問いしるべ
問いから始める物理 波と音

波と音

第25章の章末問題

著者:柚木芹香

波形,境界条件,音の測定を結びつけて考えましょう.特に断らない限り,波は小振幅で,媒質の吸収と散逸を無視します.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

一様な弦の範囲は x≤0 で,右端 x=0 は固定されています.波の速さを v とします.右へ進むパルスの変位は yi=F(x−vt+3d) で,d>0,A/d は十分小さいとします.関数 F は

F(s)={Acos2⁡(πs2d)|s|≤d,0|s|>d

です.

  1. 境界条件を満たす反射波を求め,t=2d/v,4d/v の合成波形を描け.

  2. t=3d/v の変位と媒質の速度を求めよ.弦全体の変位が0なら,波のエネルギーも0か.

時刻0のパルスは中心−3d,高さA,幅2dで,両端が滑らかな与えられた余弦二乗の形をもつ.速さvで原点の固定端へ向かう. 時刻0のパルスは中心−3d,高さA,幅2dで,両端が滑らかな与えられた余弦二乗の形をもつ.速さvで原点の固定端へ向かう.
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考え方 固定端で打ち消し合うように波形を反転し,速度は重ね合わせた変位の時間微分から求める.

  1. 左向きの反射波は yr=−F(−x−vt+3d) である.原点では常に yi+yr=0 となる.t=2d/v では y=F(x+d)−F(d−x).x≤0 で第2項は0なので,区間 −2d≤x≤0 に高さ A,中心 −d の正のパルスを描く.t=4d/v では y=F(x−d)−F(−x−d)=−F(x+d) となり,同じ区間に高さ −A のパルスを描く.

  2. F は偶関数なので y=F(x)−F(−x)=0.G(s)=dF/ds は奇関数なので

∂y∂t=−vG(x)+vG(−x)=−2vG(x)=πAvdsin⁡(πxd)(−d<x<0)

で,それ以外は0である.区間内の媒質は下向きに動いている.傾きと弾性エネルギーはこの瞬間0だが,運動エネルギーは残る.例えば x=−d/2 の速度は −πAv/d であり,静止していない.最大傾きの尺度 A/d が十分小さい範囲で,この重ね合わせは有効である.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

同じ振動数 f の2つの固定音源が,向かい合う平面音波を出しています.右向き波と左向き波の圧力のずれは,それぞれ δp+=p∗sin⁡(ωt−kx),δp−=p∗sin⁡(ωt+kx) です.ω=2πf,k=ω/v,p∗>0 とします.マイクは時刻0に原点を通り,右向きに一定速度 u<v で動きます.

  1. マイクが記録する2つの振動数とうなりの振動数を求めよ.

  2. f=400Hz,v=320ms−1,u=4.0ms−1 で数値を求め,圧力を積の形に表せ.固定マイクでも時間的なうなりが生じるか.

同じ振動数fの固定音源が右向きと左向きの平面波を出す.マイクは時刻0に原点を通り,右向きに一定速度uで動く. 同じ振動数fの固定音源が右向きと左向きの平面波を出す.マイクは時刻0に原点を通り,右向きに一定速度uで動く.
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考え方 動くマイクの位置を各波の式に代入する.定常波の空間的な振幅分布を横切る運動が,時間的な強弱になる.

  1. x=ut を代入すると位相は (ω−ku)t,(ω+ku)t.したがって f+=f(1−u/v),f−=f(1+u/v),fbeat=f−−f+=2fu/v である.

  2. 順に 395Hz,405Hz,10Hz.和積の公式から

δp=2p∗sin⁡ωtcos⁡kut

となる.振幅の大きさ 2p∗|cos⁡kut| の極大は 0.10s ごとである.固定マイクでは δp=2p∗cos⁡kxsin⁡ωt となり,時間的なうなりはない.u→0 でうなりの振動数も0となる.ここでは u/v=0.0125 が小さいため,音の周期とうなりの周期を分けて観測できる.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

両端固定の弦の有効長は ls=0.500m,線密度は μ=2.50×10−3kgm−1,張力は S=25.0N です.別に,一端閉管の有効長 la=0.425m,音速 va=340ms−1 を与えます.弦と気柱は直接には結合していません.

  1. 弦と気柱の双方で共鳴する振動数を小さい方から3つ求め,それぞれのモード番号を答えよ.

  2. 張力と線密度を変えず,弦の途中を押さえて有効長を 0.400m にする.双方の最も低い共通共鳴振動数を求めよ.

