逆の位相では符号が逆になる.

ω>ωc では A1=ω2LC/2−1>1 とおくと λ2+2A1λ+1=0.減少する根は λ=−A1+A12−1 で,−1<λ<0 である.隣接節点で符号を交互に変え,振幅は |λ|n に比例して減る.この場合には隣接電圧が実数倍で,コイル電流は電圧に対して純虚数倍となるため,平均電力は0である.

  1. 切断した中点から見た元の右側も同じ対称な回路である.したがって置き換える抵抗は Rend=Z0=L/C1−ω2LC/4.ϵ=ωLC とすれば,ϵ が十分小さいとき Rend≈L/C(1−ϵ2/8).周波数一定で L/C を用いた過大評価の相対差は ϵ2/8 が先頭項になる.これは低周波の近似であり,さらに各素子の内部の信号伝達時間 td に対し ωtd が十分小さいことが必要である.無限回路がエネルギーを受け取る応答は,有限回路の遠端を単に開放した定常応答とは異なる.

演習 5

オリジナル ★★★★★

2つのコイル L1,L2 の相互インダクタンスを M>0,M2<L1L2 とします.1次閉回路は理想交流電源 V0cos⁡ωt,抵抗 r1>0,コイル L1,可変コンデンサー C1 の直列です.2次閉回路は抵抗 r2>0,負荷抵抗 R>0,コイル L2,可変コンデンサー C2 の直列です.電源の内部抵抗は r1 に含め,素子定数は振幅によらないとします.定常状態を扱います.

  1. 2次回路のリアクタンスを0にし,1次から見たインピーダンスも実数になるように C1,C2 を調整します.両電流の複素振幅と,負荷の平均電力 PR を求めよ.

  2. この調整を保ち,R を変えて PR を最大にする負荷抵抗を求めよ.

  3. 電源が供給する平均電力に対する PR の比を効率 η とします.効率を最大にする負荷抵抗と最大効率を求め,(2)との違いを説明せよ.最大効率が1へ近づくための無次元条件と,2次側の調整が少しずれた場合の入力インピーダンスも求めよ.

1次の電源付き直列回路と,2次の負荷付き直列回路を描く.Mの正符号に対応する巻き方向と,両電流の正方向,r_1,r_2,R,C_1,C_2を示す. 1次の電源付き直列回路と,2次の負荷付き直列回路を描く.Mの正符号に対応する巻き方向と,両電流の正方向,r_1,r_2,R,C_1,C_2を示す.
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考え方 2次電流を消去すると,1次側には2次負荷を反映した実効的な抵抗が現れる.電力の最大化と効率の最大化では分母が異なる.

  1. Xj=ωLj−1/(ωCj),r=r2+R とおく.相互項の符号を正に取ると

V0=(r1+iX1)I^1+iωMI^2,0=(r+iX2)I^2+iωMI^1.

2次の調整は X2=0,すなわち C2=1/(ω2L2).このとき1次インピーダンスは r1+(ωM)2/r+iX1 だから,C1=1/(ω2L1) とすればよい.K=(ωM)2 とおくと

I^1=V0rr1r+K,I^2=−iωMV0r1r+K,PR=V02KR2[r1(r2+R)+K]2.

実電流は各複素振幅に eiωt を掛けた実部である.両回路の式から,電源の平均電力は r1|I^1|2/2+(r2+R)|I^2|2/2 となる.

  1. A=r1r2+K とおけば PR=V02KR/[2(A+r1R)2].微分は

dPRdR=V02K2A−r1R(A+r1R)3.

したがって最大電力の負荷は RP=r2+K/r1,最大電力は PR,max=V02K/[8r1(r1r2+K)] である.

  1. 電源の平均電力 Pin=V0I^1/2 で割ると

η=KR(r2+R)[r1(r2+R)+K].

分母を D として,微分の符号は D−RdDdR=r2(r1r2+K)−r1R2 の符号に等しい.よって Rη=r22+Kr2/r1.A2=1+K/(r1r2)>1 とおけば Rη=r2A2.K=r1r2(A22−1) を代入すると ηmax=(A22−1)A2/[(1+A2)(A22+A2)] だから,

ηmax=A2−1A2+1,RP=r2A22>Rη.

効率では供給電力に対する損失の割合を最小にするため,負荷へ渡す電力そのものの最大点と一致しない.χ=K/(r1r2) が十分大きいとき 1−ηmax=2/(1+χ+1)≈2/χ.ここで小さい量は χ−1/2 である.

調整がずれて X2≠0 になると,

Zin=r1+iX1+Kr+iX2=r1+Krr2+X22+i(X1−KX2r2+X22).

C1 を調整すれば虚部を打ち消せる範囲では打ち消せるが,実部も変わる.調整点の式をそのまま近似する条件は |X2|/r が十分小さいことで,1次側を調整し直さないなら残る虚部の大きさと r1+K/r の比も十分小さくなければならない.さらに,回路内の信号伝達時間を td として ωtd が十分小さい集中定数近似の範囲であり,M はエネルギーの正値性の制限 M2<L1L2 の内側で選ぶ.