問いしるべ
問いから始める物理 光

光

屈折と全反射の例題

著者:柚木芹香

屈折の問題は,法線を描いて角を法線から測り,境界ごとに屈折の法則を書けば,あとは図形の問題になります.ここでは,見かけの深さ,光ファイバーが取り込める角,虹の角度の3つを練習します.

ポイント 屈折の問題の手順

  1. 境界ごとに法線を描き,入射角・屈折角・反射角を法線から測る.

  2. 各境界で屈折の法則を書く.平行な境界では法線も平行なので,nsin⁡θ がそのまま受け渡される.

  3. 境界どうしの角の関係(三角形の内角,円の半径と法線など)を図形から決める.

  4. 屈折率の大きい側から小さい側へ進むときは,入射角を臨界角 sin⁡θc=n2/n1 と比べる.

例題

例題 1

オリジナル ★★★☆☆

深さ h=2.0m のプールの底に小石がある.水の屈折率を n=1.33,空気の屈折率を1とする.

  1. 小石を真上近くから見ると,水面から測ってどれだけの深さに見えるか.小石から出て目に入る光は,鉛直とのなす角が十分小さいとする.

  2. 小石を含む鉛直面の中で,目に入る光が水面の上で鉛直と θ2 の角をなすように,斜めから見る.小石から出て水中で鉛直と θ1 の角をなす光線と,それにごく近い角の光線を水面の上から逆向きに延ばし,2本が交わる点の深さを見かけの深さ h′ とする.h′ を h,n,θ1,θ2 で表し,θ2=60∘ のときの値を求めよ.

深さh = 2.0 mの底にある小石から出た近い角の2本の光線が,水面で法線から離れる向きに屈折して目へ進む.θ₁は水中の角,θ₂は空気中の角である.空気中の光線を逆に延ばす破線の交点を見かけの位置とし,求める深さをh′と示す. 深さh = 2.0 mの底にある小石から出た近い角の2本の光線が,水面で法線から離れる向きに屈折して目へ進む.θ₁は水中の角,θ₂は空気中の角である.空気中の光線を逆に延ばす破線の交点を見かけの位置とし,求める深さをh′と示す.
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考え方 目は,届いた光をまっすぐ逆にたどって物の位置を判断する.1本の光線だけでは位置が決まらないので,小石から出る近い角の2本の光線を逆に延ばし,その交点を像とする.

  1. 光線が水面に達する点の,小石の真上からの水平距離は x=htan⁡θ1 である.空気中の光線を逆に延ばした線が,深さ h′ で小石の真上の鉛直線と交わるとすると x=h′tan⁡θ2 である.角が十分小さければ tan⁡θ≈sin⁡θ で,屈折の法則 nsin⁡θ1=sin⁡θ2 から

h′=htan⁡θ1tan⁡θ2≈hsin⁡θ1sin⁡θ2=hn=2.01.33m=1.5m

となる.これは θ が十分小さく,tan⁡θ と sin⁡θ の違い(θ2 の程度)を無視できるときの値である.

  1. 水面上の点を,小石の真上から測った水平の位置で表す.角 θ1 の光線は水面の X=htan⁡θ1 に達し,そこから空気中を角 θ2 で進む.この光線を水中へ逆に延ばした直線上で,深さ y の点の水平の位置は

X(y)=htan⁡θ1−ytan⁡θ2

である.θ1 をわずかに変えた光線の延長と交わる点では,X(y) が θ1 によらず等しいので,y を固定して θ1 で微分したものが0になる.

hcos2⁡θ1−ycos2⁡θ2dθ2dθ1=0

屈折の法則 nsin⁡θ1=sin⁡θ2 を微分すると ncos⁡θ1dθ1=cos⁡θ2dθ2 なので,dθ2/dθ1=ncos⁡θ1/cos⁡θ2 である.これを入れて

h′=y=hcos3⁡θ2ncos3⁡θ1

を得る.θ2=60∘ では sin⁡θ1=sin⁡60∘/1.33=0.651,cos⁡θ1=0.759 なので

h′=2.0×(0.500)31.33×(0.759)3m=0.43m

である.