長さl_sが0.500 m,張力Sが25.0 Nの弦と,長さl_aが0.425 mの一端閉管を示す.途中を押さえた弦の有効長は0.400 mである. 長さl_sが0.500 m,張力Sが25.0 Nの弦と,長さl_aが0.425 mの一端閉管を示す.途中を押さえた弦の有効長は0.400 mである.
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考え方 固定端・閉口端・開口端の条件から,各共鳴列を作って共通部分を探す.

  1. 弦の速さは vs=S/μ=100ms−1.弦では ls=nλs/2 より fs,n=nvs/(2ls)=n×100Hz.気柱では閉口が変位の節,開口が変位の腹なので la=(2m−1)λa/4,fa,m=(2m−1)×200Hz.等しい条件は n=2(2m−1).よって共通振動数は 200,600,1000Hz,弦の番号は 2,6,10,気柱の番号は 1,2,3 である.

  2. 弦の基本振動数は 100/(2×0.400)=125Hz.125n=200(2m−1) から 5n=8(2m−1).最小の正の整数解は n=8,m=3 なので,最も低い共通振動数は 1000Hz である.共通共鳴があることは,各基本振動数が等しいことを意味しない.各モードで変位振幅と波数の積が小さく,管の有効長に端補正を含めた範囲である.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

直線上の未知の位置 x=−a(a>0)に小さな音源があります.固定マイクで同じ振動数の音圧振幅 pA を測りました.候補は,平面波の pA=一定 と,吸収のない等方的な球面波の pA=B/(x+a) です.B>0 とし,音源から十分離れた範囲を測っています.表の値は丸めを除いて正確とします.

x(m)

0.00

2.00

4.00

pA(Pa)

0.600

0.300

0.200

音速 v=320ms−1,密度 ρ=1.25kgm−3,平衡圧力 p=1.00×105Pa を与えます.遠方の進行音波では I=pA2/(2ρv) です.

  1. 直線化して模型を選び,a,B を求め,第3点を検算せよ.

  2. 音響出力を求めよ.第1点の音圧だけに ±0.006Pa の誤差があるとき,第1・第2点から求める a の一次近似での不確かさを求めよ.

音源位置−aと,xが0.00,2.00,4.00 mのマイクの測定値を示す.下にxと1/p_Aの作図用座標を用意する. 音源位置−aと,xが0.00,2.00,4.00 mのマイクの測定値を示す.下にxと1/p_Aの作図用座標を用意する.
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考え方 振幅の逆数を取ると,球面波の幾何学的な減衰が直線になる.不確かさは推定式を微分して求める.

  1. 1/pA=x/B+a/B で,傾きは 1/B,切片は a/B.最初の2点から傾きは (1/0.300−1/0.600)/2.00=0.8333Pa−1m−1,切片は 1.6667Pa−1.よって B=1.20Pam,a=2.00m.第3点の予測 1.20/(4.00+2.00)Pa=0.200Pa は一致する.一定振幅の平面波模型には合わない.

  2. 距離を r=x+a とすると,出力は

P=4πr2I=2πB2ρv=2π×1.2021.25×320W=2.26×10−2W.

第1・第2点の振幅を p1,p2,間隔を d=2.00m とすれば a=dp2/(p1−p2).p2 は正確なので Δa≈−dp2Δp1/(p1−p2)2.不確かさは 2.00×0.300×0.006/0.3002m=0.04m.この展開では |Δp1|/(p1−p2)=0.020 の小ささを使う.また pA/p≤6.0×10−6 で音の線形近似に整合し,出力は距離によらない.

演習 5

オリジナル ★★☆☆☆

水面の平面波が,水平面内の境界 z=0 を越えて,波の速さ v1=0.600ms−1 の領域から v2=0.300ms−1 の領域へ進みます.境界の法線は +z 向きです.振動数 f=10.0Hz の2波を,法線の左右から入射角 30.0∘ で入射させます.透過後の変位振幅はともに A=1.0×10−4m で,原点での第2波の位相は第1波より π/3 進んでいます.y は鉛直な水面変位,x は境界に沿う座標です.第1波は +x 向き,第2波は −x 向きの波数成分をもち,第1波の原点での位相を ωt とします.

  1. 透過波の屈折角 θ2 と波長 λ2 を求め,2波の変位を式にせよ.

  2. 合成波を積の形にし,x≥0 で原点に近い2本の節線の位置と,隣り合う節線の間隔を求めよ.

