問いしるべ
問いから始める物理 運動を記述する

運動を記述する

速度から位置への演習

著者:柚木芹香

v-tグラフの面積と積分で,変位・道のり・位置を求めます.積分定数と初期条件を忘れないようにしてください.

演習

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

直線上を走る自転車のv-tグラフは,0 sから3 sまで速度が0から 6ms−1 まで直線的に増え,3 sから8 sまで 6ms−1 で一定,8 sから10 sまで直線的に減って0になる.この10 sの間の変位,道のり,平均の速度を求めよ.

横軸が時刻t(単位s),縦軸が速度v(単位m/s)のグラフ.(0,0),(3,6),(8,6),(10,0)を折れ線で結んだ台形. 横軸が時刻t(単位s),縦軸が速度v(単位m/s)のグラフ.(0,0),(3,6),(8,6),(10,0)を折れ線で結んだ台形.
解答を見る

考え方 面積を3つの部分に分けて足す.速度は負にならないので,変位と道のりは等しい.

0〜3 sは三角形で 12×3×6=9m,3〜8 sは長方形で 5×6=30m,8〜10 sは三角形で 12×2×6=6m である.合計は 45m で,これが変位であり,速度が負にならないので道のりも 45m である.平均の速度は 45/10=4.5ms−1 である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

一直線上を速度 v0 で進む物体が,ブレーキをかけると v=v0−kt(k は正の定数)で速度が減っていく.ブレーキをかけ始めた時刻を t=0,位置を x=0 とする.(1) 止まるまでの時間 (2) 止まるまでに進む距離を,積分で求めよ.(3) v0=20ms−1,k=4ms−2 の数値を代入せよ.

原点でブレーキをかけ始める物体と初速度v₀を示す. 原点でブレーキをかけ始める物体と初速度v₀を示す.
解答を見る

考え方 停止は v=0 の時刻.位置は速度を積分して,停止の時刻での値を読む.

  1. v0−kt=0 より t1=v0/k.

  2. x(t)=∫0t(v0−ks)ds=v0t−12kt2 である.t1 を代入すると

x(t1)=v02k−k2⋅v02k2=v022k
  1. t1=20/4=5s,x=400/8=50m.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

物体が静止の状態から,加速度 a=αt(α は正の定数,単位は ms−3)で直線上を動き始める.時刻 t=0 の位置を原点とする.(1) 速度と位置を時刻の関数として求めよ.(2) α=4ms−3 のとき,速さが 18ms−1 になる時刻と,その間に進む距離を求めよ.

原点に静止した物体と,正のx方向に増す加速度a=αtを示す. 原点に静止した物体と,正のx方向に増す加速度a=αtを示す.
解答を見る

考え方 加速度を積分して速度,もう一度積分して位置を得る.初期条件は v(0)=0,x(0)=0.

  1. v(t)=∫0tαsds=12αt2.x(t)=∫0t12αs2ds=16αt3.

  2. v=2t2=18 より t=3s.距離は x=16⋅4⋅27=18m.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

原点から出発して正のx方向に動き始める質点の速度が,v=v0(1−t/τ) で与えられる.ただし v0=15cms−1,τ=6.0s である.(1) 位置 x(t) を求めよ.(2) 位置が x=40cm になる時刻をすべて求めよ.(3) t=12s までの道のりを求めよ.

時刻0に原点から正のx方向へ出発する質点を示す. 時刻0に原点から正のx方向へ出発する質点を示す.
解答を見る

考え方 速度は t=τ で符号が変わる.位置は積分で求め,道のりは符号が変わる時刻で区間を分ける.

  1. x(t)=∫0tv0(1−sτ)ds=v0(t−t22τ)=15t−54t2(cm).

  2. 15t−54t2=40 より t2−12t+32=0,(t−4)(t−8)=0.よって t=4s と 8s.1度目は行きの途中,2度目は折り返したあとである.

  3. t=6s で v=0 になり,それ以降は v<0 である.x(6)=90−45=45cm.x(12)=180−180=0.6 sまでに45 cm進み,6 s以降に同じ距離だけ戻るので,道のりは 45+45=90cm で,変位は0である.

演習 5

オリジナル ★★☆☆☆

x軸上の物体の速度が v(t)=t2−4t+3(ms−1)で,t=0 に原点にある.0≤t≤4s について,(1) 変位 (2) 道のり (3) x(t) の極値となる時刻を求めよ.

問題で与えられたvと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない. 問題で与えられたvと時刻tの関係を示す.求める量やその値は記入しない.
解答を見る

考え方 v=0 となる時刻で区間を分ける.速度の符号が変わる時刻は,位置の極値の時刻である.

v=(t−1)(t−3) で,0<t<1 で正,1<t<3 で負,3<t<4 で正である.位置は

x(t)=t33−2t2+3t

であり,x(1)=13−2+3=43,x(3)=9−18+9=0,x(4)=643−32+12=43(m).

  1. 変位は x(4)−x(0)=43m.

  2. 区間ごとの変位は +43,−43,+43 なので,道のりは各絶対値の和で 43×3=4m.

  3. 極大は t=1s,極小は t=3s である.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

抵抗を受けて減速する物体の加速度が,速度に比例して a=−kv(k は正の定数) と表されるとする.時刻 t=0 に原点を速度 v0 で通過した.(1) v(t)=v0e−kt がこの関係を満たすことを微分で確かめよ(指数関数の微分 (ekt)′=kekt を使ってよい).(2) 位置 x(t) を求めよ.(3) 止まるまでに進む距離はいくらか.また,物体は有限の時間で止まるか.

速度と逆向きに加速度が働く物体の初期状態を示す. 速度と逆向きに加速度が働く物体の初期状態を示す.
解答を見る

考え方 (1) は微分して確かめる.(2) は (1) の速度を積分する.

  1. dvdt=−kv0e−kt=−kv となり,a=−kv を満たす.初期条件 v(0)=v0 も満たす.

  2. x(t)=∫0tv0e−ksds=v0k(1−e−kt).

  3. t→∞ で e−kt→0 となり,x→v0/k.進む距離は v0/k を超えない.v0e−kt は有限の時刻では0にならないので,有限の時間では止まらず,限りなくゆっくり v0/k に近づく.演習 2 の一定の加速度の減速とは,この点が違う.

ポイント 教える人へ

  • 問いかけ:「速度計の記録だけで走った距離は分かるか」と聞き,台形のグラフを見せる.面積が変位になる理由を,「短い時間なら速度は一定とみなせる」という言い方で,教わる人自身に言わせる.

  • つまずき:定積分(面積という数)と不定積分(関数)が混ざる.積分定数を入れ忘れて初期条件を使わない誤りも多いので,位置を求めるときは必ず「初めの位置は?」と聞き返す.

  • 変位と道のり:速度が負の区間の扱いで混乱する.往復運動の図を描かせ,戻ったぶんをどう数えるかを言葉で説明させる.

  • 理解の確かめ:v=3t2 の0から1までの変位を,区分求積の和(n=4 など)と原始関数の両方で求めさせる.「a=−kv は止まるか」と問い,第4章の空気抵抗への関心につなげる.