確かめ:θ1,θ2→0 では h′→h/n となり (1) と一致する.斜めから見るほど cos⁡θ2 が小さくなり,プールは急に浅く見える.なお,左右の目のように水平に並んだ2本の光線では交わる深さが少し違い,斜めから見た像はぼやけやすい.

例題 2

オリジナル ★★☆☆☆

光ファイバーの芯(コア)の屈折率を n1=1.48,それを包む層(クラッド)の屈折率を n2=1.46 とする.ファイバーはまっすぐで,端面は軸に垂直に切ってあり,外は空気(屈折率1)である.真空中の光の速さを c=3.00×108ms−1 とする.

  1. 空気中から端面の中心に角 θ0(軸とのなす角)で入った光が,芯とクラッドの境界で全反射をくり返して進むための条件を,sin⁡θ0 の範囲として求めよ.

    1. の θ0 の最大値を求めよ.

  2. 長さ L=1.0km のファイバーの一端から,軸に沿う光と (2) の最大の角で入った光を同時に入れる.他端に着く時刻の差を求めよ.

芯の屈折率は n₁=1.48,クラッドは n₂=1.46,外は空気である.端面の中心へ角 θ₀ で入り,芯の中を屈折角 θ′ で進み,側面へ入射角 90°−θ′ で当たって全反射する.長さ L=1.0 km は与条件である. 芯の屈折率は n₁=1.48,クラッドは n₂=1.46,外は空気である.端面の中心へ角 θ₀ で入り,芯の中を屈折角 θ′ で進み,側面へ入射角 90°−θ′ で当たって全反射する.長さ L=1.0 km は与条件である.
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考え方 端面での屈折で芯の中の角が決まり,その角で側面の全反射の条件が決まる.端面と側面は垂直なので,端面の屈折角と側面への入射角の和は 90∘ である.

  1. 端面での屈折角を θ′ とすると sin⁡θ0=n1sin⁡θ′ である.側面への入射角は 90∘−θ′ で,全反射の条件は

sin⁡(90∘−θ′)=cos⁡θ′≥n2n1

である(等号は臨界の場合).sin⁡θ′=1−cos2⁡θ′≤1−n22/n12 なので

sin⁡θ0=n1sin⁡θ′≤n12−n22

となる.

  1. n12−n22=1.482−1.462=2.94×0.02=0.242.よって θ0 の最大値は 14.0∘ である.この n12−n22 を開口数といい,ファイバーが取り込める光の広がりを表す.

  2. 軸に沿う光が進む道のりは L で,時間は t1=n1L/c である.最大の角の光は,芯の中で軸と θ′ をなす向きにジグザグに進み,道のりは L/cos⁡θ′=Ln1/n2 になる(臨界の場合 cos⁡θ′=n2/n1).時間は t2=n12L/(n2c) で,差は

t2−t1=n1Lc(n1n2−1)=n1(n1−n2)Ln2c=1.48×0.02×1.0×1031.46×3.00×108s=6.8×10−8s

である.

確かめ:n2→n1 では取り込める角も時刻の差も0になる.1 km で約 70 ns の差があると,それより短い間隔の光の点滅は他端で重なって区別できない.長距離の通信では芯を波長の数倍まで細くするが,そうなると光線の考えは使えず,波としての扱いが要る.

例題 3

オリジナル ★★★☆☆

太陽の光が球形の雨粒に入り,中で1回反射して出てくる.雨粒の大きさは光の波長より十分大きく,光線の考えが使えるとする.雨粒への入射角を θ,屈折角を r,水の屈折率を n とする.

  1. 出てくる光の向きが,入ってくる光の向きから回った角(偏角)D を θ,r で表せ.

