問いしるべ
問いから始める物理 光

光

回折と光の分解能の演習

著者:柚木芹香

光路差から次数と欠ける明線を調べます.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

格子定数 d=2.40μm の透過格子に,波長 λ=640nm の光を垂直入射させます.主極大は dsin⁡θ=mλ に現れ,スリット幅の影響を無視します.格子面に沿う方向は除きます.

  1. 全次数と,0次を含む総数を求めよ.

  2. 正の最大次数の回折角を求めよ.

格子定数dが2.40 μmの透過格子へ,波長640 nmの光を垂直に入射する.透過側の法線と,観測方向の角θを示す. 格子定数dが2.40 μmの透過格子へ,波長640 nmの光を垂直に入射する.透過側の法線と,観測方向の角θを示す.
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考え方 正弦の範囲から整数を選ぶ.

  1. |sin⁡θ|<1 より |m|<d/λ=3.75.m=0,±1,±2,±3 の7本である.

  2. sin⁡θ=3λ/d=0.800 より θ=53.1∘.角度は無次元の比 λ/d で決まる.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

距離 L=2.0km の2点光源が,視線に垂直に s=3.0cm 離れています.波長は λ=600nm,円形開口の直径は D です.角間隔が 1.22λ/D 以上なら分解でき,収差と大気の影響を無視します.

  1. 必要な D の最小値を求めよ.

  2. D=8.0cm から同心の絞りで 4.0cm にすると分解できるか.倍率で改善するか.

間隔sが3.0 cmの2点光源を,距離Lが2.0 kmの望遠鏡で見る.正面図は直径Dの円形開口と,同心の絞りを示す.寸法Dは外円の直径,網掛けは同心の絞りの遮光部分を表す. 間隔sが3.0 cmの2点光源を,距離Lが2.0 kmの望遠鏡で見る.正面図は直径Dの円形開口と,同心の絞りを示す.寸法Dは外円の直径,網掛けは同心の絞りの遮光部分を表す.
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考え方 光源の角間隔と開口の限界を比較する.

  1. 角間隔は s/L=1.5×10−5.s/L≥1.22λ/D より D≥1.22λL/s=4.9cm である.

  2. 絞る前は分解できる.絞った後は 1.22λL/D=3.7cm なので分解できない.倍率で回折像も拡大し,限界は改善しない.近軸近似には s/L,λ/D が十分小さいことが必要である.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

波長 λ=0.120nm のX線を結晶に当てます.θ は結晶面と入射方向の角です.表の r が同じ面間隔 d の次数か,2dsin⁡θ=rλ で調べます.

r

1

2

3

sin⁡θ

0.200

0.400

0.600

  1. r を横軸としたグラフの傾きから d を求めよ.

  2. 3次の sin⁡θ の不確かさが ±0.004 のとき,この1点から求める d の不確かさを一次近似で求めよ.波長は正確とします.

間隔dの結晶面に対する角θでX線を入射する.下のグラフには次数rとsin θの測定3点のみを示す. 間隔dの結晶面に対する角θでX線を入射する.下のグラフには次数rとsin θの測定3点のみを示す.
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考え方 原点を通る直線かを確かめ,傾きから面間隔を求める.

  1. sin⁡θ=λr/(2d) の傾きは q=0.200.3点は原点を通る直線上にあり,模型に合う.d=λ/(2q)=0.300nm である.

  2. u=sin⁡θ とすれば d=3λ/(2u),dddu=−3λ/(2u2).δd/d≈δu/u=0.004/0.600 より d=(0.300±0.002)nm.微分の符号から角度が大きいほど推定値は小さく,近似条件は 1≫δu/u である.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

幅 a,中心間隔 d=3a の同じ2スリットを,単色光で同位相・同強度に照らします.遠方の強度は

I(θ)=Ic(sin⁡ββ)2cos2⁡(πdsin⁡θλ),β=πasin⁡θλ

です.Ic は中央強度,β=0 の比は1,a>λ とします.

  1. 干渉条件 dsin⁡θ=mλ のうち消える次数と,単スリットの中央の2暗線の間に残る次数の数を求めよ.