水平面内の境界z=0を上から見る.z軸の正方向と境界の法線は上向きで,z>0の入射側の速さはv_1,z<0の透過側の速さはv_2である.二つの波はz成分が負の方向へ,法線の左右から30.0°で入射する. 水平面内の境界z=0を上から見る.z軸の正方向と境界の法線は上向きで,z>0の入射側の速さはv_1,z<0の透過側の速さはv_2である.二つの波はz成分が負の方向へ,法線の左右から30.0°で入射する.
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考え方 境界に沿う位相の連続から屈折角を決め,透過後の位相差に初期位相差を足す.

  1. 境界に沿う波数成分が等しいので k1sin⁡30.0∘=k2sin⁡θ2.振動数は共通だから sin⁡θ2=(v2/v1)sin⁡30.0∘=1/4,θ2=14.5∘.λ2=v2/f=0.0300m.k2=2π/λ2 とすれば

y1=Asin⁡[ωt−k2(xsin⁡θ2+zcos⁡θ2)],y2=Asin⁡[ωt−k2(−xsin⁡θ2+zcos⁡θ2)+π/3].
  1. 和積の公式で

y1+y2=2Acos⁡(k2xsin⁡θ2+π/6)sin⁡(ωt−k2zcos⁡θ2+π/6)

となる.節線は k2xsin⁡θ2+π/6=π/2+nπ.よって x=λ2(n/2+1/6)/sin⁡θ2,x≥0 では n=0,1,… であり,最初の2本は x=0.0200,0.0800m.間隔は λ2/(2sin⁡θ2)=0.0600m である.位相差を変えると節線は平行移動するが間隔は変わらない.各波の傾きの尺度 k2A=0.021 は小さく,合成しても小振幅の範囲である.

演習 6

オリジナル ★★☆☆☆

有効長 l の両端開管で,最初の5つのモードが同時に鳴っています.音速は v=330ms−1 です.開口を x=0,l とし,変位を

ξ(x,t)=∑n=15Ancos⁡(nπxl)sin⁡(nω1t+ϕn),ω1=πvl

とします.A>0,各 ϕn は一定で,平衡時の気体の密度を ρ とします.音圧は δp=−ρv2∂ξ/∂x です.中央 x=l/2 の小さなマイクでは,300,900,1500Hz の3成分だけが検出されました.

  1. 管の長さを求めよ.中央のスペクトルを見て,一端閉管だと結論してよいか.

  2. マイクを x=l/4 へ移したとき,検出される振動数を求めよ.音圧の2乗の周期平均は,中央の値の何倍か.マイクは音場を乱さないとします.

長さlの両端開管で,中央l/2と移動先l/4のマイク位置を示す.中央では300,900,1500 Hzの三つの成分が観測された. 長さlの両端開管で,中央l/2と移動先l/4のマイク位置を示す.中央では300,900,1500 Hzの三つの成分が観測された.
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考え方 励起されたモードでも,マイクがその音圧の節にあると検出されない.異なる振動数の成分は周期平均で交差項が消える.

  1. 微分すると

δp=P∗∑n=15sin⁡(nπxl)sin⁡(nω1t+ϕn),P∗=ρv2πAl.

中央では sin⁡(nπ/2)=0 となる偶数モードが消える.残るのは n=1,3,5 なので f1=300Hz,l=v/(2f1)=0.550m.奇数倍の成分だけを測っても,閉管の共鳴列か,開管を特定の位置で測った結果かは区別できない.

  1. sin⁡(nπ/4) は n=4 でだけ0になる.検出されるのは 300,600,900,1500Hz.T1=2π/ω1 で平均すると ⟨δp2⟩=P∗2∑n=15sin2⁡(nπx/l)/2.中央は 3P∗2/2,l/4 は (1/2+1+1/2+0+1/2)P∗2/2=5P∗2/4.比は 5/6 である.この局所的な音圧の2乗を,そのまま定常波のエネルギー流とはみなさない.線形近似には,5成分を足した最大の |∂ξ/∂x| が十分小さいことが必要である.

演習 7

オリジナル ★★★☆☆

断面積 A,長さ l の一端閉管で,閉口は x=0,開口は x=l です.音速 v,密度 ρ とし,端補正を無視します.2つのモードを

ξ=Asin⁡qxsin⁡ωt+A3sin⁡3qxsin⁡3ωt,q=π2l,ω=vq

のように励起しました.音圧は δp=−ρv2∂ξ/∂x,運動と圧縮のエネルギー密度は,それぞれ eK=ρ(∂ξ/∂t)2/2,eU=ρv2(∂ξ/∂x)2/2 です.

