一次近似. 𝑛 =12 や 𝑛 = −1 のように指数 𝑛 を固定して,1 ≫|𝑥| のとき
(1+𝑥)𝑛≈1+𝑛𝑥
が成り立ちます.𝑛 が正の整数なら,二項展開 (1 +𝑥)𝑛 =1 +𝑛𝑥 +𝑛(𝑛−1)2𝑥2 +⋯ で 𝑥2 以降を捨てたものです.𝑛 が整数でないときも,𝑥 が小さければ同じ形でよいことが知られています.特に √1+𝑥 ≈1 +𝑥2,11+𝑥 ≈1 −𝑥 です.捨てた項は 𝑥2 の程度なので,𝑥 =0.04 なら誤差は 2 ×10−3 程度以下です(𝑛 =12, −1 の場合).𝑛 が大きいときは係数 𝑛(𝑛−1)2 も大きくなり,|𝑥| が小さいだけでは精度を保証できないので,別に誤差を確かめてください.
極端な場合. 文字式の結果は,モデルの前提が保たれる範囲で,ある量を 0 にしたり,大きくしたりしても,物理として納得できる結果になっているはずです.検算の主力です.極端な場合に前提そのものが破れるとき(たとえば一定の重力加速度を仮定した式を,落下距離が地球の大きさに近い場合に使うとき)は,結果が合わないのではなく,モデルの適用範囲を外れたと確認します.
練習 1. 1/1.03 を一次近似で求めよ.答え:1 −0.03 =0.97(実際は 0.9709).
練習 2. √0.96 を求めよ.答え:𝑥 = −0.04 として 1 −0.02 =0.98(実際は 0.9798).
練習 3. 一次近似で次の値を求めよ.(1) (1.001)3 (2) 1(1.01)2 (3) 1√0.94
答え:(1) 𝑛 =3,𝑥 =0.001 で 1.003(実際は 1.003003).(2) 𝑛 = −2 で 1 −0.02 =0.98(実際は 0.9803).(3) 𝑛 = −12,𝑥 = −0.06 で 1 +0.03 =1.03(実際は 1.0314).
練習 4. 半径 𝑅 =6.4 ×106 m の地球の表面から高さ ℎ =32 km の所で,𝑅2(𝑅+ℎ)2 を一次近似で求めよ.答え:(1+ℎ𝑅)−2 ≈1 −2ℎ𝑅 =1 −2 ×0.005 =0.99.