ゆらぎと拡散(発展)
第18章の章末問題
著者:柚木芹香
4つの
演習 1
原点の
直線上のA,Bから符号付きの相対位置rと中点Xを定める.下段の4通りは各確率1/4で,同方向の歩ではrが変わらず,逆方向の歩ではXが変わらない.
1歩の
変位 の平均と 分散から,位置の 平均と 分散を 求めてください. は使えますか.正しい2乗平均を 求め,左右が 等確率の 場合と 比べてください.
解答を見る
考え方 独立な
, より分散は .独立性より ,位置の分散は である.1歩の
平均が0ではないので 使えない.正しくは である.等確率なら1歩の平均は0,分散は で,独立性と合わせて となる.
演習 2
断面積
とします.
両面をT₀に保つ平板では,中央の温度がT₀+Θとなる放物線状の温度分布が測定される.熱は中央から両面へ流れ,右半分の薄い層では流出の熱流束q(z+dz)が流入q(z)より大きい.
総粒子数の
保存を 確かめ,分母に が必要な 理由を 述べてください. 原点から
距離 の点で,濃度が 最大と なる 時刻を 求めてください.
解答を見る
考え方 粒子数は
とおけば で,総数は一定である. の単位は . を落とすと 数密度でなく 線密度に なる. の時間微分は .これが0となる が答えで,その前では 増加,後では 減少する.液体の は気体の 自由行程から 求めない.
演習 3
平行な
白抜きの丸は真の位置x,塗った丸は記録位置yを表し,赤い矢印が位置誤差eを示す.中央の記録位置を右へ読み違えた例では,前の記録変位Yⱼが増え,次の記録変位Yⱼ₊₁が減る.
を を含まない 形に し,圧力を 半分に した ときの 変化を 説明してください. 圧力
で自由行程が なら, となる 圧力を 求めてください.さらに 圧力を 下げた とき,どの 領域で 熱流が 圧力に 比例しますか.
解答を見る
考え方 運び手の
である.温度一定なら,数密度が 半分に なる 効果と 自由行程が2倍に なる 効果が 打ち消し合う.ただし が必要である. だから .遷移の圧力は である. は遷移で,圧力比例は の自由分子領域で 成り 立つ.運ぶ距離が 隙間で 制限される ためである.
演習 4
面積
体積Vの槽1は初期濃度4c₀,体積3Vの槽2は初期濃度c₀で,流束Jは槽1から槽2へ向かう.長さL,断面積Sの管では,各瞬間の両端濃度c₁(t),c₂(t)を直線で結ぶ近似を用いる.
平衡温度
を求めてください. 装置の
半分を 覆った ときの 温度 を で表してください.温度も 半分に なりますか.
解答を見る
考え方 吸収する
だから, である. より, .ここでは環境の 項が 小さく, で,半分にはならない.
演習 5
面積
粘性率ηの下層と3ηの上層を厚さdずつ重ね,上板を速度Uで動かす.界面速度uᵢは連続で,薄い液体層の上面には右向き,下面には左向きに同じ大きさの粘性力が働く.
界面の
速さ と,上板を引く 力の 大きさ を求めてください. 方向の運動量の 向きの流束を 求め,各層で 熱に なる 仕事率も 求めてください.
解答を見る
考え方 せん
勾配は
一定で,界面で .従って , .液体は上板を 左へ 引く. 法線を
にとった 運動量流束は で,上層でも .負号は,正の 運動量が下向きに 運ばれる ことを 表す.上層から 下層への 力は 右向き,下層から 上層への 力は 左向きである.下層の 発熱は ,上層は で,合計 は外力の 仕事率に 一致する.
演習 6
熱容量
同じ気体を使う3つの装置で,標識粒子の個数,接線方向の運動量,エネルギーを測る.いずれも輸送方向の幅はdで,分子は平均自由行程λの間にそれぞれの量を運ぶ.中央の横向き矢印は流速,下向き矢印は運動量の輸送を表す.
を使い,温度差 と冷却の 時定数を 求めてください. , , です.空気を除く 場合と,放射率を10分の1に する 場合で,時定数は それぞれ何倍に なりますか.
解答を見る
考え方 3経路の
正味の
熱流は である. より , となる. 係数の
和は .気体の輸送を 無視できる 真空なら0.070と なり,時定数は 倍.放射率だけを下げれば0.055で, 倍である.ここでは放射を 抑える ほうが 効く.