問いしるべ
問いから始める物理 光

光

レンズと鏡による結像の演習

著者:柚木芹香

実像と虚像を区別してください.薄いレンズと近軸光線を扱い,入射側の実物体の距離を a>0,出射側の実像の距離を b>0,虚物体・虚像の距離をそれぞれ負とします.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

焦点距離 f=12.0cm の凸レンズの左に,高さ h=2.00mm の小物体を置く.光は右へ進む.物体距離が a=18.0cm の場合と 8.00cm の場合について,像の位置,高さ,向きと投影の可否を求めよ.

焦点距離12.0 cmの凸レンズに対し,物体距離18.0 cmと8.00 cmの2配置を示す.小物体の高さはどちらも2.00 mmである. 焦点距離12.0 cmの凸レンズに対し,物体距離18.0 cmと8.00 cmの2配置を示す.小物体の高さはどちらも2.00 mmである.
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考え方 像距離と倍率の符号から,像の種類と向きを決める.

薄いレンズの式 1/a+1/b=1/f より b=af/(a−f),横倍率は M=−b/a である.a=18.0cm なら b=36.0cm,M=−2.00.右側に高さの大きさ 4.00mm の倒立実像ができ,スクリーンに映せる.a=8.00cm なら b=−24.0cm,M=3.00.左側に高さ 6.00mm の正立虚像ができ,スクリーンには映せない.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

凸面鏡の前に小物体を置く.鏡の焦点距離は f=−12.0cm,物体距離は a=36.0cm である.鏡では前側の像距離を正,裏側を負とし,1/a+1/b=1/f,M=−b/a が成り立つ.

  1. 像の位置,倍率,向きを求めよ.

  2. a>0 を変えても倒立実像ができないことを示し,a→∞ の像位置を求めよ.

凸面鏡の前側に物体距離aが36.0 cmの小物体を置く.鏡の頂点と光軸,焦点距離fの与えられた値を示す. 凸面鏡の前側に物体距離aが36.0 cmの小物体を置く.鏡の頂点と光軸,焦点距離fの与えられた値を示す.
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考え方 焦点距離の符号を保って像距離を求める.

  1. b=af/(a−f) より b=−9.00cm,M=0.250.鏡の裏に縮小した正立虚像ができる.

  2. F=|f|>0 とすれば b=−aF/(a+F)<0,M=F/(a+F) は0と1の間で,正立虚像である.遠方では b→−F=f.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

ある人は裸眼で,眼から 0.200m と 0.500m の間の物体にピントを合わせられる.薄い眼鏡を眼の 0.0200m 前に置く.度数はメートルで表した焦点距離の逆数で,単位 D=m−1 とする.

  1. 無限遠を見られる眼鏡の焦点距離と度数を求めよ.

  2. 同じ眼鏡で最も近くまで鮮明に見える物体は,眼から何メートルにあるか.

裸眼の近点は眼から0.200 m,遠点は0.500 mである.眼鏡は眼の0.0200 m前に置かれる. 裸眼の近点は眼から0.200 m,遠点は0.500 mである.眼鏡は眼の0.0200 m前に置かれる.
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考え方 眼鏡の虚像を裸眼の近点・遠点へ置く.距離の原点に注意する.

  1. 無限遠では 1/a=0.遠点は眼鏡の前 0.480m にあるので b=−0.480m.1/b=1/f より f=−0.480m,度数は −2.08D である.

  2. 近点に虚像を置くと b=−(0.200−0.0200)m=−0.180m.したがって

1a=1f−1b=(−10.480+10.180)m−1,a=0.288m

で,眼からの距離は 0.308m.矯正後の近点は裸眼より遠くなる.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

物体とスクリーンを距離 L だけ離して固定し,間の凸レンズを動かす.鮮明な像ができる2つの位置の間隔 s を測ると,次の値を得た.同じレンズを使う.

L

s

0.600m

0.346m

0.800m

0.566m

1.000m

0.775m

  1. s,L,f の関係と,2位置が存在する条件を導け.

  2. Y=s2/L と L で直線化し,共通の焦点距離を見積もれ.その値で3点を確かめよ.

固定された物体とスクリーンの間隔をLとする.その間にある凸レンズを光軸に沿って動かす. 固定された物体とスクリーンの間隔をLとする.その間にある凸レンズを光軸に沿って動かす.
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考え方 距離の和を固定し,レンズ位置の二次方程式を作る.