  1. 閉口での音圧を求め,その絶対値の最大値を求めよ.各成分の振幅の和に等しいか.

  2. 各モードの全エネルギーと,両者のエネルギーの比を求めよ.音圧の最大値だけからエネルギー配分を決められるか.

断面積𝒜,長さlの一端閉管を示す.閉口をx=0,開口をx=lとし,2成分の変位振幅はAとA/3である. 断面積𝒜,長さlの一端閉管を示す.閉口をx=0,開口をx=lとし,2成分の変位振幅はAとA/3である.
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考え方 時間的な最大値は位相を含めて求める.エネルギーは各モードを空間積分し,直交性で交差項を消す.

  1. P∗=ρv2Aq とすると δp(0,t)=−P∗(sin⁡ωt+sin⁡3ωt).s=sin⁡ωt とおけば sin⁡ωt+sin⁡3ωt=4s(1−s2).微分は 4−12s2 なので,−1≤s≤1 で絶対値が最大なのは s=±1/3.よって

|δp|max=8P∗33

であり,振幅の和 2P∗ より小さい.2成分が同時に正または負の最大値を取る時刻がないためである.

  1. 第 n 成分の変位振幅を An,角振動数を ωn とする.∫0lsin2⁡(nqx)dx=∫0lcos2⁡(nqx)dx=l/2(n=1,3)から

EK,n=ρAlωn2An24cos2⁡ωnt,EU,n=ρAlωn2An24sin2⁡ωnt.

したがって En=ρAlωn2An2/4.ω3=3ω,A3=A/3 より E1=E3=ρAlω2A2/4.異なる成分の積の空間積分は0なので,全エネルギーはこの和である.音圧の瞬間最大値は位相でも変わるが,各モードのエネルギーは変わらず,最大値だけでは配分は決まらない.エネルギーの次元は J となり,圧縮の最大尺度 2Aq が小さい範囲である.

演習 8

オリジナル ★★★☆☆

一様な弦の両端 x=0,l を固定し,張力 S,線密度 μ,波の速さ v=S/μ とします.分布した外力で弦を y0(x)=4ax(l−x)/l2 に曲げ,時刻0に外力を取り去ります.初速度は全点で0,a/l は十分小さいとします.

  1. y=∑n=1∞Bnsin⁡(nπx/l)cos⁡(nπvt/l) と表し,係数 Bn を求めよ.

  2. 弦全体の変位が同時に0になる最初の正の時刻と,初期波形の上下を反転した形になる最初の時刻を求めよ.

  3. 初期の弾性エネルギーを積分し,基本振動が占める割合を求めよ.各モードのエネルギーは En=μl(nπv/l)2Bn2/4 です.

両端固定の長さlの弦の初期波形は与えられた放物線で,中央の高さはaである.両端の張力Sと,全点で初速度0の条件を示す. 両端固定の長さlの弦の初期波形は与えられた放物線で,中央の高さはaである.両端の張力Sと,全点で初速度0の条件を示す.
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考え方 初期変位を正弦級数に分ける.残るモードの位相をそろえて,弦全体の形を判定する.

  1. qn=nπ/l とおく.直交性から Bn=(2/l)∫0ly0sin⁡qnxdx.y0(0)=y0(l)=0,d2y0dx2=−8a/l2 を使って2回部分積分すると

∫0ly0sin⁡qnxdx=−1qn2∫0ld2y0dx2sin⁡qnxdx=8al2qn3[1−(−1)n].

よって Bn=16a[1−(−1)n]/(n3π3).偶数モードは0,奇数モードは 32a/(n3π3) である.

  1. t=l/(2v) では,すべての奇数 n に対して cos⁡(nπ/2)=0.全変位は0になる.全変位0には直交性から基本成分も0でなければならず,これが最初の正の時刻である.t=l/v では cos⁡nπ=−1 なので y=−y0.基本成分が初めて符号反転した最大値になる時刻でもあり,これも最初である.全変位0の時刻に弦全体が静止するわけではない.

  2. 初期には速度0なので

E=S2∫0l[4al(1−2x/l)]2dx=8Sa23l.

基本成分は B1=32a/π3 だから E1=256Sa2/(lπ4),E1/E=96/π4≈0.986.高いモードも波形には必要だが,エネルギーの大部分は基本振動に入る.全エネルギーは Sa2/l の次元をもち,初期の最大傾き 4a/l が十分小さいことを近似に使った.