問いしるべ
問いから始める物理 振動

振動

減衰振動と強制振動の演習

著者:柚木芹香

固有角振動数,減衰した振動の角振動数,外力の角振動数を区別して解いてください.エネルギーについては,瞬間の値を扱うのか,周期平均を扱うのかも確かめましょう.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

質量 m=1.0kg,ばね定数 k=16Nm−1 の系に速度比例抵抗 −bv が働く.

  1. b=2.0,8.0,10kgs−1 の各場合を弱減衰,臨界減衰,過減衰に分類せよ.

  2. 弱減衰の場合の角振動数 ω′ と周期を求めよ.

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考え方 抵抗係数 b を直接 ω0 と比較せず,単位の揃う γ=b/(2m) に直す.

  1. ω0=k/m=4.0rads−1.各 γ は 1.0,4.0,5.0s−1 だから順に弱減衰,臨界減衰,過減衰である.臨界値は bc=2mω0=8.0kgs−1.抵抗が大きいほど速く戻るという予想は,過減衰の範囲では成り立たない.

  2. ω′=ω02−γ2=15≈3.9rads−1,T′=2π/15≈1.6s.抵抗なしの周期 2π/4 より長い.臨界減衰と過減衰では周期的な往復がないため,同じ周期の式を実数値として当てはめることはできない.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

自由な弱減衰振動を観測すると,同じ向きの変位の山が 0.50s 間隔で現れ,続く山の高さは直前の0.80倍であった.質量は 0.20kg とする.

  1. γ,b,ω0 を求めよ.

  2. 山の高さがある山の半分以下となるのは,何周期後の山からか.

同じ向きの二つの山の観測点.時間間隔は0.50 sで,高さを最初の山で規格化すると1と0.80になる. 同じ向きの二つの山の観測点.時間間隔は0.50 sで,高さを最初の山で規格化すると1と0.80になる.
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考え方 同じ位相で比較すれば三角関数の因子が同じになるため,山の比は指数因子の比だけで決まる.

  1. e−γT′=0.80 より γ=−ln⁡0.80/0.50≈0.446s−1.b=2mγ≈0.18kgs−1.ω′=2π/T′=4πrads−1 であり,ω0=(4π)2+γ2≈12.6rads−1.山の間隔から直接分かるのは ω′ であって ω0 ではない.

  2. 0.80n≤1/2 より n≥ln⁡(1/2)/ln⁡0.80≈3.11.したがって4周期後の山からである.3周期後は0.512倍,4周期後は0.4096倍となる.包絡線そのものが半分になる時刻と,離散的に記録された山が初めて半分以下になる時刻を区別する必要がある.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

x¨+6x˙+9x=0 に従う系を x(0)=a>0,x˙(0)=0 から放す.係数の単位はSI単位系に従い,時刻はsとする.

  1. 解が x=(C1+C2t)e−3t と書けることを使い,C1,C2 を決めよ.

  2. 有限の時刻に原点を横切るか,途中で向きを変えるかを調べよ.

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考え方 重解をもつ特性方程式では,指数関数だけでは独立な解が足りず,時刻を掛けた項も必要である.

  1. λ2+6λ+9=(λ+3)2=0 で,γ=ω0=3s−1 の臨界減衰である.初期位置から C1=a.x˙={C2−3(C1+C2t)}e−3t に初速度を代入して C2=3a.よって x=a(1+3t)e−3t.

  2. t≥0 で x>0,t>0 で x˙=−9ate−3t<0.したがって原点を横切らず,向きも変えずに0へ近づく.x=ae−3t だけを解とすると初速度が −3a となり,静かに放す条件に合わない.なお,原点を横切らないという結論はここで指定した初期条件についてのものであり,十分大きい初速度を与えた場合まで含む主張ではない.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

m=0.50kg,k=50Nm−1,b=1.0kgs−1 の系に F=0.20cos⁡ωtN を加える.十分に時間がたった定常振動を扱う.

  1. ω=10rads−1 での振幅と位相の遅れを求めよ.

  2. 外力の平均仕事率と抵抗による平均損失率を求めよ.

  3. 変位振幅が最大になる角振動数は正確に10か.

水平ばねに結ばれた物体へ周期外力を加え,並列の抵抗装置が速度と逆向きの力を及ぼす.赤矢印は外力の正方向を示す. 水平ばねに結ばれた物体へ周期外力を加え,並列の抵抗装置が速度と逆向きの力を及ぼす.赤矢印は外力の正方向を示す.
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考え方 固有角振動数で駆動すると,変位は外力より四分の一周期遅れ,速度は外力と同位相になる.変位の最大振幅を与える周波数とは区別する.

  1. ω0=10rads−1,γ=1.0s−1.A=F0/(bω0)=0.020m,δ=π/2.したがって x=0.020sin⁡10t,v=0.20cos⁡10t である.

  2. cos2 の1周期平均は 1/2 なので,⟨Fv⟩=0.20×0.20/2=0.020W.⟨bv2⟩=1.0×0.202/2=0.020W で等しい.定常状態とはエネルギーの流入がない状態ではなく,周期平均の流入と損失が釣り合う状態である.

  3. 振幅の分母の2乗を微分すると 4ω(ω2−ω02+2γ2).正の極小点は ωr=98≈9.90rads−1 で,10よりわずかに小さい.弱い抵抗で両者を近似的に同じとする場合も,どの応答を最大にするかは明示する.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

外力のない系 mx¨+bx˙+kx=0 で,E=mv2/2+kx2/2 とする.弱減衰解は x=Ae−γtcos⁡(ω′t+ϕ) である.

  1. 瞬間のエネルギー変化率を導け.

  2. T′=2π/ω′ として E(t+T′)/E(t) を求めよ.また E(t)=E(0)e−2γt がすべての瞬間に厳密に成り立つか調べよ.

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考え方 運動方程式に速度を掛けると,力の式が仕事率の式になる.1周期後の比と,周期の途中を含む時間変化は別に調べる.

  1. 微分して E˙=mvv˙+kxv=v(mx¨+kx)=−bv2≤0.外力がなければエネルギーは増えず,転回点では v=0 なので瞬間の減少率も0になる.

  2. 三角関数の位相が 2π 増えるため,x(t+T′)=e−γT′x(t),v(t+T′)=e−γT′v(t).両方を2乗して足すと E(t+T′)/E(t)=e−2γT′ が厳密に成り立つ.しかし全時刻で単純な指数関数なら E˙=−2γE となり,転回点でも E>0 なら減少率が負になって(1)と合わない.抵抗が十分小さい場合には,周期中の小さな変動をならしたエネルギーの近似として指数減衰を使える.

ポイント 教える人へ

  • b,γ,ω0 の単位と関係を最初に確かめさせる.

  • 初期条件を代入して解を検算する習慣をつける.

  • 変位の共鳴と,外力と速度が同位相になる条件を区別させる.

  • エネルギーの周期ごとの比と瞬間の変化率を混同させない.