問いしるべ
問いから始める物理 電磁波(発展)

電磁波(発展)

電磁波の場と光圧の演習

著者:柚木芹香

場の向き,時間平均,運動量の流れを結びつけてください.以下,強さ I は単位面積あたりの平均通過電力を表し,真空中の光速を c=3.0×108ms−1 とします.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

真空中の平面波の電場は Ey=E0sin⁡(ωt+kx),Ex=Ez=0 です.E0,ω,k>0,ω=ck とします.

  1. 進行方向と磁場の各成分を求めよ.

  2. 電場と磁場のエネルギー密度 uE=ε0E2/2,uB=B2/(2μ0) を比較し,平均全エネルギー密度を求めよ.ε0μ0c2=1 を使ってよい.

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考え方 同じ位相の点が動く向きを求め,外積 E×B をその向きにそろえる.

  1. 位相一定では ωdt+kdx=0 だから dxdt=−c.磁場は Bx=By=0,Bz=−E0sin⁡(ωt+kx)/c である.電場の正負が変わると磁場も反転し,外積は常に負のx方向になる.

  2. uB=E2/(2μ0c2)=ε0E2/2=uE.よって u=ε0E02sin2⁡(ωt+kx) で,1周期平均は ⟨u⟩=ε0E02/2.電場と磁場は瞬間ごとにも等分され,平均だけの一致ではない.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

大気外のある場所の太陽光を,同じ平均強度の正弦平面波に置き換えます.I=7.2×102Wm−2,ε0=8.9×10−12Fm−1 とします.

  1. S=E×B/μ0 から I と電場振幅の関係を導き,電場・磁場の振幅を求めよ.

  2. 波に垂直な面積 S=2.0m2 の完全吸収板が受ける力を求めよ.エネルギー U の光は進行方向に運動量 U/c を運びます.

平行な入射光が板へ垂直に入る.入射光の強さIと,完全吸収板の面積Sを示す. 平行な入射光が板へ垂直に入る.入射光の強さIと,完全吸収板の面積Sを示す.
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考え方 強さは場の振幅の2乗の時間平均であり,吸収板の力は毎秒受け取る運動量である.

  1. B=E/c より Sx の大きさは E2/(μ0c)=ε0cE2.したがって I=ε0cE02/2,E0=2I/(ε0c)=7.3×102Vm−1,B0=E0/c=2.4×10−6T.

  2. 時間 Δt に届くエネルギーは ISΔt だから,F=IS/c=4.8×10−6N.光圧 I/c=2.4×10−6Pa と面積の積に等しい.ここでの振幅は,多くの振動数を含む実際の太陽光の単一の振幅ではなく,指定した置換の値である.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

真空中の薄い板に,電力 P=0.36W のレーザーを τ=2.0×10−2s 照射します.光は板へ垂直に当たり,全て板の中に収まります.入射エネルギーの 1/3 を吸収し,残りを正反対に反射します.板の質量は M=1.2×10−8kg,初速度は0です.外力,照射中の再放射,運動による光の変化を無視します.

  1. 平均の力と,照射終了時の速度を求めよ.

  2. 板の運動エネルギーと入射エネルギーの比を求め,近似を確かめよ.

電力Pの入射光が,質量Mの初め静止した板に垂直に当たる.吸収は1/3,残りを正反対へ反射するという条件を示す.照射時間はτである. 電力Pの入射光が,質量Mの初め静止した板に垂直に当たる.吸収は1/3,残りを正反対へ反射するという条件を示す.照射時間はτである.
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考え方 吸収では U/c,反射では 2U/c の運動量が板へ渡る.

