問いしるべ
問いから始める物理 光

光

光の干渉の例題

著者:柚木芹香

干渉の問題は,いつも同じ手順で解けます.まず2つの光の経路を図に描き,それぞれの光学距離を出して光路差 Δ を求めます.次に,反射で位相が反転する所を数え,片方だけに反転があれば λ0/2 を加えます.最後に,強め合いは位相の差が 2π の整数倍,弱め合いは π の奇数倍として条件を立て,使った近似の条件を確かめます.この節では,ヤングの実験で波長を測る,油膜の色を決める,ニュートンリングから曲率半径を測る,の3つでこの手順を練習します.

例題

例題 1

オリジナル ★☆☆☆☆

間隔 d=0.250mm の2スリットに単色光を垂直に当て,距離 L=1.50m 離れたスクリーンに縞を映した.中央明線の両側の5番目の明線(m=−5 と m=5)の間隔を物差しで測ると 33.0mm であった.

  1. 光の波長を求めよ.

  2. 測った明線間隔の不確かさが 0.5mm であるとき,波長の不確かさを求めよ.また,隣り合う明線1組の間隔だけを同じ不確かさで測った場合と比べよ.d と L の不確かさは無視する.

  3. この測定で小角近似が使えることを確かめよ.

スリット間隔d=0.250 mm,スクリーンまでの距離L=1.50 mである.中央明線と両側5本ずつの明線を示す.m=−5からm=5までの間隔33.0 mmに物差しを当てる.配置と物差しの大きさは模式的である. スリット間隔d=0.250 mm,スクリーンまでの距離L=1.50 mである.中央明線と両側5本ずつの明線を示す.m=−5からm=5までの間隔33.0 mmに物差しを当てる.配置と物差しの大きさは模式的である.
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考え方 明線は等間隔に並ぶので,離れた2本の間隔を本数で割れば1つの間隔になる.間隔 w=Lλ/d から波長を出す.

  1. m=−5 から m=5 までは間隔10個分なので,w=33.0/10=3.30mm である.

λ=wdL=3.30×10−3×0.250×10−31.50=5.50×10−7m=550nm
  1. 波長は測った長さに比例するので,相対的な不確かさは同じで 0.5/33.0=0.015,つまり約1.5 %である.波長の不確かさは 550×0.015≈8nm となる.間隔1つ分の 3.30mm だけを同じ物差しで測ると,相対的な不確かさは 0.5/3.30=0.15,約15 %で,10倍悪くなる.読み取りの不確かさは測る長さによらないので,長い区間を測って本数で割るほうがよい.

  2. 最も外側の明線の位置は |x|=16.5mm で,|x|/L=0.011,d/L=1.7×10−4 である.sin⁡θ を x/L で置き換えた誤差は θ2/2 の程度,約 6×10−5 で,(2) の1.5 %より十分小さい.

確かめ:550nm は緑色の光の波長で,もっともらしい.

例題 2

オリジナル ★★☆☆☆

水(屈折率 1.33)の上に,屈折率 1.45 の油が厚さ h=380nm の一様な膜となって広がっている.空気中から白色光(波長 400nm から 700nm)を当て,反射光を見る.

  1. 真上から見るとき,反射で強め合う波長と弱め合う波長を可視光の範囲で求め,膜の色を述べよ.

  2. 入射角 45∘ の向きから見るときはどうなるか.

水の屈折率は1.33,油の屈折率は1.45,油膜の厚さはh=380 nmである.白色光が入射角θ₁で入り,表の反射光と裏で反射して出る光を描く.油中の屈折角はθ₂である.角度と厚さは模式的に示す. 水の屈折率は1.33,油の屈折率は1.45,油膜の厚さはh=380 nmである.白色光が入射角θ₁で入り,表の反射光と裏で反射して出る光を描く.油中の屈折角はθ₂である.角度と厚さは模式的に示す.
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考え方 反転は屈折率の小さい側から大きい側への反射で起こる.空気から油(1<1.45)では反転し,油から水(1.45>1.33)では反転しない.片方だけに反転があるので,強め合いは 2nhcos⁡θ2=(m+12)λ0,弱め合いは 2nhcos⁡θ2=mλ0 である.

  1. 真上からなら cos⁡θ2=1 で,2nh=2×1.45×380=1102nm である.強め合う波長は λ0=1102/(m+1/2) で,m=0,1,2,3 に対し 2204,735,441,315nm.可視光の範囲では 441nm(青紫)だけである.弱め合う波長は λ0=1102/m で,m=1,2 に対し 1102,551nm.可視光の範囲では 551nm(緑)である.緑が弱まり,青紫と,強め合いの 735nm に近い赤が相対的に強まるので,赤紫系の色が目立つ.