  1. b=L−a を 1/a+1/b=1/f に代入すると a(L−a)=fL.よって a2−La+fL=0,2根は a=(L±L2−4fL)/2.根の差から s2=L2−4fL.異なる2位置には L>4f が必要で,等号では1位置になる.

  2. Y=L−4f は傾き1,切片 −4f の直線.各点の f=(L2−s2)/(4L) は順に 0.1001m,0.09989m,0.09984m.共通値は約 0.100m で,予測する s は 0.3464m,0.5657m,0.7746m.表の桁に丸めると一致する.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

共軸の2枚の凸レンズで,左の焦点距離は f1=12.0cm,右は f2=18.0cm,間隔は ℓ=18.0cm.左のレンズのさらに左 18.0cm に小物体を置く.

  1. 最終像の位置と全倍率を求めよ.

  2. 右のレンズの半径は r=2.00mm.各物体点からの光が開口を一様に満たすとする.結像面より 6.00mm 遠くへスクリーンをずらしたときのぼけの直径を求めよ.

  3. 結像面に戻し,右の上半分を覆う.像の形,位置,明るさはどうなるか.左のレンズによる光の遮断と吸収は無視する.

焦点距離f₁が12.0 cm,f₂が18.0 cmの凸レンズを18.0 cm離して置く.物体位置と右の開口半径r,その上半分を覆う条件を示す. 焦点距離f₁が12.0 cm,f₂が18.0 cmの凸レンズを18.0 cm離して置く.物体位置と右の開口半径r,その上半分を覆う条件を示す.
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考え方 第1レンズの光が第2レンズを越えて収束するなら,虚物体として扱う.

  1. 1/b1=1/f1−1/a1 より b1=36.0cm.第2レンズを越えて収束するので a2=ℓ−b1=−18.0cm は虚物体である.b2=a2f2/(a2−f2) より b2=9.00cm.右のレンズの右に実像ができる.M1=−2.00,M2=0.500 だから M=M1M2=−1.00 で,等倍倒立である.

  2. 開口の縁から結像点までの光線の傾きは r/b2.ずれを ε とすれば,ぼけの半径は r|ε|/b2 なので,直径は 2×2.00×6.00/90.0=0.267mm.

  3. 残る光も同じ像点へ集まる.像の形と位置は同じで,明るさは半分になる.近軸条件は光線の傾きや物体高と距離の比が十分小さいことで, r/b2=0.0222 である.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

凸の対物レンズと凸の接眼レンズで望遠鏡を作る.無限遠に調整したレンズ間隔は 0.450m,角倍率の大きさは8.00である.出射光を平行にする.

  1. 両レンズの焦点距離と,角倍率の符号を求めよ.

  2. 対物レンズを固定し,その前方 10.0m の物体を見る.出射光を平行にする接眼の移動方向と距離を求めよ.

対物レンズと接眼レンズはいずれも凸レンズである.無限遠に調整した初めの間隔は0.450 m,角倍率の大きさは8.00である. 対物レンズと接眼レンズはいずれも凸レンズである.無限遠に調整した初めの間隔は0.450 m,角倍率の大きさは8.00である.
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考え方 対物の像を接眼の焦点に置く.

  1. 小角 β で中間像の高さは h≈f1β,接眼の角は β′≈−h/f2.よって角倍率は −f1/f2.また間隔は f1+f2 だから f1=8f2,9f2=0.450m.f1=0.400m,f2=0.0500m,角倍率は −8.00 である.

  2. a=10.0m として b1=af1/(a−f1) より b1=0.4167m.新しい間隔は b1+f2=0.4667m なので,対物から遠ざける向きへ 0.0167m 動かす.移動量は f12/(a−f1) で,a→∞ で0へ戻る.角倍率は |β| と |β′| が十分小さい範囲で有効である.

ポイント 教える人へ

  • 負の像距離を誤答扱いせず,光線の延長が交わる側を確認させます.

  • 眼と眼鏡の距離の原点を区別し,度数の符号を説明させます.

  • 2枚のレンズでは,次のレンズにとっての物体距離を計算し直させます.

  • 開口を覆った像と,結像面から外れたぼけを区別させます.