  2. m=1 の方向の I/Ic を求めよ.

同じ幅aの2スリットの中心間隔はdが3aである.垂直入射光,法線,観測方向θを示す. 同じ幅aの2スリットの中心間隔はdが3aである.垂直入射光,法線,観測方向θを示す.
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考え方 単スリット因子が0なら,干渉の明線も消える.

  1. 暗線は asin⁡θ=pλ,p≠0 は整数である.干渉条件と合わせると m=3p だから,存在する ±3,±6,… が消える.0次は消えない.中央は |asin⁡θ|<λ より |m|<3,残るのは 0,±1,±2 の5本である.

  2. β=π/3,干渉因子は1より I/Ic=(sin⁡β/β)2=27/(4π2)≈0.684.包絡線のため厳密な極大とは限らない.距離 L での遠方近似には,全幅 w=d+a に対して 1≫w2/(λL) が必要である.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

透過格子を x 軸上に並べ,透過側への法線を +z とします.xz 面内の入射・観測方向の角を,法線から +x へ符号つきで α,θ と測ります.d=2.0μm,λ=600nm,α=30∘ とし,スリット幅は無視します.

  1. 入射位相と観測点への光路差を含め,隣接複素振幅の比から主極大条件を導け.

  2. 格子面に沿う方向を除き,全次数と両端の回折角を求めよ.

透過格子をx軸に並べ,透過側への法線を+zとする.αとθは,進行方向と+zとの角を+xへ正として測る. 透過格子をx軸に並べ,透過側への法線を+zとする.αとθは,進行方向と+zとの角を+xへ正として測る.
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考え方 斜め入射では入射時にも位相差がある.

  1. 時間因子を eiωt,波数を k=2π/λ とする.+x へ d 離れると入射位相は −kdsin⁡α,観測点への距離による位相は +kdsin⁡θ だけ変わる.比は eiϕ,ϕ=kd(sin⁡θ−sin⁡α).ϕ=2πm より d(sin⁡θ−sin⁡α)=mλ を得る.

  2. sin⁡θ=0.50+0.30m だから −5<m<5/3.次数は −4,−3,−2,−1,0,1 の6本で,両端は θ−4=arcsin⁡(−0.70)≈−44∘,θ1=arcsin⁡0.80≈53∘.m=−5 は格子面に沿うので除く.0次では θ=α となり,直進を再現する.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

垂直入射で同じ複素振幅 A を出す N≥2 本の細いスリットがあり,間隔は d,隣接位相差は ϕ=2πdsin⁡θ/λ です.一方の主極大が他方の最初の暗線に達したら分解できるとします.

  1. 等比級数 A∑j=0N−1eijϕ から,主極大近傍の最初の暗線と,近い2波長 λ,λ+δλ の分解条件を導け.

  2. N=2500,d=2.0μm,λ=600.0nm,δλ=0.10nm で,分解できる最小の正の次数を求めよ.照明する本数が半分ならどうか.

間隔dの細いスリットN本を同位相で垂直に照らす.各スリットの複素振幅はAで,観測方向を法線との角θで表す. 間隔dの細いスリットN本を同位相で垂直に照らす.各スリットの複素振幅はAで,観測方向を法線との角θで表す.
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考え方 線の間隔と幅を比較する.

  1. 和は A(1−eiNϕ)/(1−eiϕ),強度は |A|2sin2⁡(Nϕ/2)/sin2⁡(ϕ/2) に比例する.主極大 ϕ=2πm の振幅は NA,隣の暗線は ϕ=2πm±2π/N.dsin⁡θ での半幅 λ/N と2波長の間隔 |m|δλ を比較し,|m|N≥λ/δλ を得る.

  2. 右辺は6000より m≥3.観測できる次数は m<d/(λ+δλ)≈3.33 より1〜3で,答えは3次.1250本では3次でも3750で分解できない.近似条件は 1≫δλ/λ である.

ポイント 教える人へ

次数の上限を正弦の範囲から説明させます.
欠ける明線では干渉因子と回折因子を確かめさせます.
斜め入射の角の符号とブラッグ角の基準を問います.
分解能と倍率を区別し,近似条件を確認します.