  2. 屈折の法則から sin⁡θ2=sin⁡45∘/1.45=0.488,cos⁡θ2=1−0.4882=0.873 である.光路差は 2nhcos⁡θ2=1102×0.873=962nm となる.強め合いは 962/(m+1/2) で,可視光では m=1 の 641nm(赤).弱め合いは 962/m で,可視光では m=2 の 481nm(青緑).青緑が弱まり,赤が強まるので,赤系の色が目立つ.斜めから見るほど光路差が小さくなり,弱め合う波長が短い側へ移る.

確かめ:真上から見た反射率は,空気と油の境界で (0.452.45)2≈0.034,油と水の境界で (0.122.78)2≈0.0019 と小さいので,膜の中の多重反射は無視してよい.油が水でなくガラス(屈折率 1.5)の上にあれば,裏の反射も反転するので,強め合いと弱め合いの条件が入れ替わり,真上から見た色は緑になる.

例題 3

オリジナル ★★☆☆☆

平らなガラス板の上に,曲率半径 R の平凸レンズの凸面を下にして置き,真上から波長 λ0=589nm の光を当てて反射光を見ると,同心円の暗い輪が見えた.空気の屈折率は1とする.レンズの軸は板に垂直とし,空気層の厚さは R に比べて十分小さいとする.

  1. レンズと板が中心で接しているとき,中心から m 番目の暗輪の半径 rm を求めよ.中心は明るいか暗いか.

  2. 実際には,中心に小さなごみがはさまってレンズがわずかに持ち上がっているかもしれない.このとき暗輪を内側から順に数えると,ある暗輪の半径が 2.65mm,そこから外側へ10番目の暗輪の半径が 4.80mm であった.持ち上がりの大きさが分からなくても R が決まることを示し,R を求めよ.

曲率半径Rの平凸レンズをガラス板の上に置く.中心からrの所の空気層の厚さをtで示す.上から入る光と,レンズ下面と板上面で反射する2本を描く.右には同心円の暗輪を添える.中心の明暗も考える配置である.長さと角度は模式的である. 曲率半径Rの平凸レンズをガラス板の上に置く.中心からrの所の空気層の厚さをtで示す.上から入る光と,レンズ下面と板上面で反射する2本を描く.右には同心円の暗輪を添える.中心の明暗も考える配置である.長さと角度は模式的である.
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考え方 干渉するのは,レンズの下面で反射する光と,板の上面で反射する光である.光路差は空気層の厚さ t の2倍で,レンズの下面(ガラスから空気)の反射は反転せず,板の上面(空気からガラス)の反射は反転する.

  1. 中心から r の所の空気層の厚さは,三平方の定理 R2=r2+(R−t)2 から 2Rt=r2+t2 である.t は R より十分小さいので t2 を無視して t=r2/(2R).片方だけ反転するので,暗くなるのは 2t=mλ0 のときで

rm2R=mλ0,rm=mRλ0

である.中心では t=0 で光路差は0だが,反転の分だけ打ち消し合い,暗い.

  1. レンズが δ 持ち上がると,空気層の厚さは δ+r2/(2R) になり,暗輪の条件は

2δ+r2R=mλ0

となる.δ が分からないと,ある暗輪の m も分からない.しかし,隣の暗輪へ移るごとに m は1ずつ増えるので,ある暗輪とそこから外側へ k 番目の暗輪について差をとると,δ と m の両方が消えて

rm+k2−rm2=kRλ0

となる.k=10 として

R=(4.80×10−3)2−(2.65×10−3)210×589×10−9=1.602×10−55.89×10−6=2.72m

である.

確かめ:近似 t=r2/(2R) は r/R が十分小さいときに使え,ここでは r/R≈0.0018 である.半径の2乗を干渉次数 m に対してグラフにすると直線になり,その傾きが Rλ0,切片が −2Rδ となる.差をとる方法は,この直線の傾きだけを使うことに当たる.

ポイント ここまでのまとめ

  • 干渉の問題は,光学距離の差 Δ を出し,反射の反転を数え,強め合い・弱め合いの条件を立てる順に解く.

  • ヤングの実験の波長の測定では,多くの明線の間隔をまとめて測ると,読み取りの不確かさの影響が小さくなる.

  • 薄膜の色は,弱め合って抜ける波長で決まり,見る角度によって 2nhcos⁡θ2 が変わるので色も変わる.

  • ニュートンリングでは rm2=mRλ0 で,半径の2乗の差を使うと接触の具合によらず R が測れる.

  • どの例題でも,小角や薄い空気層などの近似が成り立つかを最後に確かめる.