電磁誘導と交流
誘導電場の例題
著者:柚木芹香
ファラデーの
例題
例題 1
半径
左の棒PQは中心Oからa/2離れた弦で,右の棒は中心からd>a離れ,∠POQ=90°となる.磁場は手前向きに増える.点線は指定された三角形OPQで,誘導電場と起電力の答えは示していない.
中
心から 距離 の所の 誘導電場の 大きさと 向きを, と について 求めよ. 中
心からの 距離が で,両端P,Qがソレノイドの 内面に ある 細い 真っすぐな棒を 置く.PからQへ 向かう 向きは,手前から 見てOの まわりを 時計回りに 回る 向きと する.棒に 沿ってPからQへの 誘導電場の 線積分(棒の 起電力)を,直接の 積分と 三角形OPQの 磁束の2通りで 求めよ. 中
心からの 距離が で, となるように 棒PQを ソレノイドの 外に 置く.PからQへ 向かう 向きは (2) と 同様に 時計回りと する.同じ線積分を 求め, によらない ことを 示せ.
解答を見る
考え方 誘導電場はOを
半径
の円で が磁束の 変化の 速さに 等しいので, では より , では より である.手前向きの 磁束が 増えるので,電場は 奥向きの 磁場を 作る 電流を 流す 向き,つまり 手前から 見て 時計回りである. 棒の
中点をMと し,Mから 棒に 沿った 座標を とする.中 心から の点で,円に 沿った 電場の 棒に 沿う 成分は で,棒のどこでも 同じである.棒の 長さは だから
である.三角形OPQを
中点から
の所では で,棒に沿う 成分は . なので は から まで動き
である.三角形OPQはOの
確かめ:棒の
例題 2
内半径
です.
磁気モーメントmを上向きにした磁石が,内半径a,肉厚hの銅管を速さvで下る.磁石からz離れた幅dzの輪を示す.渦電流の矢印は,上側と下側の輪の手前側を表す.
磁石が
一定の 速さ で落ちている とき,磁石から の所に ある 幅 の輪の 起電力と 抵抗を 求め,管全体の 発熱率を 求めよ. を使ってよい. 磁石の
終端速度 を求めよ. , , , , , , で を求めよ.渦電流自身の 磁場を 無視する 近似が 成り 立つことを,比 で確かめよ.
解答を見る
考え方 磁石と
ある
輪の 磁石からの 距離 は毎秒 ずつ変わるので,起電力の 大きさは である.
輪の
と
磁石に
働く 制動力を とすると,発熱率は に等しい.終端速度では なので より
である.
数値を
入れると ,すなわち毎秒 ほどで,自由落下よりずっと 遅い.終端速度に 近づく 時間は で,ほぼすぐに一定の 速さに なる.渦電流の 面密度は と電場( 程度)の積なので,それが 作る 磁場ともとの 磁場の 比は で,1より十分 小さい.
確かめ:
例題 3
ベータトロンは,誘導電場で
電磁石のすき間を電子が回る.手前向きに増える磁場では誘導電場Eは時計回り,電子の速度vは反時計回りで,磁気力Fは中心向きである.内側の平均磁場B_avと軌道上の磁場B_orbの比の答えは記さない.
電子が
半径 を保ったまま 加速され続ける ための, と の関係を 求めよ. , が の間に0から まで一定の 割合で 増えると する.放射に よる エネルギー損失は 無視する.最後の 電子の 運動量と 運動エネルギーを 求めよ.電子の 静止エネルギーは ,エネルギーは で が運動エネルギー, , とする. 1周あたりに
得る 平均の エネルギーと,加速の 間に 回る 回数を 求めよ.回る 道のりの 合計を,光が に進む距離と 比べよ.
解答を見る
考え方 誘導電場が
対称性から,誘導電場は
軌道に 沿って 一定の 大きさ をもち, より である. を積分すると,静止に 近い 状態から 始めて .一方,半径 を保つには が要る.両方が いつも 成り 立つ条件は
で,軌道の
. なので
で,電子の
1周の
起電力は 軌道を 貫く 磁束の 変化の 速さで, と一定である.1周で 得るのは で,回る回数は,丸める 前の 値を 用いて 回である.道のりは で,光が に進む とほぼ等しい.電子は ほとんどの 時間を 光の 速さに 近い速さで 回っているからである.
確かめ:磁場を
ポイント ここまでの
対称な
誘導電場は,円に 沿った 線積分 を磁束の 変化の 速さと 等しいとおいて 求める.電場は 磁場の 変わる 場所の 外にも 広がる. 渦電流の
発熱を 輪ごとに 足すと,管の 中を 落ちる 磁石の 終端速度が 求まる.渦電流自身の 磁場は が小さい ときに 無視できる. ベータトロンでは,軌道の
内側の 平均の 磁場を 軌道上の 磁場の2倍の 割合で 増やすと,電子は 同じ 半径の まま 加速される.