問いしるべ
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運動を記述する

円運動の演習

著者:柚木芹香

円運動では,まず半径と角速度を決めてから速さと加速度を求めます.加速度の向きがどこを向くかも毎回確かめてください.

演習

演習 1

オリジナル ★★☆☆☆

地球は 24 時間で1回自転する(ここでは1日を 8.64×104s とする).地球の半径を 6.4×106m とする.

  1. 赤道上の点の速さと加速度の大きさを求めよ.

  2. 北緯 35∘ の地点の速さと加速度の大きさを求めよ.加速度は地球の中心を向くか.

地球の断面図.鉛直な自転軸のまわりを地球が角速度ωで回る.赤道上の点Eは自転軸から地球の半径Rだけ離れた円を描く.北緯35°の点Pは,地球の中心とPを結ぶ線が赤道面と35°の角をなす位置にあり,自転軸からの水平な距離rの円を描く.Pの円運動の中心は地球の中心ではなく自転軸上の点である. 地球の断面図.鉛直な自転軸のまわりを地球が角速度ωで回る.赤道上の点Eは自転軸から地球の半径Rだけ離れた円を描く.北緯35°の点Pは,地球の中心とPを結ぶ線が赤道面と35°の角をなす位置にあり,自転軸からの水平な距離rの円を描く.Pの円運動の中心は地球の中心ではなく自転軸上の点である.
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考え方 北緯 φ の点は,自転軸のまわりを半径 Rcos⁡φ の円周上で回る.角速度は全地点で共通である.

自転の角速度は ω=2π/(8.64×104)≈7.3×10−5rads−1.

  1. 赤道では円運動の半径が地球の半径 R に等しいので,v=Rω=6.4×106×7.27×10−5≈4.7×102ms−1.加速度は a=Rω2≈6.4×106×(7.27×10−5)2≈3.4×10−2ms−2(重力加速度の約 0.3 %).

  2. 北緯 35∘ では半径 Rcos⁡35∘≈0.82R なので,速さ v≈3.8×102ms−1,加速度 a≈2.8×10−2ms−2.加速度は円運動の中心,つまり自転軸に向かう向きであり,地球の中心を向くのは赤道上だけである.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

半径 R=0.50m の円周上を,点が静止の状態から回転角 θ=12αt2(α=2.0rads−2)で動き始める.

半径Rの円と回転角θを示す.接線・法線加速度は描かない. 半径Rの円と回転角θを示す.接線・法線加速度は描かない.
  1. t=1.5s の接線加速度,法線加速度,加速度の大きさを求めよ.また,加速度が速度となす角を求めよ.

  2. 加速度の向きが速度と 45∘ になるのは何秒後か.

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考え方 接線加速度は Rθ¨,法線加速度は Rθ˙2 である.

θ˙=ω=αt,θ¨=α.

  1. t=1.5s で ω=3.0rads−1.at=Rα=0.50×2.0=1.0ms−2,an=Rω2=0.50×9.0=4.5ms−2.加速度の大きさは 1.02+4.52≈4.6ms−2.速度は接線方向を向くので,加速度と速度のなす角 ψ は tan⁡ψ=an/at=4.5,ψ≈78∘ である.

  2. ψ=45∘ は an=at と同値.Rα2t2=Rα より t=1/α=1/2.0≈0.71s.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

等速円運動の加速度が中心を向くことを,図形で示す.半径 R,速さ v の等速円運動で,短い時間 Δt の間に回転角が Δθ だけ増える.

  1. 時刻 t と t+Δt の速度ベクトルを同じ始点から描き,速度の変化 Δv を図示せよ.

  2. |Δv| を v,Δθ で表し,小角近似を使って加速度の大きさ v2/R を求めよ.また,Δt→0 で Δv の向きが中心向きになることを示せ.