  1. F=(1/3+2×2/3)P/c=2.0×10−9N.力積 Fτ=Mv より v=3.3×10−3ms−1 で,入射光の向きである.

  2. U=Pτ=7.2×10−3J,K=Mv2/2=6.7×10−14J.したがって K/U=9.3×10−12.吸収エネルギーの大部分は板の内部に残る.無次元量 v/c=1.1×10−11 が十分小さく,反射光のエネルギー変化を無視する近似も整合する.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

真空中の同振幅の対向波を,Ey(+)=E0sin⁡(ωt−kx),Ey(−)=−E0sin⁡(ωt+kx) とします.ω=ck,λ=2π/k です.弱い探針で測った,隣り合う3つの電場強度の極大位置は次の通りでした.各位置の誤差の絶対値は 0.10cm 以下とします.

極大

位置 x(cm)

A

3.05

B

9.15

C

15.25

  1. 合成電場を求め,極大位置の間隔から波長と振動数 ν を決めよ.

  2. AとCを使った波長の最大誤差と,振動数の相対誤差の1次近似を求めよ.

同振動数・同振幅の対向波を矢印で示す.x軸上の測定位置はAが3.05 cm,Bが9.15 cm,Cが15.25 cmで,探針は軸に沿って走査する. 同振動数・同振幅の対向波を矢印で示す.x軸上の測定位置はAが3.05 cm,Bが9.15 cm,Cが15.25 cmで,探針は軸に沿って走査する.
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考え方 電場を足してから2乗平均をとる.腹の間隔は波長そのものではない.

  1. 和積の公式から Ey=−2E0cos⁡ωtsin⁡kx,⟨Ey2⟩=2E02sin2⁡kx.極大の間隔は π/k=λ/2 である.AとCは2間隔離れているので,λ=xC−xA=12.20cm,ν=c/λ=2.5×109Hz.Bも中点にあり,等間隔の模型と合う.

  2. 差の誤差は両端の誤差の和以下だから Δλ=0.20cm.dνdλ=−c/λ2 より Δν/ν≈Δλ/λ=0.016,約1.6 %である.これは最大誤差の評価であり,二乗和ではない.捨てた高次項は (Δλ/λ)2 程度で十分小さい.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

等方的に電力 P∗ を放射する恒星のまわりで,面積 S,面積あたりの質量 σm の平らな帆を考えます.帆は恒星から距離 r にあり,法線は半径方向です.入射エネルギーの割合 α を吸収し,残りを正反対へ反射します.透過,吸収後の再放射による合力,他の力は無視します.恒星の質量は M∗ です.

  1. 光圧の力と重力の比を導き,半径方向の合力が外向きになる σm の条件を求めよ.

  2. P∗=3.6×1026W,GM∗=1.3×1020m3s−2,α=1/4,σm=8.0×10−4kgm−2 で比を評価せよ.恒星へ近づくだけで,合力の向きは逆転しますか.

質量M_*,放射電力P_*の恒星と,距離rに置かれた帆を示す.帆は半径方向に垂直で,面積S,面密度σ_m,吸収割合αを記す. 質量M_*,放射電力P_*の恒星と,距離rに置かれた帆を示す.帆は半径方向に垂直で,面積S,面密度σ_m,吸収割合αを記す.
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考え方 球面に広がる光の強さと,帆全体への万有引力を同じ距離で比較する.

  1. I=P∗/(4πr2) なので,Flight=(2−α)P∗S/(4πcr2).帆の質量は σmS だから Fg=GM∗σmS/r2.従って

FlightFg=(2−α)P∗4πcGM∗σm,σm<(2−α)P∗4πcGM∗

なら合力は外向きである.

  1. 境目の面密度は 1.3×10−3kgm−2,比は丸める前の値で約1.6.両方が r−2 に比例するため,近づくだけでは向きは逆転しない.右辺は面密度の次元を持つ.恒星と帆の大きさが r より十分小さく,帆の速さと c の比も十分小さい範囲での結論である.

ポイント 教える人へ

  • 電場と磁場の外積から,波の進行方向を説明させます.

  • 振幅の2乗とその時間平均,腹の間隔と波長を区別させます.

  • 吸収と反射で力積が違う理由を,光の運動量の変化から問います.

  • 誤差や運動の近似は,小さいとした無次元量で確かめさせます.