  2. θ を変えたとき D が最小になる条件が cos2⁡θ=n2−13 であることを示せ.

  3. 赤い光(n=1.331)と紫の光(n=1.343)について,D が最小になる向きが,太陽と反対の方向(観測者の影の頭の方向)となす角 180∘−D を求めよ.虹の外側に見えるのはどちらの色か.

球形の雨粒に太陽の光が入射角θで入り,屈折角rで進み,奥の面で1回反射してから屈折して出る.破線の半径は各面の法線である.左下では入射方向を平行移動して,出射方向とのなす偏角Dの定義を示す. 球形の雨粒に太陽の光が入射角θで入り,屈折角rで進み,奥の面で1回反射してから屈折して出る.破線の半径は各面の法線である.左下では入射方向を平行移動して,出射方向とのなす偏角Dの定義を示す.
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考え方 光は3回向きを変える(入るときの屈折,中での反射,出るときの屈折).それぞれで回る角を足せば偏角になる.偏角が最小の所では,入射角が少しずれても出ていく向きが変わらないので光が集まる.

  1. 入るときの屈折で向きが θ−r だけ回る.雨粒の中で光線と半径(法線)のなす角は,二等辺三角形の性質からどこでも r なので,中での反射では 180∘−2r 回る.出るときの屈折は入るときの逆で,向きが θ−r 回る.3回とも同じ向きに回るので

D=(θ−r)+(180∘−2r)+(θ−r)=180∘+2θ−4r

である.

  1. dD/dθ=2−4dr/dθ=0 から dr/dθ=1/2 である.屈折の法則 sin⁡θ=nsin⁡r を θ で微分すると cos⁡θ=ncos⁡rdr/dθ なので,2cos⁡θ=ncos⁡r となる.2乗して n2cos2⁡r=n2−n2sin2⁡r=n2−sin2⁡θ=n2−1+cos2⁡θ を使うと

4cos2⁡θ=n2−1+cos2⁡θ,cos2⁡θ=n2−13

となる.θ が0のとき D=180∘,θ が 90∘ に近づくと D は再び大きくなるので,この点は最小である.

  1. 赤い光では cos2⁡θ=(1.3312−1)/3=0.2572,cos⁡θ=0.5071,θ=59.53∘.sin⁡r=sin⁡θ/1.331=0.6475,r=40.36∘ なので

D=180∘+2×59.53∘−4×40.36∘=137.6∘,180∘−D=42.4∘

である.紫の光では cos2⁡θ=(1.3432−1)/3=0.2679,cos⁡θ=0.5176,θ=58.83∘,sin⁡r=0.6371,r=39.58∘ なので D=139.4∘,180∘−D=40.6∘ である.

観測者の影の頭の方向から見て,赤は約 42∘,紫は約 41∘ の円の上で明るくなる.したがって虹の外側が赤,内側が紫である.

確かめ:屈折率が大きいほど D が大きく,虹の半径は小さいので,紫が内側に来る.n=1(曲がらない)なら cos2⁡θ=0 で θ=90∘,r=90∘,D=0 となり,かすめて素通りする光に戻る.雨粒の中で2回反射する光にも偏角の最小があり,太陽と反対の方向から約 51∘ に色の並びが逆の副虹ができる.

ポイント ここまでのまとめ

  • 見かけの深さは,物から出る近い角の2本の光線を逆に延ばした交点で決まる.真上近くからは h/n,斜めから見るほど浅く見える.

  • 光ファイバーが取り込める光は sin⁡θ0≤n12−n22.端面の屈折角と側面への入射角の和が 90∘ であることを使う.

  • 雨粒の中で1回反射する光の偏角は D=180∘+2θ−4r で,最小の向きに光が集まる.虹の半径は約 42∘(赤)と約 41∘(紫)で,外側が赤になる.

  • 偏角が最小(停留)の向きは,入射の条件が少しずれても変わらないので,測定にも像にも強く現れる.