左は半径Rの円で,時刻tの点と時刻t+Δtの点(中心角Δθだけ進んだ位置)に,円の接線方向の速度ベクトルv(t)とv(t+Δt)を描いたもの.右は同じ二つの速度ベクトルを同じ始点から描き直したもので,二つのなす角はΔθ,大きさはどちらもvである.速度の変化Δvは,読者が右の図に描き入れて求める. 左は半径Rの円で,時刻tの点と時刻t+Δtの点(中心角Δθだけ進んだ位置)に,円の接線方向の速度ベクトルv(t)とv(t+Δt)を描いたもの.右は同じ二つの速度ベクトルを同じ始点から描き直したもので,二つのなす角はΔθ,大きさはどちらもvである.速度の変化Δvは,読者が右の図に描き入れて求める.
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考え方 2つの速度ベクトルは大きさが等しく,向きの差が Δθ.その差のベクトルは二等辺三角形の底辺になる.

  1. 2つの速度ベクトルを始点を共通にして描くと,長さ v の2辺が頂角 Δθ をなす二等辺三角形ができ,底辺が Δv である.

  2. 底辺の長さは |Δv|=2vsin⁡Δθ2≈vΔθ(小角近似).Δθ=ωΔt なので,

a=limΔt→0|Δv|Δt=vω=v2R

二等辺三角形の底角は π−Δθ2 であり,Δt→0 では π/2 に近づく.よって Δv は速度に垂直で,速度の向きが曲がっていく側,つまり中心を向く.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

長さ 0.80m の糸の先に石をつけ,床から高さ 1.25m の水平面内で,毎秒 2.0 回転の等速円運動をさせた(速く回すので糸は水平とみなし,重力による糸の傾きは無視する).

床から1.25 mの水平面内で長さ0.80 mの糸についた石を回す.右向きの接線速度は問題文の条件を示す. 床から1.25 mの水平面内で長さ0.80 mの糸についた石を回す.右向きの接線速度は問題文の条件を示す.
  1. 石の加速度の大きさと向きを求めよ.

  2. 石が糸から離れる瞬間に,石の速度は円の接線方向を向く.石が離れてから床に着くまでの水平距離と,着地点の回転軸からの距離を求めよ.重力加速度は 9.8ms−2,空気の抵抗は無視する.

  3. 回転数を変えずに糸の長さを2倍にすると,石の加速度は何倍になるか.

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考え方 円運動では速さ v=rω,加速度 a=rω2.離れた後は,水平方向に等速,鉛直方向に自由落下する放物運動になる.

  1. ω=2π×2.0=4π≈12.6rads−1.a=rω2=0.80×(12.6)2≈1.3×102ms−2.向きは円の中心(回転軸)である.

  2. 石の速さは v=rω=0.80×12.6≈10ms−1.離れる瞬間の速度は水平で,接線方向である.落下の時間は h=12gt2 より t=2×1.25/9.8≈0.505s.水平距離は,離れた点から接線方向に 10.05×0.505≈5.08m,約 5.1m.離れた点は回転軸から 0.80m で,接線は半径に垂直だから,着地点の回転軸からの水平距離は 0.802+5.082≈5.14m,これも約 5.1m である.糸の長さに比べて飛ぶ距離が長いので,2つの距離の差は 0.06m ほどしかない.

  3. 回転数が同じなら ω は同じで,a=rω2 は r に比例するので2倍である.

ポイント 教える人へ

  • 「半径の半分の点はどちらが速いか」を最初に問い,「速さは半径に比例するが,角速度は同じ」と言い分けられるかを確かめる.

  • 「速さが一定ならば加速度は0」という素朴な誤解に対しては,円運動で速度ベクトルの矢印を数本描かせ,向きが変わっていることを見せる.

  • ラジアンの感覚をつかませるため,1 rad が約 57∘,円周が半径の約 6.3 倍であることを具体的に確かめる.

  • 小角近似は「いつ使ってよいか」が大事である.θ=0.05rad,0.5rad,1rad で誤差を比べさせる.

  • 接線加速度と法線加速度は「速さの変化」と「向きの変化」に対応する.どちらが何を変えるかを自分の言葉で言えれば,理解できている.